
内容をまとめると
- 「生活保護があるから働かない方が得」を選択することはリスクも伴う
- 目先のことだけでなく自身や家族の将来も見据えて判断することが大切
- FPに相談すれば家計改善や将来設計に役立つアドバイスが受けられる
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この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 「生活保護があるから働かない方が得」といわれる理由
- 働かなくても最低限の生活が保障されるから
- 低賃金の仕事より手取りが多くなる場合があるから
- 住居費や医療費などの扶助があるから
- 保護費を自由に使えるというイメージがあるから
- 「生活保護があるから働かない方が得」を選ぶリスク
- 生活保護だけでゆとりのある暮らしを続けるのは難しい
- 働く意思がないと支給停止や打ち切りの対象になることも
- 世間の偏見やレッテルに苦しむ可能性がある
- 子どもが周囲との関係でストレスを感じる場合もある
- 再就職が難しくなり社会復帰が困難になる恐れがある
- お金の使い道に制限があり自由に使うことが難しい
- 生活保護を受けずに働くメリット
- 収入を自由に使えて車やマイホームの購入も可能
- 生活保護に対する偏見や誤解に悩まされない
- 自分たちの希望に合った住まいや暮らしを選べる
- 働いた分だけ収入が増え将来に希望が持てる
- 貯金や資産形成で将来への備えができる
- 「生活保護があるから働かない方が得」とは限らない【まとめ】
「生活保護があるから働かない方が得」といわれる理由
「生活保護があるから働かない方が得」といわれる理由には、次のようなものがあります。
- 働かなくても最低限の生活が保障されるから
- 低賃金の仕事より手取りが多くなる場合があるから
- 住居費や医療費などの扶助があるから
- 保護費を自由に使えるというイメージがあるから
働かなくても最低限の生活が保障されるから
「生活保護があるから働かない方が得」といわれる理由の一つに、働かなくても一定の生活が保障されることがあります。
生活保護は、経済的に困窮している人が最低限の生活を送れるよう支援する制度です。
厚生労働省が定める「最低生活費」から、収入(給与、年金、援助など)を差し引いた金額が支給されます。
例えば、単身者であれば月10万円以上、母子家庭であれば月15万円以上を受け取れる場合もあります。
このように、条件を満たせば働かなくても一定の収入が得られるため「生活保護を受けた方が働くより得」と感じる人もいるのです。
※参照:最低生活費認定額|厚生労働省
低賃金の仕事より手取りが多くなる場合があるから
低賃金の仕事に就くよりも、生活保護を受けた方が手取り額が多くなることがあることも「生活保護があるから働かない方が得」といわれる理由の一つです。
全国の最低賃金は1,055円ですが、最低賃金を下回る給与で働かされたり、残業代が支払われなかったりといった、いわゆるブラックな職場も存在します。
また、パートやアルバイトで最低賃金の時給で働いていても、体調面の問題や企業側の都合により希望通りにシフトに入れず、生活に必要な収入を確保できないこともあります。
このような悪質な労働環境や不安定な収入状況から「働くよりも生活保護のほうが得だ」と考える人も少なくありません。
住居費や医療費などの扶助があるから
生活保護制度には住居費や医療費などの扶助があり、その手厚さから「働かない方が得」といわれることがあります。
生活保護制度では、以下のような扶助を受けることができます。
扶助 | 内容 |
---|---|
生活扶助 | 食費や衣類代、光熱費など、日常生活に必要な費用を対象とした扶助 |
住宅扶助 | 家賃などの居住費を定められた基準額の範囲内で実費支給 |
教育扶助 | 義務教育に必要な学用品や課外クラブ活動費などを支給(基準額の範囲内) |
医療扶助 | 医療費用を扶助(医療機関に直接支払いのため自己負担なし) |
介護扶助 | 介護費用を扶助(介護事業者に直接支払いのため自己負担なし) |
出産扶助 | 出産にかかる費用を定められた基準額内で扶助 |
生業扶助 | 就労に必要な技能習得や仕事に就くための費用を支給(基準額の範囲内) |
葬祭扶助 | 葬祭にかかる費用を支給(基準額の範囲内) |
このように、生活保護を受けることでさまざまな扶助が受けられ、経済的な負担が軽減されるため「働いて生活するよりも生活保護のほうが楽だ」と感じる人も少なくありません。
※参照:生活保護制度|厚生労働省
保護費を自由に使えるというイメージがあるから
「生活保護を受ければ、毎月一定の収入が得られて、車のローン返済やブランド品の購入、ギャンブルなどにも自由に使える」といった誤ったイメージを持っている人もいるようです。
確かに、何もせずにお金がもらえて自由に使えるとなれば「生活保護があるから働かない方が得」と感じるかもしれません。
しかし実際には、生活保護費を自由に使うことはできません。
生活保護は、困窮状態からの自立を支援するための制度であり、資産や能力は生活の維持・向上に活用することが前提とされています。
そのため、原則として生活保護費で車を購入したり、借金(ローン)を組んだり、ギャンブルに使ったりすることは認められていません。
「生活保護があるから働かない方が得」を選ぶリスク
「生活保護があるから働かない方が得」と考え、そのとおりに行動した場合にどのようなリスクがあるのかを理解しておくことは大事です。
- 生活保護だけでゆとりのある暮らしを続けるのは難しい
- 働く意思がないと支給停止や打ち切りの対象になることもある
- 世間の偏見やレッテルに苦しむ可能性がある
- 子どもが周囲との関係でストレスを感じる場合もある
- 再就職が難しくなり社会復帰が困難になる恐れがある
- お金の使い道に制限があり自由に使うことが難しい
生活保護だけでゆとりのある暮らしを続けるのは難しい
生活保護だけでゆとりある暮らしを続けるのは難しいため「生活保護があるから働かない方が得」といった考え方には注意が必要です。
生活保護費は、厚生労働省が定める最低生活費をもとに支給額が決まっていて、贅沢や余裕のある生活を前提とした制度ではありません。
支給額は地域や世帯構成によって異なりますが、単身世帯の場合は月10万円前後になることもあります。
また、保護費の使い道には制限があり、ギャンブルや高額な買い物、ローン返済などには使えません。
そのため、働かずに生活できるとしても、自由に買い物をしたり旅行に出かけたりといった金銭的な余裕を持つのは難しい可能性があります。
※参照:最低生活費認定額|厚生労働省
働く意思がないと支給停止や打ち切りの対象になることも
「生活保護があるから働かない方が得」を選ぶリスクの一つが、支給停止や打ち切りになる可能性があることです。
生活保護制度は、困窮する方に最低限の生活を保障しながら、将来的な自立を支援することを目的としています。
また、資産や能力を活用することが保護の前提となっています。
そのため、働ける状態であるにもかかわらず働くことを拒否すると、制度の趣旨に反すると判断されて支給が打ち切られる可能性もあるため注意しましょう。
世間の偏見やレッテルに苦しむ可能性がある
生活保護を受けていることが周囲に知られると「怠けている」「働かないで楽をしている」といった偏見やレッテルを貼られてしまうことがあります。
実際には体調や家庭の事情など、やむを得ない理由で受給している人も多いにもかかわらず、理解が得られないケースも少なくありません。
このような周囲の見方によって精神的なストレスを感じる可能性があることも、生活保護を受ける上で覚悟しておく必要があります。
子どもが周囲との関係でストレスを感じる場合もある
「生活保護があるから働かない方が得」といった選択をすると、子どもが周囲との関係に悩み、ストレスを感じる可能性があります。
例えば、
- 生活保護世帯だと知られて友人関係に支障が出る
- 経済的な事情で買い物や遊びが制限される
- 家が狭く自分の部屋がないなど居住環境に不満を抱く
といった理由から、学校生活や家庭内での不満が募り、親子関係に亀裂が入ることもあります。
大人だけでなく子どもの環境にも影響が及ぶことを理解した上で、生活保護を受けるか判断することが大切です。
再就職が難しくなり社会復帰が困難になる恐れがある
「生活保護があるから働かない方が得」と考えて働かずにいると、年齢を重ねるごとに就職の選択肢が狭くなったり、長期間のブランクによって再就職が難しくなる恐れがあります。
今は生活保護で暮らせていたとしても、その状況が一生続くとは限りません。
制度の趣旨に反していると判断されると、支給停止や打ち切りとなる可能性があります。
将来的に社会復帰が困難になるリスクがあることも理解した上で、判断することが重要です。
お金の使い道に制限があり自由に使うことが難しい
「生活保護があるから働かない方が得」と考えることには、お金の使い道に制限があるというリスクも伴います。
生活保護費はあくまで最低限の生活を保障するものであり、使い道に制限があります。
ギャンブルや高額な買い物、ローン返済などは禁止されていて、違反すれば支給停止や打ち切りの可能性もあります。
また、支給額も決して多くはなく、贅沢な暮らしをすることは難しいです。
お金の使い道に制限が生じるリスクがあることを、理解しておくことが大切です。
生活保護を受けずに働くメリット
- 収入を自由に使えて車やマイホームの購入も可能
- 生活保護に対する偏見や誤解に悩まされない
- 自分たちの希望に合った住まいや暮らしを選べる
- 働いた分だけ収入が増え将来に希望が持てる
- 貯金や資産形成で将来への備えができる
収入を自由に使えて車やマイホームの購入も可能
生活保護を受けずに働いて収入を得ていれば、そのお金は基本的に自由に使うことができます。
ギャンブルや投資、ブランド品の購入、ローンの返済、車やマイホームの購入なども可能です。
「生活保護があるから働かない方が得」といった考えに偏らず、保護を受けずに自ら収入を得る生活を選ぶことで、お金の使い道に制限がかかるリスクを避けることができます。
生活保護に対する偏見や誤解に悩まされない
生活保護に対する偏見や誤解に悩まされることがないのも「生活保護があるから働かない方が得」を選択しないメリットです。
生活保護を受けると、周囲からの見方が変わり、精神的な負担を感じることがあります。
特に子どもは敏感で、友人関係や親子関係に悪影響を及ぼす場合も少なくありません。
生活保護を受けなければ、このような偏見や誤解による悩みから解放され、心配する必要もなくなります。
自分たちの希望に合った住まいや暮らしを選べる
「生活保護があるから働かない方が得」を選ばないメリットの一つが、自分たちの希望に合った住まいや暮らしを選べることです。
生活保護では、住宅扶助によって家賃の補助を受けることはできますが、支給額には上限があり、その範囲内で物件を選ばなければなりません。
そのため、希望する立地や間取り、広さ、築年数といった条件を妥協せざるを得ないこともあります。
生活保護を受けない選択をすれば、住居に関する制限を受けることなく、自分たちの理想に近い住まいを選ぶことができます。
働いた分だけ収入が増え将来に希望が持てる
働いた分だけ収入が増え将来に希望が持てることも「生活保護があるから働かない方が得」を選ばないメリットです。
生活保護は最低生活費と収入の差額を補う仕組みのため、働くとその分だけ支給額が減少します。
生活保護を受けずに働く場合は、頑張った分だけ収入が増える可能性があり、そのお金を資産運用などに充てて将来に備えることも可能です。
また、努力や成果が評価されると、昇給やキャリアアップによって高収入を得られるチャンスも広がります。
貯金や資産形成で将来への備えができる
「生活保護があるから働かない方が得」を選ばないことのメリットの一つが、貯金や資産形成で将来への備えができる点です。
生活保護では、資産や能力は生活の維持・向上のために活用することが前提とされており、投資などにお金を使うことは制度の趣旨に反するケースがあります。
生活保護を受けずに働く場合は、資産運用や貯金など、将来への備えにも自由にお金を使えます。
例えば、NISAを活用すれば、非課税で効率的に資産運用を進めることが可能です。
「生活保護があるから働かない方が得」とは限らない【まとめ】
「生活保護があるから働かない方が得」といった選択をする際は、リスクも十分に理解して慎重に判断することが大切です。
収入やお金の使い道、再就職の難しさ、周囲からの見方など、自身や家族への影響も踏まえた上で、本当に最適な方法なのかを見極める必要があります。
SNSなどの声を鵜呑みにして生活保護を検討しているのであれば、一度立ち止まって、冷静に考えるようにしましょう。
不安がある場合は、FPなどの専門家に相談して意見を聞くことも一つの方法です。