年金の学生特例の追納期限10年が過ぎてしまった!いくら損になる?のサムネイル画像

この記事を読んで欲しい人

  • 年金の学生納付特例の10年過ぎたときの対処法を知りたい人
  • 年金の学生納付特例の申請忘れをしてしまった場合、いくら損になるのか知りたい人
  • 学生免除期間の10年過ぎた場合の障害基礎年金と遺族基礎年金はどうなるのか知りたい人

内容をまとめると

  • 追納期間10年過ぎた時の対処法は、60歳以降に保険料納付済期間を増やすか、引き続き働いて厚生年金に加入することである
  • 追納期間である10年の期限切れのときは未納期間1年につき約2万円の年金が減る
  • 場合によって障害年金(障害基礎年金)や遺族基礎年金が受け取れなくなるケースがあるので注意が必要
  • マネーキャリアで、ライフプランについて相談してみるのもおすすめ
  • 今ならスマホ1つで無料オンライン相談ができるので、お金やライフプランについてわからない点を質問し疑問点を解決しましょう!

学生の時に免除された年金の追納期限の10年を過ぎた時の影響や対処法を解説しています。対処法としては、60歳以降に保険料納付済期間を増やす、厚生年金に加入して働く方法があります。未納期間がある時、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できなくなる場合があり、年金額が減ります。

この記事の目次

目次を閉じる

年金の学生特例の追納期限10年が過ぎた時の対処法やいくら減るかを解説


国民年金は公的年金なので、20歳になったら支払わなければならない義務がありますが、学生の場合、年金の学生納付特例10年間は追納ができます。


しかし、就職後に忙しかったり結婚などのライフプランの変化で、つい支払いの申請忘れをして10年過ぎたという場合も多いようです。


そんなときにどうすればよいのか、いくら損になるのか知りたいですよね。


そこで今回の記事では次のことをお伝えします。


  • 追納期限10年過ぎたときの対処法2つ
  • 追納期限10年過ぎたときの年金はいくら減るか
  • 追納期限10年過ぎたときの障害基礎年金と遺族基礎年金はどうなるか

最後まで読めば、学生納付特例期間である10年過ぎた時にどう対処すればよいのかがわかり、損しないように考えることができるでしょう。


ぜひご覧ください。

年金の学生特例の追納期限は10年


年金の学生納付特例として10年間追納することができます。


この特例は申請をして厚生労働大臣の承認を受けた場合に適用されます。


20歳になると国民年金保険料を支払わなければならないと言っても、現実問題として学生の場合、収入がない、あるいはアルバイトなどをしていても収入が少なくて支払えない場合が多いです。


親が肩代わりになって保険料を支払ってくれる場合は良いのですが、親も学費の捻出でなかなか余裕がないケース多く、払わない場合もあるでしょう。


そのため、本人が就職して自立するするまでの間、学生納付特例として申請をすると10年間は保険料の納付の猶予期間があるのです。


その間に追納すれば良いので便利な制度となっています。


具体的に言うと、2022年度の国民年金保険料は月額16,590円なので、年間で199,080円の保険料を支払わなければなりません。


22歳で卒業して就職した場合で見てみます。(誕生月にもより月数は変わりますが、ここではわかりやすく2年間ピッタリで計算してみます。)


2年間支払いを猶予した場合、

199,080円×2年=398,160円

約40万円が猶予された保険料となり、この保険料分が10年の間追納ができることになります。


この金額は、学生にとってかなりの負担になる金額ではないでしょうか。


そこで次に、学生免除期間を過ぎた場合の対処法を考えていきましょう。

年金の学生特例の追納期限が過ぎた場合の2つの対処法


学生特例の10年過ぎたときに対処する方法は2つあります。


ライフプランの変化で結婚、出産、転職などで資金繰りに余裕がなく、期限切れになる場合も出てくることがあります。


また、毎日の忙しさでついうっかり申請忘れをしてしまうケースもあるでしょう。


特に年金というのは老後の資金であり、20代の若い人にとっては関心が薄く、後回しにしがちなことも要因のひとつではないでしょうか。


しかし、気づいた時に対処しておかなければ、後々困ることになります。


そこで、対処法である

  • 60歳以降に保険料納付済期間を増やす
  • 60歳以降も厚生年金に加入して働く

この2つについて解説します。

①60歳以降に保険料納付済期間を増やす

10年過ぎた場合の1つ目の対処法は、60歳以降に保険料納付済期間を増やすことです。


若い頃には年金は遠い先の事で興味がなかったけれど、いざ年金をもらう年齢に近づいてきた時、満額もらえないとわかると何とかしたくなりますよね。


そんな時には、国民年金の任意加入制度を利用する方法があります。


この制度は、60歳以上65歳未満の5年間に保険料を納めることができる制度です。


国民年金保険料は20歳から60歳までの40年間(480か月)納めなければなりません。


ですから、この480か月に満たない分を任意加入制度で支払うことができるのです。


参考:任意加入制度|日本年金機構


例えば学生時代、2年分を支払っていなかったとすると、先ほど計算した398,160円を支払えば65歳からは満額の年金を受け取ることができるのです。


若い頃は支払う事が出来なかった保険料も、60歳を過ぎると余裕も出来て支払いやすいかもしれません。


また、退職金などまとまったお金が入った場合も、支払いに充てることができるでしょう。


ただし、60歳以降、働いて厚生年金に加入している人は任意加入はできませんので注意してください。

②60歳以降も厚生年金に加入して働く

10年過ぎた場合の2つ目の対処法は、60歳以降も引き続き厚生年金に加入し続けることです。


先ほど説明した国民年金の任意加入制度は、厚生年金をもらっている人は対象外となっていました。


働き損かと考えるかもしれませんがそうではありません。


60歳以降も働いて厚生年金保険料を支払っていれば、経過的加算額として老齢厚生年金の金額に加算されて支払われます。


この金額は、任意加入で支払い、増えた老齢基礎年金の額と同等なので、60歳以降働いていくことは大切です。


また、長く働くと収入や厚生年金額も増えるので、健康で働ける人は働いていくと老後の生活がより安心できるでしょう。


別ケースとして、私的年金としてiDeCoやつみたてNISAなどに加入して年金を増やす方法もあります。

年金の学生特例の追納期限が過ぎた場合年金はいくら減る?


では、学生納付特例である10年過ぎた場合、年金はどのくらい減るのでしょうか?


この金額を知ると、追納した方が良いかの参考になるので見ていきましょう。


まず、老齢基礎年金は65歳から受け取れ、満額は令和4年現在、777,800円(月額64,816円)です。


老齢基礎年金額の計算式は

老齢基礎年金額=777,800円×納付月数÷480か月

つまり満額だと納付月数が480か月になるので、777,800円の年金がもらえ、納付月数が少ないとその分受取り額が減る計算になります。


例えば、学生時代に2年間の未納があった場合、

777,800円×456か月÷480か月=738,910円

となり、毎年38,890円年金が減らされることになります。


1年で約4万円減ると思うとそれほど大きく感じないかもしれませんが、90歳まで長生きした場合、

4万円×25年=100万円

約100万円の差が生じます。


長い目で見ると、結構大きな金額となります。


次は、未納年数とそれに伴って年金がどのくらい減るのか、猶予されている保険料額と比較した表です。


未納年数老齢基礎年金額猶予保険料額
未納なし777,800円
1年758,355円199,080円
2年738,910円398,160円
3年719,465円597,240円
4年700,020円796,320円
5年680,575円995,400円


 *年金額と保険料額は、令和4年度の金額で計算


上記表で、未納した場合と追納した場合と比較して、何年で元が取れるかを計算してみます。


1年未納するごとに19,445円老齢基礎年金額が減っています。


保険料は1年に199,080円なので、

199,080円÷19,445円=10.2年

となり、11年以上年金を受け取れる場合は学生納付特例を利用して追納した方がお得になることがわかります。


この計算をもとにして追納した方が良いか否か、ご自身の状況で判断してみてください。

年金の学生特例の追納期限が過ぎた場合障害基礎年金や遺族基礎年金はどうなる?


年金の学生納付特例の追納期間である10年過ぎた場合、障害基礎年金や遺族基礎年金に影響が出る場合があります。


障害基礎年金とは、病気やケガで定められた障害の状態(1級・2級)になった時に支給されます。


初診日の前々月まで3分の2以上の保険料が支払われていることとその1年間に未納期間がないことが支払い条件です。


参考:日本年金機構|障害年金


遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者が死亡し、生計を維持されていた子供のいる配偶者または子供に支払われます。


死亡日の前日まで3分の2以上の保険料が支払われていることと、死亡日の前々月まで直近の1年間に未納期間がないことが条件です。


参考:遺族基礎年金|日本年金機構 


この2つの年金は本人や家族に万一の事があった場合に支払われる年金で、生活の支えになる大切なものです。


これが、追納期間が10年過ぎたために支払っていない場合、上記の条件を満たしていなければもらえないケースが出てきます。


ですから、追納しておくことはいざという時のために必要と思われます。

学生の時に免除された年金の追納期限に関するまとめ


学生免除された年金について、追納期限10年過ぎた場合の対処法や実際にどのくらい減るのかなどを説明してきましたがいかがでしたか?


今回の記事では次の事をお伝えしました。

  • 追納期限10年過ぎた時の対処法は、60歳以降に任意加入制度を利用して保険料納付済期間を増やす、60歳以降も働いて厚生年金に加入することである。
  • 追納期限10年過ぎた時、年金は1年未納ごとに19,445円減り、追納して11年以上年金を受け取れる場合は得になる。
  • 学生納付特例追納期間の10年過ぎた場合、条件によって障害基礎年金や遺族年金が受け取れないケースも出てくるので注意が必要である。

このように、追納期間の10年過ぎた場合、受け取る金額が減るだけでなく、いざという時の保障がなくなってしまうケースも出てくるため、追納についてよく考えてみると良いでしょう。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。