

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
個人年金保険は増額できる!基礎知識について解説
個人年金保険は増額し、掛け金と年金額を増やすことができる場合があります。
増額不可の保険会社・商品もありますが、「一定の要件を満たせば可能」となっている商品の方が多いです。
個人年金保険は保険料を保険会社が運用しているので、受け取り時は払い込んだ掛け金より上回る可能性が高いです。
掛け金を増やすことは老後の資金を増やすことに直結するので、収入が上がったり、子育て等のライフイベントが落ち着いたタイミングで増額を考えるのもおすすめです。
契約時の予定利率のまま保険料を増額できる
個人年金保険を増額する場合、契約時の予定利率のまま保険料を増額できることがあります。
昭和から平成初期に契約された個人年金保険は、予定利率が5%以上のものもあります。
近年の個人年金保険は0.5%~1%ほどで当時と比べると低いです。
もし、昔に加入したままの状態になっている個人年金保険がある場合、契約時の予定利率のまま保険料を増額できるか確認してみましょう。
個人年金保険の増加方法「繰り下げ受給」とは
個人年金保険の増額方法「繰り下げ受給」とは、年金受け取り開始日を先延ばしにすることです。
受け取り開始が60歳であっても、65歳に変更することで、5年間新たに運用益が発生するのでその分受け取り時の金額は増額します。
受け取り開始時期を遅らせても、収入が安定して入ることが決まっていたり、貯蓄が十分にある場合は、繰り下げ受給を検討するのがおすすめです。
繰り下げ受給を検討された場合は、忘れずに保険窓口に問い合わせをしましょう。
手続きは受給開始前にしかできませんので、ご注意ください。
個人年金保険を繰り下げ受給するメリット
個人年金保険を繰り下げ受給するメリットは以下のとおりです。
- 資産寿命を延ばせる
- 繰り下げ期間中も保険料の支払いは不要
- 税制面で有利になる可能性がある
個人年金保険を繰り下げ受給するデメリット
個人年金保険を繰り下げ受給するデメリットは以下のとおりです。
- 長生きしなければ損になる
- 繰り下げ期間中は年金収入が得られない
- インフレリスクへの対応が難しくなる
個人年金保険の繰り下げ受給のポイント
個人年金保険の繰り下げ受給をするときのポイントとして以下の3つがあります。
- 受給を開始すると繰り下げはできない
- 保険会社との契約を確認する
- 類似の「据え置き」と間違えない
受給を開始すると繰り下げはできない
繰り下げ受給を検討しているときの最大の注意点は、受給が始まると繰り下げの手続きができないことです。
受給を開始する前に手続きが必要になります。受給開始前には保険会社から連絡が来るかと思いますので、その際漏れがないようお気をつけください。
だいだい受給開始時期の数か月前に通知が来ます。繰り下げができる商品であれば、「年金開始日の変更」という項目があります。通知される資料の説明は繰り下げの仕方というふうに明確に書いてあるわけではありません。
そして、年金の繰り下げができることについての案内が保険会社からあるとは限りませんので、契約時の約款(契約条項について記載しているもの)の確認とともに、保険会社の問い合わせをしましょう。
約款は、ホームページで確認できる保険会社がほとんどです。約款は見づらいということもあるので、わからなければ問い合わせをすると思っておきましょう。
保険会社との契約を確認する
すべての個人年金保険が繰り下げ受給ができるとは限りません。商品の契約によってはそのその繰り下げができないこともあります。
保険会社に確認をする際、営業担当者に確認するのもよいですが、万が一担当者が昔の商品について知識不足であった場合、損をしてしまう可能性があります。
営業担当者ではなく、コールセンターに電話して、確認をする方が確実かもしれません。
営業担当者はあくまで営業の担当なので、細かい事務手続きにおいて詳しくない可能性があるからです。
コールセンター(カスタマーセンター)は、保険会社の顔ともいわれ、知識を網羅している者がマニュアル完備の上、応対をします。
営業担当者は自分が個人年金保険の繰り下げ手続きをしたことがないからという理由で、「できません。」と回答するおそれがあるのでご注意ください。
保険会社や商品によって異なりますので、ホームページに載っている約款(商品についての契約条項を記載しているもの)を見るか、コールセンターに確認してみましょう。
類似の「据え置き」と間違えない
「据え置き」は受給期間を後にするという意味合いで繰り下げとよく意味が似ています。
しかし、「据え置き」と「繰り下げ」と異なる点があります。それは予定利率がいつの時点での利率を適用するかという点です。
予定利率とは、契約者が保険会社に払いこんだ保険料を保険会社が運用するときの利回りのことを指します。
「据え置き」は据え置きの手続きをしている時点での利回りが適用され、「繰り下げ」は商品を契約した時点での利回りが適用されます。
バブル時期の高金利のときは、ほとんどの保険会社の予定利率が3~5%でした。「繰り下げ」であれば、加入時点の利率ですが、「据え置き」になると現在の利率なので1%未満になります。(2023年10月現在)
契約時点での利率か現在の利率化では差がかなり開くので、間違えないように注意しましょう。
分からない場合は、「保険会社に契約時点での利率が適用されるほうで。」という言い方をしてもよいかもしれません。
個人年金保険を増額する際の注意点2つ
個人年金保険を増額する際の注意点は以下の2つです。
- 増額により月々の負担が増える
- 生命保険料控除の節税には上限があり
上記の2点を把握することで、個人年金保険を増額するリスクを回避したり対策する準備ができます。
増額により月々の負担が増える
個人年金保険の受給金額を増やそうと、払い込み保険料を増額すると、もちろんですが月々の負担が増えます。増額する前には一度家計を見直しましょう。
毎月の収入から食費、住居費、光熱費、通信費、交際費等を引きます。そして余剰資金を把握しましょう。その余剰資金の中から固定で毎月出すことができる範囲内で、保険料を増額してください。
人生はいつなにが起きるかわかりません。保険料を増額したばかりに、急な入り用が発生したときに個人年金保険を崩さなければならないことがあれば、中途解約になってしまいます。
中途解約をすれば、元本が割れてしまうことがほとんどです。受給金額を増やすための増額なのに、中途解約をして元本が割れてしまうと本末転倒ですよね。
自分が無理なくできる範囲で増額することをおすすめします。家計のご相談も、マネーキャリアで受け付けておりますので、ぜひご活用ください!
生命保険料控除の節税には上限があり
個人年金保険では、生命保険料控除が適用できます。生命保険料控除とは所得控除の1つです。
払い込んだ保険料によって所得税や住民税の負担が軽減される節税効果がある制度です。ただし、この生命保険料控除には上限があります。
保険料をたくさん払い込んだからすべて、控除にできるとは限りません。すでに加入している保険があるのならば、それもあわせて控除額がどれだけ余っているか把握しておきましょう。
生命保険料控除には旧制度・新制度とあります。旧制度は2011年12月31日以前に契約した商品に適用され、新制度は2012年1月1日以降に契約した商品です。
生命保険料控除について以下の表で解説します。
旧制度 | 新制度 | |
---|---|---|
生命保険料控除 | 最高5万円 | 最高4万円 |
個人年金保険料控除 | 最高5万円 | 最高4万円 |
介護保険料控除 | ー | 最高4万円 |
個人年金保険料控除は特約でつければ利用可能です。また、新制度には介護医療保険料控除として最高4万円追加されています。
このように生命保険料控除の節税には限度があるのでご注意ください。年末調整や確定申告の際に、確認してみてくださいね。
個人年金保険の増額に関する相談はマネーキャリアへ
マネーキャリアでは保険料の見直しのご相談に乗ることができます。個人年金保険の増額の方法や注意点を詳しく聞きたい等、どんなご相談もお伺いします!
保険に詳しいFP(ファイナンシャルプランナー)が、何度でも納得がいくまでご相談に乗ります!相談予約も、LINEのメッセ―ジで希望日程を送るだけなので簡単です。
時間や場所を選ばすにオンライン相談ができるのが魅力です。老後に備えるための個人年金保険を増額を検討するお手伝いができたらと思います。
ぜひ、個人年金保険額の増額のご相談はマネーキャリアへ!
個人年金保険は増額できる【まとめ】
今回は、個人年金保険は増額もできることについて解説しました。この記事のポイントは以下のとおりです。
- 個人年金保険の増額は可能
- 個人年金保険の増額は繰り下げ受給がおすすめ
- 繰り下げ受給をする場合、個人保険年金受給開始前に手続きが必要
- 生命保険料控除の節税には上限がある