【すぐわかる】借入金の月商倍率の計算式と業種別目安を解説のサムネイル画像

企業に借入金がどれほどあるかを示す指標に「借入金月商倍率」があります。借入金月商倍率は全業種29種から平均して4.78が目安です。


借入金月商倍率の計算式は「借入金月商倍率(ヶ月) = 有利子負債 ÷ 1月あたり売上高」で求められますが、何倍であれば自社は安全なのかもしくは危険なのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。


そこで今回は、借入金月商倍率の計算式と業種別目安を解説します。


・業種別借入金月商倍率の目安から自社がどのように評価されるか知りたい

・借入金の返済が困難になったときの対処法を知りたい


方は本記事を参考にすると、借入金月商倍率の計算方法と目安がわかるうえに、事業開始後の自社のリスク対策ができる方法もわかります。


内容をまとめると

  • 借入金月商倍率の計算式は「借入金月商倍率(ヶ月) = 有利子負債 ÷ 1月あたり売上高」で求めることができ、3倍以下であれば安全、6倍以下であれば危険とされる。
  • 業種別借入金月商倍率は全業種29種から平均して4.78が目安である。
  • 借入金は膨らみすぎると債務超過になる可能性もあるので、生命保険で代物弁済などをするとリスクを抑えつつも借入金の解消ができる。
  • 創業期の事業リスク対策には保険の利用が必須なので、マネーキャリアのような無料相談窓口サービスを有効活用し、自社のリスクに備える会社も増えている。

この記事の監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

借入金月商倍率とは


借入金月商倍率とは、借入金の限度額が何ヶ月分の月商に相当するか算定する方法です。

借入金の目安として、借入金月商倍率が3倍以下であれば安全、3~6倍では追加保証人が必要な黄色信号、6倍以上は危険と判断され追加借入が困難となる赤信号です。

▼借入金月商倍率の計算式

「借入金月商倍率(ヶ月) = 有利子負債 ÷ 1月あたり売上高」

借入金月商倍率の主な改善方法は、「借入金を返済して有利子負債額を減らす」「事業計画を見直し売り上げをあげる」などの方法があります。

借入金月商倍率の業種別目安

2023年の借入金月商倍率の業種別目安は全業種29種から平均して4.78でした。


▼業種別の借入金月商倍率平均値

業種名借入金月商倍率平均値
企業数
小売業 3.1318
卸売業1.6 291 
食料品2.1 123 
建設業1.9 148 
不動産業11.6 137 
 サービス業 3.6 470 
情報・通信業 2.7  444 


【注意点あり!】借入金の相場とは


以下では、借入金の相場を、注意点とあわせて解説します。

借入金は「創業時」「運転資金の確保」「設備資金の確保」「追加資金の確保」といった異なるフェーズで相場が分けられることを知っておく必要があります。

創業融資での相場

日本政策金融公庫総合研究所の「2021年度新規開業実態調査」によると、創業融資での相場は平均803万円でした。

創業融資を受けられる金融機関は日本政策金融公庫、銀行・信用金庫・信用組合、地方自治体(制度信用)、公庫・地方自治体以外の公的機関などさまざまです。

そのなかでも、たとえば日本政策金融公庫から融資を受ける際、融資制度ごとに異なりますが借りられる上限額が設定されています。日本政策金融公庫のサイトでは、融資の目的ごとに数多くの融資制度があることが確認できます。

日本政策金融公庫の中小企業事業の画像

希望額が借りられるかは審査によって変わりますが、借入金の希望者全員が上限額もしくは希望額を借りられるわけではありません。どのような融資制度があるか確認したい場合には、日本政策金融公庫の融資制度の公式サイト「融資制度一覧から探す」から調べられます。

※「新創業融資制度」は令和6年3月31日で取扱を中止しています。

運転資金の融資相場

材料費や仕入に関する費用や事務所の賃貸費用・光熱費、通信費などが代表的な「運転資金」の融資相場は、中小企業庁の「中小企業白書2021」によると、375万円程度が相場でした。


創業融資を受けられる金融機関は、銀行・信用金庫、政府系金融機関、ノンバンクの主に4つです。


なかでも銀行は、中小企業が取引している金融機関の7割を占めています。東京商工会議所・中小企業金融専門委員会「中小企業金融に関するアンケート」では、とくに資金調達方法でも、もっとも多いのは「銀行などのプロパー融資」でした。


銀行は融資の審査が比較的厳しいですが、金利も比較的安く、長期返済も可能な点がメリットです。


設備資金の融資相場

機械や事業用の車両購入費用、ホームページ制作費用、店舗・工場・事務所の内外装工事や増改築費用など、開業準備や事業拡大・メンテナンス等の設備にかかるお金である「設備資金」の融資相場は業種によって異なります

設備資金の融資を受けられる金融機関は、公的金融機関と民間金融機関が一般的です。

公的金融機関は、日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行が挙げられます。一方で民間金融機関は都市・地方銀行、信用組合などです。

一般的に設備資金の融資上限額は、「設備導入で見込まれる売上の3分の1」「簡易キャッシュフロー(減価償却費+純利益)の7〜10倍以内」とされています。簡易キャッシュフローとは、主に「利益で借入を返済するためには何年ほどかかるのか」を簡単に知るときに利用する計算式です。

設備資金の融資は、売上やキャッシュフローの見込みに基づいて審査を行うため、返済計画、事業計画が甘ければ、希望の借入金額が借りれなかったり、借り入れ後に返済が困難になったりするリスクがあります。

したがって、設備導入後の事業計画(売上予測)や設備の見積もりを詳細に計算することが必要です。

追加の融資相場

追加の融資相場は、返済に問題がなければ返済した分と同額を借り入れられるのが一般的です。

たとえば、当初1,000万円の融資を受け、そのうち500万円を滞納せずに返済していれば、追加で500万円は借りられる可能性が高いです。追加融資を受ける際に当初の融資額を少なくとも3分の1以上、ベストは2分の1以上返済していることが理想的です。

追加融資を受ける際には、1回目の申し込みから6か月以上の期間を空けることで、「1回目の申し込み時に提出した事業計画書や創業計画書に不備があったために追加融資を受けにきた」となってしまう印象を回避できます。

一方で、追加融資を受ける理由が、当初の事業計画書や創業計画書よりも事業が好調であるために、さらに事業拡大をしたい場合などは、追加融資が受けやすくなります。

融資で希望金額を借り入れやすくなる3つのポイント


ここでは、融資で希望金額を借り入れやすくなる3つのポイントを解説します。

金融機関からの借入は上限額が決まっているものの、上限額まで借り入れられる企業は多くありません。希望金額を借り入れるためには以下のコツが必要です。

自己資金を多く準備する

自己資金が多いことでより多くの金額の融資を受けやすくなります。

たとえば、基準の目安として日本政策金融公庫の新創業融資(令和6年3月31日に廃止)の場合、融資の利用条件は「創業資金総額の10分の1以上の自己資金が確認できる」でした。自己資金が100万円である場合、融資額を2,000万円などの10倍以上の金額に設定することはできません。

他の金融機関でも借入上限額はあるものの、自己資金が多ければ融資が借り入れやすくなるのは変わりません。

事業成績が好調であることを示す

事業成績が好調であることを示すと、より希望金額に近づいた融資を受けられる可能性が高まります。 

融資を受ける前の1、2か月間の事業成績が良いと、金融機関に提出する事業計画書に説得力を持たせられるので、自社にどれほど返済能力があるかの明示が大切なのです。

過去の実績がない新規創業の会社でも、「経営理念が明記されている」「正確な数値、説得力のある目標や戦略が記載されている」「説得力のある数値が示されている」などの要素がある事業計画を書ければ、高評価につながります。

残債が少ない状態をキープする

会社の残債が少ないと、追加融資を受けやすくなります。残債とは銀行などから借り入れた融資のうち、未払いの借入金の残額のことです。

たとえば、「12月末までに毎月一定の金額を返済する予定」で利子3%の1,000万円の融資を1月に受けたとして、6月時点で200万円しか借入金の返済ができていない場合、残債は800万円+利子です。

このように借入金の返済期限や返済額に問題が生じていると、金融機関との信頼関係を損ない、追加融資を申し込むのが困難になります。追加融資を申し込む際は、1回目の借入から少なくとも6か月の期間を空けるのが好ましいとされます。

借入金が返済できなくなるリスクに備えるには


ここでは、借入金が返済できなくなるリスクに備える方法を解説します。

借入金が返済できなくなると、最終的には担保を差し押さえられ、事業の再開が困難になります。そうならないためにも、以下の「借入金が返済できなくなるリスク」に備えなければなりません。

借入金を返済できないとどうなるか? 

金融機関から借り入れた融資を期限通りに返済できない場合、以下の事態に陥ってしまう可能性があります。

  • 支払督促を受ける
  • 遅延損害金が発生する
  • 保証会社から請求される
  • 債権回収会社から連絡が入る
  • 差し入れた担保を失う
  • 連帯保証人に迷惑をかける
  • 事業を継続できなくなる
借入金が返済できなくなる理由はそれぞれですが、多く見られるケースは「どんぶり勘定による経営」「市場・経済状況の変化」「事業の失敗」「取引先の倒産」「自転車操業・多重債」があげられます。

支払督促は電話や書面にて返済を促す通知が届きますが、「督促状に法的な強制力はない」からとの理由で督促・催促を無視すると、遅延損害金が発生します。遅延損害金は返済が遅れたことに対する損害賠償金ともいえ、返済金額にプラスして年利14~20%までの間で請求されます。

さらに、それでも融資が返済できない場合、土地や建物などの不動産を差し入れ担保が差し押さえられるケースがあるのです。担保に自宅を差し入れていたり、連帯保証人が家族である場合、生活に支障が出るので注意しましょう。

借入金の返済に備える方法とは

借入金の返済に備える主な方法は「給付金や助成金」「法人生命保険を活用する」の2つです。さらに、実際に返済ができなくなったあとは「据置期間の延長」ができる場合もあります。

国や地方自治体が提供する給付金や助成金制度をあらかじめ調べておくと、融資返済の資金繰り改善に役立ちます。また、給付金や助成金は融資ではなく贈与のため、返済の必要がありません。

そこで、役に立つのが法人向けの生命保険です。

法人生命保険は、法人が従業員のための福利厚生のために加入するものと思われがちですが、実際にはそれに加えて借入金返済資金に活用できます。

既に借り入れた借入金の返済資金として準備できますが、これから事業資金が必要になると想定している場合、必要な事業資金が解約返戻金の範囲内であれば、金融機関から融資を受けずに保険金でまかなうことも可能です。

まずは、借入金月商倍率を計算して自社が返済可能な範囲で融資を受けることが前提ですが、もしものリスクに備えて、「借入金が返済できなくなったときのための準備」もする必要があるのです。

借入金の返済に活用できる保険

借入金の返済に活用できる保険は、「長期平準定期保険」「逓増定期保険(ていぞうていきほけん)」「養老保険」の主に3つが代表的です。借入金の返済には解約返戻金を利用します。


長期平準定期保険は、通常の定期保険では満期が60〜70歳と定年付近で満期となるのに対し、90歳〜100歳までの非常に長い保険期間が設定されている点が特徴です。


逓増定期保険(ていぞうていきほけん)は、一定期間の経過後、経過年数とともに保険金が増加していく特徴があり、会社の成長とともに大きくなる経営者の責任に適した保障がある保険です。


養老保険は、死亡保障と貯蓄の両方を備えた保険で、死亡事故などの保険事故があった場合には保険金が支払われ、何も保険事故が起こらず期間満了した場合は満期保険金が支払われます。


「長期平準定期保険」「逓増定期保険(ていぞうていきほけん)」は、借入金の返済が困難になった場合は、保険を解約して、その解約返戻金を借入金の返済に充てることができます。


一方で、借入金の返済はスムーズに行えているものの、経営者に万が一のことが起き経営者不在のために事業に影響が出た場合、借入金の返済が困難になります。「養老保険」は、経営者に万が一が起き返済が滞った場合に、差し入れ担保の差し押さえや連帯保証人への請求を回避するために活用できます。


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法人の資金繰りに借入金が最適か確認する方法


以下では、法人の資金繰りに借入金が最適か確認する方法を解説します。


借入金は膨らみすぎると債務超過になる可能性もあるので、生命保険で代物弁済などをするとリスクを抑えつつも借入金の解消ができます。


一方で、経営者に万が一のことがあった場合に、生命保険に加入していなければ、返済に充てられる保険金もないため、さらに資金繰りが悪くなる可能性があります。


とくに中小企業では事業承継などの問題もあることから、どのような生命保険に加入すべきかは経営陣でマストで考えるべき事項なのです。


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借入金月商倍率の計算式と業種別目安まとめ


ここまで、借入金月商倍率の計算式、業種別借入金月商倍率の目安、法人の資金繰りに借入金が最適か確認する方法まで解説しました。


借入金月商倍率の計算式は「借入金月商倍率(ヶ月) = 有利子負債 ÷ 1月あたり売上高」で求めることができ、3倍以下であれば安全、6倍以下であれば危険とされます。


業種ごとに借入金月商倍率は異なりますが、全業種29種から平均して4.78が目安です。


借入金は膨らみすぎると債務超過になる可能性もあるので、生命保険で代物弁済などをするとリスクを抑えつつも借入金の解消ができます。借入金の返済が困難になった場合や、経営者に万が一があったときのために、リスクヘッジとして法人保険に加入する必要があります。


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