特別支給の老齢厚生年金の収入制限とは?廃止や支給額について解説のサムネイル画像
この記事を読んで欲しい人
  • 特別支給の老齢厚生年金について知りたい人
  • 特別支給の老齢厚生年金の収入制限について知りたい人
  • 実際にどのくらい年金が支給されるのかについて理解したい人
  • 年金についての悩みや相談事がある人

内容をまとめると

  • 特別支給の老齢厚生年金は生年月日によってもらえる人、もらえない人が存在している
  • 令和4年4月以降に特別支給の老齢厚生年金の収入制限が変更された
  • 年金額や収入によっては特別支給の老齢厚生年金はもらえないことも
  • 年金など、将来のお金やライフプランについて悩みがある人はマネーキャリアで相談してみよう!

特別支給の老齢厚生年金の収入制限は在職老齢年金に関連すること、廃止や支給額について解説しています。2022年に収入制限廃止され、65歳未満の人も月収47万円以上で減額調整されます。また、働きながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合の支給額も紹介しています。

この記事の目次

目次を閉じる

特別支給の老齢厚生年金の収入制限は何か、廃止や支給額についてご紹介!

特別支給の老齢厚生年金の対象者の方で、実際にどのくらい支給されるのか、収入制限についてはどのくらいの金額なのかについて気になる方も多いのではないでしょうか。


結論、特別支給の老齢厚生年金は対象者であっても支給額が大幅に減額されたり、そもそも支給されなかったりする可能性もあります。


本記事では、特別支給の厚生年金の収入制限についてや実際にどのくらい支給されるのかについてを具体的に説明していきます。


年金については誤った認識でいると、年金額が正当な額もらえなくなる可能性もあると認識しておきましょう。


収入制限や支給額について正しい理解を行い、損をしないように注意してください。

特別支給の老齢厚生年金の収入制限は在職老齢年金に関連する!


そもそも、特別支給の老齢厚生年金の仕組みについて正しく理解している人は少ないように感じます。


特別支給の老齢厚生年金とは、昭和60年に改正された法律によって年金をもらえる年齢が60歳から65歳に引き上げられたことをきっかけに生まれた年金の種類です。


この制度により、特定の条件を満たしている人に関しては本来の65歳からではなく、60歳から年金が受け取れるようになります。


特別支給の老齢厚生年金をもらえる条件は以下の4つです。いずれの条件も満たしている必要があります。

  • 生年月日が男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前であること
  • 老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上あること
  • 厚生年金に1年以上加入していること
  • 生年月日に応じた受給開始年齢になっていること
1つ目の条件にもあるように、2022年現在で男性61歳以上、女性56歳以上である場合にのみ適用される年金であるため、今の若い世代には無縁だとも言えるでしょう。

特別支給の老齢厚生年金は、60歳を過ぎてから働いていたとしても場合によっては受け取ることが可能です。

ただ、60歳以降で働いている場合は厚生年金に加入する義務が発生するため、毎月の給与から厚生年金保険料が引かれることはあらかじめ理解しておきましょう。

特別支給の老齢厚生年金はこれまで収入制限が存在しており、所得によっては減額、もしくは受給停止になる可能性がありました。

この収入制限が変更されたのが令和4年の4月に制度改正された在職老齢年金の影響です。

在職老齢年金とは60歳以降に働きながら年金を受給する際、一定額以上の収入がある場合に関しては年金が支給されない、もしくは減額になる制度のことを言います。

2022年に収入制限廃止!65歳未満の人も月収47万円以上で減額調整

先ほど紹介したように、令和4年の4月に制度改正された在職老齢年金によって収入制限が一部変更になりました。


まず初めに、令和4年4月以前の収入制限は以下の通りです。

  • 65歳未満:基準額が28万円より多いとき
  • 65歳以上:基準額が47万円より多いとき
上記の場合、年金額が支給されない、もしくは減額になる制度でした。

どのような条件で支給されないのか、減額されるのかについては後述します。

令和4年の4月に在職老齢年金の制度改正によって、65歳未満・65歳以上に関わらず「基準額が47万円より多いとき」に変更された点を押さえておきましょう。

つまり、年金額と所得を合わせて一定額がある方に関しては特別支給の老齢厚生年金は不要で、「特別支給の老齢厚生年金の支給がなくても生活水準が担保されるであろう」と判断された結果、支給が停止もしくは減額されます。

ここでいう基準額とは、「基本月額と総報酬月額相当額を足し合わせたもの」です。

それぞれの言葉の簡単な意味は以下を参考にしてください。
  • 基本月額:年間に受給する老齢厚生年金を12で割った金額
  • 総報酬月額相当額:去年1年間の賞与を12で割ったものと月給を足した金額
総報酬月額相当額に関しては単純な月給ではなく、社会保険料を計算する際に計算しやすくするために区切られた一定の金額になるため、そこも含めて理解しておきましょう。

働きながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合の支給額

では実際に働きながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、どのくらいの受け取ることが可能なのでしょうか。


先ほど紹介したように、基準額が47万円以下の場合には減額されることはなく、満額で受け取れます。


しかし、47万円より多い際には以下の計算式が適用されるで、対象の方はぜひチェックしてみましょう。

減額される金額 = (基本月額 + 総報酬月額相当額 - 47)÷ 2

例として、基本月額が10万円(年金額が年間で120万円)の場合を想定しみてましょう。


このケースの場合、特別支給の老齢厚生年金を受け取れる総報酬月額相当額は、37万円以下の場合は全額支給されます。


逆に、総報酬月額相当額が57万円以上になると受給額は全額停止です。


つまり、ある程度の高収入の場合に関しては支給が停止される可能性がありますが、一定額は支給される方が大多数だと思います。


自身の年金と収入を式に照らし合わせて、どのくらい減額されるのか、もしくは全額停止されるのかなどを必ず確認しておきましょう。


自分が受け取れる年金額を正確に把握することで、老後のライフプランニングがしやすくなります。


特別支給の老齢厚生年金に限らず、老後の収支に関しては事前に把握しておくことがおすすめです。

特別支給の老齢厚生年金の収入制限に関するQ&A


ここまで、特別支給の老齢厚生年金に関して、どのような仕組みであるのか、収入制限はいくらなのか、実際にいくらもらえるのかのシミュレーションなどを行いました。


特別支給の老齢厚生年金は、対象者であれば減額されたとしても完全に停止されることはないかと思います。


ただ、先ほども述べたように、60歳以降も高収入である方に関してはもしかしたら支給が停止になる可能性もあるでしょう。


最後にこれまでの説明に追加して、特別支給の老齢厚生年金の収入制限に関するよくある質問にお答えしていきます。


令和4年4月に制度改正によって収入制限についても変わった点があるため、収入制限について理解ができていない部分もあるかと思います。


よくある質問を参考に、特別支給の老齢厚生年金の収入制限についての理解を深めていきましょう。

  • 個人事業主は特別支給の老齢厚生年金の収入制限が適応される?
  • 厚生年金脱退時に収入制限なく比例報酬部分を受給できる場合手続きは必要?

個人事業主は特別支給の老齢厚生年金の収入制限が適応される?

1つ目の質問は「個人事業主は特別支給の老齢厚生年金の収入制限が適応されるのかどうか」という点です。


先ほども列挙した説明したように、特別支給の老齢年金を受給する資格があるのは以下の場合です。

  • 生年月日が男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前であること
  • 老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上あること
  • 厚生年金に1年以上加入していること
  • 生年月日に応じた受給開始年齢になっていること
個人事業主として働き続けていた人は3つ目の「厚生年金に1年以上加入していること」という条件に当てはまらないため、そもそももらうことができないのです。

つまり、個人事業主一筋でずっと働き続けていた人は特別支給の老齢厚生年金になることはない点は理解しておきましょう。

個人事業主とサラリーマンや公務員のどちらも経験しており、1年以上厚生年金に加入している場合に関しては同様に収入制限が適応されます。

収入制限の基準も同様に、「基準額が47万円より多いかどうか」によって判断されるため、計算式に当てはめてどのくらい支給されるのかについて把握しておきましょう。

厚生年金脱退時に収入制限なく比例報酬部分を受給できる場合手続きは必要?

2つ目の質問は「厚生年金脱退時に収入制限がなく、比例報酬部分を受給できる場合に手続きが必要なのかどうか」という点です。


結論、年金請求と呼ばれる手続きをしなければなりません。


対象年齢になった際に収入制限に該当しなかったとしても、自動的に特別支給の老齢厚生年金が給付されるわけではありません。


自分が特別支給の老齢厚生年金の該当者なのか、収入制限に該当しないのかをよく確認し、もし該当するのであれば必ず手続きを行いましょう。


手続きを忘れたまま放置しておくと、本来もらえていたはずの年金がもらえなくなってしまう可能性があるため、忘れないように注意してください。


詳しい提出方法や提出場所などに関しては、日本年金機構の「特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き」を参考にしてください。

特別支給の老齢厚生年金の収入制限に関するまとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。


今回は特別支給の老齢厚生年金の収入制限についてまとめました。


令和4年4月以前は収入制限について65歳未満と65歳以上の2つで金額が異なりましたが、令和4年4月以降は収入制限の金額が同様になったことは理解しておきましょう。


年金や保険、その他お金のことについて悩みがある方はマネーキャリアを利用してみることをおすすめします。


マネーキャリアでは、お金のプロであるファイナンシャルプランナー無料で相談することが可能です。


オンライン上で申し込みもでき、オンライン相談にも対応しているため、家からお気軽に相談できます。


ほけんROOMでは、年金に関して他にもさまざまな記事を投稿しています。


気になる方は他の記事もぜひチェックしてみてください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。