- 個人年金保険の検討をしている方
- 少ない額の個人年金保険に入ってもきちんと利益が出るのか気になる方
- そろそろ老後資金の準備を考えはじめた方
- 個人年金保険以外に効率のいい長期的な資産運用方法を知りたい方
月額5000円で入れる個人年金保険は、本当に意味があるのでしょうか。年齢別にわけて計算し、月額5000円だといくら年金がもらえるのかを実際にシミュレーションしてみました。さらに個人年金保険に向いている人やそれ以外の老後資金の積み立て方法も紹介します。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- 個人年金保険を月額5000円ずつ払い込む場合の受取金額をシミュレーション
- 25歳で個人年金保険を契約した場合
- 30歳で個人年金保険を契約した場合
- 35歳で個人年金保険を契約した場合
- 掛け金5000円の個人年金保険がおすすめな人
- 貯蓄が苦手で確実に老後資金を準備したい人
- 個人年金保険で保険料控除を受けたい人
- 掛け金5000円の個人年金保険をおすすめできない人
- 将来の見通しが立っていない人
- 家計に余裕がない人
- 高い利回りを求める人
- 個人年金保険以外で老後資金を準備する方法5選
- 方法①:iDeCo
- 方法②:企業型確定拠出年金
- 方法③:つみたてNISA
- 方法④:財形貯蓄
- 方法⑤:投資
- 参考:個人年金保険の平均月額払込保険料はいくら?
- まとめ:個人年金保険に関するお悩みはFPに相談するのがおすすめ
個人年金保険を月額5000円ずつ払い込む場合の受取金額をシミュレーション
個人年金保険には確定年金・有期年金・終身年金の3タイプがあり、それぞれ掛け金や受け取れる金額に差があります。
ここでは金額が決まっている確定年金をもとに、払込期間が65歳まで、受取期間は10年の契約で月額5000円を払い込んだ場合の受取金額をシミュレーションしてみましょう。
想定する契約時の年齢は以下の3つです。
- 25歳
- 30歳
- 35歳
25歳で個人年金保険を契約した場合
25歳から個人年金保険を契約した場合、年金受取額はいくらになるのでしょうか。
25歳から65歳までの40年間、月額5000円を支払うと、払い込み総額は240万円です。
その後、10年間で受け取れる年金の総額は253.4万円、返戻(へんれい)率は105.58%です。
つまり65歳から75歳まで毎年25.34万円振り込まれます。月に直すと約2.1万円分の金額です。
利率が5.58%なので、月額5000円支払いのたびに279円上乗せされていく計算になります。
25歳~65歳の月額5000円払い、受取期間10年の確定年金保険のまとめは以下の通りです。
- 払い込み総額…240万円
- 受取総額…253.4万円
- 払い込みと受取の差額…13.4万円
- 年間受取額…25.34万円
- 返戻率…105.58%
30歳で個人年金保険を契約した場合
つづいて30歳から個人年金保険を始めた場合はどうでしょう。
65歳までの35年間、月額5000円による契約では、払い込み総額は210万円になります。
その後10年間の受け取り年金総額は220.1万円、返戻率は104.80%です。
75歳までの契約満了まで毎年22.01万円、月に約1.8万円分の年金が入ります。
利率は4.80%なので、月額5000円だと毎月240円プラスされていく計算です。
やはり25歳からの契約に比べると若干見劣りしますね。
30~65歳の月額5000円払い、受取期間10年の確定年金保険のまとめは以下の通りです。
- 払い込み総額…210万円
- 受取総額…220.1万円
- 払い込みと受取の差額…10.1万円
- 年間受取額…22.01万円
- 返戻率…104.80%
35歳で個人年金保険を契約した場合
最後に、35歳から契約したときのシミュレーションをしましょう。
35歳から65歳までの30年間の場合、月額5000円の払い込み総額は180万円です。
10年間で受け取れる年金総額は187.2万円で、返戻率は104.00%。
75歳までにもらえる年金は毎年18.72万円、月に直すと1.56万円になります。
利率4.00%で計算すると、月額5000円を支払うたびに上乗せされる額は200円です。
支払い金額と受取金額の差は7.2万円となり、25歳の場合と比べると6.2万円も下回ることがわかります。
35歳~65歳の月額5000円払い、受取期間10年の確定年金保険のまとめは以下の通りです。
- 払い込み総額…180万円
- 受取総額…187.2万円
- 払い込みと受取の差額…7.2万円
- 年間受取額…18.72万円
- 返戻率…104.00%
掛け金5000円の個人年金保険がおすすめな人
月額5000円で入れる個人年金保険における受取金額をシミュレーションしてみましたが、このタイプの保険はどのような人に合っているのでしょうか。
掛け金5000円の個人年金保険が向いているのは次に当てはまる方々です。
- 貯蓄が苦手で確実に老後資金を準備したい人
- 個人年金保険で保険料控除を受けたい人
貯蓄が苦手で確実に老後資金を準備したい人
貯蓄が苦手でどうしても貯金ができないと悩んでいる方は、個人年金保険に加入しておけば確実に老後資金を貯めることができます。
それは保険会社へ半強制的に支払わなくてはならないから。つまりその分のお金を使わなくてよくなるからです。
途中で保険を解約することはできますが、支払い期間に応じて解約返戻金は減ってしまい、元本割れしてしまう(支払った分よりも少ない額しか戻ってこない)可能性があります。
損をするとわかっているのであれば、よっぽどのことがない限り途中解約しようとは思わないですよね。
損を避けたい心理を使って、途中で気が変わりやすい方でも貯蓄ができるよう先手を打っておくという意味で、個人年金保険に加入するのはひとつの手です。
個人年金保険で保険料控除を受けたい人
個人年金保険に加入すると保険料控除を場合により受けることができます。
条件をクリアして個人年金保険料控除の対象になれば、所得税と住民税が軽減される可能性があるのです。
適応される条件は4つあります。
- 年金受取人が契約者本人か配偶者
- 年金受取人が被保険者と同じ
- 保険料払い込み期間が10年以上
- 受け取りはじめが60歳以上で、受け取り期間が10年以上か終身タイプを利用
掛け金5000円の個人年金保険をおすすめできない人
月額5000円の少額でも個人年金保険に入らないほうがいいのは、次のような方々です。
- 将来の見通しが立っていない人
- 家計に余裕がない人
- 高い利回りを求める人
将来の見通しが立っていない人
転職を考えている人や収入が不安定な人、結婚前の若い人など、将来の見通しが立っていない人には個人年金保険をおすすめしません。
「転職したはいいけど給料が減ってしまって、保険の月額支払いがきびしい」「結婚式を上げたり子どもを育てたりで、大きなお金がどうしても必要になった」といった理由により、途中で解約するリスクが高まるからです。
急な出費によってお金が必要になり、途中解約をすると元本割れする可能性が高いので注意しましょう。
契約して早々に解約してしまうと、累計支払金額の60%ほどしか戻ってこないこともあります。
若い人が老後まで個人年金保険を支払おうとすると30年以上続けることになり、その間に積み上げている保険料は老後まで引き出せません。
将来設計がまだできておらず、家計の状況が不安定になる可能性のある人は、個人年金保険に入らないほうがよいでしょう。
家計に余裕がない人
すでに家計に余裕がない人も個人年金保険はおすすめできません。
その理由は、保険料の払い込みが苦しくなる可能性があるためです。
どうしても支払いができずに途中解約することになれば、元本割れするリスクが伴います。
そうならないよう、契約する前に資金にある程度余裕があるか確認しましょう。
なお、保険の支払いを止めたいときは「払い済み」や「休止」を利用できる場合があります。
払い済みを利用すると支払いはそこでストップし、その後予定していた受取期間が来たときに支払った分の金額を受け取ることができるシステムです。
支払いが減る分受取金額は低くなってしまいますが、元本割れを避けることができます。
解約と払い済みと休止のどれを選ぶべきかは個人の状況によって変わってくるため、
個人年金保険に加入したいという人は、当サイトが運営するマネーキャリアをはじめとするプロに保険を相談できるサービスを利用するのがおすすめです。
高い利回りを求める人
- 毎月の積立金額:5,000円
- 年利:3%
ある程度資産や収入がある方なら、保険以外にも資産運用の方法はたくさんあります。
他の老後資金を準備する方法が知りたい方は、次の項目で解説しているのでぜひご覧ください。
すでに投資の知識があり、高い利回りを求めるのであれば、個人年金保険以外の選択を考慮してみましょう。
個人年金保険以外で老後資金を準備する方法5選
ここまで個人年金保険について説明してきましたが、ほかに老後資金を準備する方法はいろいろあります。
今回は次の5つを紹介しましょう。
- iDeCo
- 企業型確定拠出年金
- つみたてNISA
- 財形貯蓄
- 投資
個人年金保険は合わないかな、と思ったら、この5つも検討してみることをおすすめします。
もっとお得に貯めたい、利回りの多いものを探しているという方にピッタリなので、ぜひ参考にしてくださいね。
方法①:iDeCo
iDeCoとは、政府が打ち出した老後資金を準備する制度1つです。
「国民年金にプラスできる年金」と言うとわかりやすいかもしれませんね。
iDeCoの1番のメリットは、税金が各種免除されること。
掛け金は課税対象所得から引かれるので、所得税と住民税の計算時に所得が通常より少なく見積もられる=税が少なくなります。
また、iDeCoでの運用益は課税対象外、積み立てた資金を受け取る際は所得税減税と、税金対策になるのが大きな長所です。
ただし、利回りは個人年金保険とそれほど変わらず、途中解約は基本的にすることができません。
掛け金や運用方法を自分で決められ、公的な年金よりも自由度が高いのが特徴です。
方法②:企業型確定拠出年金
会社員であれば、企業型確定拠出年金に加入できるところもあります。
企業型確定拠出年金は、企業が掛け金を負担し、加入者が運用する形態の年金です。
ただし選択制の場合は、加入者の給与から天引きされることもあります。
iDeCoと同じくこちらも税制面での優遇措置があり、また企業が掛け金を出していることから支払い不足になる心配がないのがメリットです。
もし転職をしても、手続きをすれば積み立てた資金を次の会社で引き継ぐかiDeCoに移動することができます。
デメリットとしては、iDeCoほど運用商品の種類を自由に選べないところがあげられるでしょう。
方法③:つみたてNISA
つみたてNISAは最低100円から投資ができる制度で、iDeCo同様こちらも政府が打ち立てたものです。
老後資金に特化した制度ではありませんが、少額から積み立てることが可能なため、同じような目的で活用できます。
普通、投資で得た利益は税金で20%ほど引かれてしまうのですが、つみたてNISAに関してはそれを20年間非課税にできるのが強みです。
注意点として、利用期間は最長20年、投資金は月額40万円までという制限があります。
年金とは違い、必要なときに預けたお金を手元に戻せるので安心です。
投資商品も高水準のものが多く、投資初心者でも気軽に始められます。
方法④:財形貯蓄
財形貯蓄制度を採用している企業に勤めている会社員であれば利用できる積み立て制度です。
積み立て金は給料から天引きされるので、貯蓄が苦手な方でも自然に老後資金が貯められます。
財形貯蓄で貯めると550万円までの利子への課税が免除されますが、個人年金保険やiDeCoのような掛け金への控除はありません。
財形貯蓄の強みは、老後資金だけでなく持ち家の購入やリフォームにも利用できるところです。
持ち家に関する利用の場合、ペナルティなしで積み立てたお金をおろすことができ、さらに長期で貯蓄していれば融資を受けることもできます。
利子の税金は発生しますが途中解約もできるので、積立金を動かせる余裕がほしい方や振り込みが面倒な場合に有効です。
方法⑤:投資
ある程度投資の知識がある方なら、保険にお金をかけるよりも投資に力を入れたほうが効率がいいです。
積立型の保険は運用に対する手数料が含まれているので、利益はそれほど大きくありません。
積立保険を貯蓄と保険料にわけて考えると、貯蓄の部分を投資にまわしたほうが資産を形成するのに役立ちます。
長期的な老後資金の積み立てに投資を使う場合は、安定して伸びている株式や投資信託を狙いましょう。
もちろん投資は元本割れを起こしてしまうデメリットもある方法です。
知識があり効率よく積み立てたいのであれば、保険は掛け金の安い掛け捨ての生命保険にして、残りを投資で老後に備えるのが得策でしょう。
参考:個人年金保険の平均月額払込保険料はいくら?
個人年金保険の平均月額払込保険料は17,166円という結果が出ています。
世帯数の割合 | |
---|---|
5,000円未満 | 20% |
5,000~10,000円未満 | 13% |
10,000~15,000円未満 | 25% |
15,000~20,000円未満 | 8% |
20,000~30,000円未満 | 18% |
30,000~40,000円未満 | 4% |
40,000~50,000円未満 | 3% |
50,000円以上 | 7% |
不明 | 3% |
まとめ:個人年金保険に関するお悩みはFPに相談するのがおすすめ
「保険に入ればとりあえず安心」という気はしますが、余計な保険金を支払うと結果損になってしまうこともあります。
どの保険が合っているのかわからない、現在入っている個人年金保険を低リスクで解約したい、月々の支払いに困っている…といったお悩みを持っている方も少なくないでしょう。
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