民間介護保険は必要ないの?いらない?データから考えるのサムネイル画像
公的介護保険だけでは足りない介護費用を補うのが「民間介護保険」です。

しかし公的介護保険があるのだから、民間の保険までは必要ないのではないかと疑問に思っている人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、民間介護保険は必要ないのか、民間介護保険のメリットとデメリットについて解説します。

ぜひ最後までご覧ください。 

▼この記事を読んで欲しい人  
  • 介護費用がどれくらいかかるか知りたい人
  • 40歳未満で介護保険が気になっている人
  • 身近に介護を頼める人材がいない人

民間介護保険は民間の保険会社が販売する保険商品です。介護費用が必要になったときに、公的介護保険では足りない部分をカバーできますが、民間介護保険は必要ないという見解もあります。この記事では民間介護保険が必要あるのか必要ないのかデータと共に解説します。

この記事の目次

目次を閉じる

民間介護保険は必要ない?いらない?データから考えてみた

40歳になると、介護保険の加入が義務となり、介護保険料を支払うことになります。

介護保険とは、介護が必要になったときに経済的負担を軽減してくれる保険です。


では、公的介護保険だけで介護に必要なお金は賄えるのでしょうか。

 

公的介護保険の他に、民間の保険会社と契約する民間介護保険があります。 

民間介護保険は必要でしょうか。それとも必要ないのでしょうか。


必要ないという意見も多いですが、その理由が気になりますよね。


この記事を読みながら、民間介護保険の必要性について一緒に考えていきましょう。

介護保険を使う確率は?

超高齢社会の日本。

人間誰しも介護を受けたくないと考えるでしょう。


しかし、様々な理由で介護が必要になることがあります。


介護が必要な人の割合を表にまとめましたので、表を見ながら介護保険が必要か必要ないか考えてみましょう。 

年齢要支援・要介護者の割合
40~64歳
0.4%
65~69歳2.9%
70~74歳5.8%
75~79歳12.7%
80~84歳26.4%
85歳以上59.8%

介護が必要な人の割合は、40~64歳では0.4%、65~69歳では2.9%と、69歳までは低い数字が出ています。
しかし、年齢が上がっていくにつれ、急速に高まっていき、80~84歳では26.4%85歳以上では59.8 と、85歳を過ぎると要支援・要介護者の割合は過半数を占めています。

あなたの親やご自身が85歳を越えたとき、介護を受ける可能性は高いのです。

つまり、民間の介護保険に加入していれば将来的に利用する可能性が高いと言えるでしょう。

介護保険でかかる金額は?

では、実際に介護保険でかかる金額はどれくらいなのでしょうか。


2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査を元に、介護にかかった費用をまとめました。

  • 介護を始めてからの期間:平均5年1ヶ月
  • 介護に要した費用のうち一時費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など):平均74万円
  • 介護に要した費用のうち月々の費用:平均8.3万円

上の表から、介護にかかる総額を計算してみましょう。


1年にかかる費用は、1ヶ月8.3万円×12=99.6万円、平均5年1ヶ月ですので、99.6×5=約498+8.3=506.3万円です。

介護にかかる費用は一人当たり約500万円と言えるでしょう。


さらに、住宅のリフォーム、介護用ベッドや介護用品の購入の費用は一時的にでも70万円以上かかることを考えると、介護にかかる費用は総額600〜700万円とも考えられそうです。

介護保険が必要ない・いらない人は?

前項では、介護保険を使う確率や、介護保険でかかる金額についてデータを元に解説しました。


では、介護保険は本当に必要なのでしょうか。


この項では、介護保険が必要ない・いらない人について以下の手順で説明します。

  • 被保険者になる予定者が70歳以上だが貯金が500万円以上ある人
  • 貯蓄が500万円以上無いが、介護のためのお金を貯める自信がある人

それぞれ詳しく見ていきましょう。

被保険者になる予定者が70歳以上だが貯金が500万円以上ある人

介護保険が必要ない人は、被保険者になる予定者が70歳以上だが、貯金が500万円以上ある人です。


先ほど説明したデータでもわかる通り、70歳以上になると、介護状態になる確率は高くなります。

70〜74歳は介護が必要な割合は5.8%ですが、75〜79歳になると12.7%と2倍以上の数字が出ています。

先述した通り、80歳を越えると、介護が必要な割合は格段に増加します。


しかし、介護に使える貯金が500万円以上あれば、平均的な介護費用には対応できると考えられますので、貯金が500万円以上ある人は民間介護保険の必要性が低いと言えるでしょう。


 以上の理由から、貯金に余裕がある人は介護保険が必要ないかもしれません。

貯蓄が500万円以上無いが、介護のためのお金を貯める自信がある人

貯蓄が500万円以上無いが、介護のためのお金を貯める自信がある人も介護保険が必要ない人です。


現時点では介護保険の被保険者予定の人の年齢が若く、被保険者予定の人が70歳を越える時点で、500万円貯金している自信があれば、介護保険に入らなくても良いかもしれません。


例えば、50歳の人が毎月2万円を介護のために貯金できれば、1年間で24万円貯まります。


20年間続けられれば、24×20=480万円貯まり、介護に必要な平均的な費用500万円を貯金から捻出することができます。

もっと若いとき、例えば30歳や40歳から介護のために貯金できれば、さらに余裕もできるでしょう。 


以上の理由から、介護のためのお金を貯める自信がある人も介護保険が必要ないかもしれないと言えるでしょう。

介護保険が必要な人

前項では、介護保険が必要ない・いらない人について説明しました。 


しかし、介護保険が必要な人も当然存在します。

この項では、介護保険が必要な人について説明します。


介護保険が必要な人は、貯蓄が500万円以上なくて、親またはご自身の年齢が70歳以上の人です。

先述した通り、介護には1年間で約100万円かかりますので、年数が増えれば増えるほど費用がかさんできます。


貯蓄が500万円以上ないと介護費用が捻出できない可能性があり、介護が充分に受けられないかもしれません。


また、親の年齢が70歳を越えていて親にも自分自身にも貯蓄がなければ、当然介護費用が捻出できません。


日本人の平均寿命は世界トップクラスで、厚生労働省令和2年簡易生命表によると、男の平均寿命は 81.64 年、女の平均寿命は 87.74 年です。

平均寿命まで生きるとすると、先ほどのデータからも分かる通り、介護費用が必要になる可能性は高いでしょう。

注意!公的介護保険料を払い忘れていないか要確認!

ここで大切なことをお伝えします。


民間介護保険が必要ある・必要ないを悩む前に、公的介護保険料を払い忘れていないか確認しましょう。


そもそも日本の保険制度は大変優秀です。

介護保険に入っていれば、介護費用が必要になったとき、自己負担割合が1割負担で済む場合があります。


しかし、公的介護保険を払っていないと、未払いの年数に応じて、1割負担が3割負担になってしまう可能性があります。


例えば1ヶ月にかかる費用が15万円として、1割負担なら1万5,000円で済みますが、3割負担ですと5万円になり、この差は小さくありません。


介護費用の自己負担割合は要介護度や所得に応じて異なりますので、割合は変わることがありますが、公的介護保険を払っていないとペナルティが課せられますので、必ず払うようにしましょう。 

民間介護保険のメリット



民間介護保険は公的介護保険と違い任意で加入する介護保険です。

40歳以上の人はほぼ強制的に加入することになる公的介護保険にはないメリットがあるので、詳しく見ていきましょう。

民間介護保険は必要ないと判断する前に、メリットについて理解しておき、改めて必要ないか、検討の余地があるか判断することをおすすめします。


民間介護保険に加入するメリットは以下の通りです。


  • 公的介護保険で保障されない範囲も保障されるかも
  • 民間介護保険の保険金は現金支給
  • 介護費用の負担・不安を軽くできる
  • 生命保険料控除の対象になる
一つずつ見ていきます。

公的介護保険で保障されない範囲も保障されるかも

公的介護保険は40歳未満の人は加入できませんが、民間介護保険では20歳程度からでも加入できる商品が多くあります。


商品によっては要介護認定を受けていなくても保障の範囲に入るものもあるので、必要ないと判断する前に一度検討してみるのがおすすめです。


民間介護保険では保険会社の基準によっては65歳未満でも保障の範囲内となるので、公的介護保険に加入できない年齢の方でも介護保障を用意できるというのはメリットの1つと言えるでしょう。

民間介護保険の保険金は現金支給

保険金が「現金支給」される点も民間介護保険の大きなメリットです。


公的介護保険の支給は「現物支給」であり、限られた保障しか選ぶことができません。


それに対して民間介護保険は現金支給のため、直接的な介護サービス以外にも食事代、オムツ代などに当てることも可能です。


公的介護保険が選択肢が限られる現物支給なのに対し、民間介護保険は範囲の広い使い方ができる「現金支給」なのです。

介護費用の負担・不安を軽くできる

介護費用の負担・不安を軽くするために、民間介護保険が有効です。


介護費用の内訳は、介護施設の利用代、介護用品、住宅のリフォームなど、多岐にわたります。


介護の期間が長期化すれば、公的介護保険の支給額を大幅に超え、負担が大きくなってしまうでしょう。


民間介護保険に加入していれば、長期化した場合の介護費用の負担を軽くできます。


貯蓄が十分ある人は必要ないかもしれませんが、貯蓄に不安がある人は、もしものときに備えて公的介護保険だけでなく、民間介護保険にも入っておくと安心です。

生命保険料控除の対象になる

民間介護保険は生命保険料控除の対象となるので、節税効果があります。


「介護医療保険料控除」として最大で40,000円まで控除を受けることが可能です。


民間介護保険に加入して払った保険料は一定の金額が控除の対象となり、税金の負担が軽くなるのでぜひ覚えておきましょう。

民間介護保険のデメリット


ここまで民間介護保険のメリットについて見てきましたが、民間介護保険が必要ないかどうか正確に判断するために、デメリットについても見ていきましょう。

民間介護保険のデメリットは以下の通りです。


  • 高齢の方は加入できない可能性も
  • 高齢での加入になるため保険料が高くなりやすい
  • 支給条件によっては保険金が出にくい場合もある
  • 民間介護保険では介護費用を全て賄えないかもしれない

それでは解説していきます。

高齢の方は加入できない可能性も

高齢の方は健康状態によっては加入できない可能性があります。


民間介護保険の会社は加入の際に希望者の健康状態をチェックするので、審査が通らなかった場合は加入できません。


高齢で健康状態に不安がある人は、介護保険の会社の加入条件を満たしているか相談してみましょう。

高齢での加入になるため保険料が高くなりやすい

保険の性質上、高齢での加入は保険料が高くなりがちです。


保険は大勢の人がお金を出し合って、その中の誰かにトラブルがあったとき、集めたお金を使用する「支え合い」のシステムです。


自分に大きなトラブルがあったときの「もしも」の備えになりますし、何もなくても出したお金は誰かの役に立つので、無駄にはなりません。  


そのため、この保険のシステムからすると、高齢で加入する人は介護状態になる可能性が高いので、保険料が高くなることが予想されます。  


保険料が高すぎると逆に生活の負担となるので、保険料が高すぎる場合は民間介護保険は必要ないでしょう。


繰り返しになりますが、介護保険は高齢での加入が多いため、保険料が高くなりやすいので注意が必要です。 

支給条件によっては保険金が出にくい場合もある

民間介護保険は商品ごとに支給条件が異なり、保険金が出ない場合もあります。 


公的介護保険のように要介護度に応じたサービスではなく、商品ごとに条件があるので、必ず保険金が出るとは限りません。 


また、保険金が出たとしても、本当に目的に合った商品かどうかも重要です。


民間介護保険は要介護者でも保険金が支給されない場合があるので気をつけましょう。

民間介護保険では介護費用を全て賄えないかもしれない

民間介護保険の支給額では介護費用を全て賄うことは難しいかもしれません。


2021年に生命保険文化センターが発表した「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護費用にかかる月々の平均は8.3万円であり、介護期間の平均は5年1ヶ月、計算すると、介護費用の平均は506.3万円です。


さらに住宅のリフォームや介護用ベッドの購入などの一時費用も平均で74万円ほどかかります。


商品によって変わりますが、民間介護保険で受け取れる介護状態になった場合の一時金は100〜200万円が相場であり、500万円の費用は賄えない可能性が高いと考えられるでしょう。

まとめ:民間介護保険は必要ない?いらない?


今回は、民間介護保険は必要ないかどうかについて解説しました。


結論としては、必要ないかどうかは場合によります。 


まとまった貯蓄がなく、介護費用を出せない人や、40歳未満だけど、介護に備えたい人には、必要ないとまでは言えず、検討の余地があるでしょう。


しかし、500万円以上の十分な貯蓄がある人や、介護を任せられる人がいる場合は公的介護保険で十分であり、民間介護保険はそこまで必要ないと言って良いでしょう。


民間介護保険は必要ない人と検討の余地がある人でわかれるので、必要ないと感じた人は公的介護保険だけで済ませ、必要と感じた人は検討してみてください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。