
- 産休・育休中の無給期間は出産手当金や育児休業給付金を活用すると生活費が補填できる
- 出産後は支出が増える傾向にあり、支出増を見据えた家計管理が大切
- 固定費と変動費の見直し、在宅ワークや副業による収入アップも1つの対策方法である
- 妊娠中や出産後で外出が難しい方でも、マネーキャリアのオンラインの無料相談を利用すると、家計見直しやライフプラン作成をサポートしてもらえる

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 出産後は収入が減るため対策は必須!
- 産休や育休中は給料の支払い場合もある
- 出産後は支出も増える傾向がある
- 出産後に収入が減ったら利用すべき公的支援制度4つ
- 産休中の無給期間の収入減少を補うための出産手当金
- 育児休業中の収入減少を大幅に補填してくれる育児休業給付金
- 夫婦で育児に参加する環境づくりを促進するための出生後休業支援給付金
- 時短勤務の経済的負担を減らしてくれる育児時短就業給付金
- 税金や社会保険に関する知識を知っておこう
- 育休中でも支払う必要のある税金
- 給付金の所得税は不要
- 社会保険料の免除制度の活用
- 出産後の収入減に備えるための自分でできる対策4つ
- 貯金ゼロは避けたい!産休前に計画的に貯蓄する
- 出産後に生活費が足りないとならないように支出を見直す
- ライフプランを立てる
- 在宅ワークや副業で収入アップを目指す
- 妊娠中や育休中にお金がなくてストレスと感じたらFPへ相談しよう
- 出産後の収入減の対策に関するよくある質問
- 育休手当が減るのはいつですか?
- 育休中ですが、旦那の給料じゃ足りません。
- 出産後に収入が減ったときの対策や育休中の支援制度の活用方法まとめ
出産後は収入が減るため対策は必須!
出産後は仕事を休む期間が長くなるため、収入が減るのは避けられません。
シングルマザーや共働き家庭では、収入の減少が生活の不安につながるため、事前の準備が必要です。
ここでは、産休や育休中の給与の実態と、出産後に増えやすい支出について詳しく解説します。
産休や育休中は給料の支払い場合もある
産休や育休は法律で認められた休暇ですが、産休や育休中に会社から給与が支払われるかどうかは企業の規定によって異なります。
多くの企業では、産休・育休中は働いていないため給与の支払い義務がなく、無給となるケースが一般的です。
給与が労働の対価であるため、労働していない期間に給与を支払う義務がないという法的な考え方に基づいています。
ただし企業によっては、福利厚生として給与の一部や全額を支給する会社も存在します。
産休や育休を取得する際は、会社の就業規則や支給制度を事前に確認し、計画的に準備を進めましょう。
出産後は支出も増える傾向がある
出産後は、生活費は増える傾向があります。
まず以下の支出は、毎月の必須支出です。
- おむつ
- ミルク
- 子ども服
出産後に収入が減ったら利用すべき公的支援制度4つ
出産後に収入が減少すると生活が厳しくなるため、国や自治体の公的支援制度を積極的に活用しましょう。
出産後に利用しやすい4つの給付金は以下のとおりです。
- 出産手当金
- 育児休業給付金
- 出生後休業支援給付金
- 育児時短就業給付金
わかりやすく解説します。
産休中の無給期間の収入減少を補うための出産手当金
出産手当金は、産前42日から産後56日までの間に会社を休み、給与が支払われない期間に対して支給される給付金です。
項目 | 概要 |
---|---|
支給対象期間・条件 | 産前42日(多胎妊娠は98日)~産後56日の間に会社を休み、給与が支払われない期間が対象 |
計算方法 | 過去12ヶ月の標準報酬月額の平均÷30日×2/3 給与が出る場合は差額支給 |
申請方法 | 勤務先の健康保険組合や全国健康保険協会を通じて申請 |
支給額は、過去12ヶ月の標準報酬月額の平均をもとに1日あたりの金額を算出し、その約2/3が支給されます。
例えば、月給30万円の方なら1日あたり約6,666円が目安です。
会社から給与が出ている場合は、その差額が支給されます。
申請は勤務先の健康保険組合や全国健康保険協会を通じて行います。
給与の支払いがない期間にしっかりと補填されるため、出産前後の収入減少対策として欠かせない制度です。
育児休業中の収入減少を大幅に補填してくれる育児休業給付金
育児休業給付金は、育児休業を取得し子どもが1歳になるまで休業した場合に支給されます。
項目 | 概要 |
---|---|
支給対象期間・条件 | 育児休業を取得し、子どもが1歳になるまで(条件により最長2歳まで) 雇用保険加入者が対象 |
計算方法 | 休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(最初の6ヶ月)、以降は50% 支給額には上限・下限あり |
申請方法 | ハローワークで申請 パートや派遣社員も対象 |
支給額は休業開始時の賃金日額に支給日数をかけ、最初の6か月は67%、それ以降は50%が支給されます。
雇用保険に加入していることが条件で、パートや派遣社員も対象です。
申請はハローワークを通じて行い、休業中の収入減少を大幅に補ってくれます。
育児に専念できる環境を整えつつ、経済的な不安を和らげる重要な支援制度です。
夫婦で育児に参加する環境づくりを促進するための出生後休業支援給付金
2025年4月に新設された出生後休業支援給付金は、産後の一定期間に夫婦ともに育児休業を取得した場合に支給されます。
項目 | 概要 |
---|---|
支給対象期間・条件 | 2025年4月新設 産後一定期間に夫婦ともに育児休業を取得した場合 |
計算方法 | 休業開始時の賃金日額×休業日数(上限28日)×13% 育児休業給付金に上乗せ支給され、最大で約80%の賃金保障 |
申請方法 | 勤務先を通じて申請 |
支給額は休業開始時の賃金日額に休業日数をかけ、その13%が支給されます。
出生後休業支援給付金は、育児休業給付金の支給率に上乗せされる形で支給されるため、最大で休業前賃金の約80%が保障される仕組みです。
男性の育休取得を増やすことを目的としており、夫婦が一緒に育児に取り組める環境づくりに役立ちます。
申請は基本的に勤務先を通じて行うため、最新の申請方法や必要な手続きについて事前にしっかり確認しておきましょう。
時短勤務の経済的負担を減らしてくれる育児時短就業給付金
育児時短就業給付金は、育児のために勤務時間を短縮して働く場合に支給される制度です。
項目 | 概要 |
---|---|
支給対象期間・条件 | 2025年4月施行 育児のため勤務時間を短縮して働く労働者が対象 子どもが一定年齢以下であることが条件 |
計算方法 | 時短勤務中に支払われた賃金の約10%相当額 |
申請方法 | 勤務先に労働時間の状況に応じて申請が必要 |
支給額は時短勤務中に支払われた賃金の約10%相当額で、時短開始時の賃金水準を超えないよう調整されます。
支給対象は、子どもが一定の年齢以下で、育児のために勤務時間を短縮した労働者です。
制度は2025年4月に施行され、育児と仕事の両立の支援が目的です。
支給には条件があり、勤務先や労働時間の状況に応じて申請が必要です。
育児時短勤務の経済的負担を軽減し、無理なく働き続けられる環境づくりに役立つ給付金です。
税金や社会保険に関する知識を知っておこう
産休や育休中は収入が減ることが多いため、後々焦らないためにも税金や社会保険料の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。
育休中に支払う必要がある税金や、社会保険について知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
育休中でも支払う必要のある税金
育児休業中は給与収入がなくなりますが、住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、支払い義務が残ります。
通常、住民税は6月から翌年5月までの12回に分けて給与から天引きされますが、育休中は給与が支払われないため、普通徴収に切り替わり自分で納付するケースが多いです。
納付書が自治体から送られてくるので、コンビニや金融機関で支払います。
所得税は育休中の給与がないため課税されませんが、前年に給与があった場合は年末調整で還付される場合があります。
住民税の納付が難しい場合は自治体に相談し、減免や徴収猶予の制度を利用できる可能性もあるため早めの対応が必要です。
給付金の所得税は不要
先ほど説明した以下の給付金は、健康保険法や雇用保険法に基づく給付であり、所得税や住民税の課税対象外です。
- 出産手当金
- 育児休業給付金
- 出生後休業支援給付金
- 育児時短就業給付金
上記の給付金は非課税所得として扱われるため、受給しても税金がかかりません。
年末調整や確定申告の際に給付金を所得に含める必要はなく、税負担を気にせず受給できます。
安心して給付金を活用し、育児に専念できる環境づくりに役立てましょう。
社会保険料の免除制度の活用
産休や育休期間中は、健康保険料や厚生年金保険料の支払いが免除されます。
社会保険料の免除は、産前産後休業の開始月から育児休業終了月の前月まで適用され、免除期間中も将来の年金額計算に含まれるため年金が減る心配はありません。
例えば、出産予定日が8月16日で産前休業が7月6日から始まり、出産後に1年間の育児休業を取得した場合の社会保険料免除期間は以下のとおりです。
項目 | 開始日 | 終了日 | 社会保険料免除期間 | 免除月数 |
---|---|---|---|---|
産前産後休業 | 7月6日 | 10月11日 | 7月分~9月分 | 3か月 |
育児休業(1年間) | 10月12日 | 翌年10月11日 | 10月分~翌年9月分 | 12か月 |
産休期間中は7月から9月までの3か月分が免除され、その後の育児休業1年間は10月から翌年9月までの12か月分が免除されます。
免除期間中は社会保険料の支払いが不要ですが、将来の年金額計算には免除期間も納付期間としてカウントされるため、年金額が減る心配はありません。
免除の手続きは会社が「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構に提出して行います。
2025年4月からは月の途中に育休を開始してもその月の保険料が全額免除されるよう、制度が拡充されました。
適切に手続きを進めると、育休中の経済的負担を軽減できます。
出産後の収入減に備えるための自分でできる対策4つ
出産後は収入が減る一方で支出が増えるため、事前にできる対策を講じておくことが重要です。
ここでは、自分でできる対策4つを紹介します。
- 計画的に貯蓄する
- 支出を見直す
- ライフプランを立てる
- 収入アップを目指す
詳しく解説していきます。
貯金ゼロは避けたい!産休前に計画的に貯蓄する
産休や育休中は収入が大幅に減ることが多いため、出産前から計画的に貯蓄を進めておくと安心です。
一般的には50万円から100万円を目安に、以下の生活費をカバーできるよう準備しましょう。
- 妊娠中の健診費用
- 出産費用
- 産休・育休期間中の生活費
出産後に生活費が足りないとならないように支出を見直す
出産後は支出が増えるため、「生活費が足りない!」と慌てないためにも固定費と変動費に分けて家計を見直すことが大切です。
固定費とは毎月ほぼ一定額かかる費用で、通信費や保険料、住宅ローンや家賃などが含まれます。
例えば、スマホの料金プランを格安スマホに変更したり、不要な保険を見直すことで固定費を削減できます。
サブスクリプションサービスの利用状況を確認し、使っていないものは解約するのも効果的です。
一方、変動費は毎月の使い方で増減する費用で、食費や光熱費、日用品の購入が該当します。
買い物はリストを作成し、必要なものだけを購入して無駄を減らしましょう。
妊娠中や出産後は変動費の節約に限界があり、無理をするとストレスがたまる場合もあります。
そのため、まずは生活の質を落とさずに支出を減らる固定費の見直しから始めましょう。
家計簿や家計管理アプリを活用して支出の現状を把握し、固定費の削減に取り組むと、無理なく家計の負担を軽減できます。
ライフプランを立てる
妊娠や出産を機にライフプランを見直すことは、将来の収支バランスを具体的に把握し、必要な資金を準備するうえで欠かせません。
例えば、子どもが生まれると教育費や保育料がかかるだけでなく、生活スタイルも変わるため、家計の見通しを立て直す必要があります。
妊娠がわかった段階で、以下の準備をしておくと安心です。
- 産休や育児休業中にもらえる給付金を確認する
- 出産後の収入減に備えた貯蓄計画を立てる
- 保育園の費用や教育資金のシミュレーションをする
ライフプランは一度立てたら終わりではなく、家族構成が変化したときや子どもの進学先が変わった場合には見直して調整していくことが重要です。
ライフプランを定期的に見直すことで、将来の資金不足や生活の不安を減らし、安心して子育てや生活設計を進められます。
在宅ワークや副業で収入アップを目指す
出産後の収入減への対策として、在宅ワークや副業で収入アップを目指す方法もあります。
育児中は外出が難しくなることが多いため、在宅ワークや副業を活用すれば、収入を補えます。
ただし、あくまで子育てを優先し、無理をしない範囲で取り組むことが大切です。
最近は、以下のようなパソコンとインターネット環境があればできる仕事は増えています。
- データ入力
- ライティング
- アンケートモニター
- オンライン秘書
スキマ時間を上手に使い、体調や育児の状況に合わせて無理なく続けることが、育児と両立するポイントです。
ただし、会社によっては、育休中の副業を禁止している場合もあるので、トラブルを避けるために事前に確認することが大切です。
家族の協力を得ながら無理のない範囲で続けましょう。
妊娠中や育休中にお金がなくてストレスと感じたらFPへ相談しよう
妊娠中や育休中は収入が減る一方で、子育てにかかる費用が増えるため、家計のやりくりに悩みストレスを感じる人が少なくありません。
そんなときは、一人で抱え込まずファイナンシャルプランナー(FP)に相談しましょう。
FPは家計の収支を客観的に分析し、育児休業給付金や児童手当などの公的支援を踏まえた上で、無理なく続けられる節約方法や将来のライフプラン作成をサポートしてくれます。
例えば、支出の見直しポイントや収入減少に備えた貯蓄計画を一緒に考えることで、漠然とした不安が具体的な対策に変わり、精神的な負担も軽減されます。
夫婦間での話し合いが難しい場合でも、第三者のFPが間に入ることでスムーズにコミュニケーションが取れるのもメリットの1つです。
専門家のサポートを活用すれば、育休中の家計の不安を解消し、安心して子育てに専念できる環境を作れます。
出産後の収入減の対策に関するよくある質問
育休中の収入減や家計の不安は多くの方が抱える悩みです。
ここでは、以下の2つの悩みの対策方法ついてわかりやすく解説します。
- 育休手当が減るのはいつですか?
- 育休中ですが、旦那の給料じゃ足りません。
育休手当が減るのはいつですか?
育児休業給付金は、育休開始から最初の180日(約6か月間)は賃金の約67%が支給されますが、その後は給付率が50%に下がります。
つまり、育休開始から181日目以降は支給額が減る仕組みです。
そのため、1歳まで育休を取得する場合は、後半の期間は手当が少なくなることを見越して家計を計画する必要があります。
また、産休前に長期間休職していたり、直近6か月の給与が減少していると、育休手当の額も少なくなる可能性があります。
育休中に一部就労した場合も支給額が変わるため、働く予定がある方は事前に確認しておくと安心です。
制度の特徴を理解し、収入減に備えた家計管理を心がけましょう。
育休中ですが、旦那の給料じゃ足りません。
旦那さんの収入だけでは育休中の生活費が足りない場合、多くの家庭が貯金の取り崩しや節約を実践しています。
具体的には、以下の工夫が効果的です。
- 通信費や保険料などの固定費を見直す
- 外食を控えて自炊を増やす
- 通信費や保険料などの固定費を見直す
- フリマアプリを活用する
また、可能な範囲で副業や在宅ワークを検討する家庭も増えています。
公的支援制度の活用も重要で、育児休業給付金や児童手当、出産手当金などを漏れなく受け取ると家計の支えになります。
場合によっては、親族からの援助を受けるケースもあります。
生活費が厳しいと感じたら、早めに家計の見直しをして、無理のない方法で収支のバランスを整えましょう。