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固定費と変動費の分け方や分解する方法が分からない人も多いのではないでしょうか。この記事では、固定費と変動費を分ける固変分解の方法について解説しています。また、固変分解することで計算できる損益分岐点売上高についても説明しているので、ぜひお読みください。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

固定費と変動費の分け方は?固変分解の方法2選!

こんにちは、マネーキャリア編集部の古山です。


いきなりですが、皆さんは損益分岐点分析という言葉をご存じですか?


損益分岐点とは、企業の業績が利益もしくは損失となっているかを判断できる境目のことです。


損益分岐点を分析する際には、費用を固定費と変動費にわける固変分解が必要になってきます。


今回のこの記事では

  • 固変分解の方法とは?2種類あるけど、どっちのやり方がいいの?
  • 固変分解するときに注意すべき点とは?
  • 利益を伸ばすためにできること
について解説していきます。

固変分解は経営をしていくうえで、必須のスキルになってきます。

「固変分解をして利益を伸ばしたい」「固変分解のやり方を知りたい」そんな方の参考になれば幸いです。

ぜひ最後までご覧ください。

【固変分解の方法①】決算書の勘定科目から固変分解する



では、さっそく固変分解の方法について解説していきましょう。


まずは、決算書の勘定科目から固定費と変動費を分解する方法についてみていきましょう。


この方法は勘定科目法ともいわれ、特徴は

  • 勘定科目で分解するのでシンプルでわかりやすい
  • 初心者のうちは勘定科目法を使うのがベター
ということです。

固定費は割と色々ありますが、変動費は多くても2~3科目ぐらいで収まることがほとんどなので、費用から変動費を引いた額を固定費にすれば、計算は簡単ですよね。

勘定科目法を使用するのに向いている人は
  • 固定費と変動費を具体的に勘定科目で分けたい
  • 簿記初心者で、基本をしっかり押さえておきたい
という人です。

では、以下に詳しく手順を解説していきます。

手順①勘定科目を固定費と変動費に分ける表を作成する

まず最初にすべきことは、勘定項目を固定費と変動費に分ける表を作りましょう。


事業をしている人であれば基本的には仕訳帳を作っていると思います。


仕訳帳は勘定項目を利用して、取引を費用と収益にわけるものです。


仕訳帳をつけていれば、基本的にはそのまま使用することもできます。


今回は固変分解についてなので、勘定項目の費用を中心に見ていくことになります。


ここからは仕訳帳を作っていない方にむけて作り方も解説するので、すでに仕訳帳がある方は次の項目へ進んでください。


仕訳帳の作り方


仕訳帳を作成する際に必要な項目は

  • 日付
  • 勘定科目(資産、負債、純資産、収益、費用)
  • 金額
  • 取引先、摘要
となっています。

実際にエクセルに打ち込んで作ってみましょう。

以下のリンクに参考になる記事がありますので、チェックしてみましょう。

手順②勘定科目を固定費と変動費に分類する

では、勘定科目を固定費と変動費にわけていきましょう。


固定費

まずは固定費についてみていきましょう


固定費は売り上げや販売数に関わらず、必ずかかってくる費用のことです。 


かかってくる固定費は事業内容によりますが、例をあげると 

  • 人件費
  • 土地代や家賃
  • 減価償却費
  • 交際費
  • リース代

などは固定費に分類されます。


ここで注意したいのが、固定費は増減することもあるということです。


もちろん、売上高が高くなれば、人件費や設備投資も増えますよね。


固定費は変わらないものという考え方は間違っているので気を付けましょう。


変動費

つづいては、変動費についてみていきましょう。


変動費は必ず売り上げや販売数により変わってくるものです。


例えば

  • 原材料費
  • 仕入れ原価
  • 販売手数料
などが変動費に当たります。

アルバイトや派遣社員の人件費を変動費として勘定することも可能です。

注意点:固定費と変動費が混在する場合がある

ここまでの解説を読むと、大体の固定費と変動費を分割することができたと思います。


しかし、「これって固定費なの?変動費なの?」という勘定科目も出てくると思います。


たとえば、固定費に含まれている人件費は、正社員の給料は売り上げで上下することがないので「固定費」に含まれるのはわかると思います。


しかし、インセンティブ(成果を上げれば給料が上がる仕組み)の場合は、商品が売れないと発生しないので、どちらかというと変動費になります。


勘定科目では同じ人件費なのに、固定費と変動費が混在している状態になります。


固定費と変動費は完全に分割することは難しく、損益分岐点分析に使用するだけなので、少しぐらいであればあいまいでも大丈夫です。


人件費は「8:2で固定費と変動費に分割する」など、ルールを決めておくと悩むことなく固変分解ができます。

【固変分解の方法②】エクセルで最小二乗法を用いて固変分解する


2つ目の固変分解法はエクセルで最小二乗法を用いる方法です。


最小二乗法とは、複数のデータの関係性を表す関数を数学的に求める方法です。


簡単に言うと固定費と変動費を、数字を使ってざっくりと分けてしまおうという手法です。


最小二乗法を使うのに向いてる人は

  • 勘定科目法を理解していて、パソコンを使って楽に固変分解したい
  • ざっくりでいいので固変分解をして、営業利益を計算したい
という人です。


エクセルを使って数字を打ち込むだけでできるので勘定科目法を知っている方は、最小二乗法を利用するのも手だと思います。

手順①過去1年分の売上高と総原価のデータをエクセルに打ち込む

それでは実際に最小二乗法の使い方を解説します。


最初は、過去1年分の売上高と総原価のデータを打ち込みましょう。


売上高は、当月に売上たすべての数字の合計を入力しましょう。


総原価は、変動費を入力するようにします。


12ヶ月分打ち込むことができたら次に行きましょう。

手順②エクセルでグラフを作成し固定費と変動費を計算する

次に、グラフを作成していきましょう。


先ほど作成委した表をすべて選択し、ツールバーにある散布図を選択します。


グラフが出来上がったら点を右クリックして、近似曲線の追加を選択しましょう。


そして、グラフにR-2乗値を表示するにチェックを入れます。


これで固定費と変動費の分解が終わります。


最小二乗法で算出されたグラフと数値をもとに、固変分解できるというわけです。


文章ではわからなかった方は以下の動画を参考にしてみてください。


(参考 エクセルで最小二乗法を使い固変分解する方法

注意点:固定費と変動費の具体的な項目は分からない

最後に、最小二乗法を利用する注意点を解説します。


最小二乗法はあくまで「ざっくりと固定費と変動費を分割する」ものなので、具体的な項目がわかりません。


固定費と変動費にそれぞれ何が分類されているのか知っていないと、使いこなすのは簡単ではありません。


何にどれだけの額を使ったかを詳しく分けたい場合は、上記の勘定科目法を利用することをおすすめします。

固変分解で固定費と変動費を分ける際の注意点を解説!


ここまでの解説で、固定費と変動費を分割する方法は理解していただけたと思います。


固変分解をすることで、会社の経営に役立つので、しっかりと抑えておきましょう。


そこで、固変分解には注意点があるという話をします。


大きく分けて注意点は2つあり、

  • 固定費と変動費は完璧には分割できない
  • 固定費の見直しも必要になる場合がある
ということです。

経営者や事業者となると、固変分解は必要になってきますので、注意点もしっかりと把握しておきましょう。

では、以下に詳しく解説していきます。

①固定費と変動費を正確に分けることはほぼ不可能

まず、注意点になるのが、固定費と変動費は完全に分割することは不可能であるということです。


厳密にいうと、不可能というよりは、そこまで細分化する意味がないということになります。


そもそも、固変分解の目的は収益がでているかどうかを見極めるためにするものであり、固定費も変動費も費用であることには変わりないからです。


つまり、固定費は抑えにくいですが、変動費は抑えることができるかもしれないので、実情を確かめるために固変分解をするということです。


細かいところまで固変分解してもいいですが、時間も労力もかかるので、あまりおすすめはできません。

②売上高が大きく変化すれば固定費を見直す必要がある

次に注意すべき点は、固定費は本当に変わらないのかは考える必要があるということです。


なぜかというと、売上高が変わった際には固定費も上下するからです。


例えば、人件費は売上高があがれば、より多く必要になってきますし、逆に売上高が下がれば、リストラや解雇で人件費は削られます。


同様に設備やリース代も、売上高によって増減します。


固定費は「売り上げや販売数によって変わらないもの」ではありません。


「売り上げや販売数に左右されず必ずかかってくるもの」なので、間違えないようにしましょう。

固変分解をした後に求めるべき分析指標2選!


では、ここまで固変分解について解説してきました。


では、固変分解をした後はどうしたらいいのでしょう。


何の意味もなく固変分解をしても時間や労力の無駄になりかねませんよね。


固変分解をした後は

  • 損益分岐点売上高を算出する
  • 限界利益を算出する
上記の2つをして、会社の経営に役立てましょう。

損益分岐点と限界利益は算出し方がやや複雑になるので、最後の章でも数字を使って計算しているので、最後まで見逃さないようにしましょう。

それでは、それぞれ解説していきます。

①損益分岐点売上高を計算して会社の経営に役立てよう

損益分岐点売上高とは、冒頭で解説した通り「企業の業績が利益もしくは損失となっているかを判断できる境目のこと」でしたよね。


損益分岐点売上高の計算方法は次のステップで求められます。

  1. 売上高-変動費=限界利益
  2. 限界利益÷売上高=限界利益率
  3. 固定費÷限界利益率=損益分岐点売上高

となります。


損益分岐点売上高を計算することにより、赤字にならない売上がわかるので、少なくともそれ以上の売上が必要という指標ができます。


売上高から損益分岐点売上高を引いた額によって、会社の利益を残せる額が変わってきます。


経営者や事業者になるのであれば、計算できるようにしておきましょう。

②限界利益を計算して固定費との関係を知ろう

限界利益とは、会社があげることのできる利益の源泉とされています。


つまり、限界利益が高ければ高いほど、残せる利益も比例して高い会社であるということになります。


会社の営業利益は、固定費をどれだけ上回ることができる限界利益を上げられたのかによって上下します。


限界利益を求める際に必要になった来るのが「変動費」であることは前述のとおりです。


限界利益を高くするには、変動費を減らすことが最適になってきます。


無駄にかかってしまっている変動費を見直すことで、会社が利益を残すことができるので、しっかりと抑えておきましょう。

利益を伸ばすには固定費と変動費率を下げよう!


それでは最後に、具体的な数字を出して、利益を伸ばしていく方法について解説していきましょう。


まず、以下のような会社があるとします。

A社
売上高8,000万円
変動費4,000万円
固定費2,000万円


この場合の限界利益を求めてみましょう。


計算式は

8,000万円(売上高)-4,000万円(変動費)=4,000万円(限界利益)

となります。


限界利益は割と高めになっていますね。


続いては、限界利益率を求めましょう。

4,000万円(限界利益)÷8,000万円(売上高)×100=50%(限界利益率)

となりました。


限界利益が高いので、当然限界利益率も高くなります。


そして、最後は損益分岐点売上高を計算しましょう。

2,000万円(固定費)÷50%(限界利益率)=4,000万円(損益分岐点売上高)

となり、A社は4000万円以上売り上げることで赤字を回避することができるということになります。


8,000万円売り上げているので、4,000万円の営業利益を残せるという計算になります。


このように、固定費と変動費は会社の利益に密接に関係しているものです。


固定費と変動費を増やせば利益は減り、逆に固定費と変動費を抑えれば利益は増える反比例の関係となっています。


なんとなく費用は抑えるほうがいいと思っている方も多いことでしょう。


理論的に見ていくことで経営者としての視点も育つので、この記事を参考にしてください。


まとめ:固変分解して固定費と変動費を分けよう!

今回は固定費と変動費を分割する固変分解について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


固定費と変動費を見直すことによって、営業利益が大幅に上がることもあるので、しっかりと分割しておきましょう。


今回のこの記事のポイントは

  • 固変分解の方法は、簡単な「勘定科目法」と、エクセルを使う「最小二乗法」がある
  • 固変分解する際の注意点は、完璧に分割することを考えないようにすること
  • 固定費は売上によって変わらないものではなく、売上に関わらずかかる費用であることを忘れないこと
  • 利益を伸ばすには固定費と変動費を見直すことが重要
でした。

固変分解をする理由やした後にすべきことを理解し、会社経営に役立てていただければ幸いです。

また、保険ROOMでは、ほかにも生活を豊かにするために参考になる記事が、多数掲載されています。

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