

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
>> 井村 那奈の詳細な経歴を見る
この記事の目次
住宅ローン返済中の転勤で「親が住む」のは可能?確認すべきポイント3つ
- 住宅ローン控除が継続できるか
- ローン契約違反にならないか
- 贈与や不動産所得にならないか
住宅ローン控除が継続できるか
- 契約者本人が住んでいる住宅であること
- ローン返済期間が10年以上あること
- 床面積が50㎡以上であること
- 床面積のうち50%以上が居住用であること
原則としては、住宅ローン控除を受ける年の年末にローン契約者本人が住んでいる住宅である必要があります。
ただし、勤務先から転勤の命令を受けるなどのやむを得ない事情がある場合には、本人が単身赴任し、自宅には生計を共にする家族が住んでいれば控除の対象になるとされています。(参考:国税庁ホームページ)
つまり、生計を共にする配偶者や子ども、扶養家族である親などがローン返済中の自宅に住んでいれば住宅ローン控除を継続できる可能性が高いのです。
ローン契約違反にならないか
住宅ローンを利用する前提条件として、「本人が居住する住宅である」という点があります。本人が居住用として使うための住宅だからこそ低い金利でローンが組めるのです。
そのため、契約者本人が引っ越してしまうとローンの規約違反となる可能性があります。転勤が決まったら、借入先の金融機関にローン規約の確認をしてみてください。
贈与や不動産所得にならないか
転勤して自宅を離れている間、家族を無償で住まわせる分には問題ありません。
ただし、親から家賃を受け取ると「不動産所得」扱いになる場合があり、所得税や住民税の課税対象となります。
また、人に貸すための不動産に対して通常の住宅ローンを利用することはできないため、ローンの規約違反になる可能性もあり、注意が必要です。
転勤に関する住宅ローンのお悩みは無料FP相談で解決しよう

転勤が決まったら、どんな点をどのように確認すればいいのか無料FP相談でサポートを受けながら悩みを解決しましょう。
基本的に転勤のようなやむを得ない事情があれば住宅ローンの規約違反や住宅ローン控除の対象外になる可能性は低いですが、お金のプロのアドバイスを受ければ安心です。

住宅ローン返済中の転勤|自宅に親が住む際に話し合うべきこと
ここでは次の3つのポイントにしぼって解説します。
- 固定資産税など維持費の負担割合を決める
- 予期せぬ設備の故障・修繕時の対応について
- 親の住居期間と今後の住まいの計画について
固定資産税など維持費の負担割合を決める
住宅ローン返済以外で必要な維持費を誰が、どのくらいの割合で負担するかを決めておきましょう。
維持費には次のようなものが含まれます。
- 固定資産税
- 都市計画税(居住地域による)
- 管理費、修繕積立費(マンションの場合)
話し合って決めた内容は書面に残しておくと、トラブルを防げるでしょう。
予期せぬ設備の故障・修繕時の対応について
日々の住宅の管理や、予期しない設備の故障による修繕費も必要になるでしょう。
例えば、次のような事態が考えられます。
- 給湯器の故障
- 水回り周辺、または階下への水漏れ
- エアコンの故障
急な修理が必要になった際に誰が業者への連絡を行ったり費用を負担したりするのか、事前に決めておきます。
修理業者や管理会社などの連絡先も含めて、どのような対応をするか書面に残しておいてください。
親の住居期間と今後の住まいの計画について
自分が転勤先から帰ってくる可能性はあるのかどうか、いつ帰ってくるのか、といった情報を共有しておきましょう。
同時に、親御さんの自宅への居住期間と今後の住まいの意向についても尋ねておきます。
転勤から戻らずに、将来的に自宅を売却する可能性がある場合には、そのことも事前に伝えておき、関係者全員で共有できるといいでしょう。
転勤中の自宅はどうする?親が住む以外の選択肢
親御さんが使わない場合の自宅の扱いについて、3つの選択肢を紹介します。
- 空き家にする
- 賃貸に出す
- 売却する
空き家にする
空き家にするのは、転勤が短期間であるとわかっており、転勤期間終了後すぐに自宅へ戻りたい人に向いています。
賃貸に出したり売却したりする手間がかからず、税務署や金融機関への確認が取れれば住宅ローンの支払いを今まで通り継続できる可能性が高い方法です。
デメリットとしては、住んでいない期間も固定資産税などの維持費がかかることと、空き家にすることで家自体が傷む可能性が高いことが挙げられます。
賃貸に出す
賃貸に出すことは、長期間家を空けるものの自宅を手放したくない人や、煩雑な手続き・対応が可能な人に向いています。
賃貸に出すことで転勤中も家賃収入が得られることや建物の劣化を防げることが大きなメリットです。
デメリットとしては、住宅ローンを利用している金融機関の許可が必要で、場合によってはローンを借り換えることになる点、さらには賃貸物件として管理する手間がかかる点が挙げられます。
売却する
転勤の期間がいつ終了するのかわからない場合や、管理の手間をかけたくない場合には、思い切って売却する選択肢もあります。
売却価格がローンの残債を上回る場合、利益が出る可能性があるのが魅力です。
ただし、売却までの期間がかかる場合にはローン返済と維持費が継続して必要になります。さらに、売却価格がローン残債を下回る場合には、ローン返済も続くため費用負担が大きくなるでしょう。
【まとめ】転勤中に親が住むのは可能!ただし控除や税務は慎重に確認を

住宅ローン返済中に転勤することになった場合、自宅に親御さんが住むことは可能です。
ただし、住宅ローン控除を受けられるのかどうか、ローンの規約違反にならないかどうか、贈与や不動産所得とみなされるかどうか、といった点を慎重に確認しましょう。
転勤前に家族で話し合うべきことには、維持費や故障時の費用と対応は誰が担当するのか、また今後の住まいの予定についてなどがあります。
住宅ローン返済中の転勤について、ローンの返済方法や税金についての個別相談ならマネーキャリアがおすすめです。
相談実績豊富なFPが担当し、長期的にサポートします。
