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目次を閉じる終身保険への加入は必要ある?
死亡保険(終身保険)に加入するべきかどうかは、個人の価値観や必要性に基づいて異なります。
しかし、加入の有無とは関係なく、死亡保険に加入するときの「判断基準」は、情報として理解しておくことが大切です。生命保険への加入を検討するときは、以下の「3つの疑問」を自らに投げかけて考えてみましょう。
- なぜ死亡保険は存在しているのか
- 自分は何のために死亡保険を必要としているのか
- ほかに準備する方法はないのか
生命保険加入率
引用:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度死亡保険の加入率(%) | 男性 | 女性 |
---|---|---|
全体 | 60.4 | 60.2 |
18~19歳 | 10.3 | 8.8 |
20代 | 24.7 | 36.7 |
30代 | 65.5 | 62.0 |
40代 | 70.4 | 68.2 |
50代 | 70.1 | 67.7 |
60代 | 69.0 | 65.5 |
70代 | 55.3 | 51.5 |
終身保険への加入の必要性が高い人
子どもがいる家庭で「家計の大黒柱」となっている方は、死亡保険の必要性が高いと言えます。
「万が一のことが起きたとき」「もしも生命保険で死亡保障を準備していなかった場合」、公的保障などだけで遺族は生活をしなければなりません。
しかし、遺された家族にとって必要となるのは、以下のような費用を必要としています。
- 家族が生きていくための生活費
- 子どもの教育資金
- 家族の住居確保の費用
- 葬祭費
これらは、子育て世帯にとって最低限確保しておきたい費用であり、家庭によって金額は異なります。
たとえば、万が一の公的保障として「遺族年金」があります。
死亡時に厚生年金に加入しているひとは、遺族厚生年金が受け取れますが、受け取れる金額は「老齢厚生年金の報酬比例部分」に対して約4分の3です。
報酬比例部分とは、厚生年金を受け取る際に、計算の基礎となる部分のことで、厚生年金に加入している期間や、これまでに支払われた報酬額(給与)が影響します。
2003年3月までと、同年4月以降では、計算式が異なっているので注意が必要です。
2003年3月まで:平均標準報酬月額×(7.125÷1,000)×2003年3月までの加入月数 2003年4月以降:平均標準報酬月額×(5.481÷1,000)×2003年4月以降の加入月数
なお、国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、平均年収は457万6,000円です。
この金額をもとに、2003年4月から21年間、厚生年金に加入していたと仮定して比例報酬部分を計算すると、年間約40万円の遺族厚生年金が支払われます。
また、遺族基礎年金は、2024年4月現在、以下のとおりです。
1956年4月2日生まれ以降の配偶者:816,000円
子の加算:2人目まで1人あたり234,800円、3人目以降は1人あたり78,300円
参考:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
上記の各計算をもとに、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給額を計算すると、子どもの年齢によって、以下のように受給できます。
子どもが18歳になった年度末(3月末)までは、年間約145万円
子どもが18歳になった翌年度(4月)からは、年間約40万円
しかし、実際これらの受給額だけでは、十分な生活費や教育費を確保することができません。
学習費総額 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
幼稚園 | 147,000円 | 235,000円 |
小学校 | 231,000円 | 1,228,000円 |
中学校 | 402,000円 | 1,238,000円 |
高等学校(全日制) | 411,000円 | 751,000円 |
子どもの将来性を考え、進路の選択肢を幅広くするなら、公的保障に加え、自分自身で万が一の保障を準備しておく必要があります。
万が一のことがあるかは、誰にもわかりません。
「これから貯蓄していくから大丈夫だろう」
と考えていても、もしも明日、病気やケガで働けなくまってしまうと、貯蓄どころか、たちまち生活にも困ってしまいます。
病気やケガをしてしまうと、健康状態が問われる生命保険に加入できない、もしくは割高な保険料を支払って加入しなければならないリスクがあるのです。このようなリスクを回避するため、死亡保険は存在しています。
終身保険への加入の必要性が低い人
万が一のことがあっても、「遺族が困らない人」は、死亡保険(終身保険)に加入する必要性は低いと言えます。
- 独身で、遺族の生活を心配する必要がない人
- すでに預貯金で必要な保障を準備できている人
- 子どもがおらず、配偶者が働けば生計が立てられる人
- 葬祭費をすでに預貯金で準備できている人
ただし、銀行口座は死亡届が受理されるとともに凍結されてしまい、遺族がすぐに引き出すことはできません。
万が一のとき、葬祭費としてすぐに現金が必要です。そのため、死亡保険(終身保険)に加入し、スムーズな支払いができるよう準備しておくことが大切です。
死亡保険に対し、割安な保険料を求めるなら、終身保険よりも「定期保険」に加入した方が良いと言えるでしょう。
終身保険で死亡保障を準備すると、保険料が高いデメリットがあり、
そのほかにも以下のデメリットが存在します。
- 貯蓄性のある部分があるため、掛け捨て保険に比べて保険料が高い
- 死亡保障以外を付加すると、解約したときに支払った保険料は元本割れする
- 貯蓄性は高いが、現金化するためには解約が必要
こうしたデメリットは、以下のようなニーズに合わせにくくなってしまうので、注意しておきましょう。
- 掛け捨ての定期保険と積み立ての終身保険なら、終身保険が圧倒的に保険料が高いため、高額な保障を必要とする子育て世帯のニーズに適さない
- 死亡保険(終身保険)に掛け捨ての医療保障を付加すると、解約しても死亡保険(終身保険)部分に対する解約返戻金しかないため、元本割れを起こしてしまう
- 現金が必要になったとき、解約すれば死亡保険(終身保険)を解約すれば現金化できるが、解約すると死亡保険(終身保険)は消滅してしまう
子育てにお金を必要とする「子育て世帯」は、保険料が割安な定期保険の方が、必要とする死亡保障額を準備しやすくなります。
「定期保険」は掛け捨てではあるものの、必要な死亡保障額を手軽な保険料で準備できるメリットがあり、多くの子育て世帯はこのメリットを有効活用しています。
貯蓄性に優れた「終身保険」は、長期継続しなければ支払った保険料が解約返戻金を上回らず、短期で解約すると損をしてしまうので、しっかり検討しなければなりません。
終身保険の選び方
保障の必要性を感じて、死亡保険のパンフレットを目にしても、専門用語の多さで「意味がわからない」と感じる人は少なくありません。
そもそも、死亡保険には「終身保険」と「定期保険」があり、これらの詳しい内容は、ほとんど専門用語で書かれていることが一般的です。
「終身保険と定期保険のちがい」だけでも、以下のような内容が異なります。
- 保険商品の仕組み
- 保険料の支払期間
- 保障期間
- 保険料の単価
これらは保険商品に合わせて大きく異なり、加入を検討するならニーズに合わせて選ぶことが大切です。「勧められたから加入する」のではなく、自身が求める死亡保険に対し、終身保険のメリットが最大限に活かせるのかがポイントとなります。
終身保険のメリットが活かせない場合、他の方法を検討する方が良いケースもあります。
以下にあげるポイントをよく考えておきましょう。
- 終身保険のニーズを把握する
- 将来的に必要となるお金を考える
- 終身保険に加入する際の選択基準を明確にする
「死亡保険に加入しているから安心」と考えることは、危険です。実際、死亡保険に加入している人のなかには、「なぜこんな死亡保険に入ってしまっていたのだろう」と、後悔するケースもあります。反対に、「必要がないのに高い保険料を支払っていた」という誤認ケースも多々あります。それぞれ、詳しく解説するので、後悔を避けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
終身保険が求められているニーズを把握する
死亡保険(終身保険)に求められるニーズは、最大のメリットである「一生涯変わらない保険料」です。貯蓄性に優れている死亡保険(終身保険)なら、相続税対策に活かすことも可能です。
「なぜ死亡保険(終身保険)に加入しようとしているのか」を考えるとき、死亡保険(終身保険)が求められているニーズと、自分自身が求めるニーズが合致しているかを考えることが大切です。
- 万が一のとき、誰が困るのか
- 公的保障(遺族年金)では、必要な保障が不足しているのか
- 貯蓄や財産はどれくらい遺せるのか
- 終身保険を選択する目的
- 現状の財産に対し、どれくらい相続税を支払うことになるのか
死亡保険(終身保険)に曖昧な理由で加入すると、ニーズとかけ離れた死亡保険を準備してしまい、結果として必要とする保障に過不足が生じてしまいます。
また、死亡保険(終身保険)には、相続対策にも役立ちます。生命保険を含め、現金や資産などの財産を遺すと、原則としてすべて相続税の対象です。
しかし、死亡保険(終身保険)を利用すれば、「生命保険金の非課税枠」が適用され、死亡保険金は「500万円×相続人数」が非課税の対象となります。
死亡保険(終身保険)は、少しでも課税される相続額を少なくできるメリットがあり、結果として相続税の軽減に繋がります。
このようなことから、死亡保険に対して以下のようなニーズを持つ場合、終身保険の検討をおすすめします。
- 一生の保障として、万が一に備えておきたい
- 大きな保障は必要ないが、葬祭費は準備しておきたい
- 預貯金に対して、少しでも相続対策しておきたい
生命保険は、終身保険の特性と自分が死亡保険に求めるニーズが合致していることが、死亡保険(終身保険)の選び方のポイントとして覚えておきましょう。
支出や将来的に必要なお金を考える
日常生活では、「何に」「どれくらい」の費用を必要とするのかを明確にし、具体的な数字とともに優先順位を考える必要があります。
一般的に考えられる「日常生活の費用」には、以下のようなものがあるので、参考にしながら考えてみましょう。
- 現在の生活水準における生活費
- 子どもの養育費や教育費
- 住宅ローンや家賃
- 車などのローン
- ライフイベントに備えた貯蓄や投資額
遺された家族が必要とする「支出」を考え、優先順位を決めた準備が大切です。
たとえば、支出として削減しにくい項目に「住居費用」が考えられます。住宅ローンなら、団体信用生命保険によって万が一のときはローンの残額の支払いはなくなりますが、賃貸住宅の場合は毎月「家賃」が発生します。安い賃貸住宅に引っ越した場合でも「住居費用」の確保は必須です。
相続税の支払いによりマイホームを現金化したときも、住居費を確保する必要があるため、万が一のときには、どれくらい相続税が必要になるのかも、考えておく必要があります。
遺族の生活水準を保つためにも、必要とする支出額を把握し、必要保障額と死亡保険金の金額に大きな差が出ないように選ぶことが大切です。
終身保険の選択基準を明確にする
「なぜ死亡保険(終身保険)を選ぶのか」という点においても、選択基準を明確にしておくことが大切です。
生命保険に加入する際、「そもそも、なぜ生命保険に加入するのか」など、細かい目的を明確にしておかなければならず、終身保険も例外ではありません。
ニーズに合致していることが「自身の最適な終身保険」と言えるため、以下のような選択基準に基づいて、順番に考えていきましょう。
- 「なぜ」死亡保険(終身保険)に加入するのか
- 「どれくらい」保険金を準備すべきなのか
- 保障は「いつまで」必要なのか
- 保険に対して、「何歳まで」保険料を支払うのか
- 「解約した場合」は解約保険料として現金が必要なのか
人それぞれ死亡保険の選択基準は異なるため、周囲の人と同じ保障内容が良いとは限りません。
必要とする保障に対し、自分がどのようなニーズを重視しているのかは、人それぞれ異なります。
- 生活水準を守るなど、最低限の保障額はどれくらいか
- 一定期間だけなのか、それとも一生の保障にしたいのか
- 割安な保険料を重視するか、それとも保障額を重視するか
たとえば、子育て世帯なら、必要とする最低限の保障は「生活費+子どもの養育費+教育費」であると考えられます。
しかし、子どもの養育費や教育費は、一生涯ずっと備えておくものではありません。一定期間のみ必要とする保障であり、子どもが独立したのちは、葬祭費や配偶者の生活費に重点を置くことになります。つまり、子育て世帯においては、高額な保障を一生涯準備する必要はなく、一定期間のみに備える「定期保険」の方がニーズは高くなると言えるのです。
終身保険と定期保険では、大きなニーズの差が出るため、保険商品の特徴を理解しつつ検討することが大切であると考えられます。
そもそも終身保険とは?
生命保険には、さまざまな保険商品がありますが、なかでも貯蓄性に優れ「貯蓄型」と言われる死亡保険が終身保険です。
毎月支払う保険料の一部は、将来支払う死亡保険金の支払準備金として積み立てられるため、途中で解約した場合は解約返戻金が発生します。
一般的に死亡保険には
- 終身保険
- 定期保険
があり、ニーズに合わせて保険商品を選ぶことが大切です。ここでは、2つの死亡保険で悩んだとき、「どちらの保険商品がニーズに合っているのか」を確認できるよう、比較しながら紹介します。
定期保険との違い
終身保険と終身保険は、どちらも同じ死亡保険ですが、仕組みが異なります。間違った保険商品を選んでしまうと、将来後悔してしまうため、特徴を確認することが大切です。
以下は、終身保険と定期保険の比較表となっているので、ぜひ参考にしてください。
終身保険 | 定期保険 | |
---|---|---|
保険期間 | 一生涯 | 一定期間 |
保険料金 | 高い | 割安 |
解約返戻金 | ○ | × |
その他 | 保険料払込満了時に年金受け取りを選べる | 更新しなければ保障は消滅する |
おすすめな人 | ・葬儀費用を準備しておきたい人
・掛捨保険に抵抗がある人 ・保険に貯蓄性を求めている人 | ・一定期間、大きな死亡保障を準備したい人
・少しでも保険料を安くしたい人 ・死亡保障に他の保障を付加したい人 |
終身保険は、貯蓄性があり魅力的ですが、保険料が高いため大きな保障を準備するには、毎月高額な保険料を必要とします。
しかし、老後に備えて安い保険料で葬儀費用を準備する場合、終身保険はニーズに合致していると言えるでしょう。
子育て世代など大きな死亡保障を必要とする人は、老後に備えた終身保険とは別に、割安な保険料の定期保険に加入することがおすすめです。
一般的に、定期保険は一定期間ごとに更新を迎え、そのたびに保険料は更新時の年齢で再計算され、上がっていきます。子育て中は終身保険と定期保険、子育てが終われば終身保険と医療保険というように、ライフステージに合わせて、上手に保険商品を選びましょう
終身保険の種類を紹介
保険商品によって、特徴や保障期間が異なるため、自分にどのような死亡保険が必要かを考えるときには、注意深く確認することが大切です。
一覧表で6種類の死亡保険を比較し、最適な死亡保険を探してみましょう。
終身保険 | 低解約返戻金型終身保険 | 積立利率変動型終身保険 | 利率変動型積立終身保険 | 変額保険(終身型) | 外貨建て保険 | |
---|---|---|---|---|---|---|
加入条件 | 年齢
健康状態 性別 職業 | 年齢
健康状態 性別 職業 | 年齢
健康状態 性別 職業 | 年齢
健康状態 性別 職業 | 年齢
健康状態 性別 | 年齢
健康状態 性別 |
保険料金 | 割高 | 割安 | 割高 | 設定可能 | 割安 | 割安 |
*満期保険金 | × | × | × | × | × | × |
解約返戻金 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
おすすめな人 | ・葬祭費用を準備したい人
・相続対策をしたい人 ・貯蓄を目的とする人 | ・保険料払込満了まで継続できる人
・割安な終身保険を探している人 | ・為替リスクの知識がある人
・投資を目的としている人 | ・計画的に積み立てたい人
・保険商品の仕組みを理解している人 | ・運用リスクを理解している人
・資産形成を目指している人 | ・投資に興味がある人
・運用リスクを理解している人 ・資金に余裕がある人 |
6つの保険商品について、それぞれ詳しく解説するので、死亡保険を選ぶときの参考にしてください。
終身保険
死亡保険は、生涯にわたって死亡保障を準備できるという大きな特徴があります。
掛け捨て型ではないため、長期契約したあとに解約すると、解約返戻金を受け取れるため、貯蓄も兼ね備えた死亡保険です。
終身保険がおすすめな人は、以下のようなケースです。
- 葬儀費用を遺族に遺したい人
- 掛け捨て型の保険商品に抵抗がある人
- 相続対策をしたい人
以下に、終身保険の特徴を紹介します。
特徴 | ・保障と貯蓄を兼ね備えた死亡保険
・加入当時の保障は一生涯つづく ・更新はなく、保険料は一生涯変わらない |
---|---|
保険料金 | 掛け捨て保険(定期保険)に比べると割高 |
保険期間 | 一生涯 |
満期保険金 | × |
解約返戻金 | ○ |
終身保険は、万が一の保障に備えつつ、現金が必要となったときには、解約して現金化が可能です。
貯蓄性を備えているため、掛け捨て保険(定期保険)と比べると保険料は割高であり、高額な保障を準備するなら「定期保険」のほうが必要な保障額を準備しやすくなります。
終身保険の特徴は、以下のようにまとめて覚えておくことがおすすめです。
- メリット:貯蓄と万が一のリスクに対し、保険料が変わらず将来に備えられる
- デメリット:割高な保険料であるため、高額な死亡保険は準備しにくい
注意点として、貯蓄と保障のリスクに備えられる反面、現金が必要となって解約すると、死亡保険(終身保険)契約は消滅し、「万が一に備えられなくなる」ことが挙げられます。
そのような場面に直面したときは、「現金か死亡保障か」という究極の選択を迫られると考えられます。
解決策としておすすめなのは、死亡保険金額を減らして「一部解約」し、その解約部分にあたる解約返戻金を現金化する方法です。
前述したとおり、終身保険すべてを解約すると、以後の保障は消滅します。しかし、一部解約なら保障金額は減ってしまいますが、一生涯の保障を持ち続けることができ、解約返戻金として現金化することができるのです。
万が一に備えつつ、ライフイベントに備えた現金を準備できる死亡保険が「終身保険」の特徴です。
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、保険料の払込期間中の解約返戻金が、低く設定されている特徴があります。
終身保険に加入したい人のなかで、以下のような考えを持つ人には、低解約返戻金型終身保険がおすすめです。
- 終身保険の保険料が高く諦めている人
- 保険料払込期間が終わるまで継続できる人
- 割安な終身保険を探している人
以下に、低解約返戻金型終身保険の特徴を紹介します。
特徴 | ・保険料払込期間中は解約返戻金が少ない
・終身保険のなかでも保険料が割安 ・保険金額や保険料は一生涯変わらない |
---|---|
保険料金 | ・一般的な終身保険より割安
・定期保険より割高 |
保険期間 | 一生涯 |
満期保険金 | × |
解約返戻金 | ○ |
掛け捨て保険(定期保険)とはニーズが合わないけれど、終身保険は保険料が高いと考えたとき、低解約返戻金型終身保険なら、ニーズに合致する可能性があります。
低解約返戻金型終身保険のメリットとデメリットは、以下のように考えておくと良いでしょう。
【メリット】
- 死亡保障が一生涯つづく
- 保険料払込期間が終わると解約返戻金が期待できる
- 一般的な終身保険より保険料が安い
- 保険料は一生涯変わらない
【デメリット】
- 保険払込期間中に解約すると、解約返戻金が少なくなる
- 保障内容の見直しがしづらい
特に、途中で解約すると、解約保険料が支払った保険料を下回る「元本割れ」が起こるため、注意しておかなくてはなりません。
貯蓄へのリスクに備えて低解約返戻金型終身保険に加入すると、保険料の支払い期間は予測する解約返戻金を下回り、現金化できないどころか損をしてしまいます。
「一生涯の保障が欲しいが、一般的な終身保険は保険料が高い」このように考えている人には、おすすめな終身保険です。
積立利率変動型終身保険
積立利率変動型終身保険は、市場金利に応じて積立利率が定期的に見直しされています。
適用される利率によって死亡保険金や解約返戻金が増減する特徴があるので注意しておきましょう。
積立利率変動型終身保険は、以下のような人におすすめです。
- 為替リスクの知識がある人
- 市場の動きに興味がある人外貨建てに抵抗がない人
- 資産運用をしつつ、一生涯の保障を準備したい人
以下に、積立利率変動型終身保険の特徴を紹介します。
特徴 | ・市場金利に応じて積立利率が定期的に見直しされる
・積立利率が上がれば死亡保障や解約返戻金が増加する ・契約時に最低保証額が定められる |
---|---|
保険料金 | 加入時から一生涯変わらない |
保険期間 | 一生涯 |
満期保険金 | × |
解約返戻金 | ○ |
積立利率変動型終身保険は、市場金利の影響を受け、以下のような動きをします。
- 利率が上がる→死亡保険金や解約返戻金が増加
- 利率が下がる→死亡保険金や解約返戻金が減少
ただし、死亡保険は一定の保証が定められており、最低保障額を下回ることはありません。 積立利率変動型終身保険のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
【メリット】
- 保険料の一部を外貨建てで運用する
- 保険料は一生涯変わらない
- 最低保障額の死亡保険金が保証される
【デメリット】
- 一般的な終身保険より保険料が高め
- 為替リスクがある
運用によって為替リスクを伴う積立利率変動型終身保険は、投資に対するデメリットを理解しておくことが大切です。
投資としての期待を持っている人は積立利率変動型終身保険でも良いですが、確実な死亡保険や解約返戻金を求めているなら、一般的な終身保険を検討した方が良いと言えるでしょう。
利率変動型積立終身保険
アカウント型と呼ばれる利率変動型積立終身保険は、保険料の一部を積み立てることで、保険料払込期間満了後に「終身保険」にできる仕組みを持っています。
利率変動型積立終身保険がおすすめな人は、以下のようなケースです。
- 保険商品の仕組みを理解できている人
- 積立金を意識して保険料を検討できる人
- 計画的に積立をしたい人
以下に、利率変動型積立終身保険の特徴を紹介します。
特徴 | ・保険料の払込期間中は積立金が死亡保険金となる
・保険料払込間の満了後は、一生涯の死亡保障になる ・積立部分と掛け捨て部分が明確 |
---|---|
保険料金 | 積立額を自分で決められる |
保険期間 | 保険料払込期間が満了すると一生涯 |
満期保険金 | × |
解約返戻金 | ○ |
利率変動型積立終身保険には、積立金を途中で引き出したり一時金で投入したりできる魅力があります。
解約せずに現金を準備することができる反面、すべて引き出してしまうと、終身保険に移行する原資を失ってしまう恐れがあるので注意しておきましょう。
利率変動型積立終身保険は、以下のような特徴を覚えておくと安心です。
【メリット】
- 保険料払込期間後は終身保険に一生涯の保障を持てる
- 他の特約と組み合わせても、保険料すべてが掛け捨てにはならない
- 予算に合わせた積み立てが可能
- 大きな保障も確保しつつ終身保険も準備備できる
- 必要に応じて保障の見直しがしやすい
【デメリット】
- 定期保険と比べ保険料が割高
- 保険料払込期間満了後、積立金が少ない終身保険に移行できない
- 一般的に、上乗せした定期保険などは更新があり保険料が上がる
積立額を自分で決められる利率変動型積立終身保険は、保険料払込満了の時点で、保険会社が定めた金額を下回っている場合、終身保険に移行できなくなってしまいます。そのため、予算を反映できる一方で、確実な死亡保険金額を決められないデメリットがあります。
利率変動型積立終身保険は、保険商品の仕組みを理解し、自分自身で将来必要な保障を「設計」できる人に向いている終身保険だと言えるでしょう。
変額保険(終身型)
変額保険は、支払った保険料を株式や債権などで運用し、運用成果に応じて死亡保険金や解約返戻金が増減する仕組みです。
トラブルが多いと言われる終身保険ですが、為替の変動によるリスクを理解していれば、トラブルは回避できます。
変額保険がおすすめできるのは、以下のようなことに該当するケースです。
- 保障を準備しつつ資産形成をしたい人
- 資産は増やしたいけれど運用は任せたい人
- 運用リスクを理解している人
特徴 | ・死亡保険金は最低金額保証がある
・解約返戻金には最低保証がない ・運用により死亡保険金や解約返戻金に変動のリスクがある |
---|---|
保険料金 | 保険料は変わらない |
保険期間 | 一生涯または一定期間
※保険料の払込期間によって異なる |
満期保険金 | × |
解約返戻金 | ○ ※運用成果により増減 |
変額保険は、運用実績に応じて、以下のような変化が起こることが特徴です。
- 運用実績が上がる→死亡保険金や解約返戻金は増える
- 運用実績が下がる→保険金や返戻金は支払った保険料を下回る可能性がある
運用実績によって、積立金や払込保険料が変動するため、
以下のようなメリット・デメリットを理解していることが大切です。
【メリット】
- 一生涯保障が続く
- 運用の成果次第で受け取れる金額が増える
- 死亡保険金にのみ最低保証がある
【デメリット】
- 運用の成果次第で受け取れる金額が減る
- 解約すると保証額がなく元本割れのリスクがある
死亡保険金額については、最低保障額が設定されていますが、解約返戻金には最低保障はないので、注意しましょう。
変額保険でトラブルが相次いでしまう最大の理由が、運用実績に基づいた変額保険「独特の仕組み」です。
加入しようとする終身保険に変額保険を選ぶときは、メリットやデメリットを理解するだけでなく、保険商品の特徴をしっかり理解しておくことが重要だと言えます。
外貨建て保険
外貨建て保険は、死亡保障や解約返戻金を増やせる可能性を秘めた「投資型」の生命保険です。
米ドルや豪ドルなど、外貨の運用によって高い利率が期待できる一方、為替リスクという最大の特徴があります。
死亡保険として外貨建て保険を選ぶ場合、以下のような人におすすめです。
- 投資に興味がある人
- 資金に余裕がある人
- 高い利率で運用したい人
「変額保険」と同様、上記に当てはまらない人には、外貨建て保険はおすすめできません。 以下に、外貨建て保険の特徴をまとめているので、参考にしてください。
特徴 | ・円建ての保険より利率が高い ・為替リスクがある ・契約時手数料が必要なことがある ・保険金や解約返戻金は外貨で受け取る ・特約をつければ円で受け取り可能 |
---|---|
保険料金 | ・保険料は変わらない
・外貨で支払う |
保険期間 | 一生涯または一定期間
※保険料の払込期間によって異なる |
満期保険金 | × |
解約返戻金 | ○
※運用成果により増減 |
資産運用が可能な死亡保険ですが、死亡保険金や解約返礼金には、為替リスクが大きく影響するので注意しておきましょう。
死亡保険金や解約返戻金は、特約を付加していない場合、外貨で受け取ることが一般的です。 そのため、「運用実績は良かったのに、受取時の為替レートで損をした」というケースは少なくありません。
外貨建て保険に加入するときは、メリットだけでなく、デメリットもしっかり理解しておくことが求められます。
【メリット】
- 運用の成果次第では大きく資産が増やせる
- 円建ての保険より保険料が割安になるケースがある
- 分散投資ができる
【デメリット】
- 元本割れのリスクがある
- 為替リスクで受け取る金額が減ってしまうリスクがある
- 外貨を円に変えるときになど通貨交換に手数料がかかる
- 市場価格調整によって、受け取る金額が減るリスクがある
外貨建て保険は、投資であるため余剰金を利用した加入がおすすめです。
必要とする死亡保険金を、外貨建て保険一択で準備すると、運用実績に応じて必要な死亡保険金額を受け取れない可能性があります。
「為替リスク」や「市場価格調整」など、投資の世界では当たり前だと言われる専門用語にイメージが湧かない場合は、リスクの低い「円建て終身保険」を選ぶようにしましょう。