保険を一元管理し請求機会を逃さない「保険簿」の仕組みとはのサムネイル画像

今回は、株式会社IB 代表取締役CEO 井藤健太 氏に、契約している保険を一覧で見れる保険管理アプリの「保険簿」と、顧客とのつながりをより簡単に管理できる「保険簿connect」について、マネーキャリア編集部が独自インタビューを行いました。

この記事の目次

株式会社IBが展開する保険簿や保険簿connectとは

保険簿とは


保険簿のアイキャッチ画像


株式会社IBが提供する「保険簿」は、複数の保険を一元管理し、請求漏れを防ぐことを目的とした「無料のスマートフォンアプリ」です。


ユーザーは保険証券の画像をアップロードするだけで、加入中の保険内容が自動で整理・可視化され、一覧で確認できるようになります。さらに、事故や病気などの事象を選択すると、該当する可能性のある保険を自動で抽出し、請求機会を逃さない仕組みが特徴です。


また、保障(補償)内容のマップ化や見直しタイミングの通知、家族間での情報共有などにも対応しており、日常的な管理から万一の際の対応までをサポートします。


保険販売を行わない中立的な立場で提供されている点も、利用者にとって安心できるポイントです。


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保険簿connectとは


保険簿connectの画像


株式会社IBが提供する「保険簿connect」は、保険代理店や募集人向けに開発された顧客フォロー支援ツールです。


保険管理アプリ「保険簿」で培った契約情報の可視化や整理のノウハウを活かし、顧客とのコミュニケーションをデジタル上で一元化できる点が特徴です。これにより、必要な情報は適切なタイミングで届けつつ、過度な連絡を減らすことで、顧客との関係性の質を高めることを目指しています。


また、個人・法人や生命保険・損害保険を横断した契約情報の管理・可視化にも対応しており、顧客ごとの状況に応じたきめ細かなフォローを実現します。さらに、アプリ連携による情報共有や一斉配信機能などを通じて、継続的な接点づくりと業務効率化を両立できる点も特徴です。


従来の属人的なアフターフォローを仕組み化し、保険募集人と顧客の関係構築を中長期的に支援するサービスとなります。


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株式会社IB 井藤氏にインタビュー


株式会社IBのインタビュー画像1

1. 保険簿が目指している、解決すべき社会課題とは何でしょうか?

一番は保険の請求漏れをなくすことを目指しているサービスです。


保険のデジタル管理を通じて家族と共有する仕組みを思いついたきっかけとしては、私が大学生のときに保険の研究をしているなか、東日本大震災で地元関西から現地にボランティアに行ったことがあります。


そこで、津波で流されている家を見たときに、


  • 手元に保険証券がない
  • 本人が亡くなっていたり怪我していたりすると、代わりにご家族が請求するのが難しい


と感じました。また、私自身としても親が入っている保険がわからなかったので、「これはもしかしたら同じ状況の人も多いのではないか」というところから、請求漏れという課題を着想し始めました。


社会人になってからは保険業界の営業としてキャリアをスタートさせまして、上記のような「請求漏れ」という仮説を持ちつつ、さまざまな方に話を聞く中で、多くの方で保険の請求漏れが発生している、もしくは予備軍であることがわかりました。


それが少額であったり経済的なインパクトがないような損害だったりであれば良いのですが、高額であったり、生命を左右するような請求漏れであったりすることも多々あったのです。


たとえば、死亡保険は「亡くなったときに保険金が支払われる保険」という認識を持つ方が多いのですが、そこには無料の特約として「リビングニーズ特約」というものがあります。


これは、仮に余命半年と診断されたとき、高度障害の状態になったときに前もって保険金を受け取れる、亡くなる以前に受け取れる仕組みです。


このような仕組みに気づいていれば、一番大変なとき、たとえば介護が必要だとか、余命が限られている一番大変なときに、経済的に助かるチャンスがあるにも関わらず、それを知らないことによって、亡くなってから気づくケースもあります。


人生の最後の質や、残される家族の負担も大きく左右するような問題であることを踏まえると、上記は非常に重要な課題であると考えています。


また、日本はそもそも災害が多い国ですから、災害が発生した際に受けられるはずだった支援を受けられず、大きな負担になってしまう家庭もございますので、このような社会課題にもアプローチしたいと考えています。


2. 保険の請求漏れは実際の生活シーンのどのような場面で起こりやすいと思われますか?

わかりやすい事例でいうと、例えば家で家財と家具を模様替えしているときに、不意に転んで家財を壊してしまった場合、実は火災保険で支払われるような「破損・汚損等補償特約 」という補償があります。


しかし、この特約を知らずに自腹で修理したり買い替えたりされている方も多くいらっしゃるので、これが請求漏れとしては多いケースかなと思います。


生命保険ですと、たとえば生検中にポリープの検査をしている際に、そのままポリープの切除も行って、よく領収書を見てみると手術に点数が入っているケースがあります。


この場合でも医療保険の手術給付金が支払われるのですが、あまりにライトな治療なので気づけなかった、というケースもあります。


3. 保険簿では保険情報をどのように登録・管理できるのでしょうか?

基本的な流れは、ご自宅にある紙の保険証券を保険簿内でカメラを立ち上げて撮影いただくと、自動でデータ化をします。


一方、データ化について、ただテキストで文字起こしをするだけではなくて、生成AIで情報を読み取りながら、当社の方で全ての保険会社の商品特約・特則・保障(補償)に対応したマスターを保有しているので、構造的にデータ化をすることができます。


とはいえ、AIも精度が100%ではないので、弊社の専門スタッフがダブルチェック、トリプルチェックをしてデータ化を完了する仕組みとなっています。


もちろん、Webの電子証券もPDFのアップロードが非常に簡単にできたり、クレジットカードの付帯保険はクレジットカードの名前を選択していただければデータ化が完了します。 保険の対象としては生命保険、損害保険だけではなく、共済や少額短期保険なども網羅しております。


他にも、証券だけではなく年に1度ご自宅に届くような「ご契約の確認書」「団体保険の加入者証」のような書類でもデータ化ができます。


4. 家族との共有機能が特徴ですが、どのような場面で特に役立ちますか?

これは保険に加入した際には、ご家族同士で必ず行ってほしいことになります。


上記の通り、保険を使うタイミングは、そもそも亡くなってしまった、病気や怪我をした、事故に遭ったなど「自分が請求を行える状況ではないこと」がほとんどなので、自分自身が元気なときに保険金を請求する機会はあまりありません。


となると、代わりにご家族が請求するわけですが、そのご家族が少なくとも保険会社に連絡する必要がある中、家族の誰がどこの保険会社の何の保険に入っているかについて、おそらくわからない方も多いのではと思います。


したがって、元気なうちに保険に入ったのであれば、あらかじめ家族と共有しておく必要があります。


とはいえ、それを一件一件共有するとなると大変なので、保険簿を使って共有している家族に新しく入った保険や、損保の更新をしたなどの情報も、自分の保険簿で更新登録をしておけば、リアルタイムに家族と共有できます。


そのため、いざというときにもスムーズに、家族が困らずに保険金を請求できるといった仕組みとなっています。


5. 保険簿は全ての保険会社の契約に対応していますが、対応範囲拡大の方針や難しさはありますか?

弊社は募集関連行為(保険の勧誘や契約成立そのものではなく、見込み客の発掘・情報提供など「保険募集(販売)」を補佐する付随的な行為)をしていないので、ユーザーの方にとって役立つ機能の実装などはスピーディにできる環境ではあります。


ユーザーの方も、保険簿にデータを登録するだけのシンプルな使い勝手なので、そこの一定の線引きはしております。


また、保険簿のアプリ内には「補償マップ」という機能がございます。


補償マップの画像


こちらは自分と家族の保険がどのようなリスクに備えられているかが、一目でわかるマップになるのですが、こちらも生命保険、損害保険、共済、少額短期保険の共通項をまとめています。


今後としても、アプリ内のユーザーの動きなどをウォッチしつつ、その動きにあった導線設計などは随時アップデートしていく予定であり、組織体制としても整っているので、ここが弊社のわかりやすいサービスの根底にあるのではと考えております。 


6. 保険の請求可能性の診断機能について詳しく教えてください。

例えば病気になった、物が壊れたなどの事態が発生した場合に、診断機能の事案をタップしてもらうと、請求できる可能性がある保険を自動でピックアップする機能となっています。


具体例ですと、「他人に怪我をさせられた」をタップしていただくと、医療保険とか傷害保険のピックアップももちろんされるのですが、それに加えて例えば火災保険がピックアップされることもあります。


なぜかというと、怪我をさせられたということは、相手方と交渉するときに「弁護士特約」が使えるかもしれないからであり、その弁護士特約が火災保険に付いていることがあります。


上記の一例のように「発生した事象に対して、意外な保険の特約・特則が使える」ケースもあるので、請求できる可能性について漏れなくアクションを取ることができる機能です。


7. ユーザーに知ってほしい保険簿のメリットは何でしょうか?


株式会社IB 井藤氏のインタビュー画像2

特に若年層の方に多いのですが、「保険に加入する=生命保険」のように、イメージしやすい保険への加入の認識があるようでして、実際には何かしらの保険に入っているケースが多くあると思っています。


例えば、


  • 一人暮らしをしているので、火災保険に加入している
  • クレジットカードに付帯保険がついている
  • 車を購入した際に、自賠責保険、自動車保険に加入している
  • 会社に入社した際に加入する団体保険 などが挙げられます。


意外と知らない保険が多くあるので、それも含めて保険簿では登録できるようになっているのはもちろんのこと、各種保険の登録のし忘れ、ご家族で加入している保険の登録のし忘れなどもレコメンドをする設計になっております。


そのため、保険簿を使うことによって、実は気づいていなかった保険の存在に気づけるうえに、その保険の活用タイミングもわかる点が大きなメリットであると言えます。 


8. 「保険金を請求する」というアクションについて、どのような取り組みを進めていますか?

10年ほど前から保険・金融業界全般にて「顧客本位の業務運営」が言われておりまして、いわゆる「顧客に価値を提供するために できることを最大限やっているか?という問いに対して説明責任を果たす」というのが顧客本位の業務運営の原則となります。


そこで、保険における顧客本位の業務運営にて提供できる価値の本質は何かというと、「保険金を漏れなく支払うこと」になるんですよね。


どんなに良い商品を作り、良い販売、良いアフターフォローをしたとしても保険金を支払う仕組みがなければ意味がないと言えます。


その観点でいうと、保険会社や保険代理店がいくら頑張ったとしても、顧客側が「保険金の請求」というアクションを起こさなければならないですし、そのアクションがなければ保険会社も気づき得ないので、保険の価値が完結しません。


そのため、我々含めた保険業界として「保険金の請求漏れを防ぐサービス」を提供していこうとしているのが昨今の動きでもあります。


9. 「保険簿connect」について、本サービスの狙いを教えてください。

保険簿connectが解決していきたい課題としては、保険加入者側の課題として「半分以上の保険加入者が保険相談を諦めた経験がある」というような結果が当社のアンケートでわかっています。


なぜ諦めているかというと、


  • いざという時に一旦信頼して相談した担当者の連絡先がわからなくなった(LINEや名刺が埋もれて)
  • 結婚した、子どもが生まれたなどのタイミングにおいて、どういう切り口で何を話して相談すればいいのかわからない
  • 生命保険の説明をしてくれた担当者に、火災保険や資産運用の相談をして良いのかわからない


という背景があります。


これは加入者にとっても代理店側にとっても機会損失なので、この損失を解決していくのが保険簿connectの目指しているところとなります。


機能としては、シンプルに顧客に保険簿を案内して、SNSのような形でQRコードで繋がってもらっていると、加入している保険情報を管理している保険簿アプリの中に、担当者の連絡先が常時表示されるようになります。


そして、そこで「どんな相談が可能なのか」のような意思表示とかができるので、顧客が安心して相談しやすいような機能があります。


今後もさまざまな機能を追加していく予定ではあるのですが、代理店側への顧客からの相談が発生しやすいような導線設計も整えています。


また、今の保険加入状況を正確に共有した上で相談しなければ、提案においても過不足が発生し、損失が発生する可能性があるので、適切な提案をしたり受けたりすることができるようにする共有機能も追加予定となっております。


とはいえ、加入している内容や個人情報が誰でも見ることができてしまう、といった設計にはせず、共有いただく場合にも慎重な同意プロセスを踏む構築をしているので、第一に顧客の安心を優先した設計にしております。


10. 「ほけんぼ探偵事務所」「保険の雑学◯×クイズ」はどのようなコンテンツなのでしょうか。

弊社では、「ほけんぼ探偵事務所」と「保険の雑学◯×クイズ」という2つのコンテンツがございます。


<ほけんぼ探偵事務所>

保険簿探偵事務所


<保険の雑学◯×クイズ>

保険の雑学まるばつクイズ


まず前者に関しては、定期的にゲームをしていただくことによって簡単に請求漏れの可能性を発見できまして、画面上に出てきた選択肢を押していただくだけで、請求できる可能性がある保険や請求漏れが多い事例が楽しく簡単にわかるコンテンツとなっております。


後者に関しては、その名の通り、保険に関する雑学になりまして、保険金をもらい損ねてしまうような事例からピックアップした保険に関する雑学を5つピックアップしたコンテンツとなってございます。


もちろん、いずれも無料でゲームができるので、ぜひ遊んでいただければと思います。


ちなみに「ほけんぼ探偵事務所」の着想背景としましては2つありまして、1つは請求漏れを防ぐという着想からさまざまな方にヒアリングをした中で、7割以上の人に「保険の請求漏れ」があることがわかりました。そして、この状況を再現できないかと思い、体系化したのが「ほけんぼ探偵事務所」になります。


2つ目は、代理店の方がアフターフォローのメールや訪問のタイミングでこのゲームを顧客に見せて一緒にゲームをしていただくことで、代理店の方が聞きづらい質問もゲームを通して隠れた課題を引き出して欲しく、ぜひ親身にフォローをしてほしいと思っています。


11. 今後、保険簿や貴社が実現したい未来像を教えてください。

人生には、ご家族や自分自身が病気になってしまった、家族が亡くなった、災害とか事故に遭ったといったインシデント、あとは引っ越しや結婚というような、重要な生活イベントが保険の手続きや請求と関連してくるライフイベントになってきます。


とはいえ、災害とかご家族が亡くなったというような心身ともに辛いタイミング、結婚や子どもが生まれたという喜ばしいタイミングに、煩雑な手続きや調べ物が発生することが、人生においてもったいないと思っております。


それに加えて、本来受けられるはずの保障(補償)を受けられないというのは、明確な損失だという思いもあります。


もちろん保険だけではなく公的保障や補助金、住所変更などの手続きなどもそのタイミングには加わってくる中でも、受けられる便益の最大化と、煩雑な手続きの利便性向上を図りながら、保険簿の「請求漏れを防ぐ仕組み」を通して、悲しむときに悲しむことができて、喜ぶときに喜ぶことができる、そんな社会を作っていきたいと思っています。


株式会社IB 井藤氏のプロフィール

<経歴>

1989年生まれ/兵庫県尼崎市出身/関西学院大学商学部卒 保険乗合代理店、保険会社、SI企業を経て2018年10月に株式会社IBを創業


<創業経緯>

大学在籍時に保険のゼミに所属。2011年(大学3年時)、東日本大震災後に現地へボランティアに行き、「家が倒壊して保険証券が手元にない」「本人が亡くなったりケガをしたりしている」という場合に、保険金を請求する術がないという課題に気づく。


その後「加入保険の電子管理と家族共有」「保険会社・行政・医療システムとの連携で手続きの自動化」を実現するソリューション「保険簿」を卒論執筆時に構想。 当時は「国がやるべきこと」と考えていたが、2015年頃の金融庁の発信から「請求もれを防ぐ取り組みには、正解もゴールもなく、事業者による創意工夫が際限なく求められ続ける」つまり「創意工夫のベストプラクティス競争が必要だから民間がやるべき領域」だと確信。


一方で「すべての保険事業者と協力できる中立性×フレキシブルな開発」を満たす組織がないこと、仕組み創りに必要な全領域(生損保両方の商品・業界構造・現場、ITなど)に詳しい人が少ないことから、自分の役割だと決意。 1年間システムエンジニアを経験し創業に至る。