
- 加給年金について知りたい人
- 妻が働いている場合に加給年金が受け取れるか不安な人
- 「20年の壁」について知りたい人
- 「中高齢寡婦加算」について知りたい方
内容をまとめると
- 妻が働いている場合でも、厚生年金の加入期間が20年未満であれば加給年金は受け取れる
- 妻が働いている場合、妻の年収によっては加給年金を受け取れない場合もある
- 厚生年金には「20年の壁」があるため、できる限り20年間は加入した方が良い
- 「20年の壁」を満たすと、加給年金がもらえるだけではなく、遺族年金も年間60万円程度使いで給付される
- 老後のお金について不安がある方はマネーキャリアで相談してみよう!
加給年金は妻が働いている時にもらえるかどうか、厚生年金の加入期間は加給年金にどのように関係しているのかについて解説しています。また、超えておきたい厚生年金の「20年の壁」について、加給年金に加えて、遺族年金の観点からも説明しています。

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。
この記事の目次
目次を閉じる加給年金は妻が働いているときにもらえる?厚生年金20年の壁とは?

そもそも加給年金とは?
そもそも、「加給年金」について正しい理解をしている人は少ないのではないかと思います。
加給年金とは夫が65歳になり厚生年金を受け取るようになった場合、特定の条件において追加で年金がもらえる仕組みのことを指します。
夫が65歳の定年を迎えたとすると、当然これまでの職場からもらっていた収入源がなくなります。
そのため年金暮らしとなってしまうケースが多いですが、扶養する家族がいる場合、年金暮らしではこれまでの生活水準を維持するのが困難になってしまいます。
そこで、対象となる家族の数によって一定額が年金に加算される加給年金が整備されており、一部では「年金の家族手当」と呼ばれることもあります。
支給されるためには以下の条件が必要です。
- 受給者の厚生年金加入期間が20年以上
- 妻が65歳未満
- 子供の年齢が18歳以下
- 妻・子供の年収850万円未満、所得655万5千円未満
加給年金は妻が働いている時にもらえる?
加給年金を受け取るためには、先ほど紹介した条件を最低限満たさなくてはなりません。
つまり、夫の厚生年金の加入期間が20年以上であり、妻の年齢が65歳未満かつ年収が850万円以下である必要があります。
しかしこの条件を満たしていたとしても、妻が働いている場合、加給年金が受け取れないケースも存在します。
前提として、パートタイムで妻が働いている場合や専業主婦である場合は問題なく受け取ることができる場合が大半です。
ここで問題となるのは、「正社員として妻が働いている場合」に関してですので、共働きで夫婦が正社員として働いている場合は要点を押さえておく必要があります。
妻が働いている場合、加給年金が受け取れるのかどうかは「妻の厚生年金加入期間」によって変わります。
もう少し具体的に説明していきます。
妻の厚生年金保険の加入期間が20年未満であればもらえる
結論として妻が働いている場合、妻の厚生年金の加入期間が20年以上であれば加給年金は受け取れません。
逆に、加入期間が20年未満であれば加給年金は受給できます。
もちろん、夫側の条件が満たされているかつ年収が850万以下である必要がある点は注意しましょう。
厚生年金の加入期間の数え方は、一度職場から離れたとしてもトータルとして20年以上加入しているのかどうかが判断基準です。
例えば、出産や妊娠、子育てなどで厚生年金から脱退したとしても、再び働いて厚生年金に加入した場合、全ての期間を含めて20年に達している場合、対象外となってしまいます。
もちろん、厚生年金の加入期間を目的として、仕事を継続するのかどうかを判断することは正しい選択とは思えませんが、「20年」という節目を基準に今後どうしていくのかを考えることは良い機会だと思います。
「20年の壁」を知らずに19年で仕事を辞めて、「あと1年働いていればよかった」と後悔しないようにしていただきたいです。
超えておきたい厚生年金「20年の壁」とは?
上述したように、加給年金を受け取るためには夫の厚生年金に20年以上加入している必要があります。
1年でも年数が足りていない場合に関しては、他のどの条件を満たしていたとしても対象外になってしまう点には注意が必要です
この他にも、厚生年金の加入期間が20年間あることによって得られる補償があります。
そのため、厚生年金に20年間加入しているかどうかは「20年の壁」と呼ばれることもあります。
20年を区切りとして受けられる補償について紹介していきます。
- 厚生年金の加入期間が20年以上であればその配偶者は加給年金がもらえる
- 死亡した夫が厚生年金の加入期間が20年以上であれば遺族年金が加算
厚生年金の加入期間が20年以上であればその配偶者は加給年金がもらえる
1つ目が、今回の主題でもある「加給年金が受け取れるのかどうか」です。
加給年金において夫の厚生年金の加入期間が20年以上、つまり「240月」必要になってきます。
この「240月」が1月でも少なかったとしたら加給年金は受け取れません。
加給年金が受け取れる金額は、夫の生年月日や子供の年齢などによって異なりますが、一般的に年間で20万円から40万円受給できます。
夫婦の年齢差が離れていれば離れているほど、受け取れる期間が長くなります。
しかし、夫が65歳で妻が60歳未満の場合、妻は国民年金に加入しなければならない場合もあるため、一概に加給年金分お得になる訳ではない点には注意が必要です。
そうは言っても1年で20万円から40万円という金額は決して小さい金額ではないため、「240月」という値が重要であることは理解していただけたかと思います。
死亡した夫が厚生年金の加入期間が20年以上であれば遺族年金が加算
2つ目が、「遺族年金への加算額」です。
そもそも、遺族年金とは夫に万が一のことが起きた際に、残された家族に対して支払われる年金の一種です。
この遺族年金に加えて、夫が厚生年金に20年以上加入している場合、遺族厚生年金に年間60万円程度が加算される仕組みになっています。
年間にどのくらい給付されるのかについては年度によって異なり、2022年度に関しては583,400円とされています。
しかし、毎年そこまで変化することはないため、おおむね60万円程度と理解しておいて問題ないかと思います。
この遺族年金に追加で加算されることを「中高齢寡婦(かふ)加算」と呼ばれます。
こちらも同様に、240月に1月でも達していなければ加算されることはありません。
もし、今仕事を辞めることを考えている方は、どのくらい厚生年金に加入しているのかを理解した上で退職を検討した方が良いでしょう。
加給年金に関するまとめ
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
加給年金は妻が働いている場合でも、妻の厚生年金の加入期間が20年未満であれば問題なく受け取れます。
しかし、「妻が働いている」かつ「年収が850万円以上」の場合は給付されない場合もある点は押さえておきましょう。
パートタイムなど扶養内で妻が働いている場合などに関しては問題なく受け取れる場合が多いため、「正社員として妻が働いている」といった方は厚生年金にどのくらい加入しているのかについてあらかじめ把握しておきましょう。
加給年金に限らず、年金制度は複雑な上に改正も行われているため、常に正しい理解と最新の情報に対してアンテナを張っておきましょう。