加給年金は妻が働いているときにもらえる?厚生年金の20年の壁とは?のサムネイル画像
▼この記事を読んで欲しい人
  • 加給年金について知りたい人
  • 妻が働いている場合に加給年金が受け取れるか不安な人
  • 加給年金が「もらえない」ケースについて知りたい人

内容をまとめると

  • 妻が働いている場合でも、厚生年金の加入期間が20年未満であれば加給年金は受け取れる 
  • 妻が働いている場合、妻の年収によっては加給年金を受け取れない場合もある
  • 加給年金の受給要件として「20年以上の厚生年金の加入」が必要
  • 繰り下げ受給や、働きながら年金を受け取り場合は加給年金が支給停止になることも
  • 老後のお金について不安がある方はマネーキャリアで相談してみよう!

加給年金は妻が働いている時にもらえるかどうか、厚生年金の加入期間は加給年金にどのように関係しているのかについて解説しています。また、「加入年金がもらえない」落とし穴についていくつか解説しています。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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加給年金は妻が働いているときにもらえる?厚生年金20年の壁とは?


「妻が働いている場合、加給年金を受け取れるのか知りたい」
「パートタイムで妻が働いている場合、給付は受けられるのか不安」

と思われている方も多いのではないでしょうか。

結論としては「妻が20年以上厚生年金に加入した末に厚生年金を受け取っている」もしくは「年間の収入が850万円未満」 上記に該当しなければ妻が働いていても加給年金は受給されます。

そのため、扶養内においてパートタイムで妻が働いている場合や専業主婦の人は特に問題なく受け取れる場合が多いです。

今回は妻が働いている場合に加給年金を受け取れる条件について紹介していきます。

加給年金に限らず年金制度は複雑なルールが多いため、各要件について混同しないように注意しましょう。

ぜひ最後までご覧ください。

そもそも加給年金とは?

そもそも、「加給年金」について正しい理解をしている人は少ないのではないかと思います。


加給年金とは、65歳時点で生計を維持されている「年下の配偶者」もしくは「18歳未満の子」がいる場合に、一定の条件を満たすとその配偶者が65歳で年金を受け取るまでの間に年金に上乗せして支給される家族手当のようなものです。


夫が65歳の定年を迎えたとすると、当然これまでの職場からもらっていた収入源がなくなります。


そのため現役時代と比較すると収入が大幅に減少してしまうケースが多く、その中で家族を扶養していくことは非常に困難なことです。


そこで、対象となる家族の数によって一定額が年金に加算される制度が「加給年金」です。その制度内容から「年金の家族手当」と呼ばれることもあります。


支給されるためには以下の条件が必要です。

  • 受給者の厚生年金加入期間が20年以上
  • 受給者が65歳時点で生計を維持する「65歳未満の妻」もしくは「18歳未満の子」がいること
  • 妻・子供の年収850万円未満、所得655万5千円未満
  • 妻が20年間厚生年金に加入し厚生年金を受給していないこと(特別支給の老齢厚生年金を受給している場合は対象外)
未婚の人や夫婦の年齢差がない人に関しては、そもそも対象とならないことを押さえておきましょう。

受け取れる金額については受給者の生年月日や子供の人数などによっても変わってきます。

例として挙げると、夫が65歳以上で妻が65歳未満の場合、最低でも年間で20万円程度の加算があります。

加算額は令和6年時点では基本額23万4800円+特別加算額17万3300円を合計した40万8100円になります。
受取期間が5年間の場合、合計金額は約204万円となります。
その差額は大きいので対象になっていれば絶対に受け取りたいですよね。

生年月日や扶養する家族の人数による詳しい金額や給付される条件については日本年金機構の「加給年金額と振替加算」を参考にしてください。

加給年金は妻が働いている時にもらえる?

加給年金を受け取るためには、先ほど紹介した条件を満たさなくてはなりません。


つまり、夫の厚生年金の加入期間が20年以上であり、妻の年齢が65歳未満かつ年収が850万円以下である必要があります。


しかしこの条件を満たしていたとしても、妻が働いている場合、加給年金が受け取れないケースも存在します。


以下で説明を行います。

妻が通算20年間厚生年金に加入し、かつ、特別支給の老齢厚生年金を受給している場合は受給対象外

結論として妻が働いている場合、妻の厚生年金の加入期間が20年以上であれば加給年金は受け取れないことがあります。(厚生年金の加入期間が20年以上でも特別支給が受け取れる場合もあります。)


逆に、加入期間が20年未満であれば加給年金は受給できます


そもそも加給年金とは、受給者が65歳時点で65歳未満の扶養の配偶者がいる場合、配偶者が65歳で老齢年金を受給する前の間加算される年金であると解説してきました。


しかし、配偶者が65歳以前に厚生年金を受け取れる可能性があり、これを「特別支給の老齢厚生年金」といいます。

おさえておきたい。加給年金がもらえない?落とし穴!超えておきたい厚生年金「20年の壁」とは?

繰り下げ受給により厚生年金を受け取っていない期間は支給対象外

老齢基礎(厚生)年金は65歳で受け取らずに66歳以降75歳までの間で繰り下げて受給することにより増額された年金を受け取ることができます。


また、繰り下げた機関によって年金の増額率が異なり、その増額率は一生変わりません。


直近で生活に余裕がある人にとってはトータルの年金額を大きくするチャンスですが一方で加給年金の受給要件の面で考えるとマイナスポイントです。


つまり、繰り下げることにより厚生年金を受け取ってない場合は加給年金を受け取ることはできません。


ただし、繰り下げ受給を叶えながら加給年金を受け取れる方法があります。

それは、「老齢基礎年金」のみ繰り下げを行い、老齢厚生年金のみを受け取るという方法です。

その場合、厚生年金は受給しているので支給要件上全く問題ありません。

多くの場合、両方の年金を繰り下げるよりも加給年金を受給する方が年金額が大きくなります。

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在職老齢年金で厚生年金の全額が支給停止になった場合は加給年金も受給停止

60歳以降、厚生年金保険に加入をしながら働く場合、収入(交通費・賞与も含む)と老齢厚生年金の月額合計額が50万円を超えた際に、超えた金額に応じて厚生年金の一部もしくは全部が支給停止となります。


加給年金は、受給者が厚生年金を受け取っていることを条件として支給されるのでご注意ください。

加給年金が加算されるかどうかの判定は65歳到達時の1回限り

加給年金の判定は65歳到達時の生年月日の前日時点で要件を満たしていれば支給されます。


しかしながら、逆に65歳以降に結婚し65未満の配偶者を扶養することになったとしても支給されることはありません。


65歳到達時点の条件が最も重要ですので意識しておきましょう。

加給年金に関するまとめ


最後までご覧いただき、ありがとうございます。


加給年金は妻が働いている場合でも、妻の厚生年金の加入期間が20年未満であれば問題なく受け取れます。


しかし、「妻が働いている」かつ「年収が850万円以上」の場合は給付されない場合もある点は押さえておきましょう。


その他、収入額によって厚生年金の全額が支給停止になります。


パートタイムなど扶養内で妻が働いている場合などに関しては問題なく受け取れる場合が多いため、「正社員として妻が働いている」といった方は厚生年金にどのくらい加入しているのかについてあらかじめ把握しておきましょう。


加給年金に限らず、年金制度は複雑な上に改正も行われているため、常に正しい理解と最新の情報に対してアンテナを張っておきましょう