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この記事を読んで分かること
  • そもそも、振替加算とは
  • 振替加算の仕組み
  • 振替加算の支給額
  • 振替加算が分からない人への対処法

内容をまとめると

  • 振替加算とは国民年金が任意加入であった時代の救済措置として作られたもの
  • 振替加算の最高額は年間223,800円で妻の年齢が若いほど額は少ない
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振替加算とは何かを、振替加算のもらえる条件、受給額、手続き方法、いつまでもらえるかなどを含めてわかりやすく解説しています。また、振替加算と繰り上げ、繰り下げとの関係や振替加算は停止されることもあるということを説明しています。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

振替加算とは?支給条件・受給額・手続き方法をわかりやすくご紹介!



加給年金の支払いが停止された後に一定条件を満たした場合に、配偶者に支払われる振替加算。


振替加算を受け取れる条件や受給額などは制度が複雑なこともあって、理解できていない人も多いのではないでしょうか。


結論、振替加算の対象となる人は「生年月日が大正15年4月2日から昭和41年4月1日の人」のみです。


そのため、2022年現在で56歳未満の人にとってはそもそも関係のない制度になります。


今回は、振替加算が受け取れる条件や、あなた自身が受け取れる金額、手続きの方法についても詳しく解説していきます。


振替加算についてしっかりと理解し、老後の生活についてシュミレーションをしてみましょう。

振替加算は加給年金が打ち切られた後にもらえる!


まず、振替加算について説明する前に加給年金について軽く説明します。


加給年金とは夫が65歳になって老齢厚生年金や障害厚生年金を受け取れるようになった時に、65歳未満の妻や18歳未満の子供がいる場合に、夫の受け取る厚生年金が一部増額される制度のことです。


この加給年金は妻が65歳に到達した時点で受給が停止されるため、そもそも歳の差が離れていない場合は対象外です。


妻が65歳になって老齢基礎年金を受け取れるようになった場合、今まで加給年金として受け取っていた金額の一部が妻の老齢基礎年金に追加されるようになります。


夫が受け取っていた加給年金が妻の老齢基礎年金に移るため、振替加算と呼ばれています。


どのくらいの金額が受け取れるのかについては年齢によって異なるため、後で詳しく解説します。


この例では、夫が年上で妻の生計を維持している例で紹介しましたが、当然逆の場合においても加給年金、振替加算の制度は適用されます。

振替加算をもらうための条件

ここまで、振替加算について基本的な情報を紹介していきました。


年金に追加で給付が受け取れることによって、老後の年金生活にゆとりが生まれ、生活水準が向上される可能性もあります。


ここからは、実際に振替加算が受け取れる条件について詳しく解説していきますので、しっかりと理解していきましょう。


以下のポイントについて全て満たしている場合、初めて振替加算の対象者であるため、1つでも当てはまっていない場合は対象外になることに注意しておきましょう。


それぞれのポイントについてもう少し具体的に説明していきます。

  • ①夫(妻)が20年以上厚生年金に加入している
  • ②妻(夫)の厚生年金保険及び共済組合などの加入期間が20年未満
  • ③大正15年4月2日から昭和41年4月1日の間に生まれている
  • ④妻の厚生年金保険の35歳以降の加入期間が15〜19年未満

①夫(妻)が20年以上厚生年金に加入している

振替加算を受け取る条件の1つ目が「夫(妻)が20年以上厚生年金に加入している」点です。


前段階となる加給年金を受け取る条件と同様に、年上である夫(妻)の厚生年金に加入している期間が20年以上である必要があります。


この20年という期間は、一度企業などをして厚生年金から離脱していたとしても、トータルで20年以上加入していれば問題ありません


20年といった期間については「240ヶ月」を意味しており、240ヶ月に1ヶ月でも足りていない場合は支給の対象となりません。


例として、239ヶ月で厚生年金から離脱した場合は、1円も支給されません。


そのため、ご自身の加入期間がどのくらいなのかについてはしっかりと把握しておきましょう。


また、現在退職などを考えている場合は厚生年金の加入している期間も理解した上で選択するようにしましょう。

②妻(夫)の厚生年金保険及び共済組合などの加入期間が20年未満

振替加算を受け取る条件の2つ目が「妻(夫)の厚生年金保険及び共済組合などの加入期間が20年未満」点です。


こちらに関しても加給年金を受け取れる条件と同様です。


また、20年未満という期間は正確には「240ヶ月」である点にも注意しておきましょう。


配偶者側の厚生年金の加入期間についての条件がある理由としては、そもそも加給年金や振替加算は、所得が少なく老後の生活が厳しくなる人に向けての年金制度の側面があるためです。


厚生年金や共済組合に長期間加入している人は、新たに年金を増額しなくても生活を維持していける想定のもと、振替加算や加給年金は導入されています。


そのため、定年まで共働きで働いている夫婦などに関しては対象外になってしまうケースが多いことを念頭に入れておきましょう。

③大正15年4月2日から昭和41年4月1日の間に生まれている

振替加算を受け取る条件の3つ目が「大正15年4月2日から昭和41年4月1日の間に生まれている」点です。


振替加算が受け取れるかどうかについては、生年月日によって異なります。


具体的には大正15年4月2日から昭和41年4月1日の間に生まれた人、つまり2022年現在で、57歳から96歳の人が振替加算の対象となります。


詳しい金額については後述しますが、この期間に生まれているのであれば、年齢が高ければ高いほど振替加算の金額は高いです。


この背景としては、そもそも振替加算は国民年金の加入が任意であった時期への対応策として導入されました。


任意加入の時期に加入していない、もしくは加入期間が短く老齢基礎年金が満額もらえない人が生活を維持するのが難しいだろうという判断のもと、採用された仕組みです。


そのため、現在のような国民年金が義務付けられている世代においては振替加算が適用されないのです。

④妻の厚生年金保険の35歳以降の加入期間が15〜19年未満

振替加算を受け取る条件の4つ目が「妻の厚生年金保険の35歳以降の加入期間が15〜19年未満」点です。


妻が厚生年金に加入している場合、35歳以上においてどのくらい厚生年金の加入期間があるのかによって振替加算が受け取れるのかについて変わってきます。


また、その期間については妻の生年月日によって異なるため、以下の表をご覧ください。

妻の生年月日厚生年金の加入期間
昭和22年4月1日より前180ヶ月(15年)
昭和22年4月2日〜昭和23年4月1日192ヶ月(16年)
昭和23年4月2日〜昭和24年4月1日
204ヶ月(17年)
昭和24年4月2日〜昭和25年4月1日216ヶ月(18年)
昭和25年4月2日〜昭和26年4月1日228ヶ月(19年)

(日本年金機構の「加給年金額と振替加算」よりほけんROOMが作成)


妻が夫の生計を維持している場合に関しては、夫の年齢が40歳以上に表の加入期間に達していないことが必要な点も押さえておきましょう。

振替加算の受給額

続いて、実際に振替加算がどのくらい支給されるのかについて具体的に説明してきます。


先ほどから記述している通り、振替加算は妻の年齢が高齢であればあるほど給付額が大きいため、妻の年齢が若いほど少ないです。


詳しい金額については下記の表をご覧ください。

妻の生年月日振替加算額(年間)振替加算額(月間)
昭和2年4月1日まで223,800
18,650
昭和2年4月2日〜昭和3年4月1日217,75718,146
昭和3年4月2日〜昭和4年4月1日211,93917,661
昭和4年4月2日〜昭和5年4月1日205,89617,158
昭和5年4月2日〜昭和6年4月1日199,85316,654
昭和6年4月2日〜昭和7年4月1日194,03516,169
昭和7年4月2日〜昭和8年4月1日187,99215,666
昭和8年4月2日〜昭和9年4月1日181,94915,162
昭和9年4月2日〜昭和10年4月1日176,13114,677
昭和10年4月2日〜昭和11年4月1日170,08814,174
昭和11年4月2日〜昭和12年4月1日164,04513,670
昭和12年4月2日〜昭和13年4月1日158,22713,185
昭和13年4月2日〜昭和14年4月1日152,18412,682
昭和14年4月2日〜昭和15年4月1日146,14112,178
昭和15年4月2日〜昭和16年4月1日140,32311,693
昭和16年4月2日〜昭和17年4月1日134,28011,190
昭和17年4月2日〜昭和18年4月1日128,23710,686
昭和18年4月2日〜昭和19年4月1日122,41910,201
昭和19年4月2日〜昭和20年4月1日116,3769,698
昭和20年4月2日〜昭和21年4月1日110,3339,194
昭和21年4月2日〜昭和22年4月1日104,5158,709
昭和22年4月2日〜昭和23年4月1日98,4728,206
昭和23年4月2日〜昭和24年4月1日92,4297,702
昭和24年4月2日〜昭和25年4月1日86,6117,217
昭和25年4月2日〜昭和26年4月1日80,5686,714
昭和26年4月2日〜昭和27年4月1日74,5256,210
昭和27年4月2日〜昭和28年4月1日68,7075,725
昭和28年4月2日〜昭和29年4月1日62,6645,222
昭和29年4月2日〜昭和30年4月1日56,6214,718
昭和30年4月2日〜昭和31年4月1日50,8034,233
昭和31年4月2日〜昭和32年4月1日44,7603,730
昭和32年4月2日〜昭和33年4月1日38,7173,226
昭和33年4月2日〜昭和34年4月1日32,8992,741
昭和34年4月2日〜昭和35年4月1日26,8562,238
昭和35年4月2日〜昭和36年4月1日20,8131,734
昭和36年4月2日〜昭和37年4月1日14,9951,249
昭和37年4月2日〜昭和38年4月1日14,9951,249
昭和38年4月2日〜昭和39年4月1日14,9951,249
昭和39年4月2日〜昭和40年4月1日14,9951,249
昭和40年4月2日〜昭和41年4月1日14,9951,249
昭和41年4月2日以降給付なし給付なし

(日本年金機構「加給年金額と振替加算」よりほけんROOMが作成)


もう少し具体例を交えて紹介ていきます。

  • 95歳から96歳:223,800円(配偶者加給年金額と同額)
  • 57歳から94歳:223,800円未満(年齢が若くなるごとに減額)
  • 56歳から:もらえない

95歳から96歳:223,800円(配偶者加給年金額と同額)

1つ目の例が「妻の年齢が95歳から96歳の場合」です。


振替加算を受給できる条件が揃っているとして、2022年現在で妻の年齢が95歳から96歳の場合は、加給年金と同額の223,800円が年間で給付されます。


この金額は月に換算すると18,000円程度であるため、少ない金額ではありませんよね。

57歳から94歳:223,800円未満(年齢が若くなるごとに減額)

2つ目の例が「妻の年齢が57歳から94歳の場合」です。


2022年現在で57歳に近ければ近いほど振替加算の金額は少なくなり、逆に94歳に近いほど高くなります。


上の表を見てもらえば分かるように、おおよそ年齢が1歳変わることで年間に給付される金額が6,000円程度変化していく仕組みになっています。


これは、年齢が高いほど国民年金が任意加入であった期間に加入していない期間が長くなっていることが要因として挙げられます。

56歳から:もらえない

最後に3つ目の例が「妻が56歳未満の場合」です。


結論としては、妻の年齢が56歳未満の場合は振替加算は給付されません


先ほど記載したように振替加算は国民年金が任意加入であった際の救済措置としての役割を果たしています。


56歳未満の世代に関しては国民年金が義務化されているため、振替加算の必要はないという判断となり給付がされないという解釈です。

振替加算の手続き方法

続いて、振替加算の手続きについて説明していきます。


結論基本的に手続きは不要で、自動的に加給年金から更新されるようになっています。


しかし、例外として妻が65歳になった後に夫の厚生年金に加入している期間が20年を超えた場合、もしくは中高齢の特例に該当した場合は手続きが必要な場合があります。


まず、中高齢の特例に該当する場合について解説していきます。


中高齢の特例とは、夫が40歳になった以降に共済組合などの加入期間を除いた厚生年金の加入期間が以下の表に記載してある年数以上の場合に適応されます。

夫の生年月日加入期間
昭和22年4月1日より前
15年
昭和22年4月2日から昭和23年4月1日まで
16年
昭和23年4月2日から昭和24年4月1日まで17年
昭和24年4月2日から昭和25年4月1日まで18年
昭和25年4月2日から昭和26年4月1日まで19年

(日本年金機構の「振替加算を受けられるようになったとき」よりほけんROOMが作成)


続いて、夫が厚生年金の加入期間が240ヶ月に到達した時期によって給付される時期が異なるため、そちらも表にまとめておきます。

240ヶ月に到達した時期振替加算が給付される日
60歳時点で240ヶ月に達している場合厚生年金開始年齢の誕生日の前日
60歳から特別支給の厚生年金受給時までに退職して240ヶ月を満たしている場合厚生年金開始年齢の誕生日の前日
特別支給の厚生年金受給後から65歳までの間に退職して240ヶ月を満たした場合厚生年金から離脱した日
65歳になった時に240ヶ月に達している場合65歳の誕生日前日
65歳以上70歳未満の間に退職し、その間に240ヶ月を満たした場合 厚生年金から離脱した日
70歳になった時に240ヶ月に達している場合 70歳の誕生日前日

(日本年金機構の「振替加算を受けられるようになったとき」よりほけんROOMが作成)


その他必要な書類や提出の仕方などの確認方法に関しては、日本年金機構の「振替加算を受けられるようになったとき」に記載してあるので、そちらをご覧ください。

振替加算はいつまでもらえる?

続いて、振替加算がいつまでもらえるのかについて解説していきます。


結論、妻が65歳になった時点でもらえる振替加算については例外を除き、「いつまで」といった制限はなく、基本的に一生涯受け取ることが可能な終身型の補償です。


例外については後ほど詳しく解説しますのでそちらをご覧ください。


実際に一生涯支給される金額の確認方法は先ほど記載した表を参考にしてみてください。


表に記載してある生年月日に対応している金額が一生涯支給されますので、そちらも踏まえた上で老後のライフスタイルを計画してみましょう。

振替加算と繰り上げ、繰り下げとの関係

振替加算と年金の繰り上げ、繰り下げの関係についてもまとめていきます。


厚生年金の「繰り上げ」とは、年金を規定の65歳よりも早くもらうことを意味しています。


妻が繰り上げを行った場合に関しては、加算の対象となるのは65歳になってからという点には注意しましょう。


反対に、年金を65歳よりも遅くもらう「繰り下げ」を行った場合に関しては、実際に年金を受け取る時期に同時に振替加算も給付されます。


また、年金の繰り上げについては年金の金額が一生涯減額されますが、振替加算の金額は繰り上げによる減額の影響を受けません。


同様に、繰り下げは年金が増額される仕組みが採用されていますが、繰り下げを行ったとしても振替加算は増額はされないことを頭に入れておきましょう。


振替加算は一生涯受け取れる特徴があるため、繰り下げを行うことで受け取れる期間が減ってしまいます。


年金の増額と加算の減少額とを踏まえた上で、どのように年金を受け取るのかが自分達にとってベストなのかを考えるようにしましょう。

振替加算は停止されることも・・・


最後に、先ほど振替加算は一生涯続く終身型の補償だと説明しましたが、例外も存在しています。


例外として挙げられるのは、妻が「障害基礎年金」「障害厚生年金」を受け取れるようになった場合に関しては給付が停止されます。


振替加算を受け取っているのちに、何か障害を抱えてしまい、障害年金を受け取るようになれば自動的に振替加算は無くなります


停止される理由としては、障害年金を受け取れるようになった場合、そちらの年金額でカバーできるであろうと判断されるからです。


ただ、この例外を除けば、一般的に給付が停止になることはないため、基本的に一生涯受け取れるものだと認識していただければ問題ありません。

振替加算に関するまとめ

最後までご覧いただき、ありがとうございます。


振替加算とは、国民年金が任意加入であった時代の人々を救済する手段として誕生した年金の増額制度のことです。


そのため、そもそも2022年現在で56歳未満の人に対しては関係のない仕組みにはなるため、該当する人は仕組みを理解するようにしましょう。


振替加算の仕組みは複雑で、この記事を読んだとしても実際に自分が受け取れるのかどうかわからなかった人もいるかと思います。


そのような方は、お金のプロが相談してくれるマネーキャリアに相談してみましょう。


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振替加算以外にも保険やお金に関して幅広く相談できるのでぜひ利用してみてください。

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