本記事では「持ち家がない人(老後を賃貸で暮らし続けた場合)の生涯住居コスト」を、公的統計データを使ってに試算してみました。
結論として、65歳以降の居住年数別に、全国平均家賃と持家(ローン完済後)のランニングコストを比較した結果、最大1,308万円の差が生じることが明らかになりました。
また、国民年金のみを受給している場合、全国平均の家賃(65,496円/月)が年金受給額(57,584円)を上回り、住居費だけで月7,912円の赤字になることも資産ができています。
※本データは、「持ち家がない人の老後」を検討する際の参考情報として、公的統計データを用いてAIが計算・推計したものです。個別の状況は異なるため、最終的な判断はFP等の専門家にご相談ください。
推計の背景と目的
日本では65歳以上の住宅所有率が高い一方、賃貸居住を続けるシニア世帯も一定数存在します。
そこで、「老後も賃貸で大丈夫なのか」という懸念がある中、感覚ではなく数値で判断できる情報が少ないことから、本試算を実施しています。
また、用いたデータは公的機関の統計に基づいており、計算式・前提条件は本ページ下部に明示しています。
老後の全国平均家賃と年金受給額の比較
65歳以降に賃貸で暮らす場合に基準となる「全国平均家賃」は、総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(民営借家・全国平均)によると、「65,496円/月」となります。
この家賃が年金受給額に占める割合を年金タイプ別に試算した結果は以下のとおりです。
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年金タイプ |
月額受給額 |
家賃が年金に占める割合 |
判定 |
|---|---|---|---|
|
厚生年金(男性平均) |
166,606円 |
39.3% |
余裕あり |
|
厚生年金(全体平均) |
146,429円 |
44.7% |
余裕あり |
|
厚生年金(女性平均) |
107,200円 |
61.1% |
やや厳しい |
|
国民年金(男性平均) |
59,965円 |
109.2% |
赤字 |
|
国民年金(全体平均) |
57,584円 |
113.7% |
赤字 |
|
国民年金(女性平均) |
55,777円 |
117.4% |
赤字 |
※ 全国平均家賃:65,496円(総務省「令和5年住宅・土地統計調査」民営借家)
※ 年金受給額:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(表23・令和5年度末)
※ 厚生年金額は老齢基礎年金を含む合計額
上記から、「国民年金のみの受給者は全国平均家賃を年金だけで賄えない」ことが数値からわかります。
また、自営業・フリーランスなど「厚生年金に加入していない国民年金受給者」の場合、全国平均家賃(65,496円/月)が月額年金(57,584円)を月7,912円上回る計算になります。
つまり、家賃だけで年金収入を超えてしまうので、食費・光熱費・医療費は別に、収入もしくは貯蓄から捻出しなければなりません。
65歳以降の生涯住居コスト差額シミュレーション
65歳時点でローン完済済みの持家がある場合と、賃貸に住み続ける場合の累計コストを、居住年数別に試算しました。
試算の前提
本試算で用いた前提条件は以下のとおりです。
- 賃貸:全国平均家賃「65,496円/月」を一定と仮定(インフレ・値上がり考慮なし)
- 持家(戸建):ローン完済後のランニングコスト「29,167円/月」(修繕費積立・固定資産税・火災保険を含む)
- 持家(マンション):ローン完済後のランニングコスト「42,554円/月」(管理費・修繕積立金・固定資産税・火災保険を含む)
- いずれも65歳時点でローン完済済みを前提とし、ローン返済中のコストは含まない
賃貸と持家の生涯住居コスト差額(65歳起点)
65歳起点における、「賃貸と持家の生涯住居コストの差額」は以下のとおりです。
|
居住年数(65歳起点) |
賃貸累計コスト |
持家・戸建累計 |
差額(賃貸-戸建) |
持家・マンション累計 |
差額(賃貸-マンション) |
|---|---|---|---|---|---|
|
10年(〜75歳) |
786万円 |
350万円 |
436万円 |
511万円 |
275万円 |
|
15年(〜80歳) |
1,179万円 |
525万円 |
654万円 |
766万円 |
413万円 |
|
20年(〜85歳・男性平均寿命相当) |
1,572万円 |
700万円 |
872万円 |
1,021万円 |
551万円 |
|
25年(〜90歳・女性平均寿命相当) |
1,965万円 |
875万円 |
1,090万円 |
1,277万円 |
688万円 |
|
30年(〜95歳・長寿シナリオ) |
2,358万円 |
1,050万円 |
1,308万円 |
1,532万円 |
826万円 |
※ 65歳時の平均余命:男性19.47年、女性24.38年(厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」)
65歳以降の平均的な生存期間(男性約20年・女性約25年)で試算すると、賃貸は持家(戸建)より872万〜1,090万円多くかかる計算になります。95歳まで生存した場合(30年)は差額が最大1,308万円に拡大します。
つまり、試算上では長生きするにつれて、持ち家やマンションで住み続ける方が支出は少なくなる、と言えるでしょう。
持家(ローン完済後)のランニングコスト内訳
本試算で使用した持家のランニングコストの内訳は以下のとおりです。
<戸建の場合:月額29,167円>
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費目 |
月額 |
算出根拠 |
|---|---|---|
|
修繕費積立 |
16,667円 |
10年で200万円(住宅業界一般目安)÷ 120ヶ月 |
|
固定資産税(月割) |
11,000円 |
全国平均的な戸建の固定資産税 約13万円/年 ÷ 12 |
|
火災保険(月割) |
1,500円 |
一般的な戸建火災保険 約1.8万円/年 ÷ 12 |
|
合計 |
29,167円 |
<マンションの場合:月額42,554円>
|
費目 |
月額 |
算出根拠 |
|---|---|---|
|
管理費 |
17,000円 |
国交省「令和5年度マンション総合調査」全国平均17,103円の近似値 |
|
修繕積立金 |
13,054円 |
同調査の全国平均実績値(令和5年度) |
|
固定資産税(月割) |
11,000円 |
マンション1戸あたり平均 約13万円/年 ÷ 12 |
|
火災保険(月割) |
1,500円 |
マンション専用部分のみ |
|
合計 |
42,554円 |
※マンションの管理費・修繕積立金の出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」
※修繕積立金のガイドライン:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
推計の前提条件と計算式
賃貸コストの計算式
- 賃貸累計コスト(円)= 65,496円 × 12ヶ月 × 居住年数
持家ランニングコストの計算式
- 持家(戸建)累計コスト(円)= 29,167円 × 12ヶ月 × 居住年数
- 持家(マンション)累計コスト(円)= 42,554円 × 12ヶ月 × 居住年数
差額の計算式
- 差額(円)= 賃貸累計コスト - 持家ランニング累計コスト
年金受給額比率の計算式
- 家賃/年金比率(%)= 全国平均月額家賃(65,496円)÷ 月額年金受給額 × 100
使用した公的データの出典一覧
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使用データ |
出典機関 |
調査名・年度 |
|---|---|---|
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全国平均家賃 65,496円/月 |
総務省 |
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年金受給額(厚生・国民)表23 |
厚生労働省 |
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管理費・修繕積立金 |
国土交通省 |
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マンション修繕積立金ガイドライン |
国土交通省 |
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65歳時平均余命(男19.47年・女24.38年) |
厚生労働省 |
留意事項
本試算を利用する際は以下の点にご注意ください。
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ローン返済中のコストは含みません。
本試算は「65歳時点でローン完済済み」を前提とした65歳以降のランニングコストのみを比較しています。持家購入から65歳までのローン返済額(元金・利子)・諸費用は含まれていません。取得コスト込みの生涯総コスト比較とは異なります。 -
全国平均値を使用しており地域差があります。
家賃65,496円は全国平均であり、東京都心では月10万円を超えるケースも多く、実際の差額はさらに拡大します。一方、地方都市では賃貸コストが大幅に低くなる場合もあります。 -
インフレ・家賃値上がりは考慮していません。
本試算では家賃・各種コストを固定して計算しています。インフレにより賃貸コストが上昇した場合、実際の差額はさらに大きくなる可能性があります。 -
高齢者の賃貸入居難易度を金銭換算していません。
80歳以上になると賃貸物件への入居審査が通りにくくなるリスクがあります。このリスクは本試算では金銭換算されていません。 -
持家の売却・相続価値を含みません。
持家は将来的に売却・相続できる資産として残る可能性があり、資産価値を含めると持家の経済的優位性が高くなる可能性がありますが、今回の試算では考慮していません。 -
戸建の修繕費積立は業界目安値です。
戸建の修繕費積立「10年200万円」は目安であり、公的統計に基づく数値ではありません。実際の修繕費は建物の状態・規模により異なります。
引用・転載について
本データはmoney-career.comが独自に試算・作成したオリジナルデータです。
メディア・ブログ等での引用・転載はご自由にお使いいただけますが、引用の際は以下の形式で出典を明記してください。
出典記載例:出典:マネーキャリア「持ち家がない老後の住居費シミュレーション」(https://money-career.com/article/9990)
※本データは公的統計データを元にAIが計算・推計したものです。推計値であり、実際の費用は個人の状況・居住地域・物件条件等により大きく異なります。個別の資産形成・住居選択の判断は、ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。




