
・農業者年金に加入しているけど、iDeCoも同時に使えるの?
・老後資金を効率よく準備するには、どちらを選ぶべき?
このような疑問を感じていませんか?
農業に従事する方にとって、老後の備えとして「農業者年金」は身近な制度ですが、近年では「iDeCo(個人型確定拠出年金)」も選択肢として注目されています。
どちらも老後資金を準備するための制度ですが、仕組みやメリットが異なるため、併用できるのか、どちらが自分に合っているのかを理解することが大切です。
本記事では、農業者年金とiDeCoの併用可否や、それぞれの特徴・メリットを比較しながら、どちらがどんな人に向いているのかをファイナンシャルプランナーの視点から詳しく解説します。農業に携わる方が安心して老後を迎えるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 農業者年金とiDeCoは併用できない!2つの制度を比較
- 両制度の併用は不可
- 農業者年金とiDeCoの違いを比較
- 農業者年金のメリット・デメリット
- iDeCoのメリット・デメリット
- 農業者年金とiDeCoどっちが向いている?知りたい人はFPに相談してみよう
- 農業者年金が向いている人の特徴
- 農業を長く続ける意志がある
- 補助を受けられる要件を満たしている
- 老後の安心感を重視したい
- iDeCoが向いている人の特徴
- 将来の職業が変化する可能性がある
- 自由度の高い運用を行いたい
- 節税メリットを最大限に活用したい
- 農業者年金とiDeCoどっちに加入するか迷う人はマネーキャリアに相談を
- 【まとめ】農業者年金とiDeCoは併用不可!ライフプランに合わせた選択を
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農業者年金とiDeCoは併用できない!2つの制度を比較
老後資金の準備手段として、「農業者年金」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」のどちらを選ぶべきか、迷っている農業従事者の方も多いのではないでしょうか。どちらも公的制度として老後の生活を支える仕組みですが、両制度の併用はできないため、選択には慎重な判断が求められます。
まずは、以下の4つの視点から、農業者年金とiDeCoの違いや、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
- 両制度の併用は不可
- 農業者年金とiDeCoの違いを比較
- 農業者年金のメリット・デメリット
- iDeCoのメリット・デメリット
制度の特徴を理解し、自分の働き方や将来設計に合った選択をするための参考にしてください。
両制度の併用は不可
農業者年金とiDeCoは、いずれも国民年金第1号被保険者を対象とした老後資金形成制度ですが、制度上の併用は認められていません。
農業者年金基金の公式サイトでも「iDeCoとは併用できない」と明記されており、どちらか一方を選択する必要があります。
両制度ともに税制優遇や老後の備えとして有効ですが、制度の目的や仕組みが異なるため、加入前にそれぞれの特徴を理解し、自身の将来設計に合った制度を選ぶことが重要です。
農業者年金とiDeCoの違いを比較
では、どちらを選ぶべきかを考えるために、まずは両制度の特徴を比較してみましょう。
項目 | 農業者年金 | iDeCo |
---|---|---|
制度方式 | 確定拠出型・終身年金 | 確定拠出型・一時金または有期年金 |
加入対象 | 国民年金第1号の農業者 | 国民年金全体(第1~第3号) |
併用可否 | × (iDeCoと併用不可) | ○ (他制度と併用可) |
保険料 | 月1万~6.7万円(千円単位) | 月5,000円~6.8万円(千円単位) |
税制優遇 | 社会保険料控除、公的年金等控除 | 所得控除、退職・年金控除、運用益非課税 |
補助制度 | 国庫補助あり(条件付き) | 補助なし |
運用指図者 | 基金が運用 | 自分で商品選択し運用 |
受取方法 | 終身年金(80歳まで死亡一時金保障) | 一時金/年金(5年以上20年以下)/併用から選択可 |
税制優遇は両制度にありますが、補助制度の有無や運用主体、受取方法などに違いがあります。今後の働き方や資産形成の目的に応じて、どちらが自分に適しているかを見極めることが重要です。
農業者年金のメリット・デメリット
農業者年金は、農業を継続することを前提とした終身年金制度です。
農業者年金の主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 一生涯受け取れる終身年金
- 条件を満たせば最大月1万円の国庫補助
- 基金による運用で投資知識が不要
- 社会保険料控除・公的年金控除の対象
- 死亡一時金による遺族保障
一方で、農業者年金のデメリットとしては以下の点が考えられます。
- 農業を辞めると加入資格を失う
- 運用の自由度がない
- 途中引き出し不可
- 受取方法が限定的
制度の安定性と制約のバランスを理解することが重要です。
iDeCoのメリット・デメリット
iDeCoは、自ら金融商品を選んで運用する自由度の高い私的年金制度です。
iDeCoの主なメリットは、以下の点が挙げられます。
- 投資先を選べるため自分の戦略で運用できる
- 掛金が全額所得控除となり、受取時にも各種控除が適用されるなど節税効果が大きい
- 受取方法を一時金・年金・併用から選べる
- 職業変更後も継続しやすい
- ネット口座を活用すれば手続きが簡便
一方で、iDeCoのデメリットは以下の点となります。
- 元本割れのリスク
- 60歳までの引き出し制限
- 運用判断が自己責任である
これらの点については注意が必要です。
農業者年金とiDeCoどっちが向いている?知りたい人はFPに相談してみよう

農業者年金とiDeCoは、それぞれに異なるメリットとデメリットがあり、自分にどちらが適しているか判断に迷う方も少なくありません。
選択の鍵となるのは、今後のキャリアプランと老後資金に対する考え方です。たとえば、農業を長く続ける予定で安定性を重視するなら農業者年金、柔軟な働き方や資産運用に関心があるならiDeCoが選択肢となります。
迷ったときは、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談することで、個別の状況に応じた最適なアドバイスを受けることができます。

農業者年金が向いている人の特徴

農業に従事する人のための公的年金制度である「農業者年金」は、老後の生活を支える重要な選択肢のひとつです。ただし、誰にでも向いている制度というわけではなく、加入にあたっては一定の条件やライフスタイルとの相性を考慮する必要があります。
ここからは、農業者年金が特に向いている人の特徴を、以下の3つの視点から解説します。
- 農業を長く続ける意志がある
- 補助を受けられる要件を満たしている
- 老後の安心感を重視したい
これらのポイントを踏まえ、自分にとって農業者年金が適した制度かどうかを判断する参考にしてください。
農業を長く続ける意志がある
農業者年金は、現役の農業従事者であることが加入の前提条件です。農業を辞めた場合、原則として加入資格を失うため、制度の継続利用ができなくなります。
したがって、「農業を一生の仕事として続けたい」「親から受け継いだ農地を守りたい」といった、長期的に農業を営む意志がある方に適した制度です。
安定した終身年金と国庫補助を活用しながら、将来に備えたいと考える農業者にとって、有力な選択肢となります。
補助を受けられる要件を満たしている
農業者年金では、一定の条件を満たすことで、月額2万円の保険料に対して最大1万円の国庫補助を受けられる仕組みがあります。具体的には、以下の要件をの3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 39歳までに加入していること(20年以上の納付が見込まれる)
- 農業所得が900万円以下であること
- 認定農業者で青色申告を行っている担い手であること
補助を受けられることで実質的な負担が軽減されるため、該当する方は積極的に活用したい制度です。ただし、補助分については死亡一時金の対象外となる点には注意が必要です。
老後の安心感を重視したい
農業者年金は、終身で年金を受け取れる制度であり、老後の生活資金を長期にわたって安定的に確保したい方に適しています。
特に、80歳までは死亡一時金の保障もあり、遺族への備えとしても一定の安心感があります。公的年金(老齢基礎年金)と組み合わせることで、生涯にわたる生活費の土台を築くことが可能です。
一方、iDeCoは「有期年金」または「一時金」としての受け取りとなるため、長寿リスクへの備えという点では農業者年金に軍配が上がります。
iDeCoが向いている人の特徴

老後資金の準備手段として広く利用されているiDeCo(個人型確定拠出年金)は、税制優遇や運用の自由度の高さが魅力です。しかし、その仕組みや制約を踏まえると、すべての人にとって最適な制度とは限りません。iDeCoの特性を活かせるかどうかは、ライフスタイルや働き方によって大きく変わってきます。
ここからは、iDeCoが特に向いている人の特徴を、以下の3つの視点から解説します。
- 将来の職業が変化する可能性がある
- 自由度の高い運用を行いたい
- 節税メリットを最大限に活用したい
これらのポイントを参考に、自分にとってiDeCoが適した制度かどうかを見極めるヒントにしてください。
将来の職業が変化する可能性がある
iDeCoは、職業やライフスタイルが変わっても継続できる柔軟性の高い制度です。農業を離れた場合でも、会社員や自営業者として制度を引き継ぐことが可能で、積立を中断せずに続けられます。
「子育てが一段落したら再就職したい」「農地を手放して別の仕事に就くかもしれない」といった将来の変化に備えたい人にとって、iDeCoは有力な選択肢です。長期的な資産形成を視野に入れつつ、キャリアの柔軟性を保ちたい方に適しています。
自由度の高い運用を行いたい
iDeCoは、自分自身で運用商品を選択できる点が大きな特徴です。農業者年金が債券中心の安定運用であるのに対し、iDeCoでは株式の比率を高めてリターンを狙うなど、リスク許容度や資産形成の目的に応じて柔軟にポートフォリオを組むことが可能です。
また、受取時も一時金・年金・併用の3パターンから選択でき、ライフプランに応じた資金の受け取り方ができる点も魅力です。運用と受取の両面で自由度を重視する方に適した制度といえます。
節税メリットを最大限に活用したい
iDeCoは、税制面での優遇が非常に大きい制度です。掛金は全額が所得控除の対象となり、住民税・所得税の軽減につながります。
さらに、運用益は非課税で、受取時にも退職所得控除や公的年金等控除が適用されるため、資産形成の過程から受け取りまで一貫して節税効果を享受できます。
特に「所得が多く、節税対策をしたい」と考える方にとって、iDeCoは有効な選択肢となります。税負担を抑えながら、将来の資金を効率的に積み立てることが可能です。
農業者年金とiDeCoどっちに加入するか迷う人はマネーキャリアに相談を

農業者年金は、農業従事者に特化した終身年金制度で、国庫補助や安定性といった独自のメリットがあります。一方で、iDeCoは運用の自由度や節税効果が高く、将来の働き方に柔軟に対応できる点が魅力です。
どちらも優れた制度であるため、自分にとってどちらが最適か判断に迷う方も多いでしょう。
そんなときは、年金制度に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)に相談できる「マネーキャリア」の活用がおすすめです。個別のライフプランや資産形成の方針に基づいたアドバイスが受けられます。
【まとめ】農業者年金とiDeCoは併用不可!ライフプランに合わせた選択を
農業者年金とiDeCoの誓いやメリット、デメリットについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。
農業者年金とiDeCoは、いずれも国民年金第1号被保険者を対象とした老後資金形成制度ですが、制度上の併用はできません。そのため、どちらか一方を選ぶ必要があります。
農業を長く続ける予定のある方には、終身年金と国庫補助が魅力の農業者年金が適しています。一方、職業やライフスタイルの変化に備えたい方には、柔軟な運用と節税効果が期待できるiDeCoが向いています。ただし、最適な選択は個々のライフプランやリスク許容度によって異なります。
迷ったときは、専門家のアドバイスを活用することが重要です。制度の違いを理解しても、実際にどちらが自分に合っているか判断するのは簡単ではありません。マネーキャリアでは、年金制度に詳しいFPがあなたの将来設計や資産状況を丁寧にヒアリングし、最適な選択をサポートします。迷ったら、まずは気軽に相談してみましょう。
