
内容をまとめると
- 産後パパ育休は「最大4週間・取得自由度が高く・2025年から手取り10割給付も可能」という利点があり、育休は「最長2年・企業手当の可能性・子育て時間を確保しやすい」が、後半の給付率低下などがデメリット。
- 家計への負担やキャリアへの影響は収入・働き方・家庭の価値観によって変わるため、「産後パパ育休だけ」「短期育休との併用」「長期育休」といった取得パターンを月収別シミュレーションとあわせて検討することが必要。
- ただ、結局は家庭の状況によってどのように制度を利用するべきかは変わるため、無料で何度でもFPに相談できる「マネーキャリア」を利用する人が増えている。

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 産後パパ育休と育休の違いは?併用はできる?
- 産後パパ育休と育休はどっちが得?
- 産後パパ育休のメリット・デメリット
- 育休のメリット・デメリット
- 産後パパ育休と育休は併用することができる
- どっちを取るべき?パターン別におすすめの選択肢を紹介
- 産後パパ育休のみ取得するのがおすすめの人
- 産後パパ育休+短期育休がおすすめの人
- 長めの育休がおすすめの人
- 産後パパ育休と育休の併用は可能?パターン例も紹介
- 産後パパ育休とは?
- 産後パパ育休の対象者・取得条件
- 出生時育児休業給付金の支給額の例
- 2025年4月から手取り10割給付の対象条件になる
- 育休とは?
- 育休の対象者・取得条件
- 育児休業給付金の支給額の例
- パパ・ママ育休プラス制度によって1歳2ヶ月まで育児休業を延長できる
- 産後パパ育休と育休の月収別シミュレーション
- 月収25万円の場合
- 月収35万円の場合
- 月収50万円の場合
- 育休や子育てのお金の不安がある方におすすめのサービス
- まとめ:産後パパ育休と育休はどっちが得?違いは?
産後パパ育休と育休の違いは?併用はできる?
項目 | 産後パパ育休(出生時育児休業) | 育児休業(育休) |
---|---|---|
対象者 | 男性のみ | 男女問わず |
取得可能期間 | 子の出生後8週間以内 | 原則として子が1歳になるまで |
休業期間 | 最大4週間(28日) | 原則1年間(延長により最大2年) |
申請期限 | 原則休業開始の2週間前まで | 原則休業開始の1か月前まで |
分割取得 | 2回まで分割可能 | 2回まで分割可能(2022年10月~) |
休業中の就業 | 労使協定により部分的就業可能 (事前に労使で合意した範囲内) | 原則就業不可 (一時的・臨時的な就業は例外的に可能) |
給付金 | 出生時育児休業給付金 (休業開始時賃金の67%) | 育児休業給付金 (開始から180日:67%、以降:50%) |
社会保険料 | 要件を満たせば免除 | 要件を満たせば免除 |
他制度との併用 | 育児休業と併用可能 | 産休パパ育休と併用可能 |
取得のタイミング | 出産直後の集中的な育児参加 | 長期間の育児参加 |
産後パパ育休と育休はどっちが得?
産後パパ育休と育児休業(育休)はどっちが得なのか。結論、何を軸に考えるかによってどちらに得があるのか変わってきます。
ここでは経済的な面にフォーカスして、それぞれのメリット・デメリットを比較していきます。
産後パパ育休のメリット・デメリット
産後パパ育休と育児休業(育休)どっちが得なのか迷ったら、それぞれのメリット・デメリットを整理して検討しましょう。
産後パパ育休のメリットは下記の通り。
- 出生時育児休業給付金を受け取れる(賃金日額の67%)
- 休業期間が短いため経済的影響が少ない
- 2025年4月から給付率が引き上げられる(手取りの10割相当)
- 14日以上取得する場合には社会保険の免除対象となる
産後パパ育休のデメリットは下記の通りです。
- 休業できる期間が短くいため受給できる給付金総額も少ない
育休のメリット・デメリット
産後パパ育休と育児休業(育休)どっちが得なのか迷ったら、それぞれのメリット・デメリットを整理して検討しましょう。
育休のメリットは下記の通り。
- 育児休業給付金の支給を受け取れる(180日までは賃金日額の67%、その後は50%)
- 社会保険料が免除される
- 企業によっては独自の育休手当があることも
育休のデメリットは下記の通りです。
- 休業開始後180日以降は給付率が下がる
- 休業できる期間が長いため経済的影響が大きい
産後パパ育休と育休は併用することができる
妻 | 夫 | |
---|---|---|
出産後8週間まで | 産前産後休業を取得 | 産後パパ育休を4週間取得 |
産後8週間以降 | 育児休業(育休)を取得 | 産後パパ育休終了後に 育児休業を取得 |

どっちを取るべき?パターン別におすすめの選択肢を紹介
産後パパ育休か育児休業(育休)どっちが得なのか、どっちを取得するべきなのでしょうか。パターン別におすすめの選択肢を紹介します。
産後パパ育休のみ取得するのがおすすめの人
産後パパ育休のみ取得するのがおすすめの人の特徴として、下記が挙げられます。
- キャリアへの影響を最小限にしたい
- 家計への影響をなるべく抑えたい
- 産後の体調回復や育児に慣れるまで休業したい
- 給付率アップ(出生時育児休業給付金取得)条件をクリアしたい
2025年の4月から創設された出生時育児休業給付金の取得条件は「夫婦で14日以上育休を取ること」です。
産後パパ育休のみ取得すれば、経済的影響は最小限にとどめながら給付率をアップすることが可能。これにより手取り10割相当を受給できるようになり、休業中の収入減を気にすることなく育児や家事に専念できます。
産後パパ育休+短期育休がおすすめの人
産後パパ育休か育児休業(育休)どっちが得なのか迷ったら、併用することもできます。産後パパ育休+短期育休がおすすめの人の特徴として、下記が挙げられます。
- 仕事と育児を両立しながらパートナーのサポートをしたい
- 長期の休みがとりにくい
- 育児の負担を夫婦でバランスよく分担したい
産後パパ育休と短期育休を併用すれば休みを分割して取得できるため、「産後直後」「復職前後」など、サポートが必要な時期に夫婦で協力して育児・家事に取り組めます。
長めの育休がおすすめの人
- 家族との時間を大切にしたい
- 家計・貯蓄に余裕がある
- 夫婦のキャリアバランスを考えながら育児を分担したい
- 会社の育休支援が手厚く、キャリア復帰しやすい
長めの育休を取得すれば、家族の時間を大切にできるほか、配偶者の復職サポートができるというメリットがあります。
ただし、長い休業が今後のキャリアに影響するようなら要注意。育休期間の長短は、夫婦でしっかりと話し合いましょう。
産後パパ育休と育休の併用は可能?パターン例も紹介
産後パパ育休と育児休業(育休)は、制度上併用が可能です。
それぞれの特徴を活かすことで、出産直後から育児後半まで、計画的に育休を取得することができます。
併用の代表的なパターンには、以下のようなものがあります。
- 連続取得:出産後すぐに産後パパ育休(最大4週間)を取り、そのまま育休に移行する方法。
- 分割取得:産後パパ育休を2回に分けて取得し、その後に育休を取得する方法。
- 夫婦で交代取得:妻が育休を取り、夫はその前後で産後パパ育休と育休を取得するパターン。
- 最大取得期間:産後パパ育休(4週間)+育休(1年間)で最大約13か月。
- 申請手続き:それぞれの制度で別々に申請が必要。
- 給付金:各制度ごとに支給されるが、重複期間には支給されない。
- 社会保険料:各制度の要件を満たせばそれぞれ免除される。
- 柔軟な育児参加:出産直後と後期で異なる育児ニーズに対応しやすい。
- 経済的負担の軽減:給付金を長期にわたり受け取ることができる。
- キャリアの継続:段階的な復職によって職場との接点を保ちやすい。
産後パパ育休とは?
産後パパ育休と育児休業(育休)どっちが得なのか迷ったら、それぞれの特徴を整理して検討しましょう。
産後パパ育休の主な特徴は下記の通りです。
- 出生後8週間以内に最大4週間取得可能
- 2回まで分割して取得可能
- 休業中は出生時育児休業給付金を受給できる
- 通常の育児休業と併用可能
- 上限額は294,344円(令和6年8月、毎年変更あり)
- あらかじめ労使協定を締結していれば休業中に就労可能(月10日、80時間以内)
以下で産後パパ育休の対象者や取得条件、支給額の例などを詳しく紹介していきます。
産後パパ育休の対象者・取得条件
産後パパ育休(出生時育児休業給付金)の対象者は下記の通り。
- 雇用保険の被保険者
- 出生後8週間以内の子を養育する産後休業をしていない男女労働者
産後パパ育休(出生時育児休業給付金)の取得要件は下記の通りです。
- 育児休業の開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある。または就業した時間数が80時間以上の月が12か月以上ある
- 休業開始中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること
詳しくは厚生労働省WEBサイト「Q&A~育児休業給付~」をご確認ください。
出生時育児休業給付金の支給額の例
出生時育児休業給付金の支給額を下記の条件でシミュレーションします。
- 月収:30万円
- 休業開始時賃金日額:直近6ヶ月の賃金(30万×6)÷180=10,000円
- 休業期間:28日
出生時育児休業給付金は、賃金日額(10,000円)×休業期間の日数(28日)×67%=187,600円となります。
2025年4月から手取り10割給付の対象条件になる
2025年4月から「出生後休業支援給付金」が創設されたことにより、これまで賃金日額の67%(社会保険料の免除と合わせて手取り額の8割程度)だった給付金に賃金の13%分が上乗せされ、手取りの10割相当が支給されます。
出生後休業支援給付金を受給する条件は「夫婦で14日以上育休を取ること」、期間は最大で28日間。なお、配偶者が専業主婦(夫)の家庭やひとり親家庭は、育休取得の有無に関わらず受給できます。
育休とは?
産後パパ育休と育児休業(育休)どっちが得なのか迷ったら、それぞれの特徴を整理して検討しましょう。
育児休業(育休)の主な特徴は下記の通りです。
- 子どもが1歳になるまで取得可能(最長2歳まで延長可)
- 2回まで分割して取得可能
- 休業中は育児休業給付金を受け取れる
- 休業開始から180日間は賃金日額の67%、以降は50%を受給できる
- 上限額は315,369円(67%)、もしくは235,350円(50%)(令和6年8月時点、毎年変更あり)
- 休業中は原則就業不可
以下で育休の対象者や取得条件、支給額の例などを詳しく紹介していきます。
育休の対象者・取得条件
育休(育児休業給付金)の対象者は下記の通り。
- 雇用保険の被保険者
- 1歳に満たない子を養育する男女労働者
育休(育児休業給付金)の取得要件は下記の通りです。
- 育児休業の開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある。または就業した時間数が80時間以上の月が12か月以上ある
- 休業中の就業が月10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること(原則は就業不可)
詳しくは厚生労働省WEBサイト「Q&A~育児休業給付~」をご確認ください。
育児休業給付金の支給額の例
育休中に受給できる育児休業給付金の支給額を下記の条件でシミュレーションします。
- 月収:30万円
- 休業開始時賃金日額:直近6ヶ月の賃金(30万×6)÷180=10,000円
- 休業期間:1年
育児休業給付金は、{賃金日額(10,000円)×180日×67%}+{賃金日額(10,000円)×180日×50%}=2,106,000円となります。
パパ・ママ育休プラス制度によって1歳2ヶ月まで育児休業を延長できる
夫婦ともに育休を取得する場合、「パパ・ママ育休プラス制度」によって1歳2ヶ月まで育児休業を延長できます。
本来、原則子どもが1歳に達する日までとされている育休を延長することで、夫婦での育児や家事を分担できるうえ、子どもと過ごす時間をより長く確保できます。
パパ・ママ育休プラス制度を利用する条件は下記の通りです。
- 配偶者が子が1歳に達する日までに育児休業を取得している
- 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前である
- 本人の育児休業開始予定日が、配偶者の育児休業初日以降である
産後パパ育休と育休の月収別シミュレーション
育児休業中に受け取れる給付金は、休業前6ヶ月の賃金をもとに計算されます。
月収によって受給額や家計への影響は大きく異なるため、自分の収入に近いケースを想定しておくことが重要です。
ここでは月収25万円・35万円・50万円の3パターンで、産後パパ育休(28日)と育休(1年)の給付額をシミュレーションしてみます。
あくまで目安ではありますが、ご自身の家庭での育休計画に役立ててみてください。
月収25万円の場合
月収25万円の場合、日額は約8,333円(25万円×6ヶ月÷180日)です。
産後パパ育休(28日)では、給付金は約156,000円(8,333円×28日×67%)となります。
育休1年間では、前半6ヶ月が月約167,500円、後半6ヶ月が月約125,000円、合計で約1,785,000円の支給が見込まれます。
最低限の生活費はまかなえる金額ですが、住宅ローンや教育費など固定費が多い場合は、事前の家計調整や貯蓄活用も視野に入れると安心です。
月収35万円の場合
月収35万円だと、日額は約11,666円となり、産後パパ育休では約218,000円(11,666円×28日×67%)の給付金が支給されます。
育休1年間では、前半6ヶ月で月約234,500円、後半6ヶ月で月約175,000円、合計で約2,467,000円となります。
この収入帯であれば、一定の貯蓄があれば家計への大きな負担は抑えられます。
育休取得と同時に、保険や固定費の見直しを行うことで、より安定した育児期間を過ごすことができるでしょう。
月収50万円の場合
月収50万円以上になると、育児休業給付金の上限額が適用されます。
令和6年度の上限は、67%時で月315,369円、50%時で月235,350円です。
産後パパ育休(28日)でも、支給額は約294,000円(上限適用)となります。
育休1年間では前半が315,369円×6ヶ月、後半が235,350円×6ヶ月で、合計約3,072,000円となります。
実際の月収に比べると収入は減りますが、高収入世帯ほど貯蓄や資産運用の余力があることも多いため、将来の育児や教育資金も見据えて、計画的に取得するのが理想です。
育休や子育てのお金の不安がある方におすすめのサービス
育休を取得することで一時的に収入が減ることは避けられず、今の生活費や将来の教育費に対して不安を感じる方は多いでしょう。
特に子育て初期は出費がかさみやすく、年収を急に増やすのが難しい中では、支出を見直すことがもっとも現実的な対策となります。
とはいえ、保険の整理や育休中の生活設計、資産運用までを自分だけで考えて実行するのは、時間も知識も必要でハードルが高いのが実情です。
そこで頼りになるのが、家計やライフプランに詳しいファイナンシャルプランナー(FP)で、収入と支出のバランスを見ながら無理のない育休計画を一緒に立ててくれます。
中でも「マネーキャリア」は、無料で何度でも相談できるため、忙しい育児中でもスキマ時間に家計の不安を“見える化”し、安心して育休を活用できるサポートをしてくれます。

▼マネーキャリアの概要
- お客様からのアンケートでの満足度や実績による独自のスコアリングシステムで、年収や節税について知見の豊富な、ファイナンシャルプランナーのプロのみを厳選。
- 資産形成や総合的なライフプランの相談から最適な解決策を提案可能。
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まとめ:産後パパ育休と育休はどっちが得?違いは?
産後パパ育休と育児休業(育休)は、それぞれに異なる特徴とメリット・デメリットがありますが、短期間で柔軟に取得できる産後パパ育休は出産直後のサポートやキャリアへの影響を抑えたい方に適しています。
一方、長期的に子育てに関わりたい方には育休の方が育児時間を確保しやすく、企業独自の手当などで経済的な支援を受けられる可能性もあります。
併用も可能なため、夫婦でスケジュールを調整しながらお互いの育児負担を分担できるプランを立てるのも有効です。
実際の給付金額は月収によって異なり、育休の前半後半で支給率も変わるため事前のシミュレーションが大切になりますが、給付金の多寡だけでなく家計の支出バランスやキャリアへの影響も含めたトータルでの判断が求められます。
「うちの場合はどっちが本当に得なんだろう」と悩んでいる方には、家計とキャリアを総合的に見ながらアドバイスしてくれる「マネーキャリア」の活用がおすすめです。
オンラインで何度でも無料で相談できるため、忙しい育児中でも無理なく家計設計ができ、安心して制度を活用できますよ。