

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
個人年金の受取方法は2種類!一括受取と年金受取の基本を解説
個人年金の受取方法には以下の2種類があります。
- 一括受取
- 年金受取
一括受取とは
一括受取とは、個人年金保険の満期時に積立金を一度に全額受け取る方法です。
まとまった資金が手に入るため、住宅ローンの返済や子どもの教育資金など、大きな出費に充てることができます。
税金面では「一時所得」として扱われ、他の一時所得と合算して年間50万円までの特別控除が適用されます。
ただし、受け取った金額から支払った保険料総額を差し引いた額が大きい場合は、税負担が発生する可能性があります。
年金受取(分割受取)とは
年金受取とは、個人年金保険の満期時に積立金を分割して定期的に受け取る方法です。
毎月、3ヶ月ごと、半年ごと、年1回など、契約内容によって受取頻度は異なります。
受取期間も5年、10年、15年といった確定年金型や、終身年金型など様々なタイプがあります。
税金面では「雑所得」として扱われ、公的年金等控除ではなく、給与所得控除や公的年金等控除後の他の所得と合算して課税されます。
一括受取のメリット・デメリット
一括受取のメリット・デメリットは以下のとおりです
- まとまった資金を即時に活用できる
- 自分で運用すれば保険会社の年金利回りより高い収益を得られる可能性がある
- 相続対策として活用できる
- 低金利時代には分割受取より有利になる場合がある
- 緊急時の資金需要に対応できる
- 一時的な税負担が大きくなる可能性がある
- 自己管理が必要で、使い切ってしまうリスクがある
- インフレリスクに対応しにくい
- 長生きリスクへの備えとしては不十分な場合がある
- 一度に大きな金額を受け取ることで生活保護などの公的支援の受給資格に影響する可能性がある
一括受取にはまとまった資金を即時に活用できるメリットがある一方で、一時的な税負担が大きくなる可能性というデメリットもあります。
そのため、長期的な視点で検討し、自分の資金計画や将来のニーズに合わせた選択を意識しましょう。
年金受取のメリット・デメリット
- 定期的な収入として老後の生活費を安定させられる
- 税金負担を分散できる
- 浪費を防ぎやすい
- 長生きリスクへの備えになる(特に終身年金型の場合)
- 計画的な資金管理がしやすい
- まとまった資金が必要な場合に対応しにくい
- インフレが進むと実質的な価値が目減りする
- 運用利回りが低い場合がある
- 途中で現金化が難しい
- 早期に死亡した場合、払込総額より受取総額が少なくなる可能性がある
(保証期間のない終身年金型の場合)
年金受取には老後の安定した収入源として活用できる一方で、インフレなどのリスクも考慮する必要があります。
長期的な視点で自分のライフプランに合うかどうかを検討しましょう。
一括受取と年金受取の税金を比較!どっちが有利?
個人年金保険の一括受取と年金受取では、以下の表のとおり、税金の取り扱いが大きく異なります。
受取方法 | 税金の種類 | 計算方法 | 特徴 |
---|---|---|---|
一括受取 | 一時所得 | (受取額-払込保険料総額-50万円)÷2 | 特別控除50万円と 1/2課税の特例あり |
年金受取 | 雑所得 | 各年の受取額-その年に対応する払込保険料 | 毎年の所得に 分散して課税 |
一括受取の場合、受取額から払込保険料総額を引き、さらに特別控除50万円を差し引いた金額の半分が課税対象となります。
一方、年金受取の場合は、毎年の受取額からその年に対応する払込保険料を差し引いた金額が課税対象です。
税金面での有利不利は個人の状況によって異なりますが、一般的に以下のような傾向があります。
<一括受取>
払込保険料が受取額に近い場合、課税所得が少なく他の所得も少ない場合
<年金受取>
払込保険料と受取額の差が大きい場合、他の所得が多い場合
個人年金保険の一括受取・年金受取に関するよくある質問
個人年金保険の受取方法に関するよくある質問を解説します。
解説する質問は以下のとおりです。
- 年金受給に確定申告は必要ですか?
- 一括受取と年金受取は途中で変更できますか?
- 年金受取中に死亡した場合はどうなりますか?
よくある質問への解説を見て、不安や疑問点を解消しましょう。
年金受給に確定申告は必要ですか?
個人年金保険の受取方法によって、確定申告が必要か異なります。
以下の表で、それぞれの受取方法における確定申告の要否をまとめました。
受取方法 | 確定申告が 必要な場合 | 確定申告が 不要な場合 | 備考 |
---|---|---|---|
一括受取 | 一時所得の課税対象額がある場合 (一時所得の特別控除50万円を超える場合など) | 一時所得の課税対象がなく、 他に申告すべき所得がない場合 | 一括受取は「一時所得」 として扱われる |
年金受取 | 年金受取額+他の雑所得の合計が 所得控除を超える場合 | 年金受取額が 所得控除内に収まる場合 | 年金受取は「雑所得」 として扱われる |
公的年金 | 公的年金等控除額を超える場合 | 公的年金等控除内の場合 | 65歳未満:年金収入108万円以下は不要 65歳以上:年金収入158万円以下は不要 |
一括受取と年金受取は途中で変更できますか?
個人年金保険の受取方法は、基本的に契約時や受取開始時に選択し、途中での変更は難しいケースが多いです。
保険会社によって対応は異なりますが、一般的には以下のような制約があります。
- 年金受取から一括受取への変更
⇒多くの保険会社で「年金の一括支払い」として対応可能
※ただし、すでに受け取った年金分を差し引いた残りの原資のみが対象 - 一括受取から年金受取への変更
⇒基本的に認められていないケースがほとんど
※一度一括で受け取ってしまうと、その資金を再度年金形式に戻すことはできない
上記の仕組みを知らないうちに受取方法を決めてしまい、後悔する前に把握しておきましょう。
年金受取中に死亡した場合はどうなりますか?
年金受取中に契約者が死亡した場合の取り扱いは、契約している年金保険の種類や特約によって異なります。
確定年金型の場合、残りの年金支払期間分は死亡一時金として遺族に支払われるか、または年金の継続受取が可能なケースが多いです。
仮に10年確定年金で5年目に死亡した場合、残りの5年分が一括または継続して支払われます。
終身年金型の場合、保証期間が設定されていれば、その期間内の死亡であれば残りの保証期間分が支払われます。
保証期間がない場合や、保証期間経過後の死亡の場合は、以後の年金支払いは終了し、年金受取中の死亡時に支払われる死亡一時金や継続年金は、相続税の対象となる可能性があります。
ただし、生命保険金の非課税枠の適用を受けられるケースもあるため、税理士やFPに相談するとよいでしょう。
【まとめ】個人年金保険の受取についての相談はマネーキャリアへ!

ここまで、個人年金保険の一括受取と年金受取のメリット・デメリット、税金面での違い、よくある質問などを紹介しました。
個人年金保険の受取方法は、一括受取と年金受取のどちらが有利かは、年齢、家族構成、他の収入源、将来の資金計画など、個人の状況によって大きく異なります。
しかし、個人年金保険の受取方法の選択には専門的な知識が必要であり、一度決めると変更が難しいという問題点があります。
そこでマネーキャリアの無料FP相談を活用すれば、あなたの状況に最適な選択肢を見つけることができます。
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