
- 結論、別居中に遺族年金をもらうことは可能ですが、生計や婚姻関係などの複雑な条件があります。
- 別居中の夫や妻が死亡した場合遺族年金がもらえる条件が知りたい方
- 遺族年金は別居中の子でももらえるのか知りたい方
- 遺族年金が受け取れなかった場合の家計が不安な方

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 別居中だと遺族年金をもらうために条件が発生する
- 妻(配偶者)の場合
- 子供の場合
- 別居中の夫婦間でも遺族年金がもらえるケース
- 配偶者が単身赴任しているケース
- 配偶者が長期入院中に亡くなったケース
- DVが原因で別居中のケース
- 別居中の夫婦間で遺族年金がもらえないケース
- 離婚はしてないが、金銭・交流面で全く関わりがないケース
- 夫が自営業を営んでいて国民年金の加入者(別途要件あり)
- 遺族年金を受け取るための必要証明とは
- ①生計維持したものである証明
- ②住民票は一緒でなくても問題なし
- 遺族厚生年金(厚生年金)は扶養されていた親が対象になることも
- 受給条件
- まとめ:別居中の遺族年金に関する相談はマネーキャリアへ
別居中だと遺族年金をもらうために条件が発生する
別居中だと遺族年金をもらうためには条件が発生します。
ここでは、以下の2つの場合についてそれぞれの条件を解説します。
- 妻(配偶者)の場合
- 子供の場合
妻(配偶者)の場合
別居中の妻(配偶者)が遺族基礎年金(子がいる場合)や遺族厚生年金を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。
- 生計維持関係があることを証明ができる
- 婚姻関係が実質的に継続していた事実を証明できる(事実婚(内縁関係)の場合)
受給資格に年齢制限はありませんが、遺族厚生年金には30歳未満で子がいないと有期給付となるため注意が必要です。(※)
また、遺族厚生年金における受給の優先順位は配偶者が最も高く、次に子、孫と続きます。
子供の場合
亡くなった親と別居していた子供が遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取るには、親との間に「生計維持関係」があったこと、つまり経済的に扶養されていた事実を証明する必要があります。
具体的な受給の条件は以下の通りです。
- 受給資格年齢:原則18歳になった年度の3月31日まで(障害等級1・2級の場合は20歳未満)(※)
- 条件:親からの仕送りなど、生活を支えられていた客観的な事実
※参照:遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
別居していても、学費の振込証明や定期的な送金の記録などを準備することで、これらの条件を満たしていると認められやすくなります。
遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」が対象で、どちらかしか受け取れないため、原則として配偶者が受け取り、配偶者がいない場合や受給資格がない場合に、子どもが受給することになります。
別居中の夫婦間でも遺族年金がもらえるケース
別居中の夫婦でも遺族年金がもらえるか気になりますよね。
やむを得ない事情の場合のときは、もらえるケースがほとんどです。
ここでは以下のケースについて解説します。
- 配偶者が単身赴任中
- 配偶者が長期入院中に亡くなった
- DVが原因で別居中
配偶者が単身赴任しているケース
配偶者が単身赴任しているケースだと「経済的援助」を受けている、「連絡を取り合ったり、お互いに会っている」この2つの条件を満たしている場合はもらえます。
例を挙げると、以下のとおりになります。
- 毎月生活費として20万円送金してもらっており、それが通帳で確認できる。(経済的援助)
- 毎週末や長期連休に家に帰ってきていた。(音信・訪問)
継続的に通帳で入金確認ができることもあり、経済的な援助を受けていることがわかります。
毎週末や長期連休に家に帰ってきているという事実があれば、単身赴任が終われば生活を共にすることがうかがえますね。
配偶者が長期入院中に亡くなったケース
配偶者が病気を患い長期入院中に亡くなってしまったケースもあるかもしれません。
そのような場合は、看病のために配偶者を頻繁に訪問していたり、生計を同一にしていたら遺族年金をもらえる対象になります。
ただし、入院していることは知っていても、全く連絡を取ったり、会うことがなければ遺族年金をもらえる対象になりません。
長期入院中でも関係が維持されているかが遺族年金をもらえるかどうかのポイントとなります。
DVが原因で別居中のケース
DVが原因で別居中のケースは全部ではありませんが、遺族年金がもらえる可能性が高いです。
しかし、そのためにはDVの被害を受けていることを第三者に認められる必要があります。
第三者に認められるかどうかのポイントは以下の5つの場合です。
- 相談所やシェルターなどに避難している
- 裁判所が法令に基づいて保護命令を出している
- DVの支援機関から証明書を発行されている
- 母子支援施設に一時保護されている
- DVを契機に秘密保持のために基礎番号を変更している
別居中の夫婦間で遺族年金がもらえないケース
別居中で夫婦間で遺族年金がもらえないケースもあります。
主に経済的支援を全く受けていなかったり、何十年も音信不通であるなど交流を全くしていないケースの場合が多いですね。
ここでは遺族年金がもらえないケースを以下2つ解説します。
- 離婚はしてないが、金銭・交流面で全く関わりがないケース
- 夫が自営業を営んでいて国民年金の加入者(別途要件あり)
どちらも「遺族年金をもらえると思っていた。」ということになりやすいケースです。
以下でくわしくみていきましょう!
離婚はしてないが、金銭・交流面で全く関わりがないケース
近年性格の不一致などで、夫婦間が悪くなり一緒に暮らしていくのが困難になったとき、離婚の手続きはめんどうだからといって籍を入れたまま別居。
子どもが成人するまで我慢して配偶者と暮らしていたが、子どもが巣立ったので籍を残したまま別居といったケースが多くみられます。
戸籍上夫婦であっても、お互い経済的に自立していたり、全く連絡をとらず交流がない場合は遺族年金のもらえる要件に当てはまりません。
夫が自営業を営んでいて国民年金の加入者(別途要件あり)
夫は自営業を営んでいるので、国民年金に加入しています。
その場合、遺族がもらえるのは遺族基礎年金になります。
ここで注意していただきたいのが、遺族基礎年金のもらえる対象者は子のいる配偶者と子です。
夫と同居しているし、生計を共にしていたのに、遺族年金がもらえない。
そのケースは子どもがいない場合になります。
遺族基礎年金はもらえる対象者の範囲が狭いのでご注意ください。
遺族年金を受け取るための必要証明とは
遺族年金を受け取るためには「収入要件」と「生計同一要件」が条件として挙げられます。
この2つの要件を証明できないと、遺族年金は受け取れません。
収入要件を証明するために前年の所得証明書等や、生計同一関係にある申立書が必要です。
ここでは証明するためには、どういったことを証明すればよいか解説します。
①生計維持したものである証明
まず、「収入要件」の必要証明としては、前年の収入がわかるものが必要となります。
分かりやすくまとめると以下のようになります。
- 前年の収入が850万円未満、655万5,000円未満
- 前年の収入が確認できるもの(所得証明書、源泉徴収票、課税証明書)
- 子が受け取る場合は中学生以下は不要。高校生は在学証明書
次に「生計同一要件」として、証明書類を出した場合、第三者の証明がいらない場合があります。
経済的な援助を受けていたり、連絡を取り合っている記録(メールやLINE、電話の記録)や定期的に会っていた記録(写真等)を残している場合は認められます。
経済的援助とは、生活費や療育費、固定資産の支払等です。
②住民票は一緒でなくても問題なし
住民票が一緒でなくても問題はありません。
同居をしていたり、生活費を渡している証明ができれば大丈夫です。
例えば単身赴任中の場合を挙げると、通帳で生活費が振り込まれていることが確認できれば生計を同一としている証明となります。
また、子どもが下宿している場合も、通帳に生活費が振り込まれている等の記録あればわかります。
これらのように住民票を別にしている理由を申立書に記入ができれば問題ありません。
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遺族厚生年金(厚生年金)は扶養されていた親が対象になることも
ここでは遺族年金を自分の親に残したいと考えたとき、残してあげることができるのかを解説します。
遺族基礎年金のもらえる対象者は子のいる配偶者か子ですが、遺族厚生年金は対象者が広く、扶養されていた親が対象になることもあります。
遺族厚生年金をもらえる対象であっても、受け取りの優先順位があったり、年齢条件など細かい要件がありますので、受給要件についてみてみましょう。
受給条件
遺族厚生年金がもらえる対象者として、扶養されていた親も挙げられます。
しかし、優先受け取り順位がありますので注意してください。
優先順位としては、
- 配偶者がいない、配偶者とは別居しており生計維持関係になかった
- 子がいないまたは子とは別居していて生計維持関係になかった
- 扶養されていた親
となりますので、親の場合は3番目となります。
そのほかの受給条件としては、同居か別居であるかです。
別居の場合、仕送りをしてもらっていたなどの経済的援助があったかが必要です。
収入要件もあり、父母の年収が850万円(所得655万5,000円)未満であるか。
父母の年齢が55歳以上である必要もあります。ただし、受け取りは60歳以上からです。
また、父母がすでに年金を受け取っている場合は、遺族厚生年金かどちらかになります。
遺族厚生年金のほうが額が大きい場合はその差額がもらえます。
すでに受け取っている年金のほうが額が大きいのであれば、遺族厚生年金は受け取れません。
このように受給条件にも様々なものがありますので、しっかりと確認することが大切です。
まとめ:別居中の遺族年金に関する相談はマネーキャリアへ
別居中でも配偶者が遺族年金を受け取ることができますが、生計が同一かどうかや、婚姻関係が破綻していないかなどの条件があります。
別居中の夫婦間で、遺族年金をもらえないケースとしては、離婚はしていないが別居中でお互い経済的に自立しており、交流がない場合などです。
自営業で国民年金加入者の場合は、遺族基礎年金となり配偶者に子どもがいない場合は対象にならないので注意が必要です。
また、残された家族の生活は続くので、遺族年金がもらえるかどうかの判断だけでなく、その後の家計管理や資産運用についても対策する必要があります。
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