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役員退職金は役員報酬の増額に比べて大幅な税制優遇が受けられますが、平成25年の税制改正により一部役員が役員退職金の受取時に税制優遇を受けられなくなりました。

非課税枠を十分に活用して、役員退職金の実質受取金額を多くしたいという役員の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は「役員退職金の税金計算方法と活用できる税制優遇」を中心に解説します。

・役員退職金の非課税枠はいくらまで確保できるのか知りたい
・高額な役員退職金を支払うことによって決算に影響が出ることを避けたい

方は本記事を参考にすると、役員退職金の税金計算方法と活用できる税制優遇がわかるほか、自社の備えるべき事業リスクとその対策もわかります。

内容をまとめると

  • 勤続年数が5年以下かつ退職金300万円以上の役員は「退職所得の金額= (退職した際に受け取った収入総額-退職所得控除額) ×1/2」で計算される控除が適用できない。
  • 役員退職金は「退職所得控除」「1/2課税」「所得税の分離課税」の税制優遇が活用できる。
  • 高額な役員退職金が支払えず裁判に発展するケースを避けるために、法人生命保険を活用する企業も多い。
  • 役員退職金の捻出は決算や資金繰りに大きな影響を及ぼすため、マネーキャリアのような法人保険に特化した専門家による無料相談サービスを使う企業も増えている。
この記事の監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

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役員退職金の支払いにかかる税金と計算方法


以下では、役員退職金の支払いにかかる税金と計算方法について解説します。


役員退職金は大幅な税制優遇が受けられるものの、平成25年の税制改正により一部役員が税制優遇を受けられなくなりました。退職金の実質受取金額を多くするために、税金控除の要件を理解する必要があります。

累進緩和措置の見直しに伴う税制改正について

役員退職金の課税対象額は、累進緩和措置により、退職金総額から退職所得控除額を引いた残額の半分(1/2)となっています。


累進緩和措置の見直しに伴う税制改正に伴い、現在は勤続年数が5年以下の役員の場合、役員退職金の税率に関して累進緩和措置が適用できなくなりました


その背景として、短期間で転職を繰り返して多額の退職金をもらう“天下り”が社会問題化したため、平成25年(2013年)、国税庁が「租税特別措置法等の一部を改正する法律」において、役員退職金の税制改正を施行しました。


勤続年数5年以下かつ退職金が300万円を超える場合には、「退職所得の金額= (退職した際に受け取った収入総額-退職所得控除額) ×1/2」で計算される控除は適用できません。


役員退職金の税金控除額をシミュレーション


Strantegy&の「CEO承継」では、日本国における新任CEOの平均年齢が60歳であることから、多くの企業が事業相続を間近に控えていると想定し、役員退職金にかかる税金の控除額をシミュレーションします。

今回は、役員退職金を計算するときに一般的な功績倍率法を用いて役員の適正退職金を算出したあと、役員退職金とその控除額をシミュレーションします。


なお、以下のシミュレーションは役員退職所得の税金控除が適用される、勤務年数が5年以上のモデルを用いたものです。


▼役員退職金額(税金控除額)

(左右にスクロールできます)

在任年数/役位
社長専務常務平取締役
5年6,975万円(1,075万円)
3,335万円(363万円)2,340万円(199万円)1,580万円(95万円)
7年9,765万円(1,654万円)4,669万円(598万円)3,276万円(340万円)2,212万円(165万円)
9年12,555万円(2,264万円)6,003万円(849万円)4,212万円(490万円)2,844万円(256万円)
11年15,345万円(2,874万円)7,337万円(1,099万円)5,148万円(662万円)3,476万円(347万円)

※1万円以下は切り捨て


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<シミュレーション数値の算出方法>

役員退職金で利用できる3つの税制優遇とは


以下では、役員退職金で利用できる3つの税制優遇について解説します。優遇制度には「退職所得控除」「1/2課税」「所得税の分離課税」があります。


役員退職金で活用できる税制優遇の計算は複雑ですが、退職金の税制優遇を活用すれば、課税額が大幅に減額できます。


たとえば、25年間勤続した役員が1億円の退職金を受け取るとき、「退職所得控除」「1/2課税」を利用しないと4,020万円が課税され、実質受取金額は5,980万円ですが、税制優遇を活用すると課税分の1,955万円が引かれ、実質受取金額は8,045万円となります。

退職所得控除の活用

役員退職金は退職所得控除で基礎的な非課税枠を活用できます。


▼退職所得控除額の計算方法

勤続年数退職所得控除額の計算方法
20年まで40万円 × 勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
21年以降70万円 × 勤続年数


たとえば、25年勤続した役員が退職した場合、「(40万円×就任から20年間=800万円)+(70万円×5年間=350万円)=1,150万円」まで税金がかかりません。

1/2課税の活用

退職金から退職所得控除を引いた半額が非課税になります。


▼ 1/2課税の計算方法

退職金額ー退職所得控除額×1/2

たとえば、25年勤続した役員が1億円の退職金を受け取った場合、1/2課税の「(1億円ー1,150万円)×1/2=4,425万円」に退職所得控除の「1,150万円」を加算した、合計「5,575万円」が非課税になります。

所得税の分離課税の活用

退職金を受け取っても、退職した年度の役員報酬と退職金は合算されない「所得税の分離課税」を活用できるので、役員報酬にかかる所得税率は上がりません。


▼所得税率と控除額の早見表

課税退職所得金額税率 控除額
 1,000円~194.9万円5%0円
195万円~329.9万円10%9.75万円
330万円~694.9万円20%42.75万円
695万円~899.9万円23%63.6万円 
900万円~1,799.9万円 33%153.6万円
1,800万円~3,999.9万円40%279.6万円
4,000万円以上45%479.6万円  


たとえば、25年勤続した役員が1億円の退職金を受け取った場合、所得税と住民税が課税されるのは退職金のうち4,425万円です。


▼所得税の計算方法

所得税=課税される退職金×所得税率ー税額控除



▼住民税の計算方法

住民税=課税される退職金×10%


課税されるの退職金から所得税と住民税を引くと「1億円ー1,955万円=8,045万円」となり、実質の退職金受取金額は8,045万円です。


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役員退職金を損金算入してより節税する方法とは


以下では、役員退職金を損金算入して、より節税する方法を解説します。

役員退職金を損金算入するには、株式総会の決議のあと、会社の資金と税務上の損金算入の適正水準をもとに役員退職金額を決定します。

多額の役員退職金を預金でまかなう際の決算対策と税金対策を兼ねて、日ごろから法人契約の生命保険で役員退職金を積み立ててます。積み立てた分の支払い保険料の一部もしくは全額を損金算入することによって、赤字を回避し一時的な課税繰り延べが可能です。

役員退職金の上限額を把握する

役員退職金には上限額があります。上限額を超えると適正水準から逸脱していると判断され、税務上での損金算入ができなくなる場合があります。

役員退職金は「税務上の損金算入」と「会社の資金繰り」の2つの観点から上限額を設定する必要があります。

税務上の損金算入の観点では、功績倍率の値が極端に大きい場合、支払った役員退職金が役員賞与扱いされるリスクがあります。役員退職金の計算をする際に一般的に用いられる功績倍率は、国が示した「社長3.0、専務2.4、常務2.2、平取締役1.8、監査役1.6」を基準に「最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率」の計算式で算出します。

会社の資金繰りの観点では、役員退職金が会社の預金で準備できるのか、それとも銀行などの金融機関から借り入れなければならないのか、財政をもとに判断します。役員退職金が不当に減額されていたり、支払えないとなると、労働トラブルとして裁判に発展したりするケースもあるので注意が必要です。

役員退職金は役員報酬の増額に比べて同じ金額でも税制優遇ができるため、役員に人気の受取方法ですが、その反面、事業継承における資金繰りの側面も考慮して、退職金額を調整しなければなりません。

役員退職金を損金算入するために必要な手順

以下では、役員退職金を損金算入するために必要な手順を解説します。


役員退職金を損金算入するためには、定款で定めるかもしくは株主総会の決議が必要です。役員退職慰労金規程がある企業では、取締役会に支給金額および支給方法を一任するのが一般的です。役員退職慰労金規程がない場合は、退任する役員ごとに金額を決定します。


役員退職が決まったら、役員退職慰労金規程もしくは功績倍率などを用いて退職金の支給額を決定したあと、「いつまでにどの支払い方式で支払うか」を決定します。


退職金を役員に支給したのちに、支給した日の翌月10日までに源泉所得税・住民税を納付します。さらに、役員退職後1ヶ月以内に退職所得の源泉徴収票の交付と提出が必要です。

法人生命保険の活用で一時的な課税繰り延べができる

役員退職金を準備する際に、解約返戻金がある法人契約の生命保険を活用することで、退職金積立金の一時的な課税繰り延べができます。


会社の預金を退職金として積み立てておくと、資金流動性が高く計画的に多額の資金を準備できないこともあります。しかし、生命保険に積み立てることで役員の死亡などに備えながら退職金を準備できます。


法人契約の生命保険は一部もしくは全額損金算入できるので、保険料支払い時には一時的な課税繰り延べとして決算対策に役立ちます。


しかし、実際に解約返戻金を利用して役員に退職金を支払う際は課税対象なので、あくまで一時的な課税繰り延べである点に注意です。


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役員退職金の支払いを生命保険で用意する企業が多い理由


以下では、役員退職金の支払いを生命保険で用意する企業が多い理由を解説します。

法人向け生命保険は預金で役員退職金を準備する方法に比べて、損金算入やその他の事業リスク対策の観点で利点が多いことが特徴です。

赤字決算にならずに多額の資金を用意できる

役員退職金の支払いを法人契約の生命保険で準備することで、赤字決算にならずに多額の資金を用意できます。


たとえば、年に1,000万円程度の営業利益を出している会社が、2,500万円の退職金を一括で支払う場合、その年度の赤字は1,500万円です。株主に配当金を支払う必要があるため赤字決算にできない場合、生命保険で準備すると以下のような対策がとれます。


<法人契約の保険加入例>

保険料:年間200万円

損金割合:30%

10年後の累計保険料:2,000万円

10年後の解約返戻金:1,900万円(解約返戻率:95%)


年間200万円の保険料を30%損金にすると年940万円(1,000万円 - 60万円)の営業利益となり、退職金が支払われる10年後は営業利益年間1,000万円に解約返戻金1,900万円がプラスされ、営業利益と保険解約による雑収入の合計は2,900万円となります。


ここから2,500万円の役員退職金を支払っても、その年度の決算では赤字になりません。

解約返戻金を事業資金に利用できる

役員退職金の準備を目的として生命保険の積み立てをしていても、経営に万一があったときは、保険の解約返戻金や契約者貸付を、事業資金などの用途に転用できます。


役員退職金の積み立てを目的として法人契約の生命保険に加入しても、その解約返戻金や契約者貸付の用途は、役員退職金の補充に限定されません。


つまり、役員退職金積立途中に貸倒れや営業損失などが起きた場合、資金の補てんとして解約返戻金や契約者貸付を活用できます。


また、解約返戻金受取時の損金算入割合は最高解約返戻率と支払期間によって異なるため、受取解約返戻金に対して支払う税金がいくらになるかは都度確認が必要です。




解約返戻金の税金について

福利厚生として同時に活用できる

法人契約の生命保険で役員退職金の積み立てをするかたわら、生命保険という金融商品の特徴を利用して福利厚生としても活用できます。


役員退職金の準備として加入される生命保険は「長期平準定期保険」「逓増定期保険(ていぞうていきほけん)」「終身保険」が一般的です。


法人契約の生命保険は積立制度を利用して10年後、20年後に多額の解約返戻金を受け取れるだけでなく、死亡保険金や高度障害保険金など生命保険としての側面があります。


保険商品によって福利厚生として活用できる保障内容が異なるため、加入前に損金算入割合にかかる税金と合わせて、自社の方向性に合っているか確認が必要です。


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備えるべき事業リスクと対策が無料で簡単にわかる方法

以下では、自社の備えるべき事業リスクと対策が無料で簡単にわかる方法をご紹介します。 

退職金の税制優遇を活用すれば、課税額が大幅に減額できることから、役員によって役員退職金が高額に設定されることが増えます。会社側は多額の役員退職金を準備できず、役員との間に退職金トラブルが起きるケースが増加しています。

労働トラブルのなかでも残業代と退職金の問題が9割と言われており、役員退職金の減額や未払いは裁判に発展するケースもあります。自社は労働トラブルに備えた健康経営ができているか確認が必要ですが、実際に労働トラブル対策ができている会社は多くありません。

上記のようなリスクへ対応するには、生命保険を活用すると、万が一へのリスク準備が可能です。しかし、事業形態や事業フェーズによって最適な保険は異なるので、独断で判断するのは困難です。

したがって、何度でも無料でプロのファイナンシャルプランナーへ相談できるマネーキャリアの利用が必須です。

マネーキャリアでは将来の事業リスクに対し、自社の状況を総合的にヒアリングをしたうえで、法人保険の提案を中心に、どのようにリスクに備えるべきかの提案が受けられます。

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役員退職金の支払いにかかる税金と計算方法のまとめ


ここまで、役員退職金の支払いにかかる税金と計算方法、備えるべき事業リスクと対策が無料で簡単にわかる方法までを紹介しました。

役員退職金は勤続年数が5年以上であれば「退職所得の金額= (退職した際に受け取った収入総額-退職所得控除額) ×1/2」の計算式を適用して大幅な税制優遇が受けられました。

今日の労働トラブルの9割は残業手当と退職金の減額・未払いと言われているなか、多額の役員退職金を準備するには生命保険の活用が最適です。支払保険料の一部を損金算入し積み立てることで、赤字決算や退職金の未払いのない健康経営につながります。

事業リスク対策のために生命保険に加入する際には、マネーキャリアのような無料で何度でも相談できるサービスを活用したリスクヘッジが必要です。

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