- 老後の生活が心配な人
- 個人年金保険について詳しく知りたい人
- おすすめの個人年金保険が知りたい人
- 個人年金保険のメリットと注意点
- 個人年金保険料の所得控除の概要
- どんな個人年金保険を選べばいいか?
内容をまとめると
- 個人年金保険には確定年金、有期年金、終身年期などのタイプがあり、それぞれ年金の受け取り方が違う
- 個人年金保険は運用の仕方の違いにより、定額年金、利率変動型年金、変動年金、外貨建て年金などの種類がある
- 個人年金保険に加入すると、個人年金保険料控除の対象になる場合があり、税額が軽減される
- 個人年金保険料控除には対象条件があり、条件に合致した場合は、必要な手続きを踏んで控除を受けられる
- 個人年金保険を途中解約すると、元本割れの可能性が高い
- 個人年金保険の返戻率の重要性
- 個人年金保険は投資リスクを嫌がる人におすすめ
- おすすめの個人年金保険はどの保険会社の商品になるか?
- 保険に関する相談ならマネーキャリアに問い合わせを
- マネーキャリアには専門のFPが多数在籍
- マネーキャリアなら、スマホ1つで何度でも無料で相談可能
公的年金だけでは不安という方もいます。そのような方にぜひ利用していただきたいのが民間の個人年金保険。いろいろなメリットがあり、保険料は所得控除になり、預貯金よりも資金が蓄えやすくなっています。今回は、そんな個人年金保険について詳しく解説します。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 個人年金保険とは?
- 老後資金の準備に役立つ個人年金保険とは?基本情報まとめ
- 確定年金
- 有期年金
- 終身年金
- 個人年金保険の種類
- 定額年金
- 利率変動型年金
- 変額年金
- 外貨建て年金
- 個人年金保険のメリット
- 個人年金保険料控除の対象
- 預貯金よりも増える可能性がある
- 個人年金保険の保険料控除とは?
- 保険料控除には適用条件がある
- 保険料控除の手続き控除方法
- 個人年金保険の注意点
- 途中解約すると元本割れする可能性がある
- インフレになったときには注意が必要
- 個人年金保険の返戻率の計算方法!予定利率との違いに注意
- 個人年金保険はどんな人におすすめ?
- 状況に関わらず気軽に加入したい人
- 投資するリスクを避けたい人
- 終身年金を準備したい人
- まとめ:個人年金保険について正しく理解しよう
個人年金保険とは?
こんにちは。マネーキャリア編集部です。
先日、30代男性の会社員から年金についてのご相談を受けました。
日本には公的年金制度として、自営業の方には国民年金、会社員などの方には厚生年金が用意されています。
しかし、受け取れる金額が決まっていて、老後の生活を安定させるには不十分だと思っている人も多いです。
そんな不安を抱いている人に役立つ年金として、民間の個人年金保険があります。
ただ、どのような種類があり、そのメリットはどうなっていて、どう注意して利用すればいいのかわからないという人も多いでしょうから、それらの点について、この記事で詳しく解説します。
個人年金保険について詳細を知りたいと思っている方々のお手伝いになれば幸いです。
老後資金の準備に役立つ個人年金保険とは?基本情報まとめ
個人年金保険とは、保険料をコツコツ支払っていき、60~65歳になったら年金を受け取るようになっているタイプの年金保険です。
仕組みとしては、公的年金に似ていますが、こちらは民間の保険会社が扱っています。
そのため、加入は個人の自由で、無理に入らなくてもいいです。
けれども、加入によるメリットは大きく、加入検討をしている人も多くなっています。
そんな個人年金保険の基本情報として、3つのタイプをご紹介しましょう。
確定年金
最初に紹介する個人年金保険のタイプが確定年金で、確定年金とは、5年、10年、15年などの固定期間の間、年金を受け取れるようになっているものです。
その確定年金には、1つ際立った特徴があります。
かなりお得な特徴です。
有期年金
有期年金とは、固定期間の間、被保険者が年金を受け取れる個人年金保険です。
というと、確定年金と同じように見えますが、大きな違いがあります。
そのため、被保険者が早く死亡すると、受取年金額が払込保険料総額を下回る、時には大きな差額が生じることもあります。
これは保険料を納めた側にとっては、かなり損なことです。
そこで、商品によっては、保障期間をつけているものがあり、被保険者死亡後も残った保証期間の間、遺族が年金や一時金を受け取れるようにしている場合もあります。
終身年金
終身年金とは、被保険者が生きている間中ずっと年金を受け取れる個人年金保険のタイプです。
つまり、公的年金と年金の受取方という点では大きく変わらず、長生きすれば長生きするほど受け取れる年金額が増えていきます。
そういう意味では、長生きしている人にとってはお得です。
ただし、被保険者死亡後は、遺族は年金も一時金も受け取れません。
あくまでも被保険者の生存期間ということです。
そのため、被保険者が早く死亡すると、総受取年金額が減ります。
それは損だなと思われる人もいるでしょう。
しかし、その終身年金の欠点を補う保証期間がつけられる場合があります。
そうすれば、その期間中は、被保険者が死亡していても、遺族が年金や一時金を受け取れます。
個人年金保険の種類
個人年金保険は、運用の仕方でもいくつかの種類に分類されます。
定額年金、利率変動型年金、変額年金、外貨建て年金などです。
それぞれ年金の受取額が違います。
年金原資からあまり変わらないもの、増額を期待できるもの、大きく増やせるが減るリスクもあるものなどいろいろありますから、ご自分のライフプランに応じて選ぶ必要がります。
そこで、それぞれの特徴を詳しく見てみましょう。
定額年金
定額年金とは、保険会社が受け取った保険料を決まった予定利率で運用し、将来受け取れる年金額が定額になっているタイプの個人年金保険です。
予定利率とは、契約者に約束する運用利回りのことで、予定利率が1%なら、その割合で保険会社は保険料を運用していくことになります。
定額年金の場合は、運用が成功しても失敗しても、約束された利回りで年金が支給されます。
利率変動型年金
利率変動型年金とは、加入から5年なら5年という年月を過ぎると、予定利率が見直されるタイプの年金保険です。
予定利率が見直されると、将来受け取る年金額も変更されます。
なお、利率変動型年金の予定利率には最低保証がついているので、予定利率がその保証ラインよりも高くなったときは、年金額の増額が期待できます。
一度増えた年金額が減ることもありません。
変額年金
そんな方もいらっしゃるでしょう。
その目的にかなうのが変額年金です。
変額年金とは、保険会社が受け取った保険料で投資をし、その運用実績で被保険者が受け取れる年金の額が変動するというものです。
投資対象は株式や債券、投資信託などで、運用が成功すれば、受取年金額も増えるので、満足感も大きくなるでしょう。
ただ、失敗すれば、その逆で年金額が減ります。
最悪の場合、保険料の払込総額よりも受取年金額のほうが下がってしまう場合も。
外貨建て年金
外貨建て年金とは、保険料を外貨、例えば米ドルや豪ドルで運用し、その運用結果で受け取る年金額が変動する個人年金保険の種類です。
基本的に保険料の払込や年金の受取も外貨で行われますが、商品や特約によっては、円での支払い、受取も可能です。
外貨で運用というと、リスクもあるように思われるでしょうが、外貨のほうが日本よりも金利が高いので、結果的に資産が増えることがよくあります。
また、円安の状態になっていれば、為替差益によるプラスアルファーがあるケースもあるでしょう。
個人年金保険のメリット
そのような方も多いでしょう。
まず個人年金保険に加入すれば、公的年金では不足する可能性がある老後の生活費の準備ができます。
それだけに安心度も高いのですが、それ以外にもメリットがいくつかあります。
そのうちの一つは、節税効果があって、税金を低くすることができるかもしれないこと。
もう一つは預貯金をするよりも資金が増える可能性があることです。
つまり、いろいろなメリットを享受できるということなので、個人年金保険には加入したほうがよさそうです。
個人年金保険料控除の対象
毎年、所得税や住民税を納めていくのが大きな負担になる場合もあるでしょう。
この負担が少しでも減れば、生活も潤うのにと思っている人もいるはず。
そこで、そのような人たちのために、国も地方も所得控除制度というものを設けています。
所得額を減らして、税額も低くしてあげようという趣旨から生まれた制度です。
その所得控除制度の1つに生命保険料控除があり、さらにその中に個人年金保険料控除があります。
個人年金保険に加入すると、この個人年金保険料控除が活用できる場合も。
そうなれば、税負担も軽減され、ほっと一息。
個人年金保険料控除の適用条件や適用された場合の実際の控除額については後程詳しく解説しますが、所得税では最大4万円の控除、住民税では最大2万8千円の控除があります。
預貯金よりも増える可能性がある
そう思っている方もいらっしゃるでしょう。
確かに預貯金が大きく増えれば、それを老後の資金に充てることもできます。
しかし、預貯金というものは必要に応じて引き出されるものです。
お金をたくさん貯めたと思っても、何かあってそのお金を引き出さざるを得なくなることはよくあります。
また、低金利時代の日本では、多額の預貯金をしても、大きな利息は入ってきません。
そういう意味では、個人年金保険のほうが預貯金よりも増える可能性があります。
大切な老後の資金をしっかり蓄えておくという点では、個人年金保険の意味合いが非常に大きくなります。
個人年金保険の保険料控除とは?
個人年金保険の保険料控除とはどのようなものか、簡単に触れてはいますが、まだよくわからない部分もあるでしょう。
特に、個人年金保険料控除の適用条件とはいかなるもので、控除額がどれくらいで、控除の手続き方法はどうすればいいかについてはまだ説明していないので、詳しく教えてほしいという人も多いはず。
そこで、この欄で一つ一つ詳しく説明しましょう。
保険料控除には適用条件がある
個人年金保険料控除の対象となる条件とはどのようなものか、国税庁の公式ホームページに記載されている「No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等」に詳しく掲載されています。
その情報を参考に簡単にまとめておきましょう。2012年(平成24年1月1日)以降の新制度の場合です。
- 年金を受け取るのは保険料払込契約者orその配偶者のどちらか
- 保険料の払込期間は10年以上
- 定期的に保険料を支払う
- 年金の受取は満60歳になってから以降
- 10年以上の定期or終身年金
1年間に支払った年金保険料額 | 控除額の算出の仕方 |
---|---|
2万円≧ | 支払い年金保険料の全額 |
2万円<4万円≧ | 支払い年金保険料額×1/2+1万円 |
4万円<8万円≧ | 支払い年金保険料額×1/4+2万円 |
8万円< | 全ケース4万円 |
保険料控除の手続き控除方法
個人年金保険料控除を受ける手続き控除方法を解説します。
会社員などの給与所得者と自営業者別に順を追って見ていきましょう。
ただ、いずれの場合も「個人年金保険料控除証明書」という書類を準備します。
この書類は10月時分(保険料の支払い状況で変わることも)に保険会社から送られてきます。
まず会社員などの給与所得者の場合をご説明しましょう。
この場合は、「個人年金保険料控除証明書」に記載されたいくつかの内容を「給与所得者の保険料控除申告書」に書き写し、次に計算して算出した控除額も記入します。
そのうえで、「個人年金保険料控除証明書」を添付して、勤務先に提出してください。
これで、年末調整時に所得税の還付という運びになります。
次に自営業者のケースを見ておきましょう。
自営業者は確定申告をしますが、そのやり方が国税庁の「No.1140 生命保険料控除」に掲載されています。
その情報も参考にしつつやり方をまとめてみましょう。 まず確定申告書の「第2表」の生命保険料控除欄に控除額を記入します。
そして、「個人年金保険料控除証明書」を確定申告書に添付するor税務署で提示するかのいずれかの方法を取れば、手続き完了し、税額が減ります。
個人年金保険の注意点
そんな疑問を持っている人もいるでしょう。
老後の資金を準備してくれる個人年金保険はとても頼りになりますが、問題なく利用できるのでしょうか?
実は、いくつか注意しておいた方がいいことがあります。
その注意点を知っておかないと、かなり損をする場合もあり、せっかく個人年金保険に加入した意味が薄れてしまいます。
では、注意点とはどのようなことかというと、途中解約に関するものとインフレに関することです。
これらの注意点について解説しましょう。
途中解約すると元本割れする可能性がある
個人年金保険に加入していても、何らかの事情により、途中解約することになるケースもあるでしょう。
しかし、これはおすすめできません。
というのも、個人年金保険の途中解約では、解約返戻金の総額がそれまでに支払った総保険料の額に達っしない場合がほとんどだからです。
特に、個人年金保険加入後の早い段階で解約すると、解約返戻金は非常に少ないか0という場合もあります。
これらの点を考慮すると、個人年金保険はできるだけ途中解約せずに最後まで保険料を支払うほうがいいということになります。
インフレになったときには注意が必要
個人年金保険では、将来受け取れる年金額が決まっている場合が多いです。
タイプにもよりますが、受取年金額を増やせません。
すると、次のような疑問が出てくるでしょう。
これは大きな問題です。
将来受け取れる年金の額が決まっていて、それを待っている間にインフレで物価が上昇したら、同じ金額でもその価値はかなり目減りします。
仮に月5万円受け取れるような個人年金保険に加入していたとしましょう。
受け取り時までにインフレがなければ、その5万円の価値は変わりませんが、大幅なインフレがあると、5万円で買えるものが減ってしまいます。
そういう意味では、個人年金保険には幾分不安もあるでしょう。
ただ、すでに紹介した変額年金のように運用によって年金額が増えるものもありますから、インフレ対策に利用できるケースもあります。
個人年金保険の返戻率の計算方法!予定利率との違いに注意
個人年金保険の返戻率とは、支払う総保険料と受取年金総額を対比した比率のこと。
返戻率を求めるには、毎月支払う保険料とその払込期間、そして受取年金総額の数値を用意しておく必要があります。
その数値をもとに、次の計算式で返戻率を算出します。
受取年金総額÷支払い保険料総額(毎月の保険料×12か月×払込年数)×100=返礼率(パーセント)
仮に、毎月支払う保険料が1万円で払込年数が20年だとし、受取年金総額が400万円だと考えてみましょう。
次のような計算式になります。
400万円÷(1万円×12か月×20年)=約167%(四捨五入した場合)
返戻率については、受取年金総額が増えれば高くなり、減れば低くなるという図式が成立します。
当然のことですが、返戻率が高い商品には人気があります。
最後に予定利率と返礼率の違いについて簡単な説明を加えておきましょう。
予定利率とは、保険会社が契約者に約束する運用利回り。
それに対して、返戻率とは、総支払保険料に比べて総受取年金額がどのくらいの割合になるかを示した数値です。
個人年金保険はどんな人におすすめ?
いろいろなメリットもある個人年金保険ですが、どのようなタイプの人におすすめできるでしょうか。
中にはおすすめできない人もいますが、こんな人なら加入したほうがいいのではというタイプがあります。
そこで、具体的におすすめの人をいくつか選んでみるので、自分が該当するかじっくり考えてみてください。
そのうえで、いいとなったら、加入してみましょう。
状況に関わらず気軽に加入したい人
個人年金保険には生命保険のような死亡保障は付帯していません。
被保険者が死亡しても、死亡保険金の支給はありません。
そのせいか、告知書の提出や医師の診断がなくても、自由に加入ができます、
つまり、いま病気であるから、加入を断られるという心配はなしです。
病気であろうが健康であろうが、保険料さえ支払っていけば、時期が来たときに年金を受け取れます。
それから、職業による違いもありません。
公的年金のように会社員は厚生年金、自営業者は国民年金というような分別もされていません。
投資するリスクを避けたい人
そんな風に思っている方も多いことでしょう。
確かに、投資では大きく儲かることもありますが、大損リスクも無視できません。
そのため、そのリスクを背負ってまで、投資をしたくないという人も多いです。
そのような人には、個人年金保険がおすすめです。
受け取れる年金額が大きく増えることはないにしても、リスクはありません。
そのため、支払った保険料に対して大きく年金額が下がってしまうことはありません。
したがって、投資リスクを嫌う人には、個人年金保険はぴったりの商品です。
終身年金を準備したい人
日本人の寿命は大変長くなりました。
厚生労働省が発表した「平成29年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は次のようになっています。
和暦 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
平成29年 | 81.09 | 87.26 |
自分がどれだけ生きていかれるかはわかりませんが、平均すればかなり高齢まで生きていけることになります。
そうなってくると、確定年金や有期年金だと心もとない部分もあります。
最初はよくても、年齢を重ねたときに年金がなくなってしまうからです。
まとめ:個人年金保険について正しく理解しよう
個人年金保険とは、どのような年金なのかについてお伝えしてきました。
個人年金保険に加入を考える場合は、基本情報や種類、特徴などを押さえておく必要があります。
それらを含めて、記事の内容は次のようになっています。
- 個人年金保険には3つのタイプと4つの種類がある
- 個人年金保険料には所得控除がある
- 個人年金保険料の注意点を覚えておく
- 個人年金保険のおすすめ商品