

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
年金月15万円で夫婦の暮らしは成立する?
年金月15万円で夫婦の暮らしを成立させるのは、厳しいケースが多いです。厚生労働省が発表した令和7年度(2025年度)の標準的な年金月額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む)は232,784円※です。
平均額は男性の平均的な収入(平均標準報酬45.5万円)で40年間就業した場合を想定した場合の目安です。夫婦で受け取れる年金(1人分の老齢厚生年金と2人分の満額の老齢基礎年金)の見込み額です。
このデータと比較すると、夫婦で年金月15万円は平均の約64%の金額になります。平均よりもかなり低い年金額です。
年金月15万円の手取り額
年金にも税金はかかりますが、年齢により控除額が違います。65歳以上で年金受給額が年間110万円までは、所得控除額を引くと所得がゼロになり所得税はかかりません※1。夫婦とも受給額が110万円以下であれば、所得税はかからないケースが多いです。しかし、介護保険料や健康保険料はかかるケースが多いでしょう。
介護保険料や健康保険料の掛け金は、居住地域ごとに違いがあり、年金支給額が同じでも手取りが若干異なります。
年金の支給額が月15万円の場合、手取りは月13万円~14万円程度、年間では約160万円前後になるケースが多いでしょう。
平均的な老後の生活費と比較
平均的な老後の生活費を考えると、月15万円の年金で夫婦の暮らしを維持することは、非常に厳しいケースが多いです。
持ち家で家賃がまったくかからない場合、野菜や米を自分で作り食費があまりかからないなど一定の条件がそろうと、環境や工夫次第では可能な場合もあるかもしれません。
しかし、生活費を月13万円以下に抑えることは難しく、突発的に医療費の出費があると年金収入だけでは対応できない可能性は高いでしょう。
年金月15万円でも成立しやすいケース
年金月15万円でも夫婦の暮らしが成立しやすい条件を考えてみました。
- 貯蓄がある
- 持ち家で家賃がかからない
- 米や野菜は自給自足にし、食費を抑える
1カ月間の短期の収支では、月15万円で抑えられても、不定期支出を考慮すると年間では赤字になる可能性があり、何らかの対策が必要になります。
例えば、家電を買い替える、入院などで医療費がかかる場合、冠婚葬祭費用などが考えられます。毎月ではなくても、1年に数回、臨時的な支出はあるものです。
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厚生労働省が発表した資料によると、令和6年の平均寿命は男性は81.09年、女性は87.13 年※です。60代でリタイアすると、年金生活は30年近く続く見込みです。年金は急には増やせません。資産運用も時間がない場合、大きなリスクを取らなければ増やすのは難しいでしょう。
限られた年金は、いかに有効に使うかが鍵になります。節約の方法を知り、満足度の高い支出を優先しましょう。
老後の資金計画はできるだけ早く始めたいものです。時間があるほど準備ができ、選択肢が広がります。

年金月15万円で想定される夫婦の生活レベルをシミュレーション
月15万円の暮らしをシミュレーション
項目 | 金額 |
---|---|
家賃 | 40,000円 |
光熱費・通信費 | 20,000円 |
食費 | 40,000円 |
日用品 | 10,000円 |
交通費 | 5,000円 |
被服費 | 5,000円 |
医療費 | 10,000円 |
その他 | 20,000円 |
合計 | 150,000円 |
※住んでいる地域やライフスタイルにより異なります
生活は最低限の消費のためだけで終わってしまいます。家計ごとに違いはあるものの、旅行や趣味に回せるお金はほぼないでしょう。
年金月15万円でも安心して夫婦で暮らすための対策

- 固定費を徹底的に見直す
- 医療・介護への備えを強化する
- 年金以外の収入源を確保する
毎月の支出を極力おさえ、臨時支出のための対策が必要です。
固定費を徹底的に見直す
固定費は徹底的に見直しましょう。固定費でも特に住居費は最小限したいものです。家賃の値下げ交渉を試してみるのもよいかもしれません。
賃貸は家賃が低ければ低いほど削減額が大きくなります。競争率は高めですが、高齢者向けの公営住宅を探してみましょう。公営住宅は、収入が少ないと家賃負担が下がるケースが多いので、年金額が少ない場合は家賃を抑えられます。
車が必要かは地域にもよりますが、自家用車は維持費がかかります。免許返納の時期も考え、車がなくても可能な生活の準備を始めましょう。固定電話は携帯電話で代用できれば、解約を検討しましょう。携帯電話は格安携帯を選択すると、より負担を減らせます。
医療・介護への備えを強化する
高額療養費制度※1を利用すると、医療費の自己負担を抑えられます。この制度は、多額の医療費がかかっても、ひと月(1日~月末)の上限額を超えた分が払い戻される仕組みです。
細かい規定はありますが、年収370万円以下の場合、1カ月の自己負担の上限は57,600円です。たとえば入院や手術で医療費が100万円かかっても、支払うのは57,600円に抑えられます。
医療費の備えとして、約6万円の蓄えがあれば短期入院には対応できます。ただし、入院中の食事代や病院で着る衣服の洗濯代などは別途準備が必要です。
さらに、リタイアを機に保険も見直しましょう。掛け金がかかる保険は、本当に必要かどうかを確認することが大切です。
年金以外の収入源を確保する
年金以外の収入を確保しましょう。フルタイムでなくてもパートやシニア向けのアルバイトで働き口があれば、収入を得られます。体調に問題がなければ定期的に働くことで定期収入を確保しましょう。
年金をまだ受給していない場合は、年金を繰り下げる方法があります。65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げて受給すると、増額した年金を受け取れます※1。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。
労働収入が定期的に確保できている間は年金を受け取らずに、仕事がなくなったり、体がきつくなったりで働くことが難しくなったら年金をもらい始める方法もあります。
【まとめ】年金15万円の老後資金の計画は早めにFPに相談しよう

老後の資金計画は、安心して長生きするために欠かせません。まずは年金の受給見込み額を確認し、足りない分をどう補うかを考えましょう。
年金受給額が月15万円の場合は、早めに節約や資金準備を検討することが大切です。計画を立てることで、老後の生活費や医療費、介護費など、必要なお金の目安がわかり、具体的な準備方法も考えやすくなります。
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年金だけでは不安がある方は、一度マネーキャリアのFPに相談してみましょう。
