30代の介護保険の必要性は?老後に備えて今できることのサムネイル画像
▼この記事を読んで欲しい人
  • 介護保険の加入や解約を検討している30代
  • 介護保険は何歳から入るべきか知りたい方
  • 民間の介護保険の必要性に疑問を持っている方
  • 独身の方・肉体労働の方・家族が持病持ちの方
  • ほかの人たちはどのくらい介護保険に入っているか気になる方
▼この記事を読んでわかること
  • 一般の30代は介護保険の必要性があるかないか
  • 30代でも介護保険の必要性が高い人の特徴
  • 年齢による介護リスクと介護保険加入率
  • 介護保険の基本的なタイプとおすすめの選び方

30代での介護リスクは低く、介護保険の必要性は高くありません。それでも今のうちから保険に入ったほうがいいという意見が根強くあるのはなぜでしょうか。高齢化社会を生き抜くための、30代で考えるべき介護保険の必要性について言及します。

この記事の目次

目次を閉じる

30代の方は介護保険の必要性が低い


30代で介護を受けている人は1%にも満たないため、介護保険の必要性は低いです。


介護リスクが高くなるのは平均で85歳を超えてからなので、急いで加入を検討することはありません。


たとえば、35歳から毎月2,500円を介護保険料に費やすとして、1年で3万円、介護リスクが徐々に上がり始める80歳までかけると総額135万円と、かなり大きな出費です。


30代に入ると結婚や子育て、家の購入など、ライフスタイルが変わりお金の使い道にも変化が出てくるころです。


活用できる可能性がまだ低い保険にお金を割くよりも、ほかの費用や貯蓄、投資などを優先するほうが多くの30代にとって有益と考えられます。


また、40歳から公的介護保険が一部解禁されるという点においても、民間保険の必要性は下がるでしょう。


ただし、交通事故・重大な病気の対策を考えている方や、危険な仕事をされている方は、介護保険を必要とするケースもあります。


寝たきり状態になってしまうと仕事による収入は得られず、治療費や介護の出費が痛手となるからです。


その場合、介護保険のほかに、就業不能保険や医療保険などでもまかなうことができます。


そちらのほうが保障の幅が広いため、やはり介護保険の必要性は低いといえるでしょう。

30代の介護保険の必要性が高い方は?


それでは30代介護保険の必要性が高いのは、どのような方なのでしょうか。

若いころから介護保険に加入する必要性については、以下の3つが考えられます。

  • 40歳未満の介護リスクに備えたい人
  • 超高齢化社会に伴って公的介護保険が見直されると考える方
  • 介護リスクにどうしても備えたい、かつ遺伝的に持病を抱えやすいと考えられる人
「国の介護保険の特徴」と「民間の介護保険の制度」により、30代から介護に備えるほうがいいと考える方もいるでしょう。

40歳未満の介護リスクに備えたい人

日本の介護保険制度は高齢化社会に伴い、2000年からスタートしました。


公的介護保険の保険料支払いと保障は40歳以降が対象とされ、それ以前は対応されません


よって、30代の介護リスクをカバーしたい方は、民間の介護保険に加入する必要性が高いといえます。


特に面倒をみてくれる相手がいない独身の方や、けがの危険性が高い職種の方は、介護保険の加入を検討してみてもいいでしょう。


また、40歳以降になっても油断は禁物です。


公的介護保険は「40歳~64歳まで」と「65歳以降」で保険料の支払方法や保障範囲などが大きく分かれています。


40歳~64歳までは、末期がんや関節リウマチなど16種の特定疾病のみが看護保障の対象と法律で定められていて、保険適用外の介護が発生するケースも存在します。


65歳までの介護リスクに備えて今から準備しておきたいという方も、介護保険の必要性は高いです。

超高齢化社会に伴って公的介護保険が見直されると考える方

公的介護保険は被保険者の負担額が徐々に増加している傾向にあります。

2022年12月20日の社会保障審議会でも、今後の負担額増やケアマネジャー有料化の意見が見られました。

このように、今後はさらに介護負担が増す可能性があり、その対策を30代から始めたい方は、民間介護保険の必要性が高まるでしょう。

終身介護保険を若いときから入っておけば、安い保険料で介護リスクに備えることができるのです。

ためしに、2023年5月現在の公的介護保険を利用した介護サービスの料金と、将来負担額が増えた場合の料金を比べてみましょう。

介護サービスにかかる1割負担※の月平均額の概算と、負担額が2割になったときの金額を割りだしてみました。
1割負担2割負担

訪問介護

(ホームへルパ―)

8千円1万6千円
通所介護
(デイサービス)
9千円1万8千円
短期入所生活介護
(ショートステイ)
1万2千円2万4千円
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
2万9千円5万8千円

厚生労働省「令和2年度 介護保険事業状況報告(年報)」をもとに計算


1割から2割になると金額は2倍になり、負担が大きく変わります。


老後の準備の一環として、介護保険の必要性が高まる未来が来るかもしれません。


※2023年5月では一般的な公的介護保険は1割負担ですが、収入によって2~3割の場合もあります。

介護リスクにどうしても備えたい、かつ遺伝的に持病を抱えやすいと考えられる人

介護保険の多くは告知義務があり、これまでの病歴や通院、健康状態などの記録を提出しなくてはなりません。


告知内容によっては保険料が割高になったり、加入を拒否されることもあります。


よって、介護の保障が必要で、かつ持病を抱えやすいと考えられる方は、早めの加入を検討する必要性が出てくるでしょう。


特にがんなどの病気は遺伝するため、家族や親族に病歴や持病を抱えている場合、あなたも同じ病気にかかる可能性があります。


病気になったあとでは告知で引っかかり自由に保険が選べなくなる危険性があるので、健康な30代のうちに加入しておくべきです。


遺伝的な持病がない方でも、年齢とともに生活習慣病などにかかる可能性は増え、どうしても健康状態での不利が生じてしまいます。


「将来的には必ず介護保険に入る」と決めているのであれば、若いうちから加入しておくのも手です。

30代の方が介護保険に加入するか判断するうえで参考になるデータ


30代での介護保険の必要性を考えてきましたが、いざ加入するかどうかを判断するうえで参考になるデータを集めてみました。

データ内容はつぎの2つです。

  • 年齢別の介護リスク
  • 民間介護保険の世帯加入率
どちらも年齢別の情報になっています。

これらの数値を見て、今本当に介護保険が必要か、いつから介護保険が必要なのかを考えてみてください。

年齢別の介護リスク

年齢に応じた介護リスクを確認するため、実際に介護を受けている人の割合を年齢別で出しました。


データは40歳以上からとなっていますが、30代では40~64歳と同等かそれ以下の割合と考えられます。

人口による割合
40~64歳0.4%
65~69歳2.1%
70~74歳4.1%
75~79歳8.7%
80~84歳18.3%
85~89歳35.4%
90~94歳55.6%
95歳以上79.7%

参照:厚生労働省「令和3年度 介護給付費等実態統計の概況」生命保険文化センター「年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合」


介護リスクは80歳前半から増加し、85歳以降で一気に増える傾向があります。


90歳以降は半数以上が介護を必要としているのが現状です。


寿命が近づくほど介護リスクは高まり、原因は身体機能の低下のほか、認知症による介護の必要性も増えてきています。

民間介護保険の世帯加入率

つづいて、民間介護保険の加入率を世帯年齢別にまとめました。
加入率
29歳以下16.9%
30~34歳20.5%
35~39歳21.4%
40~44歳18.2%
45~49歳20.3%
50~54歳17.7%
55~59歳20.8%
60~64歳21.8%
65~69歳14.0%
70~74歳10.3%
75~79歳7.7%
80~84歳8.1%
85~89歳7.1%
90歳以上8.3%

参照:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」


公的介護保険が十分に受けられる65歳以降加入率が落ち着いてくる傾向にあるようです。


また、保障内容についても同様の資料から、「介護期間の平均は5年1ヶ月、介護費用は月平均8.3万円」というデータが参考になるでしょう。


つまり一度大きな事故や大病が発生すると、単純計算で507万円必要になります。


しかし、若いころであれば生命力があり1年以内で回復するパターンもあるため、保険に入る際は必要な分だけの保障額になるよう調整しましょう。

30代の介護保険の選び方


30代でも介護保険の必要性を感じた方は、以下の流れで商品を選ぶのがおすすめです。

  1. 付けたい保障内容や特約を決める
  2. 自分が支払える大体の保険料の目安を決める
  3. 上記で出した条件に合致する介護保険を複数比較検討する
まずはどのような保障が必要かを考えます。

介護保険であれば、長期向けの介護年金と短期・介護用品購入向けの一時金の2つの受け取り方が一般的です。

給付金がおりる条件も保険によって違うので、選ぶ際にはよく確認しておきましょう。

つぎに、保険料の目安を決めます。

30代であれば、最低限の保障が付いた500円から手厚い保障の5,000円以上の商品まで多種多様です。

期間の決まった定期保険か一生涯つづく終身保険か、また掛け捨て積み立てかでも保険料が変わります。

無理なく払える金額を考えておきましょう。

最後に、これらの条件に当てはまる商品を比較検討します。

複数の保険を比較するときは、パンフレットや公式サイトを一つひとつ見ていくよりも、介護保険の比較サイトを利用するほうが簡単に自分に合った商品を見つけられます。

また、ひとりでは決めきれない方は、保険のプロに相談してみるのもいいでしょう。

マネーキャリアでは無料の保険相談サービスを提供しているので、プロに話を聞いてみたい方は下のボタンからお気軽に申し込んでください。

マネーキャリアで無料相談

まとめ:30代の介護保険の必要性

30代では介護を必要とする可能性が低いため、介護保険の必要性はあまりありません


ですが、「超高齢社会が訪れる未来に備えて民間の保険に入っておく」という方もいます。

ほかにも「40歳未満は公的介護保険がないため自分で用意しておきたい」などの理由から、30代で介護保険に加入している人は20%前後いることがわかりました。

将来の生活や娯楽のために老後資金を貯めている方も多いと思いますが、医療・介護にかかるお金も意識しなくてはいけません。

仕事をリタイアしたときに不安を感じないように、今から考え始めてみてはいかがでしょうか。

そして本当に保険が必要なのか悩んだときは、マネーキャリア無料相談をぜひ使ってみてください。
記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。