「子どもが急に熱を出したけど、看護休暇は無給って聞いた…」
「無給なら有給休暇を使うのと変わらないし、意味がないんじゃないか?」
とお悩みではありませんか?
結論、子の看護休暇は無給であっても、有給休暇とは異なる法的な権利・メリットが多く、「意味ない」とは言えません。
本記事では、子の看護休暇が無給である実態や、無給でも取得すべき5つのメリット、給与計算への影響、2025年4月の法改正のポイントまで詳しく解説します。
- 子の看護休暇が無給で取る意味があるか迷っている
- 給料がいくら減るか具体的に知りたい
- 欠勤扱いとの違いやキャリアへの影響が心配
という方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 子の看護休暇は無給で意味ないのか?まず結論から解説
- 約6割の企業が子の看護休暇を「無給」で設定している
- 無給でも欠勤とはまったく異なる制度的な権利がある
- 子の看護休暇が無給でも取るべき5つのメリット
- ①有給休暇の残日数を温存できる
- ②会社側は取得日の変更を命じられない
- ③事後申請でも認められる
- ④時間単位での取得ができる
- ⑤キャリア評価に悪影響が出ない
- 子の看護休暇(無給)取得時の給与計算はどうなる?
- 欠勤控除と同じ計算式が適用される
- 月給制・時給制それぞれのシミュレーション例
- 2025年4月改正で「子の看護等休暇」はどう変わった?
- 名称変更と対象となる子の範囲が拡大された
- 取得できる事由が「病気・けが」以外にも広がった
- 取得日数・単位は改正前と変わっていない
- 子の看護休暇に関するよくある誤解・注意点
- 会社に規定がなくても取得できる(法律上の義務)
- パートや時短勤務でも取得できる条件
- 欠勤扱いにされた・拒否されたときの対処法
- ①都道府県の労働局(雇用環境・均等部)
- ②社会保険労務士(社労士)への相談
- 子の看護休暇を有給にした会社は助成金が受け取れる
- 両立支援等助成金(子の看護等休暇制度有給化支援コース)とは
- 申請条件と受け取れる金額の目安
- よくある質問
- 無給の子の看護休暇は賞与・ボーナスに影響する?
- 有給休暇と子の看護休暇はどちらを優先すべき?
- 子の看護休暇は何日まで取得できる?足りない場合は?
- まとめ|子の看護休暇は無給でも積極的に活用しよう
子の看護休暇は無給で意味ないのか?まず結論から解説
「どうせ無給なら、有給休暇を使えばいいのでは?」と感じる方は少なくありません。しかし、子の看護休暇には有給・無給に関わらず、有給休暇とは異なる法的な保護と使いやすさがあります。
まず現状と制度の基本を確認しましょう。
約6割の企業が子の看護休暇を「無給」で設定している
子の看護休暇を有給にするか、無給にするかについては、法律に明確な定めがありません。そのため、賃金の取り扱いは会社ごとに異なります。
厚生労働省の「令和3年度雇用均等基本調査」によると、子の看護休暇を「無給」としている企業は65.1%、「有給」は27.5%、「一部有給」は7.4%でした。
無給でも欠勤とはまったく異なる制度的な権利がある
無給の子の看護休暇と欠勤は、給与が出ない点では同じに見えますが、法的な性質はまったく異なります。
<看護休暇と欠勤の違い>
| 項目 | 子の看護休暇(無給) | 欠勤 |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 育児・介護休業法に基づく権利 | 労働義務の不履行 |
| 会社の拒否 | 原則不可 | 認められる場合あり |
| 不利益取り扱い | 法律で禁止 | 評価に影響する場合あり |
| 有給休暇の出勤率計算 | 出勤扱いになる | 欠勤扱い |
子の看護休暇が無給でも取るべき5つのメリット
①有給休暇の残日数を温存できる
子の看護休暇を使わずに有給休暇だけで対応していると、子どもが体調を崩すたびに有給が消費され、年度内に有給がなくなってしまうことがあります。
年次有給休暇は最大でも年20日しかなく、一方で子どもが小学3年生になるまでの間は体調不良による欠勤が頻繁に起きがちです。
子の看護休暇(年1人につき最大5日、2人以上で10日)を活用することで、有給休暇を自分自身の体調不良や家族のイベントなど、本来の目的のために温存できます。
②会社側は取得日の変更を命じられない
年次有給休暇には「時季変更権」があり、繁忙期などに会社が取得日を変更させることができます。しかし、子の看護休暇には時季変更権が認められていません。
③事後申請でも認められる
子どもが急に発熱した朝など、事前に申請できないケースもあります。子の看護休暇は、原則として事後の申請でも認められます。
就業規則によって申請方法が定められている場合もありますが、突発的な体調不良への対応という制度の趣旨から、事後申請を柔軟に認める運用が一般的です。
④時間単位での取得ができる
子の看護休暇は、1日単位だけでなく時間単位でも取得できます。
たとえば、午前中だけ病院に付き添って午後から出勤する場合、時間分だけ看護休暇を使えばよく、残りの時間は通常勤務として扱われます。1日丸ごと有給を使う必要がなく、柔軟に対応できます。
⑤キャリア評価に悪影響が出ない
「看護休暇を取るとずるいと思われないか」「評価が下がるのでは」と心配する方もいますが、子の看護休暇の取得を理由に不利益な取り扱いをすることは育児・介護休業法で明確に禁止されています。
解雇・降格・減給・人事評価の不当な引き下げなど、取得を理由とした不利益な扱いはすべて違法です。法律に守られた権利として堂々と取得できます。
子の看護休暇(無給)取得時の給与計算はどうなる?
欠勤控除と同じ計算式が適用される
無給の子の看護休暇は、給与計算上は欠勤控除と同じ計算式で賃金が差し引かれます。ただし前述のとおり、法的な位置づけは欠勤とは異なります。
一般的な欠勤控除の計算式は以下のとおりです。
控除額=月給 ÷ 所定労働日数 × 取得日数
月給制・時給制それぞれのシミュレーション例
具体的な金額感をつかめるよう、ケース別にシミュレーションします。
<月給制の例>
| 条件 | 金額 |
|---|---|
| 月給 | 25万 |
| 所定労働日数 | 20日 |
| 1日あたりの控除額 | 25万円 ÷ 20日 = 12,500円 |
| 年5日取得した場合の年間控除合計 | 12,500円 × 5日 = 62,500円 |
<時給制(パート)の例>
| 条件 | 金額 |
|---|---|
| 時給 | 1200円 |
| 1日の所定労働時間 | 6時間 |
| 1日あたりの控除額 | 1,200円 × 6時間 = 7,200円 |
| 年5日取得した場合の年間控除合計 | 7,200円 × 5日 = 36,000円 |
2025年4月改正で「子の看護等休暇」はどう変わった?
2025年4月に育児・介護休業法が改正され、子の看護休暇の制度は大きく変わりました。名称も「子の看護等休暇」に改められています。
改正の主なポイントを3つ解説します。
名称変更と対象となる子の範囲が拡大された
改正前は「小学校就学前(0歳〜6歳未満)」の子を養育する労働者が対象でしたが、改正後は「小学校3年生修了まで(9歳に達する日以後の最初の3月31日まで)」に拡大されました。
小学校に入学しても感染症にかかったり、急な体調不良で看病が必要になる場面は多いため、この改正は多くの保護者にとって大きなメリットです。
取得できる事由が「病気・けが」以外にも広がった
改正前は「病気・けがの看護」「予防接種・健康診断」が主な取得事由でしたが、改正後は以下の事由が新たに追加されました。
| 追加された取得事由 | 内容 |
|---|---|
| 感染症による出席停止 | インフルエンザや新型コロナなどで 学校から学級閉鎖や出席停止などの措置が取られた場合 |
| 入園・入学式・卒園式への参加 | 保育園・幼稚園・小学校などの式典への参加 |
感染症で登校できず自宅でケアが必要な場合も、正式に看護休暇として取得できるようになりました。
取得日数・単位は改正前と変わっていない
2025年改正で対象範囲や事由が広がったことから、「取得日数も増えたのか?」と混同される方がいますが、取得できる日数・単位は改正前と変わっていません。
< 取得できる日数・単位>
| 養育する子の人数 | 年間の取得日数 |
|---|---|
| 1人 | 年5日まで |
| 2人以上 | 年10日まで |
時間単位での取得も引き続き可能です。日数が足りない場合の対処法は「よくある質問」で解説しています。
子の看護休暇に関するよくある誤解・注意点
「うちの会社には制度がないと言われた」「申請したら断られた」という声は少なくありません。このようなケースの多くは誤解または法律違反にあたります。正しい知識を持っておきましょう。
会社に規定がなくても取得できる(法律上の義務)
「就業規則に子の看護休暇の規定がない」「会社がないと言っている」というケースがありますが、子の看護休暇は育児・介護休業法で定められた法定制度であり、すべての会社に対して適用されます。
会社の就業規則や社内規定に記載がなくても、労働者は法律に基づいて取得できます。会社側が「規定がないから取れない」と主張しても、それは法的に誤りです。
パートや時短勤務でも取得できる条件
子の看護休暇はパートタイム労働者や時短勤務の方も取得できます。ただし、以下の労働者は労使協定によって取得を制限できます。
- 週の所定労働日数が2日以下の労働者
欠勤扱いにされた・拒否されたときの対処法
①都道府県の労働局(雇用環境・均等部)
各都道府県の労働局にある「雇用環境・均等部(室)」では、育児・介護休業法に関する相談を無料で受け付けています。会社に対する是正指導を求めることができます。
相談前に以下を整理しておくとスムーズです。
- 会社から断られた日時・状況
- 断られた際の言葉(メモやメッセージのスクリーンショット)
- 会社の就業規則の写し
厚生労働省の「総合労働相談コーナー」でも相談を受け付けています。
②社会保険労務士(社労士)への相談
育児・介護休業法に詳しい社労士に相談することで、会社との交渉方法や就業規則の見直し請求について具体的なアドバイスをもらえます。
子の看護休暇を有給にした会社は助成金が受け取れる
両立支援等助成金(子の看護等休暇制度有給化支援コース)とは
厚生労働省の「両立支援等助成金」に、2025年度から「柔軟な働き方選択制度等支援コース」が設けられました。
これは、子の看護等休暇を有給化するなど法定を上回る制度を整備した事業主に対して、国が助成金を支給する制度です。会社にとっては、制度整備のコストを国が支援してくれる仕組みです。
申請条件と受け取れる金額の目安
助成金の受給には、一定の条件を満たす必要があります。主な要件は以下のとおりです。
- 子の看護等休暇を有給(賃金全額支給)とする制度を新たに導入、または改定すること
- 就業規則等に規定し、対象労働者が実際に利用していること
- 社会保険・労働保険に加入していること
詳細な金額・条件は年度ごとに更新されるため、最新情報は厚生労働省または都道府県労働局で確認することをおすすめします。
よくある質問
無給の子の看護休暇は賞与・ボーナスに影響する?
有給休暇と子の看護休暇はどちらを優先すべき?
法律上は、どちらを先に使うかは原則として労働者が選択できます。一般的には以下の考え方で使い分けるとよいでしょう。
- 看護休暇を先に使う:年次有給休暇を温存したい場合・有給の残日数が少ない場合
- 有給休暇を先に使う:看護休暇が無給で収入への影響を避けたい場合・年度末に有給が余りがちな場合
子の看護休暇は何日まで取得できる?足りない場合は?
年間の取得上限は、養育する子が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は年10日までです。
上限を超えた場合は、以下の方法で対応できます。
- 年次有給休暇を使用する:最も一般的な方法。残日数を確認したうえで活用する
- 欠勤扱いで休む:給与への影響はあるが、育児のために欠勤することは違法ではない
- 会社に上乗せ制度がないか確認する:法定日数を超えて看護休暇を付与している会社もある
まとめ|子の看護休暇は無給でも積極的に活用しよう
本記事では、子の看護休暇が無給であっても「意味ない」とは言えない理由と、給与計算の実態、2025年改正のポイントを解説しました。
改めてポイントをまとめます。
- 約6割の企業が無給で運用しており、無給は珍しくない。ただし欠勤とは法的に異なる
- 無給でも取るべき5つのメリット:有給温存・時季変更権なし・事後申請OK・時間単位取得・評価への影響なし
- 給与計算は欠勤控除と同じ計算式。月給制で年間数万円の影響を事前に把握しておくことが大切
- 2025年4月改正で対象が小学校3年生修了まで拡大。取得事由も感染症の出席停止などに拡大
- 拒否・欠勤扱いは法律違反。労働局や社労士に相談できる
- 会社が有給化すると助成金を受け取れる制度が2025年から新設された
子の看護休暇は、無給であっても仕事と育児を両立するための重要な法的権利です。制度を正しく理解して積極的に活用しながら、収入減への備えは固定費の見直しや計画的な積立で整えていきましょう。