個人年金保険の一括受取の全てを解説!年金受取とどっちがお得なの?のサムネイル画像
個人年金保険に加入する際において、一括受取と分轄受取の2種類があります。一括受取と分轄受取のどっちか一つ選ぶだけで税額が変わっていきます。年金を一括で受け取る場合は、所得税の課税対象となり、受取方式を考慮しないと一時所得により受取額が少なくなる可能性があります。

そのため、貯蓄が苦手な方で資金を計画的に準備できる保険の半面、想定した金額より十分に金額が得られない場合があります。

本記事では、個人年金受取のどっちがお得か、税金の種類や計算、確定申告の有無を解説します。

個人年金保険の受け取り時には一括受取と年金としての分割受取の2種類があります。一括受取と年金受取のどっちが最終的にお得かは受け取り方法を選択する上で重要なポイントですよね。本記事では、個人年金受取のどっちがお得か、税金の種類や計算、確定申告の有無を解説します!

この記事の監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

個人年金保険の一括受取について



個人年金保険とは、老後のために保険料を一定期間に支払い、払い込んだ保険料をもとに年金をもらう保険です。年金保険には受け取る際に税金がかかり、保険金の受け取り方受取人によってかかる税金が異なります。


個人年金保険の一括受取について以下挙げます。

  • 一括受取できる年金の種類とその仕組み
  • 個人年金保険一括受取にかかる税金とは
  • 個人年金保険一括受取時の一時所得計算方法

上記から個人年金保険は、年金方式で受け取る際、所得税贈与税のどちらかがかかります。個人年金保険で一時受取ができる年金の種類と仕組み、計算方法について詳しく解説します。

一括受取できる年金の種類とその仕組み

個人年金保険は、将来の生活資金のために準備する保険です。例えば、企業年金で老後資金が何らかのきっかけで不足してしまった場合、それを補う形で個人年金保険で準備するシステムです。


個人年金保険は保険料を払い込んだ金額を計算し、契約時に設定した年齢に達したら年金を受け取れるのが特徴です。


  • 終身年金
  • 確定年金
終身年金とは、被保険者が生存している間に年金が受け取れる制度です。年金受け取り期間中に死亡すると、年金の支払いが終わり、相続人は引き続き受け取ることができないシステムです。

一方、個人年金保険の確定年金は、契約時に設定した時に一定期間年金が受け取れる保険です。年金受取開始後に被保険者が亡くなった場合は、残りの年金が遺族に支払われます。

年金の受け取り期間は10年15年などと決まっており、毎年に同額の年金額を氏は割れることができます。個人年金保険は普段の生活の中で貯蓄が苦手な人であっても、将来的に生活資金が貯めやすいのがポイントです。

個人年金保険一括受取にかかる税金とは

個人年金保険一括受取にかかる税金は、所得税として雑所得が課税対象になります。所得税は、会社からもらった給料個人の稼ぎである所得に対して課される税金です。


所得税は本来、会社員やフリーランスなどの個人事業主などのすべての個人を対象としています。個人年金保険で、年金受取人が確定年金を受け取る場合は一時所得として、保険料と特別控除50万円を差し引く仕組みになります。


年金保険を毎年一括受取ができる要素は以下求められます。


  • 保険の一時金
  • 損害保険の満期返戻金
  • 懸賞や福引の景品
  • 法人から贈与された金品
  • 競馬の払戻金


一時金所得の計算式を以下挙げます。

  • 一時所得=(総収入金額ー必要経費ー特別控除額50万円)/2

総収入金額は、税金や社会保険料が引かれる前の金額のことです。一時所得は契約者本人が一括で受け取る場合の対象となります。個人年金保険の年金受取人に対し、年金が始まった時点で年金受給権に贈与税がかかり、毎年受け取る年金に所得税がかかります。


個人年金保険を払い込んでいる場合、通常の生命保険料と異なり、所得税住民税の優遇が受けられる可能性があります。1年間に払い込んだ保険料に応じて税金が軽減されるのため、家計の助けになるのがポイントです。

個人年金保険一括受取時の一時所得計算方法

個人年金保険を一括で受け取ったときには、一時所得として所得税がかかります。一時所得とは、営利目的の継続した事業や行為から得られる所得以外の所得をいいます。一時所得の中で生命保険の一時金法人から懸賞など確定申告で算出された税額を申告する必要があります。


一時所得の計算方法は、以下の通り挙げます。

  • 総収入金額-必要経費-50万円(特別控除)
個人年金保険では、受け取る年金額が総収入金額となり、支払った保険料が必要経費となります。特に生命保険は、満期保険金を一括で受け取る際には一時所得に分類されますが、毎月分割して受け取った場合は雑所得に分類されます。

個人年金保険の受け取りを検討している際、税金の違いや計算方法について理解することで、自身に合った形式で年金を受け取りましょう。

個人年金一括受取のメリット・デメリット



個人年金一括受取は、貯蓄が苦手な人で将来の生活資金が計画的に貯められるのがメリットです。個人年金保険の保険料は、一定条件を満たすと、最高で年間4万円の個人年金保険料控除が受けられます。



個人年金一括受取のメリット・デメリットについて以下挙げます。

  • メリット:まとまったお金を得ることができる
  • デメリット:一時所得により受取額が少なくなる
個人年金一括受取は控除を超えた分は雑所得として毎年所得税住民税の課税となります。しかし、保険料は所得に応じて算出されるため、退職金の受け取りにより保険料の負担が重くなる可能性があります。


ここからは、個人年金一括受取のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

メリット:まとまったお金を得ることができる

個人年金保険に加入すると、老後退職時にまとまったお金を得ることができます。個人年金保険は、契約時に60歳や65歳などと定めた年齢まで保険料を払い込み、5年10年などの一定期間に年金が受け取れる仕組みになります。


個人年金は、貯蓄がしたいけどつい使ってしまうといった貯蓄が苦手な方でも老後資金を貯めやすいのがポイントです。積み立てたお金を年金受取期間を迎えるか途中解約をしない限り、手元に入ってこないので老後資金として別の用途に使用ということも起こりにくいです。



個人年金保険は、長く勤めた会社を退職した後に夫婦でマイホームをしたい際に個人年金を引き出すことで老後のマイホーム資金として活用することができます。また、個人年金保険では節税効果があります。


個人年金保険で節税効果を適用するための条件を満たすと、自分の年金が増えた開始年齢を自由に選択できるのが大きなポイントです。




デメリット:一時所得により受取額が少なくなる

個人年金保険のデメリットは、一時所得により受取額が少なくなる点です。個人年金保険は、支払い期間が決まっている確定年金の場合は、一括で受け取るか、毎年受け取るのかによって受取額が変わります。


  • 年金を毎年受け取る
  • 一括で年金を受け取る

個人年金保険の年金を毎年受け取る場合は、雑所得として計算される仕組みになります。年金の受け取りには、原則として課税対象がかかるからです。個人年金保険に加入する際には、税金の仕組みを理解した上で、契約形態や受け取り形式をしっかり把握することが大切です。


個人年金保険は所得が10種類ありますが、毎年に年金として受け取る場合は、雑所得に加えて住民税も課税されます。そのため、個人年金保険を受け取り事において、分割受け取りよりも一括受取の方が臨時収入があった時に退職金などで支払い、備えることができます。


一括受取と分割受取はどっちがお得?



個人年金保険を受け取るには、税金が発生することを考慮する必要があります。年金の受け取りは一般的に一括受け取り分割受け取りの2種類の選択があり、2つの受け取り形式によっ扱われる税金が異なります。


個人年金保険の一括受け取りは、所得税が多くかかり分割で受け取るよりも将来的に受け取る額が少なくなります。結果として一括で受け取りより分割受け取りの方が手取りが大きいことがわかります。


個人年金を一括で受け取る場合の計算式を以下挙げます。

  • (受け取った金額-払込保険料-50万円) × 2分の1


例えば、個人年金を一括で1,500万円受け取ったと仮定し、保険料を累計で800万円支払っていた場合は、一時所得は325万円となります。


  • (1,500万円-700万円-50万円)×2分の1
上記の式から50万円を差し引いて、残りを2分の1に計算できるのが退職所得と譲渡所得が対象です。

一方、個人年金を分割で受給する場合は、雑所得で以下計算する形式です。


  • 受取った金額-払込保険料
例えば、保険料が1,000万円で年金を1年間で200万円だった場合の計算式を挙げます。

  • 100万円-700万円
上記から1年間の雑所得は計算式で30万円となります。一括受け取り分割受け取りのどちらを選ぶ場合、まずは一時所得全体を確認する必要があります。年金の受給総額を増やしたい場合になると、一括受け取りよりも分割受け取りの方が手取りが多くもらえるのでお得です。

個人年金の一括受取で確定申告は必要?不要?



個人年金の一括受取で確定申告は必要かどうか気になる方が多いのではないでしょうか。結論からいうと、個人年金を一括受け取った場合は、確定申告は不要です。しかし、受取年金額が必要経費を上回った場合、確定申告が必要になります。


個人年金の一括受取で確定申告をする区別について以下3つ挙げます。

  • 個人年金一時受取で確定申告が不要な場合
  • 保険期間が5年以下で個人年金を一時受取する場合
  • 【豆知識】公的年金は確定申告の必要なし
これらの要素から、年金受取人が年金を受け取ると、確定申告が必要になる場合があります。ここからは、個人年金の一括受取で確定申告が必要な場合と不要な場合について詳しく解説します。

個人年金一時受取で確定申告が不要な場合

個人年金一時受取りに加入する上で、一括で受け取った場合は確定申告は不要です。

しかし、給与所得および退職所得以外の所得が20万円以上だった場合は、確定申告が必要になるので申告漏れがないか注意しましょう。


年金受け取り人が確定年金を一括で受け取る場合は、一時所得になりますが、総払込保険料を差し引いた金額の場合、特別控除額の50万円以下だと0円になるため確定申告が不要です。


個人年金受取人は、必要経費を上回ると雑所得として課税対象になるため、原則とし確定申告が必要になります。年金を一括で受け取った後、本来納付しなければいけない税金の申告をしなかったり、申告が遅れてしまったりすると、延滞税といった追徴課税が発生することにつながるので年金を受け取った後は、申告漏れがないかしっかり確認するようにしましょう。



保険期間が5年以下で個人年金を一時受取する場合

個人年金保険の確定申告について、保険期間が5年以下の一時受取の確定申告は不要です。一時払いの個人年金保険や確定年金の場合は、契約から5年以内に解約すると「金融類似商品」に該当し、解約返戻金は源泉分離課税の対象になります。


一時払いの個人年金保険は契約日から受取開始までの期間に年金額を増やすことができますが、契約してからの5年以内の引出金は源泉徴収に該当するので申告漏れがないよう注意することが必要です。


契約者と満期保険金受取人が同一人でも、満期時の受取金額払込保険料との差益に対し20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金がかかるため、生命保険会社の方から税金を差し引いて受取人に支払うことになります。


また5年を超える契約でも、養老保険や一時払変額保険でも契約から5年以内に解約した場合も金融類似商品と同様の取り扱いとなります。



【豆知識】公的年金は確定申告の必要なし

公的年金は、国民年金厚生年金などを受給している制度です。公的年金に加入すると、老齢基礎年金や厚生年金、遺族年金などの年金を受け取ることができます。結論からいうと、公的年金は年に400万円以下で年間所得が20万円以下の場合、確定申告が不要です。



公的年金で確定申告が不要の対象になるのは、以下の条件に当てはまっている場合です。

  • 公的年金の合計収入が400万円以下、かつそのすべてが源泉徴収対象
  • 雑所得以外の所得が20万円以下
確定申告に該当する1つ目の条件は、公的年金の収入が400万円以下であることです。
特に老齢基礎年金やiDeCoの給付金などを受給している場合もすべて合算した収入金額で判断します。

確定申告の対象になるには、雑所得以外の所得者が20万円以下である必要があります。そのため、公的年金の雑所得以外の所得が20万円を超えると、確定申告を行う必要があるので注意が必要です。




まとめ:個人年金保険の受取についての相談はマネーキャリアへ!



本記事では、個人年金保険の一括受取と年金受取とどっちがお得かについてご紹介しました。


個人年金保険の受取は、老後の生活資金の備えとして年金を受け取る保険商品です。個人年金の一括受給の特徴を以下まとめます。

  • 貯蓄が苦手でも将来の生活資金を計画的に貯められる
  • 個人年金保険料控除が受けられる
  • マイホーム購入や老後資金に向けて用意ができる
これらの特徴から、個人年金保険のメリットの一つは、普段の生活で貯蓄が苦手な人でも生活資金を貯めることができる点です。しかし。個人年金保険で一括受取を選択すると、所得税が20万円以上の場合、確定申告が必要になってきます。

個人年金保険について一時所得や所得税について相談したい場合、マネーキャリアという窓口を利用することがおすすめです。マネーキャリアでは、FP(ファイナンシャルプランナー)が税金や保険などについて詳しくアドバイスをもらうことができます。