

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- シングルマザーは年金免除される?知っておきたい年金の免除・猶予制度
- ① 前年所得135万円以下のひとり親は申請全額免除の対象
- ② 本人・世帯主の前年所得に応じて一部または全額免除される制度
- ③ 年金の支払いを先送りできる納付猶予制度
- もう一人で悩まない!お金の不安は無料FP相談で解決しよう
- 夫と離婚した場合のシングルマザーの年金制度
- 合意分割制度
- 3号分割制度
- 夫と死別したシングルマザーは遺族年金が受け取れる
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
- シングルマザーが将来受け取れる年金を増やす方法
- パートや会社の厚生年金に加入する
- 過去に免除・納付猶予を受けた分の年金を追納する
- iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
- 無料FP相談を賢く活用してライフプランに合わせた資金計画を立てよう
- シングルマザーの年金についてよくある質問
- 年金は未納のままだとどうなりますか?
- 年金の申請免除・納付猶予に必要な手続きは?
- 将来の年金はいくらもらえますか?
- 【まとめ】シングルマザーの年金・老後資金の不安は無料FP相談で解決しよう
シングルマザーは年金免除される?知っておきたい年金の免除・猶予制度
① 前年所得135万円以下のひとり親は申請全額免除の対象
国民年金の保険料は、障害者や寡婦(寡夫)は全額免除となります。平成31年度には税制が改正されました。これによって、ひとり親で前年度の所得が135万円以下の場合でも、国民年金の保険料は全額免除となっています。
以前は離婚や死別したシングルマザーのみが対象でした。しかし、税制の改正によって、結婚せず子どもを育てているシングルマザーも、全額免除の対象となりました。
② 本人・世帯主の前年所得に応じて一部または全額免除される制度
国民年金には、保険料の免除制度が設けられています。シングルマザーの場合の免除制度の内容は以下のとおりです。
免除内容 | 所得の適用基準 |
---|---|
全額免除 | 67万円以内 |
4分の3免除 | 88万円以内 |
半分免除 | 128万円以内 |
4分の1免除 | 168万円以内 |
上記のようになっていますが、全額免除を除くその他に免除は、所得から扶養親族の控除と社会保険料の控除を引いた金額が、所得の適用基準内だと免除を受けられます。
免除されると、免除された期間分の国民年金額は減額されるので注意しましょう。ただし、免除分の保険料は、一定期間内だと遡って納付が可能です。免除分を納付すれば、満額の保険料支払いとして、将来受け取る年金額が計算されます。
③ 年金の支払いを先送りできる納付猶予制度
国民年金の保険料には、猶予制度も設けられています。シングルマザーが猶予を受けられるのは、以下に該当する場合です。
- 前年度所得が67万円以下
1月から6月までに猶予申請する場合は前々年度、7月から12月に申請する場合は前年度の所得で計算します。実家ぐらしかどうかにかかわらず、どの場合でもシングルマザー本人の所得を基準に計算します。また、猶予制度を申請できるのは、20歳以上50歳未満で第1号被保険者の人です。
もう一人で悩まない!お金の不安は無料FP相談で解決しよう

国民年金は、老後を賄う重要なお金となり、保険料の支払い期間によって年間いくらの年金がもらえるか決まってきます。国民年金であれば免除や猶予が使えるので、保険料の支払いが厳しいならばそのような制度を積極的に利用しましょう。
経済面を考えれば少しでも早く免除や猶予制度を使い、保険料をできるだけ多く支払えるようにしたほうが賢い選択です。自分が免除や猶予を使えるのか、どのように年金の保険料を支払えばいいか悩んでいる方は、FPに相談すると対策や解決方法を提示してくれるでしょう。

夫と離婚した場合のシングルマザーの年金制度
合意分割制度
合意分割制度とは、年金の分割額を夫婦間で決められる制度です。夫婦のそれぞれの厚生年金学を比べて、受給額が少ないほうが多い方に対して請求できます。請求できる上限は50%となっており、話し合いでどのような金額の割合にするか決まらない場合は、裁判での決定となります。また、合意分割の対象となるのは、婚姻中に加入していた厚生年金期間の全期間です。
もしも上限の50%で分割するとなれば、夫婦のどちらかのみではなく、両方の厚生年金を合わせた額を元に、半分ずつ分割します。
3号分割制度
3号分割制度とは、第3号被保険者が配偶者に対して、厚生年金記録を2分の1ずつ夫と妻で分けることができる制度です。つまり、夫の配偶者となっていたシングルマザーであれば、夫の記録の半分を自分の厚生年金記録とできる制度です。
ただし、分割できるのは第3号被保険者になっていた時期のみであり、なおかつ2008年4月1日以降の期間のみが対象となります。3号分割制度は、合意分割制度とは違い、第3号被保険者となっていた人物が、請求すれば自動的に記録が分割されます。
2008年4月1日から離婚まで専業主婦であったならば、3号分割制度のみ利用することになるでしょう。しかし、期間中に働いており第3号被保険者から外れた時期があるならば、合意分割制度も利用することもできます。
両方の分割制度を利用する場合、最寄りの年金事務所で合意分割請求すれば、3合分割も請求されたとみなされるため、改めて請求する必要はありません。以下に合意請求と3号分割の違いをまとめておきます。
分割内容 | 合意分割 | 3合分割 |
---|---|---|
分割対象者 | 夫婦の両方 | 第3号被保険者 |
分割対象期間 | 離婚するまでの 厚生年金加入期間 | 2008年4月1日以降の 厚生年金加入期間 |
分割決定方法 | 夫婦間での話し合い 裁判での決定 | 請求によって 自動的に決定 |
分割割合 | 最大で 2分の1 | どんな場合も 2分の1 |
夫と死別したシングルマザーは遺族年金が受け取れる
遺族基礎年金
基礎遺族年金は、子どものいるシングルマザー、またはその子どもが受給できる年金です。死別した夫が以下のどれかの要件を満たしていると年金を受給できます。
- 国民年金の受給資格があった
- 国内に住む60歳~64歳の国民年金の受給資格者だった
- 老齢基礎年金の受給資格を満たしていた
受け取れる年金額は以下のとおりです。
- 1956年4月2日以降の生まれ : 816,000円+子どもの加算額
- 1956年4月1日以前の生まれ : 813,700円+子どもの加算額
子どもの加算額は、以下のようになります。
- 1人目または2人目 : ひとりにつき234,800円
- 3人目以降 : ひとりにつき78,300円
遺族厚生年金
厚生年金に加入していた夫が亡くなったときに、その遺族に支給される年金です。遺族とは厚生年金の被保険者と生計をともにして、年収850万円未満であった人物が該当します。亡くなった人物が、以下のどれかの条件を満たしていると受給できます。
- 厚生年金に加入中だった
(加入期間の3分の2以上の期間で保険を納付、直近1年間で未納していない) - 老齢厚生年金受給資格があった、または受給中だった
- 1級または2級の障害厚生年金を受給していた
また、生計をともにしていた遺族は、以下の受給順位が定められています。
- 子どものいるシングルマザー
- 子ども
- 子どものいないシングルマザー
- 父母
- 孫
- 祖父母
受け取れる年金額は、死亡した人物の老齢厚生年金の報酬比例部分を下に計算され、比例部分の4分の3です。
シングルマザーが将来受け取れる年金を増やす方法

パートや会社の厚生年金に加入する
平均的な年金受給額を比較すると、国民年金よりも厚生年金のほうが2倍ほど金額が高いです。そのため、厚生年金を受給したほうが、将来受け取れる年金額が高くなる傾向にあります。
将来の年金受給額を増やすならば、厚生年金保険に加入しましょう。正社員として働くか、パートならば会社の厚生年金保険で加入できます。パートで厚生年金保険に加入できる条件は以下のとおりです。
- 1週間の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
- 1ヶ月間の所定労働日数が一般社員の4分の3以上
「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」または「国・地方公共団体に属する事業所」であれば、以下の条件を満たせば加入できます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 所定内月額賃金が8.8万円以上
- 学生でないこと
過去に免除・納付猶予を受けた分の年金を追納する
もしも、いままでに国民年金の免除や猶予を受けたならば、その期間の保険料支払額は満額ではありません。場合によっては全額未納というケースもあります。保険料の支払額が満額に近くなるほど、国民年金受給額が増えるので、免除や猶予で支払っていない期間があれば、その期間分を後で追納可能です。
追納できるのは、現在から10年前までの免除または猶予での未納分です。また、支払いを忘れていた場合、納付期限から2年後までなら後からの納付が可能です。具体的な未納保険料を知りたいなら、役所の年金窓口で確認しましょう。追納は「年金事務所の窓口」または「オンラインのねんきんネット」から行えます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、私的年金の1つです。自分で毎月の掛金を決めて積み立てていき、60歳以降になると老齢給付金として受け取れます。満20歳以上満60歳未満の公的年金に加入している人ならば、だれでも加入可能です。
「積立金は住民税や所得税の控除対象」「積み立てで得たれた利益は非課税」「公的年金や退所所得などの控除にもなる」というメリットがあります。また、掛金は月額5,000円から可能となっており、少額から積み立てできるのもメリットです。
iDeCoに加入するならば、最初にどの金融機関で毎月いくら積み立てるかを決めましょう。その次に、運営管理機関で加入申込を行い、その後金融機関で積み立てていきます。
無料FP相談を賢く活用してライフプランに合わせた資金計画を立てよう

シングルマザーとして生活するうえでは、子育て資金、住宅資金、老後資金、資産運用など、いくつものお金に関する悩みや不安は出てくるものでしょう。老後のお金である年金についても不安はあるものです。現在の収支をもとに、どのように年金や老後資金を確保するか、考えていきたいものです。
老後や年金に関する悩みは、お金の知識が豊富なFPに相談してみましょう。FPに相談すれば、将来どのような年金を受け取れるか、年金を増やすにはどうすればいいかとアドバイスがもらえます。
シングルマザーの年金についてよくある質問
年金は未納のままだとどうなりますか?
年金の保険料を支払わず未納のままであると、以下のようなリスクが出てきます。
- 未納が続くと財産を差し押さえられる
- 将来の受給できる年金額が減る
- 遺族年金や障害年金も受給できなくなる
- 延滞金が加算される
未納のままだと、最初ははがきで催告状が届きます。その次に督促状が届き、この時点で延滞金が発生します。そして、最終的に財産の差し押さえとなり、預貯金や自動車、不動産などが差し押さえられるので、未納分は早めに納付しましょう。
また、将来の年金額が減ります。さらに、遺族年金や障害年金は、一定期間以上の年金加入期間が必要となるため、場合によっては期間が足りず受け取ることができません。
年金の申請免除・納付猶予に必要な手続きは?
年金の免除や猶予の申請は、現在住所のある市役所の国民年金窓口で行えます。窓口へは郵送または書類持参で申請します。また、マイナポータルからの申請も可能です。マイナポータルは、パソコンやスマートフォンを使って申請できる方法であり、利用するにはマイナンバーカードが必要です。
申請できる時期は、毎年6月~7月までです。基本的に毎年申請を行う必要がありますが、全額免除または納付猶予となった場合は、翌年は継続審査となるので、前年と収入条件が変わらなければ、新たに申請する必要はありません。わからないことがあれば、市役所の窓口で聞いてみましょう。
将来の年金はいくらもらえますか?
将来受け取れる年金額を確認する方法は、以下のとおりです。
- ねんきん定期便のハガキで確認
- ねんきんネットで確認
ねんきん定期便は毎年送られてくる年金の通知書です。ねんきんネットは、年金受給額を確認できるオンラインサイトです。
ねんきん定期便は誕生日になると送られてくるハガキとなっており、保険料の納付額、未納額、免除や猶予の期間、将来の受給額が記載されています。自動的に送られてくるので、取り寄せのための手続きは必要ありません。
ねんきんネットにも、加入期間や将来の受給額などが記載されています。利用するときには、マイナポータルから登録するか、ねんきんネットでIDを登録して利用開始します。
【まとめ】シングルマザーの年金・老後資金の不安は無料FP相談で解決しよう

生活するうえでお金は必要なもの。将来の年金や老後資金の悩みはつきものです。どれぐらいのお金が必要となるのか、いくらのお金を確保できるのかなども、数値として算出しにくくイメージが湧きにくいため不安に思うシングルマザーの方も多いでしょう。
そんな、年金や老後資金のお金について相談できる場所がFPです。賢く老後の資金を確保する方法や、家計から将来への蓄えを捻出する知恵に長けています。
FPに相談するならば、マネーキャリアがおすすめです。相談料は無料であり、何回でもじっくり相談していけます。訪問相談のほかにオンライン相談も利用できるので、時間のあるときに手軽に相談できますよ。
