個人年金の贈与税回避方法を徹底解説!贈与税を回避すべき理由とはのサムネイル画像
個人年金保険の契約者や受取人が誰になっているか確認してみましょう。

たとえば契約者と受取人が妻でも、夫の給料から個人年金保険の保険料を支払っているといったケースだと贈与税が回避できません。

贈与税は、所得税等よりも納付する金額が多くなるのが一般的です。

この記事を読めば個人年金贈与税の回避方法やその他贈与税に関する疑問が解消されます。

ぜひ最後までお読みください。

個人年金受取時、契約者と受取人が異なる場合に贈与税が発生することがあります。贈与税は他の所得税等よりも課税されてとられてしまうお金が多く、課税を回避したい方も多いのではないでしょうか。この記事では個人年金贈与税の回避方法やその他贈与税に関する疑問を解消します!

この記事の目次

目次を閉じる

なぜ贈与税を回避した方が良いのか


贈与税は、相続税の補完税とも呼ばれますが、相続税よりも税率が高く設定されています。これは、富裕層が贈与を通じて財産を子供や他の人に移すことによって相続税を払わなくてすむ状況になることを防ぐためです。

もし贈与税の税率が低かったら、贈与を使って財産を積極的に移動させ、最終的に相続税が回避できるようなことが起こり得ます。このようなケースが多いと政府は税収を失うことになり、富の不均衡が広がる可能性も高まります。そのために贈与税の税率は高く設定されているのです。贈与税は、財産の移動を公平にし、税収を確保するための手段ともいえます。

個人年金の贈与税を回避する方法|契約者=受取人にする

個人年金の贈与税を回避する方法として、契約者(保険料を支払う人)と受取人(年金を受けとる人)を同一人にすることが考えられます。この場合は税金の対象が受取人の所得となって所得税の対象になるので、贈与税を心配する必要がありません。


ただし、個人年金の契約で年金を受けとる段階になると、いくつかのポイントがあります。一括で受けとる際には一時所得で、毎年年金で受けとる際には雑所得で課税されるという違いがあります。


個人年金の契約で、贈与税を回避するために契約者と受取人を同一にする場合は、慎重な税務アドバイスと契約内容の確認が必要です。年金の受けとり方法や保証期間など、契約の詳細によって税金の取り扱いが変わるため、個別の状況に合わせてしっかり確認することが大切です。

保険料の負担者被保険者保険金受取人
(納税者)
課税関係
ABA所得税
一括で受けとる際には一時所得
毎年年金で受けとる際には雑所得
BBA相続税
CBA贈与税

そもそも贈与税はどのような時に発生するかおさらい

贈与税は、個人から年間110万円を超える財産をもらった場合に、もらった個人が負担する税金です。 贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産を合計し、その合計金額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残額に税率を掛けて計算します。


一般贈与財産の速算表

(この他に特例贈与財産用もあります。国税庁ホームページ参照)

基礎控除後の課税価格
(贈与額から110万円を差し引いた金額)
税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1000万円以下40%125万円
1500万円以下45%175万円
3000万円以下50%250万円
3000万円超55%400万円

すでに贈与税の対象となっている場合の対処方法とは

すでに贈与税を回避できない保険契約がある場合、何か対処法はあるのでしょうか。この場合は、変更手続きをすることで対処が可能です。

保険の契約は、契約者変更や受取人変更が可能なので、契約者(保険料を支払った人)と受取人(年金を受けとる人)を同一人にすれば贈与税の対象とはなりません。

契約者・受取人を変更する

贈与税の問題が生じるケースは、契約者(保険料を支払う人)と受取人(年金を受けとる人)が別人の場合です。このような契約の場合、所得税より高い税率の贈与税がかかりますので、贈与税を回避するためには契約者と受取人を変更する必要があります。


現在の個人年金保険を解約して再度入りなおすといったことをしなくても、契約者や受取人を変更することで同一人物に変更することは可能です。

契約者・受取人を変更した場合の課税はあるの?

契約者や受取人を変更しても、変更の際には課税されることや手数料が発生したりすることはないのでご安心ください。


ただし、受けとり時には注意が必要です。変更前に支払った保険料分の年金は贈与税の対象となります。変更後の年金には所得税がかかることを覚えておきましょう。

収入のない専業主婦が契約者の場合も贈与税が発生するので注意

個人年金保険で収入のない妻を契約者とする場合、税金について気をつける必要があります。税法上、契約者とは名義上の契約者ではなく、実際に保険料を支払った人、つまり保険料を負担した人を指します。


たとえば、個人年金保険において、妻=契約者・被保険者・年金受取人であっても、実際に保険料を支払っているのが夫であれば、契約者=夫、年金受取人=妻になるため、受けとる年金は夫から妻への贈与とみなされて、年金が始まる際の権利評価額が贈与税の対象になり、2年目以降毎年受けとる年金は所得税(雑所得)の対象になるのです。


税金の実務において、名義上の契約者が実際に負担したのか、つまり支払う能力があったのかが問題となります。 毎年、妻に保険料と同等の金額を贈与する場合でも、慎重な対応が必要です。年金を受けとる際に高額な税負担から回避できるよう証拠を残し、税務署や税理士に確認することが重要です。     

マネーキャリアで無料相談する

パターン別受け取り方でどのくらい課税が変わるのか計算検証!

個人年金保険契約を、年間保険料24万円、払込期間を30年に設定した場合を例にします。

契約者と受取人が同一で所得税がかかる場合と、契約者と受取人が異なり贈与税が発生する場合とで比較してみます。それぞれ計算してみましょう。

契約者と受取人が同一で所得税がかかる場合

個人年金保険で契約者と受取人が同一の場合の所得税を計算していきます。


個人年金保険に加入することで資産が増えたら収入とみなされるため、公的年金など以外の雑所得として所得税の課税対象となります。年金受けとりではなく「一括」で受けとる場合は、所得税(一時所得)の対象となります。


【保険内容】

 1年間の年金額=100万円(受けとり期間10年間) 

払込保険料=1年間で24万円(払いこみ期間30年間) 

【計算】

払込保険料の総額=24万円(払いこみ保険料)×30年間(払いこみ期間)=720万円 

年金の総支給見込み額(※)=100万円(1年間の年金額)×10年間(受けとり期間)

=1,000万円 

必要経費=100万円(その年の年金受けとり額)×720万円(払込保険料の総額)÷1000万円(年金の総支給見込み額)=72万円


※確定年金の場合「年金年額×支給期間」で計算


【結果】 

雑所得の課税価格=100万円(総収入金額)-72万円(必要経費)=28万円

つまり、このケースの所得税の対象となる金額は28万円です。

契約者と受取人が異なり贈与税が発生する場合

個人年金保険で契約者と受取人が異なり、贈与税が発生する場合の計算をしていきます。


契約者と受取人が異なる場合は、年金を受けとる権利である、年金受給権が契約者から受取人に贈与されたものとみなされます。そのため、年金の受けとりが始まった1年目に受取人に対して贈与税がかかります。 加えて、贈与された後に増えた資産は受取人本人の収入とみなされるため、2年目からは所得税(雑所得)がかかります。ただし、贈与税を支払った部分は課税対象にならないように計算するため、雑所得の金額は契約者と受取人が同一の場合と比べると低くなるのが一般的です。


【保険内容】

年金受給権の評価額:今回は仮に700万円と設定します。(下記参照)

次のいずれか多い額が年金受給権の評価額(年金の権利評価額)です。

  • 解約返戻金の額
  • 年金に代えて一時金の給付を受けられる場合は一時金の金額
  • 予定利率等をもとに算出した金額(予定利率とは、生命保険の保険料の計算等に用いられる基礎率の1つ)

つまり、将来受けとる予定の年金総額ではなく、現在価値を評価額として課税の対象にします。

 

【計算】

贈与税の課税価格=700万円(年金受給権の評価額)-110万円(基礎控除)=590万円

贈与税(※)=590万円(課税価格)×30%(税率)-65万円(控除額)=112万円


【結果】

上記の事例では、贈与税で112万円の納税が必要です。(国税庁ホームページ参照)


110万円の基礎控除を超える贈与は、贈与額が上がるにつれて税率も高くなる(10~55%)ので、年金受給権の評価額が高くなりそうなときは注意しましょう。さらに、2年目以降は雑所得として所得税が発生する可能性があります。


ただし贈与された年金の場合は、すでに税金を支払っている部分は課税対象とならないため、負担は多くないものと想定されます。 個人年金とそのほかの所得を合わせた金額が基礎控除額(たとえば合計所得金額2400万円以下=48万円)よりも低ければ所得税は発生しないので税金支払いを回避できます。

個人年金の贈与税無申告はバレるので注意!

個人年金の贈与税無申告は避けるべきです。確定申告をせずに黙っていたら贈与税が回避される、と考えるのはよくありません。なぜなら、保険会社は次のような場合、税務署に「支払調書」を提出する必要があるからです。 

  1. 100万円超の保険金や解約返戻金を支払う場合
  2. 20万円以上の年金を支払う場合

この支払調書には、受取人や契約者の氏名・住所、保険金額などの基本的な情報だけでなく、契約者の変更回数なども記載されます。これにより、税務署は受けとる年金に贈与税がかかることを確実に把握できるのです。


贈与税の無申告は絶対に避けるべきで、実際に無申告、虚偽申告を行うと、以下のようなペナルティが課せられるので肝に銘じておきましょう。

バレたら罰金のペナルティがあり

相続税を回避したのがバレた場合の、各種の罰金をみていきます。


無申告加算税

本来の申告期限までに申告しなかった場合に適用される税金です。50万円までが15%、50万円を超える部分に対し20%の割合で加算されます。 


過少申告加算税

期限内の申告ではあっても、申告の額が少なかった場合に適用される税金で、修正の申告を自主的にした場合はかかりません。税務署から通知があってから申告した場合は10%、一定額以上の場合は15%が加算されます。

 

延滞税  

本来の納付期限に納付を完了していない場合、法定納付期限の翌日から完納するまでの日数に応じ加算されます。納付期限の翌日から2か月以内の遅延の場合と2か月を超えた遅延の場合では、税率が約6%変わります。


重加算税

書類を偽造するといった不正行為や、税務署から送付されたおたずねに対して虚偽の回答をして申告を逃れようとした場合など、悪質な場合に適用される税金です。罰金の中で最も重い罰則であり、最高50%の税率が適用されます。


以上のような税金が課せられる可能性があるため、贈与税の申告を怠らずに正確に行うことがとても重要です。

税金を回避して贈与するために各種非課税枠を活用しよう

どうしても贈与税を回避できないケースもあるでしょう。贈与は、税金の支払いの有無にかかわらず正しく行うべきです。そのためには、正確な贈与契約を交わすなど、「当事者の合意の証拠」を残しておくことが重要です。


生前贈与を通じた相続税対策を考える際、非課税枠を活用することが多額の贈与税を回避するポイントです。贈与税の110万円枠が非課税枠の代表で、1人が年間に受け取る金額が110万円以下であれば、贈与税はかかりませんし、申告することも不要です。


また、110万円を超える場合でも、特例による非課税枠を利用する方法は以下の3つです。それぞれ要件があるので実際に使う際は確認することが重要です。


  1. 配偶者控除の特例(最大2,000万円まで非課税)
  2. 住宅取得等資金の特例(最大3,000万円まで非課税)
  3. 相続時精算課税制度(最大2,500万円まで非課税) 
さらに、扶養家族の生活費や教育費、香典、お歳暮、お中元、お年玉、お見舞いなどは贈与税の対象外です。また、財産の持ち主が亡くなった年に贈与された財産は、相続税の対象となります。

贈与を通じた節税には慎重なプランニングが必要で、上記の非課税枠を利用することで税金を回避できる場合があります。

贈与税やそのほか個人年金受取時の相談はマネーキャリアへ!

ここまで、下記テーマで進めてまいりました。あらためておさらいをします。


  1. 個人年金の贈与税を回避する方法
  2. すでに贈与税の対象となっている場合の対処方法
  3. 契約者・受取人を変更した場合の課税  
  4. パターン別受け取り方でどのくらい課税が変わるのか
  5. 個人年金の贈与税無申告はバレる
  6. 各種非課税枠の活用

少しでも贈与税や個人年金の受けとりに関する疑問が解消されたとしたら幸いです。


納税は国民の義務であり、確定申告をしないといった申告漏れはいずれバレる可能性があることをしっかり記憶にとどめておきましょう。高額な税負担を回避したいなら、正しい方法で贈与し、申告が必要な場合は期限内に正確に行うことが大切です。


各種質問や疑問点がある場合、または個人年金や贈与税に関する相談が必要な場合、マネーキャリアへのご相談をおすすめいたします。お金に関する重要な決定をする際は、専門家のアドバイスを受けることが賢明です。マネーキャリアではお金の専門家が親切にサポーしております。


税負担を回避、あるいは軽減するために、マネーキャリアをどうぞご活用ください。

マネーキャリアで無料相談する