内容をまとめると
- 林業には様々なリスクが存在する
- リスクには大きく分けて自然災害・鳥獣被害・労災事故が存在する
- それぞれのリスクに対して、異なる保険が存在する
- 林業に関する保険は法人だけでなく、個人でも加入が可能
- リスクの洗い出しや、内容について知りたい場合にはマネーキャリアがおすすめ
林業には、森林が火災となるリスク、労災のリスクなどが考えられます。このようなリスクに対して、林業の方々は、林業者向け火災保険や、労災上乗せ保険などの損害保険に加入する必要があります。これらの保険は、個人事業主や一人親方の方でも加入することが可能です。
この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
林業を取り巻くリスク
林業を取り巻くリスク
今回のこちらの記事では、林業を経営する方を取り巻くリスクについてどのようなものがあるのかをみます。
また、林業を経営する際に、加入すべき損害保険についても紹介します。
林業となりますと、法人として経営している方よりも、個人事業主として経営している方も多いでしょう。その様な方でも加入ができる損害保険があるのかどうかについても開設をします。
まず、上記に掲載されているマップはリスクマップといいます。事業が抱えるリスクを可視化しているもので、リスクの発生頻度と影響を2つの軸からひと目で知ることができます。
この中から今回は下記について主に解説します。
- 火災などの自然災害によるリスク
- 鳥獣被害による森林被害のリスク
- 労災事故など働く人の怪我のリスク
①火災や落雷など自然災害のリスク
ここでは火災や落雷といった、自然災害のリスクについて解説します。
林業をおこなう上で、商品となる木々に起こり得る災害リスクとして
- 山火事による焼失リスク
- 台風など風災によって木々が倒れてしまうリスク
- 落雷によって商品の木々が破損
- 雪災による雪の重みによって、木々が倒木するリスク など
②動物による森林被害のリスク
林業におけるリスクとして多いのが鳥獣による被害です。
特に最近では増えすぎた鹿による被害が多く報告されています。
鹿を食料とするオオカミなどの絶滅により、天敵のいなくなった鹿が、商品として育てている木の葉や、木の皮を食べてしまうなどといった被害が出ています。
また、元々の生息地域の食料の減少から、植林地に足を伸ばしていることも主な被害の原因となっています。
その他にも鹿の大量発生によって、同じく生息地域を人里に広げてきているクマの被害も報告されています。
クマは主に爪とぎをおこなうために木々に傷をつけます。
これから、出荷予定の木々に「クマ剥ぎ」をされてしまうと、商品として価値はなくなり、大きな損失となります。
特に林業は育てるために何十年とかかることから、その損失の回収は計り知れないものです。
③労働災害のリスク
3つ目は、労働災害のリスクです。
林業は山の斜面など足場の悪い環境やでの作業や、チェーンソーなど取り扱いに注意が必要な機械を多く使います。
そのため、注意をしていても怪我のリスクは他の業種に比べ、非常に大きい職業です。
例として
- 伐採中の木が自分の方へ倒れてきた
- 斜面で作業中に足を滑らせ、転落した
- 機械の操作ミスによって怪我を負った
林業で実際にあった事故の事例
ここからは林業で実際にあった事故の事例を2つほどあげます。
今回あげる事例は下記の2つです。
- 台風によって育てていた木々が流されてしまった
- 伐木作業中に作業ミスによってチェーンソーで大腿部を切断
事例1:台風による森林被害の事例
こちらは台風に伴う豪雨によって、植林中の山の斜面が土砂崩れを起こしてしまい、森林が流されてしまいました。
林業では出荷可能になるまで10年以上、場合によっては50年以上かけて育てるケースもあり、それが一瞬にして、流されてしまったことにより、被害は甚大なものとなりました。
他の業種にも言えますが、特に林業は育て始めてから出荷までの時間が1世代ほどかかることもあり、一度被害にあってしまうと立て直すのにはご自身の世代では不可能となることもありえます。
このケースの場合ですと、約3haほどが被害にあったことから約640万円ほどの保険金が支払いされました。
事例2:伐木作業での労災事例
こちらは、チェーンソー伐倒者1名、プロセッサ運転者1名、ザウルスロボ運転者2名の合計4名での作業中でした。
被災者はチェーンソー伐木作業をおこなっていましたが、切り口を通常より深く切り込んだことにより、倒木が突然発生し、作業員が慌てて退避をおこなったことから転倒事故などを起こしてしまいました。
結果として、突然、チェーンソーの作業音などが途絶えたことから作業現場を同僚が確認したところ、被災者が伐倒した木の下方に倒れているのを発見しました。
その後、救急搬送されましたが、チェーンソーの刃が切断防止防護服の隙間を避けて、大腿部の動脈に接触しており、失血による死亡事故となりました。
参考:林業における災害事例
林業におすすめの損害保険
ここからは林業を経営する上で取り巻く、リスクを回避・軽減するための損害保険を紹介します。
今回紹介するのは
- 林業者向け火災保険
- 労災上乗せ保険
- 森林保険制度
①林業者向け火災保険
最初に林業者向け火災保険を紹介します。
こちらは企業財産包括保険に再造林等費用補償特約を付帯した保険となっています。大きな特徴として、従来の森林保険では対象外となっていた、再造林等に要する費用を補償するという点です。
こちらの保険の概要として
- 地こしらえ、苗木、植付けまたは下刈りに関する費用
- 鳥獣被害から、木々を守るための防護柵などの設置費用
- 再造林に生じる作業の道などの整備費用
- 保険対象の残存物を片付けるための費用
②労災上乗せ保険
続いて紹介するのは労災上乗せ補償です。
通常、従業員が業務中に怪我などを負った場合には政府労災から、補償の給付を受け取ることができます。
しかし、事故の内容によっては労災だけではカバーしきれないケースもあります。
その際に
- 死亡・後遺障害補償
- 入院補償
- 手術補償
- 通院補償
- 休業補償
③森林保険制度
最後に森林保険制度について解説します。
上記2つの保険と少し違う点がありますがそれについても解説します。
こちらは森林に火災などが起きた際に、経済的な損失を補填する保険です。それにより、林業の再生産が素早く行えるようにするとともに、林業経営の安定をはかるために森林保険法に基づいた公的保険制度となっています。
こちらの保険の対象となる災害は
- 火災
- 風災
- 水災
- 干害
- 凍害
- 潮害
- 噴火災
林業の方が損害保険に加入する方法
ここまでは林業の事故事例や、保険の種類について解説してきました。
ここでは林業の方が損害保険に加入する方法について解説します。
主に林業に関する保険に加入する方法として
- 保険会社に問い合わせる
- 取り扱い保険代理店に問い合わせる
- 林野庁や森林組合などの団体へ問い合わせる
法人保険の活用事例集
一人親方や個人事業主でも加入できる?
法人保険としてここまで解説をしてきましたが、一人親方や個人事業主でも加入が可能なのか、という疑問をお持ちの方もおられるでしょう。
結論から言いますと、一人親方や個人事業主であっても加入は可能です。
林業に関する保険に関しては法人よりも個人事業主として仕事をされている方も問題なく加入ができます。
ただし、規模などが異なることから、全く同じ保険に入るということはおすすめしません。
あくまで、ご自身の事業規模にあった、保険に加入することをおすすめします。
そのため、「マネーキャリア」を利用することで、自身の企業にあった保険を漏れやダブりなく知ることができますので、ぜひ活用してください。
まとめ:林業を取り巻くリスクと損害保険
ここまで林業を取り巻くリスクや保険について解説しました。
今回は主に下記について紹介しました。
- 林業には様々なリスクが存在する
- リスクには大きく分けて自然災害・鳥獣被害・労災事故が存在する
- それぞれのリスクに対して、異なる保険が存在する
- 林業に関する保険は法人だけでなく、個人でも加入が可能
- リスクの洗い出しや、内容について知りたい場合にはマネーキャリアがおすすめ