内容をまとめると
- GLTDはケガや病気で就労不能になった場合に長期的に補償される法人保険
- GLTDは企業が福利厚生の一環として加入する
- 最長で定年まで、退職後も補償されるなど補償が充実している
- ストレスチェックサービスなどの無料サービスも複数付帯されている
- 導入企業では、優秀な社員の獲得や、従業員の満足度向上につながっている
- 導入企業では、加入率向上のため社員や採用の場で積極的に周知する必要がある
GLTDとは、怪我などにより、従業員が長期間、働くことができなくなった場合の所得を補償するための保険です。GLTDを導入するメリットとは、従業員の満足度の向上などがあり、デメリットは、費用対効果が見合わないことなどがあります。
この記事の目次
目次を閉じるGLTD(団体長期障害所得補償保険)とは?
GLTD(団体長期障害所得補償保険)ご存じでしょうか。
企業の総務部の方は一度は加入を検討された方もいるかと思います。この保険は、従業員が就労不能になった場合に所得の減少分を補償する保険です。
個人加入ができず、法人が加入する保険ですので、従業員の福利厚生の一環としていま注目されています。
業務内容が高度化、専門化している現代では人材確保に頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。
GLTDは福利厚生制度のひとつとして、新卒採用などでもアピールポイントとなります。企業イメージが向上するだけでなく、社員の満足度も向上させることができる保険ですので、ぜひ加入を検討してみてください。
この記事では以下について解説します。
- GLTD(団体長期障害所得補償保険)とは?
- GLTD(団体長期障害所得補償保険)の補償内容
- GLTD(団体長期障害所得補償保険)を導入するメリットとは?
- GLTD(団体長期障害所得補償保険)のデメリット
- GLTD(団体長期障害所得補償保険)を導入した事例
- GLTD(団体長期障害所得補償保険)に加入する方法
GLTDと所得補償保険の違いとは?
まずGLTDと所得補償保険の違いについて解説します。
GLTDと損害保険の所得補償保険には主に以下のような違いがあります。
GLTD | 所得補償 | |
---|---|---|
契約者 | 企業が福利厚生の一環として加入 | 多くが個人で加入 |
補償範囲 | けがや病気による 就業不能状態の場合。 一部復職した場合も対象 | けがや病気による就業不能の場合 |
支払対象期間 | 数年~数十年 もしくは、65歳までなどの長期 | 多くが1~2年 |
免責期間 | 90~180日 | 3日~1週間程度 |
発生原因 | 業務中、業務外、国内、海外問わず対象 | 業務中、業務外、国内、海外問わず対象 |
特約 | 精神疾患を対象とする特約があり | 精神疾患は対象外 |
法人が加入するか個人が加入するかで、まず大きく違います。
GLTDは企業が加入するため、保険料は企業が負担することになります。補償されるのは従業員ですので、福利厚生制度として導入されます。
補償は最長で定年退職まで、退職後も退職者団体に移行して補償が継続されるなど、補償が手厚いのが特徴です。
一方で、所得補償は、個人で加入することがほとんどです。多くが1~2年の補償で保険料もそこまで高くありません。加入審査も簡易なものですので、生命保険よりかは、加入のハードルが低いともいえます。
所得補償ではうつ病などの精神疾患は補償されない場合が多いので、加入の際にはよく確認するようにしてください。
そのほかにも法人、個人でも加入できる休業補償保険があります。
休業補償では、火災や風災といった突発的な事故が起こった場合の収入を補償する保険ですので、けがや病気の場合を補償するGLTDや所得補償とは、補償範囲が異なります。
GLTD(団体長期障害所得補償保険)の補償内容
- 病気やけがの場合も補償(業務上、業務外、国内外問わず補償)
- 入院だけでなく、自宅療養の場合も補償
- 職場復帰後も、所得が80%を下回る場合は補償
- 職場復帰できずやむなく退職した場合も補償が継続
- 最長で定年まで補償
- 特約付帯により精神疾患も補償
- ストレスチェックサービス
- 職場復帰支援プログラム
- 心の健康相談サービス
- 24時間緊急医療相談サービス など
- GLTDの補償対象外のケース
- GLTDに付帯できる特約
GLTDの補償対象外のケース
GLTDではどういった場合に補償対象外となるのでしょうか。
GLTDでは、業務内外問わず、国内外問わず、けがや病気の場合に補償されますが、以下のような場合は保険金のお支払い対象外となりますので注意しましょう。
- 契約者や被保険者の故意や重大な過失によって被った身体障害
- 自殺行為、犯罪行為、闘争行為によって被った身体障碍
- 発熱等の他覚的症状がない感染
- 医学的根拠のないむちうち、腰痛など
- 地震、噴火、津波によって被った身体障碍
- 妊娠、出産などに伴う身体障がい
GLTDに付帯できる特約
GLTDには、付帯することで補償範囲を拡大できる特約がいくつかあります。
保険会社によっても付帯できる特約が異なりますので、各保険会社を比較検討する際にもご参考になるかと思います。
例えば、以下のような特約を付帯することで補償範囲を拡大することができます。
- 精神障害補償特約
- 天災危険補償特約
- 妊娠に伴う身体障碍補償特約
精神障害補償特約
- うつ病
- アルツハイマー病
- 統合失調症
- パニック障害 など
GLTD(団体長期障害所得補償保険)を導入するメリットとは?
GLTDの補償内容についてはお分かりいただけたでしょうか。
ここからは導入するメリットを解説します。
- 福利厚生の充実により採用時が有利になる
- 従業員の満足度が向上
- 企業イメージが良くなる
①福利厚生の充実により採用時が有利になる
GLTDを導入することで、福利厚生の充実をアピールすることができ、従業員の採用に有利になります。
新卒の場合、就職活動時に考慮する事項としても福利厚生の充実が上位にあげられます。
また、高度で専門的な技術をもつ社員の確保は企業の最大の課題ともいえるでしょう。
GLTDを導入することで、こういった人材の確保に関する課題も解決され、優秀な人材を獲得することにつながります。
②従業員の満足度が向上
けがや病気による所得の喪失は、企業で働く従業員にとっては非常に深刻な問題です。
就労不能状態は、入院費用や治療費だけでなく、家族の生活費などさまざまな費用がかかり、死亡した場合よりも経済的負担が大きいと言われています。
就業不能で国から補助される、健康保険の傷病手当金や、障害認定された場合に受け取れる障害年金などは、給与の全額が補償されるわけではありませんので、足りない分は貯金などをくずすほかありません。
従業員がいつも不安を抱えながら仕事をするより、安心して働けるように企業が配慮することは、従業員の満足度の向上につながります。
③企業イメージが良くなる
国から認定される「健康経営優良企業」は、GLTDの導入も認定項目のひとつとなっています。
健康経営優良法人などの各種認定を受けることで、企業の福利厚生の充実をアピールすることができ、企業イメージの向上がはかれます。
これは、社員だけでなく、取引先や顧客、消費者にも良いイメージを与えます。
GLTD(団体長期障害所得補償保険)のデメリット
メリットだけでなく、デメリットも知りたい、という方もいらっしゃるかと思います。
ここからはGLTDのデメリットを解説します。
- 免責期間が設けられている
- 運用コストと実際の利用者が見合わないことがある
①免責期間が設けられている
GLTDは、就業不能になった日からすぐ保険金を受け取れるわけではありません。
免責期間といって、補償されない期間が設けられていることがほとんどです。
この免責期間は30~1095日の間で設定することが多く、この免責期間が長ければその分保険料も割安になります。
この免責期間中はまったく収入がないのかというとそうではありません。
就業不能になれば、まず有給休暇を取得することで、給料の全額が補てんされます。
有給休暇消化後は、公的給付制度として、健康保険の傷病手当金が最大1年6か月間受け取れます。
傷病手当金は、給与の2/3しか受け取れませんので、残りを補てんするかたちで、有給休暇取得期間のみを免責期間と設定し、傷病手当金の支給開始時点から保険金を受け取れるように制度設計する企業もあります。
免責期間は、自由に設計できますので、会社で定めている休業補償規定なども考慮しながら設定する必要があります。
②運用コストと実際の利用者が見合わないことがある
GLTDの保険料は企業が負担することになります。
従業員が多ければその分団体割引を適用することができますので保険料が割安に加入することもできますが、従業員が少ない場合は、割引も適用されず、保険料が割高になってしまうことがあります。
また保険料を安くおさえるために、補償内容をうすくしたり、免責期間を長くすると、かえって従業員の満足を得られないこともありますので、制度の内容はコストと十分相談する必要があります。
保険料をおさえるためには、例えば、企業が保険料を負担する全員加入の部分と、従業員が任意で加入する部分に補償を分け、手厚く加入したい人が自身でも加入できるように制度設計するといった方法があります。
また、福利厚生制度の一環として導入するのであれば、社員への周知はマストになってきます。社内説明会を開催することで、任意加入の割合をあげたり、新卒採用の場で周知するなどして、積極的にアピールするようにしましょう。
GLTD(団体長期障害所得補償保険)を導入した事例
GLTD導入企業の例をご紹介します。
ご紹介するどちらの企業も「社員を大切にしたい」という思いから加入を決断されています。
実際の導入事例や、企業内での活用事例をご確認いただき、加入を検討いただければと思います。
- 情報通信サービス業の導入事例
- 卸売業の導入事例
事例1:情報通信サービス業の導入事例
長野県にある東証一部上場企業の株式会社電算では、「社員と家族を大切にする」という経営層の思いと「社員の満足度を向上させたい」という総務部の熱い思いから、GLTDの導入を決定しました。
社員にとって本当に価値のある制度しか採用しないというこの企業では、標準報酬月額の50%の補償を全額会社負担で加入しています。
社員向けにGLTDの説明会やアンケート調査を実施しているということで、任意加入の加入率も、65%をほこり、社員にひろく浸透している福利厚生制度となっています。
GLTDを採用したポイントとして、個人で加入できない保険であること、他の保険では補償されない、長期間にわたる就業不能を補償してくれるところとあげています。
この企業には、福利厚生制度が複数ありますが、GLTDが社員の満足度向上の柱となっているということです。
事例2:卸売業の導入事例
大阪府にある服飾資材の専門商社である清原株式会社でも、福利厚生制度の一環としてGLTDを導入しています。
健康経営優良法人2020にも認定されている同社では、「従業員を大切にする」というポリシーのもと、「よい制度である」と判断し、GLTDを採用しました。
この企業でも補償は全員加入と任意加入の二階建ての設計にし、全員加入分の年間400万円を会社負担でおこなっています。
保険に無料で付帯されているストレスチェックサービスは、今まで有料で加入していたことから、コスト削減にもつながりました。
GLTDの導入によって、人材の定着や、採用におけるPR効果を実感しているということです。
参考:両立支援の取り組み事例
GLTD(団体長期障害所得補償保険)に加入する方法
GLTDの加入について興味を持っていただけましたでしょうか。
加入するためには、おちかくの損害保険代理店もしくは、保険会社に問いあわせることで加入することができます。
加入するまえに、もう少し補償内容を詳しく知りたい、本当に導入が必要か現在の福利厚生制度と比較してほしいなど、個別にじっくり相談したいという方も多いのではないでしょうか。
国内最大級のオンライン保険相談サービス「マネーキャリア」では、法人保険のプロに無料でなんどでも相談できます。
GLTDはもちろん、そのほかの保険にも詳しい専門家ですので、保険を全体的に見直すこともできます。
じっくり相談できるため、顧客相談満足度は98.6%となっています。
加入すべきか迷ったら、まずは一度ご相談ください。
まとめ:GLTD(団体長期障害所得補償保険)について
この記事では、GLTD(団体長期障害所得補償保険)について簡単に解説しました。
まとめです。
- GLTDとはケガや病気で就労不能になった場合に長期的に補償される法人保険
- GLTDは企業が福利厚生の一環として加入する
- 最長で定年まで、退職後も補償されるなど補償が充実している
- ストレスチェックサービスなどの無料サービスも複数付帯されている
- 導入企業では、優秀な社員の獲得や、従業員の満足度向上につながっている
- 導入企業では、加入率向上のため社員や採用の場で積極的に周知する必要がある