年金制度改悪?納付期間が45年に延長・厚生年金で穴埋めって本当?のサムネイル画像

国民年金の納付期間が45年に延長され、国民年金を厚生年金で穴埋めするという政策案が発表されました。しかし、現時点ではまだ確定の政策ではなく、令和7年以降に正式に発表されます。今の私たちにできる対策についても紹介しているので、是非最後までご覧ください。

この記事の目次

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納付期間が45年に延長されるニュースについて

厚生労働省は、国民年金の納付期間を40年から45年に延長する政策案を発表しました。
令和4年時点では国民年金の納付期間は20歳以上60歳未満までの40年間ですが、65歳未満までの45年間に延長される予定です。

納付期間の延長はまだ検討段階なので正式に決定したものではありませんが、納付期間が5年間延長されるとどのような影響があるのでしょうか。

令和4年現在、20歳以上の人は月額16,590円の国民年金保険料を払っていますので、20歳~60歳までの40年間で支払う保険料の合計は7,963,200円となります。

納付期間が5年間延長することで、保険料の負担が995,400円増えることになります。

しかし、令和5年以降は段階的に定年が延長されることになっており、最終的には65歳まで延長される見通しです。


会社員として再雇用で65歳まで働く人や、定年延長で65歳まで働く公務員の人は、65歳まで年金保険料を支払うことになるため、今回の納付期間5年延長による影響はないと言えます。


負担が増えるのは、自営業や60歳以降働かない人です。

このような人たちは、納付期間が延長されることで納付額が995,400円増えることになりますが、厚生労働省の試算によると、受給額も支払額に比例して増える見通しであることが発表されています。


納付期間延長により負担だけ増えるとなると、世間から批判の声が多くあがってきそうですが、受給額も増えるため、実質的な影響はないと言えるでしょう。


納付期間を45年に延長する政策は決定事項ではなく、令和6年に結論を出して、令和7年の国会で改正法案の提出を目指しています。

国民年金を厚生年金で穴埋めするニュースについて

厚生労働省は、納付期間の延長だけではなく、厚生年金の一部を国民年金に回すことも検討しています。 

公的年金制度は、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金という2階建ての仕組みです。
国民年金が20歳以上60歳未満のすべての国民が加入するのに対し、厚生年金は会社員や公務員などが加入するものです。

つまり、国民年金を厚生年金で穴埋めするということは、納付期間の延長ではあまり影響を受けない会社員や公務員の負担が増えることになります。

会社員や公務員として働いているだけで負担が増えるというのは、この政策案に対して批判の声が多く集まってきそうですね。

なぜ、年金制度の見直しが必要なのか?


では、なぜ納付期間の延長や、国民年金を厚生年金で穴埋めする必要があるのでしょうか。


  • 納付期間の延長

日本人の平均寿命は、男性が81.47歳、女性が87.57歳となっていますが、50年前の1952年の平均寿命は男性が61.9歳、女性が65.5歳となっていました。

参照:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2005/17webhonpen/html/h3040800.html


このように、この50年間で日本人の平均寿命が20歳ほど延びたことになります。

高齢化社会が進行している現代では、現役世代の人数に対し、高齢者の人数の割合が大きくなってきています。

そうなることで年金の支給額が不足することになり、納付期間の延長を余儀なくされたと考えられます。


  • 厚生年金での穴埋め

なぜこのような政策が検討されているかというと、「マクロ経済スライド」と呼ばれる、 賃金や物価の上昇に合わせて年金給付額を上げ過ぎるのを抑制するシステムの前倒し終了が原因です。


現在、年金の超過給付となってしまっているため、年金制度が破綻しかねない状況となっています。


この状況を打破するために、マクロ経済スライドにより給付額を抑制する必要がありますが、そうすると給付水準が下がり過ぎてしまい、2046年には今より2割以上も低い給付額になると言われています。


それでは年金生活者の生活が苦しくなってしまうので、マクロ経済スライドの政策を前倒しで終了しようとする動きがとられています。


しかし、それでは年金額が不足してしまうので、別のところからお金を捻出する必要があります。 この「別のところ」を厚生年金にしようというのが政府の考えです。

まとめ

今回は、納付期間45年への延長と、国民年金を厚生年金で穴埋めするニュースについて紹介しました。


納付期間の延長については、実質的な影響はなさそうですが、国民年金を厚生年金で穴埋めするニュースは、会社員や公務員の人にとってはネガティブなニュースと言えるでしょう。


今後も、世間の人が損をするようなネガティブな政策の発表はあっても、ポジティブな改正はないでしょう。


ネガティブな改正があった時には、自身が考えていたライフプランが崩れてしまうので、焦りますよね。


そうならないためにも、貯金投資などを日ごろから意識して、自分の身を自分で守れるように努力していきましょう。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。