
結論からお伝えすると、どのような働き方や状況であっても、厚生年金と国民年金の保険料を個別に「両方払う」必要はありません。
しかし現実には、
- 厚生年金加入中に、国民年金の納付書が届く
- 第3号被保険者のはずなのに、保険料を請求される
といった、行き違いが起こることも。
この記事の目次
- 厚生年金と国民年金は両方払う必要がある?
- 厚生年金と国民年金で「二重払い」が生じる原因
- 日本年金機構の事務処理に生じるタイムラグ
- 就職先企業における社会保険加入手続きの遅れ
- 「月末日基準」のルールの誤認
- 配偶者の扶養に入る際の手続き漏れやタイムラグ
- 国民年金保険料の自動引き落としの停止忘れ
- 二重払いをしたらどうなる?還付手続きの流れと時効のリスク
- 厚生年金と国民年金の二重払いに関するよくある質問(Q&A)
- Q:国民年金を「1年分前払い(前納)」しても、就職したらすぐに厚生年金も払う?
- Q:過去の「未納分」の国民年金は、就職後の給与から天引きされる?
- 厚生年金と国民年金の「二重払い」を防ぎ、正しく納付するための対策
- 「ねんきんネット」を活用して自分の納付状況を把握する
- マネーキャリアで「今の支払い状況」と「もらえる年金額」を可視化する
- 制度の改正を踏まえた最適な働き方と将来の備えをプロに相談
- 厚生年金と国民年金の二重払いに関する疑問と対処法まとめ
厚生年金と国民年金は両方払う必要がある?
厚生年金と国民年金の保険料を、別々に両方払う必要は、原則ありません。
これには、日本の年金制度の仕組みが関係しています。
年金制度とは、国が運営し加入が法律で義務づけられている制度で、以下の2階建ての構造で成り立っています。
- 1階部分(国民年金):日本に住む20歳以上60歳未満の人が対象となる、年金制度の土台となる仕組み。制度上、まず全員がこの1階部分に加入します。
- 2階部分(厚生年金):1階の国民年金に上乗せして加入する年金。
日本の年金制度はこうした2階構造であり、厚生年金保険料には国民年金の保険料相当分が含まれています。
そのため、厚生年金加入者は国民年金保険料を別途支払う必要がありません。
もちろん、国民年金のみに加入している人が、加入していない厚生年金の保険料まで払う必要もありません。
でも、厚生年金に加入したのに、国民年金の納付書が自宅に届いたんです。
納付書が届いたなら、両方払う必要がありますよね?

実は、国民年金の納付書が届いても、国民年金と厚生年金を両方払う必要はありません。
自分で判断するのが難しいときは、FPに相談しましょう!
マネーキャリアのFPになら、オンラインで無料相談ができますよ。
厚生年金と国民年金で「二重払い」が生じる原因
- 第1号被保険者:自営業や学生など。1階部分(国民年金)のみに加入し、自分で保険料を納める。
- 第2号被保険者:会社員や公務員、法人の代表者など。1階部分の国民年金に加えて、2階部分の厚生年金にも加入している。
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者。国民年金のみに加入しているが、保険料は第2号が加入する制度全体で負担するため、個人での支払いはない。
この区分の切り替えが生じるタイミングで、納付書が届く原因が発生します。
主な原因は以下のとおりです。
- 日本年金機構の事務処理に生じるタイムラグ
- 就職先企業における社会保険加入手続きの遅れ
- 転職時における「月末日基準」のルールの誤認
- 配偶者の扶養に関する手続き漏れ・切り替えミス
- 国民年金保険料の自動引き落としの停止忘れ
日本年金機構の事務処理に生じるタイムラグ
日本年金機構とは、国から委託を受けて、公的年金の運営を担う公的機関です。
年金記録の管理や保険料の徴収、納付書の発行などを行っているため、被保険者種別の切り替えもここに届け出る必要があります。
参考:日本年金機構
しかし、届け出の内容がデータベースに反映されるまでには一定の時間がかかるため、届け出てから反映されるまでの間に、国民年金の納付書が発行・送付されてしまうことも。
この「タイムラグ」の間に届いた納付書に従えば、国民年金と厚生年金を両方払うという、二重払いを行ってしまったことになります。
就職先企業における社会保険加入手続きの遅れ

重要なのは、手続きが遅れた場合でも、会社は入社日にさかのぼって加入手続きを行うことです。
結果として入社日から厚生年金に加入した扱いになるので、その期間分の厚生年金保険料がさかのぼって徴収されます。
そのため、この期間に国民年金保険料も支払っていた場合、二重払いをしたことになります。
「月末日基準」のルールの誤認
第2号被保険者が退職をした場合、「月末日基準」のルールを理解していないと、国民年金と厚生年金の保険料を両方払うという事態が発生し得ます。
年金制度には「月の末日に加入している年金制度に、その月の保険料を支払う」という、月末日基準のルールがあります。
国民年金保険料を別途納付すると、二重払いになるので、要注意です。
月末に厚生年金に入っていれば、その月はまるまる第2号被保険者として扱われます。
退職から入社までの空白期間についても、厚生年金保険料の中で1階部分の国民年金がカバーされるため、両方払う必要はありません。
国民年金保険料を別途納付すると、二重払いになります。
例えば3月31日に退職し、4月25日に入社した場合、3月末は前職の厚生年金に加入しており、4月末は新しい職場の厚生年金に加入していることになります。
切れ目なく厚生年金に加入していることから、国民年金保険料を自分で納める期間は発生しないため、両方払う必要はありません。
退職した月の分だけ、国民年金を自身で納める必要があります。
25日という月の後半に退職しても、その月の月末時点では第1号被保険者に分類されます。
たとえ空白が数日間であっても、月末に厚生年金に加入していなければ、その月は国民年金保険料を自分で納めます。
翌月の1日からは新しい会社の厚生年金が始まりますが、退職した月については厚生年金の天引きが発生しないため、両方払うことにはなりません。

ポイントは、「月末に厚生年金の被保険者かどうか」です。
転職のタイミングや退職日の設定によっては、自分でも気づかないうちに二重払いをしていたり、逆に納付漏れが発生したりすることもあります。
「自分の場合はどうなるの?」と不安な方は、マネーキャリアのFPに相談して、納付状況をクリアにするのが一番の近道ですよ!
配偶者の扶養に入る際の手続き漏れやタイムラグ
第1号被保険者である妻や夫が、第2号被保険者である配偶者の扶養に入る場合も、手続きが遅れたり、手続き上のタイムラグの発生により、二重払いが発生することがあります。
ただし、ここで言う二重払いは「国民年金を2度支払う」ことを意味しています。
第2号被保険者に扶養されている配偶者は第3号被保険者という区分になり、国民年金に加入している扱いとなるものの、自身が個別に保険料を支払う必要はありません。
参考:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」

第3号への切替え手続きは、配偶者の会社を通じて行いますが、反映に時間がかかります。また、単純に会社に申請することが遅れることもあるでしょう。
どちらの場合も、反映や申請がされた日ではなく、扶養の条件を満たした「基準日」から第3号被保険者になるため、基準日以降の分として届いた国民年金納付書の支払いをすると、国民年金保険料を二度納めたことになるんです。
国民年金保険料の自動引き落としの停止忘れ
国民年金から厚生年金へ切り替わった後、銀行口座やクレジットカードの自動引き落とし(口座振替)を停止し忘れることも、国民年金と厚生年金の保険料を両方払う原因となります。
国民年金保険料を口座振替していた場合、第2号被保険者に切り替えようと、日本年金機構が自動的に国民年金保険料の引き落としを止めてはくれません。
自身で停止の手続きを行わない限り、厚生年金保険料と二重に徴収され続けるリスクがあります。

国民年金保険料を先払い(前納)や、親御さんの口座から引き落とされる設定をしていると、本人が気づかない間に両方払うリスクがあります
二重払いは返金されますが、請求できる期間が決まっているので、はじめて第2号被保険者になったら、一度親御さんと情報共有した方がいいかもしれませんね。
それでも不安なときは、マネーキャリアのFPに、二重払いをしていないかチェックしてもらいましょう!
二重払いをしたらどうなる?還付手続きの流れと時効のリスク
誤って保険料を両方払うことがあっても、将来もらえる年金額が増えることはありません。
年金制度には「二重加入」という概念がなく、1カ月に納められる保険料は1回分だけと決まっています。
国民年金と厚生年金を両方納めた場合はもちろん、国民年金保険料を「納付書」と「口座振替」で重複して納めてしまった場合も、一方は単なる払い過ぎとして扱われるだけです。
速やかに還付の手続きを行いましょう。
二重払いをした場合でも、適切な手続きを行えば、払いすぎた保険料は全額手元に還付されます。
手続きはわずか3ステップです。
- 通知を待つ:二重払いが確認されると、約1〜2カ月後に日本年金機構から「国民年金保険料過誤納額請求書(払い過ぎた保険料の還付を受け取るための申請書)」が届く。
- 記入して返送:還付を受け取りたい銀行口座などを記入し、同封の返信用封筒で返送。
- 入金を確認:約1カ月後、指定口座に払い過ぎた分の保険料が振込まれる。

手続き自体は簡単ですが、「二重払いの心当たりがあるのに通知が届かない」という場合は要注意!
自分から年金事務所に確認しないと、そのまま放置されてしまうケースがあるからです。
実は、返金請求には厳格な「時効」が設定されているんです。
払いすぎた保険料を取り戻す権利には、2年という時効があります。
2年を過ぎると、どれだけ多額に支払っていても法律上取り戻すことができなくなります。

時効を1日でも過ぎれば、払いすぎていた年金は戻って来ません。
親子間での支払い状況の食い違いなど、自分一人では気づけない落とし穴も多いもの。
手続きが遅れてお金を失う前に、マネーキャリアのFPへ相談して、現在の納付状況をクリアにしておきましょう!
厚生年金と国民年金の二重払いに関するよくある質問(Q&A)
前納や未納、将来の本当に保障されるかなどは、多くの人が持つ疑問です。
具体的に、対応を迷いやすいケースをまとめました。
- 国民年金を「1年分前払い(前納)」しても、就職したらすぐに厚生年金も払う?
- 過去の「未納分」の国民年金は、就職後の給与から天引きされる?
- 厚生年金に加入すると、将来の保障は何が変わるの?
Q:国民年金を「1年分前払い(前納)」しても、就職したらすぐに厚生年金も払う?
Q:過去の「未納分」の国民年金は、就職後の給与から天引きされる?
A:未納分が自動的に給与から引かれることはありません。厚生年金として給与天引きされるのは、あくまで「今月の分」からです。
過去の未納分は別途納付書などで支払う必要があります。
放置すると将来の年金額が減ってしまうため、家計に余裕ができたタイミングでFPに相談し、効率的な追納プランを立てるのがオススメです。

前納したお金が戻ってくるとはいえ、一時的にでも両方払うのは不安ですよね。
また、未納分の追納も将来の年金額に直結する大切な判断です。
ここで解決しきれない「あなただけの年金プラン」については、マネーキャリアの無料FP相談で、プロと一緒に確認してみましょう!
厚生年金と国民年金の「二重払い」を防ぎ、正しく納付するための対策
「自分は二重払いになっていないか?」「結局、将来いくらもらえるのか?」といった複雑な年金制度の悩みは、正しい確認方法を知り、必要に応じてプロの力を借りるのが、安心への近道です。
自分一人では気づきにくい「納付の重複」や「時効寸前の権利」などについて、自分の視点と、プロの客観的な視点でダブルチェックすることで、大切なお金を守りながら、老後への安心できるルートを描き出すことができます。
「ねんきんネット」を活用して自分の納付状況を把握する
二重払いを防ぐ第一歩は、自身の正確な納付状況を知ることです。
日本年金機構が提供するインターネットサービス「ねんきんネット」を使えば、パソコンやスマートフォンからいつでも最新の年金記録を確認できます。
同じ月に国民年金と厚生年金の両方が記録されていないか、定期的にチェックする習慣をつけましょう。
マネーキャリアで「今の支払い状況」と「もらえる年金額」を可視化する
ねんきんネットを利用しても、自分が今正しく保険料を納めているのか、二重払いや納付漏れがないかを、自分一人で判断するのが難しいことも。
マネーキャリアのFP相談なら、あなたの現在の加入状況を整理し、将来いくらもらえるのかまでを具体的にシミュレーションできます。
二重払いのような「支払い状況の不備」をプロの目でチェックすると同時に、将来の家計を「見える化」することで、漠然とした不安を確かな安心に変えることができます。
制度の改正を踏まえた最適な働き方と将来の備えをプロに相談

マネーキャリアなら、ご自身のライフプランに合った保険の見直しや、将来の備えについての考え方まで、幅広くご相談いただけます。
将来の不安を一つずつ解消し、ご自身にとって最適なアクションを一緒に考えていきましょう!
厚生年金と国民年金の二重払いに関する疑問と対処法まとめ
ここまで、厚生年金と国民年金を両方払うことになる主な原因や、還付手続きにおける注意点について解説しました。
二重払いは、転職時の加入タイミングや扶養手続きのタイムラグによって誰にでも起こり得るものですが、放置しても将来の年金額が増えるなどのメリットは一切ありません。
特に注意すべきは、還付請求には「2年」という厳格な時効がある点です。
自身の「手続きの遅れ」によって、本来戻るはずのお金を永久に失ってしまう実損リスクがあることを正しく理解しておく必要があります。

また、年金制度は加入期間や働き方、過去の未納・前納状況によって、一人ひとりの納付実態が大きく異なります。
厚生年金と国民年金を両方払うことがあったかだけでなく、将来いくら受給できるか、今の働き方が将来の保障にどう影響するかといった疑問は、家計状況やライフプランによって、正解が千差万別です。
そのため、年金制度を一般論だけで判断せず、個別のシミュレーションに基づいて判断することが重要です。
現在の支払い状況に不備がないかの確認から、将来の不足資金への備え、ライフステージに合わせた保険の見直しなど、家計全体の再設計が必要になるケースも少なくありません。
自力でこれらを正確に整理・算定するのが難しい場合は、マネーキャリアの無料FP相談を活用しましょう。
FPと一緒に、現在の支払い状況の確認・将来の受給額・家計の安心に向けた対策などをまとめて確認することで、制度と家計を一体で最適化した設計が可能になります。



