内容をまとめると
- 役員借入金を振り替えて自己資本比率を高めるべきかは、自社の財務状況による。
- DES(デットエクイティスワップ)とは、債権者(経営者や役員)が持つ「債務者(法人)の債権」を株式に振り替え、資産化することであり、財務状況が芳しくない会社にて実施される傾向がある。
- DESのメリットは、債務者側では自己資本比率を上げられ、キャッシュフローの改善などができる点。債権者側では、相続税対策や配当金の受領などが挙げられる。
- DESのデメリットは、課税対象が増える問題や経営参画者が多くなる点。債権者側では、利息収入がなくなったり、倒産すると元本回収ができなかったりする点。
- そのため、DESを実施するかは税理士はもちろん、今後のリスク対策についても「丸紅グループが運営するマネーキャリア」のような無料相談窓口を使って、対策を進める企業が多い。
この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
役員借入金を振り替えて自己資本比率は高めるべき?
自己資本÷総資本×100=自己資本比率
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DES(デットエクイティスワップ)とは
役員借入金を振り替えて、自己資本比率を高めるために使われる手法に「DES(デットエクイティスワップ)」があります。
DES(デットエクイティスワップ)とは、債権者(経営者や役員)が持つ「債務者(法人)の債権」を株式に振り替え、資産化することを指します。
とくに、役員借入金は、法人が経営者や役員からを借り入れるケースで発生します。しかし、任意で利息や返済期限を設定できる役員借入金でも、膨らみすぎると自己資本比率が低下し、債務超過となってしまう可能性があります。
また、役員借入金がある状態で役員が死亡した場合、多額の相続税が発生します。一方で、DESで株式に振り替えると、事業承継税制の優遇や株式の評価額が下がる可能性があるので、相続税を抑えられるのです。
DESには「債権者に株式を発行し、金銭債権により債務弁済する『現物出資』」と、「元本がそのまま返還されないことから、株式を取得した役員による取得請求権が発生する『金銭対価』」の2種類があります
DESは財務状況が悪い企業で実施される傾向がありますが、実施後に業績が復活した場合、振り替えた株式に対する配当が増加する点に注意しましょう。
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DESで役員借入金を資本金へ振り替える際の仕訳
借方 | 貸方 |
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借入金 1,000,000円 | 貸方 資本金 1,000,000円 |
借方 | 貸方 |
---|---|
有価証券 600,000円 | 貸方 貸付金 1,000,000円 |
株式 200,000円 | |
債権譲渡損 200,000円 |
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DES(デットエクイティスワップ)のメリット
以下では、DESのメリットを解説しています。債務者と債権者側でそれぞれメリットが異なります。
債務者(法人)側のメリット
債務者(法人)側のメリットは主に3つが挙げられます。
- 自己資本比率を上げられる:DESによって借入金の負債が資本に振り替わるので、自己資本比率が向上することで信用が高まり、融資などが受けやすくなります。
- キャッシュフローを改善できる:借入金を資本に振り替えるので、負債を削減でき、キャッシュフローの改善が可能です。
- 債務不履行のリスクを減らせる:DESをすると、株式の発行により債務弁済が必須ではなくなるので、弁済できずに債務不履行となってしまうリスクを抑えられます。
債権者(経営者や役員)側のメリット
一方で、債権者(経営者や役員)側のメリットは以下が挙げられます。
- 株式の配当や売却益が見込める:会社の業績が回復し財務状況が良くなった場合には、DESによって発行した株式を売却することで、振り替えた分以上の売却益が見込めます。
- 株主としての経営参画が可能:DESの株式発行により、役員として経営参画が可能です。
- 相続税対策:経営者からの役員借入金がある状態で経営者が亡くなってしまった場合、遺族は多額の相続税を支払わなければなりません。しかし、DESによって株式に振り替えると、評価額が減る可能性があるうえ、事業承継税制が適用され、相続税を軽減できる可能性があります。
DES(デットエクイティスワップ)のデメリット
債務者(法人)側のデメリット
債務者(法人)側のデメリットは以下のとおりです。
- 課税が増えてしまう:DESで役員借入金を振り替えると資本金が増えるので、法人住民税の均等割額の税負担が増えたり、中小企業の税制特例が受けられなくリスクがあります。また、債務消滅益(債権者の持つ債権が放棄された場合、債務者に生じる免除益)の発生による課税リスクもあります。
- 経営の自由度が下がる:株主になった債権者が経営に関与してくる可能性があるうえ、債権者の参画によって自由度が下がる可能性があります。
一方、役員借入金のケースでは経営者や役員は、すでに経営参画はしている状態ではあるので、役員以外に債権者がいる場合には注意しましょう。
また、そもそも純資産が多ければDESで資本を振り替える必要がないので、過剰債務の会社や財務状態が悪い会社が実施する傾向があります。そのため、DES後の事業再建計画が不可欠であり、直面する事業リスクに対して、マネーキャリアを使って相談する企業も増えているのです。
債権者(経営者や役員)側のデメリット
債権者(経営者や役員)側のデメリットは以下のとおりです。
- 利息収入がなくなる:DESで役員借入金を振り替えたことで、貸付金が回収できずに利息収入もなくなってしまいます。さらに、株式が非公開であれば評価が困難になるので、元本が償還されないリスクも高くなります。
- 倒産すると債権が回収できない:DESは財務状態が悪いケースで実施されるので、会社の財務状態が悪くなる一方であれば倒産の可能性もあります。倒産をしてしまうと、貸し付けていた債権も回収できません。
事業リスクに対する対策が簡単にわかる方法とは
以下では、事業リスクへの対策が無料で、誰でも簡単にわかる方法を紹介します。
DESによって債務者・債権者の両者にとってメリットがある一方、同様に両者にはデメリットもあります。さらに、DESでは「問題の先延ばし」にもたとえられるように、根本的に業績再建をしなければ、デメリットのみ享受してしまう可能性もあります。
また、業績再建の問題が解決しなければ、相続や事業承継の問題も副次的に発生します。そのため、役員借入金を検討する段階で、さまざまなリスク対策をしておかなければなりません。
そこで、法人向けプロのファイナンシャルプランナーへ「無料で何度も」相談できるマネーキャリアを使い、自社の状況を踏まえて最適な対策を提案してもらう企業も多いのです。
丸紅グループが運営するマネーキャリアでは、法人向け保険をはじめ事業承継対策など、中小企業における経営者や役員が抱えがちな悩みを、独自のスコアリングで厳選された法人保険のプロと一緒に解決できます。
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DESの概要や自己資本比率を高めるべきかの解説まとめ
ここまで、DESの概要や自己資本比率を高めるべきか、DESによるメリット・デメリットを債務者(法人)と債権者(経営者や役員)ごとに解説しました。
DESは「デットエクイティスワップ」の略であり、法人が経営者や役員から借り入れた役員借入金などの負債を、資本へ振り替えることを指します。ただし、とくにDESは財務状況が芳しくない会社にて実施されるケースが多いので、実施可否はメリット・デメリットを考慮して判断しなければなりません。
また、役員の同意を得て返済期限や利息は設定できるものの、そもそも財政状況が悪い会社では、ほかにも相続税や退職金など別の問題も浮上する可能性があるのです。
それぞれのリスクも企業に与える損害は甚大なものになるので、会社の状況を総合的に判断しながら最適なリスク対策を「無料で何度も」相談できるマネーキャリアを使うのが必須です。
無料登録は30秒で完了するので、ぜひマネーキャリアを使い、DESの実施可否はもちろんその後にも発生可能性のあるさまざまなリスクへと備えましょう。