転職すると退職金はどのくらい損する?回数・タイミング別シミュレーション【2026年版】

転職すると退職金はどのくらい損する?回数・タイミング別シミュレーション【2026年版】

「転職したら退職金はどうなるのか?」

「何回転職すると損が大きくなるのか?」

と転職を検討している方にとって、退職金への影響は気になるポイントのひとつです。

 

本記事記事では、公的統計データをもとに転職回数・転職タイミング別の退職金損失額を試算しています。

 

「年収アップで損失を取り戻せるか」の損益分岐点シミュレーションも掲載しているので、転職の判断材料として使ってみましょう。

転職すると退職金はどのくらい損する?

転職すると退職金が減る理由は、退職金の計算方法にあります。

 

多くの企業では「勤続年数が長いほど退職金が増える」設計になっており、短い勤続を繰り返すほど合計受取額が大きく目減りしてしまうのです。

 

そのため、転職をすると、その企業での在籍年数が必然的に減ってしまうため、長い目で見たときに退職金の損失が出てしまうと言えます。

なぜ転職すると損するのか

退職金は「勤続年数 × 基本給 × 係数」などの式で計算されますが、係数が勤続年数に応じて急増する構造になっています。

 

たとえば10年勤めた退職金の2倍が20年で受け取れるわけではなく、実際には20年・30年と長くなるほど1年あたりの積み上がり額が大きくなります。

 

そのため、30年間を「10年×3社」に分けて働くと、1社で38年働いた場合に比べて合計受取額が大幅に下がります。

転職回数別・生涯退職金シミュレーション

大卒・22歳入社・60歳定年(38年間)のモデルで、転職タイミングを10年毎均等(10年目・20年目・30年目)として、以下の表で試算しています(中央労働委員会・東京都産業労働局の公的データを使用)。

転職回数

大企業 合計

大企業 損失額

大企業 損失率

中小企業 合計

中小企業 損失額

中小企業 損失率

0回(基準)

2,858万円

1,150万円

1回(10年目転職)

2,665万円

193万円

6.8%

1,146万円

4万円

0.3%

2回(10・20年目)

1,363万円

1,495万円

52.3%

666万円

484万円

42.1%

3回(10・20・30年目)

766万円

2,092万円

73.2%

500万円

650万円

56.5%

※大企業:従業員100人以上。中小企業:従業員10〜99人。転職先も同規模企業を前提とした試算です。

 

注目すべきは転職1回→2回での損失が大きくなる点です。

 

大企業の場合、1回転職での損失は193万円ですが、2回になると1,495万円と約7.7倍に膨らみます。退職金の特性から、勤続10年を繰り返すほど損失が加速します。

何年目に転職すると一番損になるのか?

「転職するなら早いうちに」とよく言われますが、退職金の観点から見て、同じ1社での退職タイミング別に、定年まで働いた場合との差額(機会損失)を示します。

退職タイミング

大企業 退職金

大企業 機会損失

損失率

中小企業 退職金

中小企業 機会損失

損失率

5年目

63万円

2,795万円

97.8%

49万円

1,100万円

95.7%

10年目

183万円

2,675万円

93.6%

124万円

1,026万円

89.2%

15年目

402万円

2,456万円

85.9%

243万円

907万円

78.9%

20年目

762万円

2,096万円

73.3%

347万円

803万円

69.8%

25年目

1,186万円

1,672万円

58.5%

605万円

545万円

47.4%

30年目

1,772万円

1,086万円

38.0%

838万円

311万円

27.1%

定年(基準)

2,858万円

0万円

0%

1,150万円

0万円

0%

※「機会損失額=定年退職金−自己都合退職金」大企業の定年退職金2,858万円・中小企業1,150万円を基準としています。

 

大企業・中小企業ともに、10年未満の退職では退職金の9割以上の損失となってしまいます。損失率が大きく低下し始めるのは勤続20年以降で、20年を超えると取得できる退職金が急増する可能性が高いと試算できます。

 

退職金の観点だけで言えば、「20年未満で転職する場合は早ければ早いほど損失の絶対額が小さくなる」一方、「20〜30年勤務した後の転職は機会損失が非常に大きい」となります。

転職の年収アップで退職金損失を取り戻せる?

「退職金は減っても、年収が上がれば長期的には得になるのでは」という可能性について、転職による年収増加分で退職金損失を回収するまでの年数を試算しました(税引前の単純計算)。

退職金損失額

年収+50万/年

年収+100万/年

年収+150万/年

年収+200万/年

年収+300万/年

193万円(大企業・1回)

3.9年

1.9年

1.3年

1.0年

0.6年

484万円(中小企業・2回)

9.7年

4.8年

3.2年

2.4年

1.6年

1,495万円(大企業・2回)

29.9年

15.0年

10.0年

7.5年

5.0年

2,092万円(大企業・3回)

41.8年

20.9年

13.9年

10.5年

7.0年

※所得税・社会保険料の増加分を考慮すると、実質の回収年数は上表より長くなります。

 

大企業で1回転職(損失193万円)であれば、年収が100万円上がるだけで約2年で回収できます。

 

一方、大企業で2回転職(損失1,495万円)の場合は、年収が200万円アップしても回収に7.5年かかります。3回転職で損失2,092万円の場合、年収200万円増でも10年以上を要することがわかります。

 

転職1〜2回・大企業の場合は年収が大幅に上がるなら十分に挽回できますが、転職を繰り返すほど年収アップだけでの挽回が難しくなることがわかります。

転職時の退職金で損しないための3つの対策

退職金の損失を完全にゼロにすることは難しいですが、制度の仕組みを知ることで最小化できます。

企業型確定拠出年金(DC)は引き継ぐ

近年、退職金制度として「企業型DC(確定拠出年金)」を採用する企業が増えています。

 

企業型DCは転職先の制度やiDeCoへの移換が可能で、手続きを怠ると運用指図者として放置されてしまい、管理手数料だけがかかり続けます。

 

そのため、転職が決まったら速やかに移換手続きをおこないましょう。移換先の選択肢としては以下のとおりです。

  • 転職先の企業型DCへの移換
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)への移換
  • 国民年金基金連合会への移換(運用はできなくなるため最終手段)

 

退職金規程を事前に確認する

転職先の退職金規程(勤続年数ごとの支給額・支給率)は、内定後に確認することができます。

 

「退職金制度があるかどうか」だけでなく、「何年目から支給されるか」「勤続年数に対して係数がどう変わるか」まで把握しておくと、将来の損失額を事前に見積もれます。

転職のタイミングを意識する

退職金の観点では、同じ「早期転職」でも勤続5年と勤続10年では絶対的な損失額が異なります。

 

ただし退職金以外の要因(キャリア・年収・職場環境)の方が人生全体への影響が大きいケースも多く、退職金だけで転職の判断をするのは本末転倒です。

 

退職金損失の試算をひとつの材料として、総合的に判断することが重要です。

データ出典・推計方法

使用した公的データは以下のとおりです。

  • 大企業退職金(勤続年数別・自己都合/定年):中央労働委員会「令和5年 退職金、年金及び定年制事情調査」
  • 中小企業退職金(勤続年数別・自己都合/定年):東京都産業労働局「令和6年版 中小企業の賃金・退職金事情(令和5年実態)」

推計モデル:大卒・22歳入社・60歳定年・転職タイミング10年毎均等。中間年度の自己都合退職金は既知2点間の線形補間。最終勤務先の定年退職金は自己都合退職金に定年/自己都合比率(大企業1.614・中小企業1.372)を乗じて推計。

 

<留意事項>

全企業が退職金制度を持つと仮定しています。実際には退職金制度がない企業も存在します。転職先も同一規模企業と仮定しており、大企業→中小企業等の異なる規模への転職には本試算は適用できません。

 

<その他>

本データはマネーキャリアが公的統計データをもとにAI(Claude)を用いて計算・推計したオリジナルデータです。最終更新:2026年5月 | マネーキャリア編集部

 

引用・転載について

本データにおけるメディア・ブログ等での引用・転載はご自由にお使いいただけますが、引用の際は以下の形式で出典を明記してください。

 

出典記載例→出典:マネーキャリア(https://money-career.com/article/10008

 

※本データは公的統計データを元にAIが計算・推計したものです。推計値であり、実際の費用は個人の状況・居住地域・物件条件等により大きく異なります。個別の資産形成・住居選択の判断は、ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。

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