地震の損害に備える地震保険、加入率の現状やでできることとは?のサムネイル画像

みなさんは地震保険に加入していますか?地震保険に加入率はどのくらいか、どういうかたは加入した方がいいのかについてまとめています。ほかにも押さえておきたいポイントとして地震保険の補償の範囲や保険料の相場、割引制度や保険料控除制度を解説しています。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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地震保険とは?現状の加入率は約3割!必要性はある?


日本は世界的にみても地震大国です。 


ここ最近もいたるところで地震が起きており、将来的には首都直下地震や南海トラフ地震といった大規模な地震が起こる可能性も示唆されています。


みなさんの記憶にも新しい東日本大震災以降、地震保険の加入率は上がっており、今では世帯加入率がおよそ30%になります。(意外と低いのではないでしょうか?)

世帯加入率や全国的にどの地域で加入率が高いのかは損害保険料算出機構のページで調べられます。


もし地震が起きたときに、自己資金のみで生活を再建することが難しいかたは加入を検討すべきでしょう。

一方で自己資金で生活再建のめどが立てられるようなかたであれば加入の優先度は低くなります。 

地震保険の概要とポイント

地震保険の補償内容は地震や噴火、それらを理由に津波が発生して火災、損壊、建て物が埋まったり、建て物が流されたりした被害を補償する損害保険です。


火災保険の補償内容は地震で建て物が火事になった場合は補償されません。 


損害の金額次第で支払われる保険金の額が変わる実損払いです。




基本は火災保険とセット、単独加入は不可

地震保険単独では不可能です。 

もし地震保険をかける場合は、火災保険特約で保険をかける必要があります。 


新築されたかたは火災保険を検討するときに合わせて地震保険をかけるかどうか考えるとよいでしょう。


火災保険をかけている方は途中から地震保険を契約が可能です。

保険会社に問い合わせして、保険料の見積もりや手続きができます。 

住宅(家屋)と家財が補償対象で最大5,000万円程度?

保険の対象となるのは、居住用の建て物と家財です。

地震でけがをしたといった人に対する保険ではないことに注意しましょう。


補償額の上限は建て物が5,000万円、家財が1,000万円。 


ただし注意点として、地震保険の補償額は火災保険の補償額の50%が上限になります。

支払い例として火災保険の補償額を3,000万円で契約していた場合、地震保険の補償額の上限は1,500万円です。 


賃貸物件の場合は、建て物の損害に関しては基本的に貸主の負担となるため、家財の補償がメインになってきます。

支払い例として賃貸物件でTVや冷蔵庫、電子レンジや洗濯機などが壊れた場合は地震保険の家財で補償がされます。

一方で30万円を超える貴金属や骨とう品、絵画のような芸術品は補償の対象にならないため注意してください。


地震保険の保険料の相場はいくら?

地震保険は国と保険会社が共同で運営しています。

そのため保険会社によって保険料の差はありません。


お住まいの地域、建て物がなにでできているのかで決まっています。 


ご自身のお住まいの地域の相場がいくらかは保険をかけるまえに確認できます。

下記が各地域の1,000万円あたりの保険金額(年間)の相場です。 


都道府県イ構造ロ構造
岩手・秋田・山形・
栃木・群馬・富山・石川
7,100円11,600円
北海道・青森・新潟・
岐阜・京都・兵庫・奈良
7,800円13,500円
福島8,500円17,000円
宮城・山梨・香川・
大分・宮崎・沖縄
10,700円19,700円
愛媛12,000円 22,400円
大阪12,600円22,400円
愛知・三重・和歌山14,400円24,700円
茨城
15,500円32,000円
埼玉17,800円 32,000円
徳島・高知15,500円36,500円
千葉・東京・
神奈川・静岡
25,000円38,900円


出典:損害保険協会

※イ構造とはおもに鉄筋やコンクリート造、ロ構造とは木造です。

地震保険料控除や割引制度がある

保険料は住んでいる地域、建て物の構造で決まっています。 

地震に強い建物の場合は割引制度があります。


割引制度割引の要件割引率
免震構築物割引
免震建築物の基準に
適合する建物
50%
耐震等級割引品確法または
国交省の定める
一定の耐震等級を
有している建物
10~50%
耐震診断割引建築基準法に
おける耐震基準を
満たしている建物
10%
建築年割引昭和56(1981)年
6月1日以降に
新築された建物 
10%


マンションの場合は、いつ建築確認を受けた建物か耐震設計はどのくらいなのか確認しておきましょう。

最新のマンションであれば免震技術がついており、免震構築物割引が利用できる場合もあります。


上記の割引制度とは別に2~5年の長期契約し、その分の保険料を一括払いすると割引になります。 

支払う保険料を抑えたい方は割引制度や保険契約の仕方と保険料の支払い方法といったポイントを覚えておきましょう。


さらにはほかの損害保険にはない地震保険料控除があります。

地震保険を契約している場合は会社員であれば年末調整のときに地震保険料控除を受けられます。

年末調整をするときに地震保険料控除証明書を忘れずに準備しましょう。

控除の金額は下記の通りです。


  • 地震保険料の場合

 年間の支払保険料地震保険料控除額
50,000円以下支払金額の全額
50,000円超一律50,000円

  • 旧長期損害保険料の場合

年間の支払保険料地震保険料控除額
10,000円以下支払金額の全額
10,000円超~
20,000円以下
支払金額×1/2
+5,000円
20,000円超15,000円

地震保険料と旧長期損害保険料両方ある場合はそれぞれの方法で計算した金額の合計額(最高50,000円)

もしもの地震が起こる前に地震保険で対策をしておこう

地震はいつどこで起こるかわかりません。最近では各地で地震が頻発しています。 


東日本大震災が起きたため震源モデルの見直しがあり、昨年には地震保険料の改定がおこなわれました。 


これからさらに大地震が起きたり、地震リスクが高まったりすると地震保険料も値上がりが考えられます。 

不測の事態に備えるために地震保険の加入を考えてみてはいかがでしょうか。