内容をまとめると
- 最高解約返戻金率50%以下の法人保険は全額損金計上ができるが、節税対策の観点では、必ずしも全額損金が効果的とは言えない。
- 法人向け生命保険は節税対策を目的とした利用ではなく、事業リスクをカバーする目的で活用できる。
- コストが少なく利益が大きい法人保険を選ぶには、複雑な損金割合と多くの法人保険を比較する必要があるので、法人保険のプロが多く在籍する丸紅グループの「マネーキャリア」を使って無料相談する企業も多い。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 法人向け生命保険の種類と損金割合
- 逓増定期保険(ていぞうていきほけん)
- 長期平準定期保険
- 養老保険
- がん保険
- 医療保険
- 生活障害保障定期保険
- 収入保障保険
- 法人向け生命保険の損金ルールとは
- 法人保険の30万円特例を活用して全額損金をする方法
- 節税効果が小さいのに法人保険に加入する経営者が多いワケ
- 支払い保険料の全部または一部が損金算入できる
- 退職金や決算対策に保険の解約返戻金が活用できる
- 法人向け生命保険の損金算入に関する注意点
- 生命保険料の損金算入時期は「保険会社に保険料が着金した月」
- 生命保険料の未払計上決算はできない
- 事業リスクをカバーしつつ自社にマッチした生命保険を正しく選ぶ方法
- 法人向け生命保険の無料相談:マネーキャリア(丸紅グループ)
- 法人保険の活用事例集
- 法人向け生命保険の損金割合と全額損金の可否まとめ
法人向け生命保険の種類と損金割合
以下では、代表的な法人向け生命保険の種類や損金割合を解説します。自社にとって正しい保険を選ぶには、種類ごとの特徴を把握しておく必要があります。
▼法人向け生命保険の代表的な種類
- 逓増定期保険(ていぞうていきほけん)
- 長期平準定期保険
- 養老保険
- がん保険
- 医療保険
- 生活障害保障定期保険
- 収入保障保険
逓増定期保険(ていぞうていきほけん)
逓増定期保険とは
逓増定期保険の損金割合
逓増定期保険の損金割合は、最高解約返戻金率によって決定します。経理処理の際には、解約時に受け取る払戻金が保険料に対して最も高くなる割合を、確認してから損金割合と照らし合わせます。最高解約返戻金率 | 資産計上期間 | 資産計上額 | 取り崩し期間※1 |
---|---|---|---|
50%以下 | 全額損金算入 | 全額損金算入 | 全額損金算入 |
50‐70%※2 | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×40% (支払保険料×60%は損金計上) | 保険期間の75%相当経過後、 保険期間終了日までの期間で 均等に取り崩して損金計上 |
70‐85% | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×60% (支払保険料×40%は損金計上) | 保険期間の75%相当経過後、 保険期間終了日までの期間で 均等に取り崩して損金計上 |
85%超 | ①保険期間の開始日 から最高解約返戻額を 迎える期間の終了日まで ②1の期間経過後、年換算保険料に 対する解約払戻金の増加割合が 0.7を超える期間があれば、 その期間の終わりまで | 保険期間開始日から 10年経過日までは、 保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上 11年目以降は、 支払保険料×最高解約返戻率×70%を 資産計上 (残りの割合は損金として計上) | 解約返戻金が最高金額に なったあと、保険期間終了日 までの期間で均等に取り崩し |
※2 解約返戻率が50%超~70%以下で、なおかつ被保険者1人当たりの年換算保険料合計額が30万円以下の場合は、保険料の全額を損金に算入することが可能。
※参考:「9-3-5の2」国税庁
長期平準定期保険
最高解約返戻金率 | 資産計上期間 | 資産計上額 | 取り崩し期間※1 |
---|---|---|---|
50%以下 | 全額損金算入 | 全額損金算入 | 全額損金算入 |
50‐70%※2 | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×40% (支払保険料×60%は損金計上) | 保険期間の75%相当経過後、 保険期間終了日までの期間で 均等に取り崩して損金計上 |
70‐85% | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×60% (支払保険料×40%は損金計上) | 保険期間の75%相当経過後、 保険期間終了日までの期間で 均等に取り崩して損金計上 |
85%超 | ①保険期間の開始日 から最高解約返戻額を 迎える期間の終了日まで ②1の期間経過後、年換算保険料に 対する解約払戻金の増加割合が 0.7を超える期間があれば、 その期間の終わりまで | 保険期間開始日から 10年経過日までは、 保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上 11年目以降は、 支払保険料×最高解約返戻率×70%を 資産計上 (残りの割合は損金として計上) | 解約返戻金が最高金額に なったあと、保険期間終了日 までの期間で均等に取り崩し |
養老保険
養老保険とは
養老保険の損金割合
養老保険は、役員・従業員の大部分が同族関係者ではない企業において、福利厚生規定に沿って、全役員・従業員が同額の保険に加入しているか、もしくは合理的理由によって保険加入対象者を決定している場合、保険料の2分の1の損金算入が認められます。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「自社に最適なリスク対策ができているか不安…」
業態業種問わず、法人保険のプロに無料で何度でも相談ができる「マネーキャリア」
▼マネーキャリア(丸紅グループ)の公式サイト
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
がん保険
がん保険とは
医療保険
医療保険とは
医療保険は、契約者を法人、被保険者を役員・従業員として、病気やケガの治療費等に対して備えられる保険です。経営者向けの事業保障としての加入、役員・従業員向けの福利厚生としての加入を目的によって活用できます。
経営者・役員には、保障と保険料が一定で一生涯続く終身保険タイプ、従業員には保険期間が決まっていて更新時に価格が上がっていく定期タイプが一般的に利用されます。
終身タイプの保険に加入すると、在任中は事業保障、退職後は退職慰労金の一部として保険自体を現物支給することができます。その他にも、休業保障、福利厚生としても活用できます。
医療保険の損金割合
生活障害保障定期保険
生活障害保障定期保険とは
生活障害保障定期保険の損金割合
最高解約返戻金率 | 資産計上期間 | 資産計上額 | 取り崩し期間※1 |
---|---|---|---|
50%以下 | 全額損金算入 | 全額損金算入 | 全額損金算入 |
50‐70%※2 | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×40% (支払保険料×60%は損金計上) | 保険期間の75%相当経過後、 保険期間終了日までの期間で 均等に取り崩して損金計上 |
70‐85% | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×60% (支払保険料×40%は損金計上) | 保険期間の75%相当経過後、 保険期間終了日までの期間で 均等に取り崩して損金計上 |
85%超 | ①保険期間の開始日 から最高解約返戻額を 迎える期間の終了日まで ②1の期間経過後、年換算保険料に 対する解約払戻金の増加割合が 0.7を超える期間があれば、 その期間の終わりまで | 保険期間開始日から 10年経過日までは、 保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上 11年目以降は、 支払保険料×最高解約返戻率×70%を 資産計上 (残りの割合は損金として計上) | 解約返戻金が最高金額に なったあと、保険期間終了日 までの期間で均等に取り崩し |
収入保障保険
収入保障保険とは
収入保障保険の損金割合
収入保障保険の損金割合は、基本的に解約返戻金がないため、保険料の全額を損金算入できます。法人向け生命保険の損金ルールとは
法人向け生命保険の損金ルールは、2019年以降の税制改正により、解約返戻金がある保険は一部損金となりました。そのため、法人保険を活用した節税は難しいと言えます。
2019年以前は貯蓄性がある法人保険で、保険料の全額・2分の1・3分の1を損金算入できたことや、保険料の8割から10割以上の解約返戻金がある保険商品が存在した事実があり、資産を保険として保有することで法人税対策が可能でした。
しかし、2019年以降は最高解約返戻率が50%以下の保険商品に限り、保険料が全額損金となるなど、保険の性質が変わり、資産を保険として保有しても法人税対策ができなくなったのです。
さらに、法人が保険金や解約返戻金を受け取る際は、保険金や解約返戻金から保険料積立金や配当積立金を除いた全額を、雑収入として益金に算入する必要があります。雑収入は課税対象であるため節税ができません。
このように、保険料支払いの段階でも節税が難しいこと、保険金や解約返戻金の受け取り時も課税されてしまうことから、節税対策として法人保険を検討する前に、保険のプロである「マネーキャリア」のようなサービスに相談しましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「自社に最適なリスク対策ができているか不安…」
業態業種問わず、法人保険のプロに無料で何度でも相談ができる「マネーキャリア」
▼マネーキャリア(丸紅グループ)の公式サイト
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
法人保険の30万円特例を活用して全額損金をする方法
2019年の税制改正により、法人保険を全額損金としての節税が難しくなりましたが、「30万円特例」の範囲内であれば全額損金計上が可能です。
30万円特例とは、下記の2種類の法人保険を採用する場合、被保険者一人あたりの年間支払い保険料が合計30万円以下の場合に限り、支払い保険料の全額を損金計上することができます。
▼30万円特例が利用できる法人保険2種類
- 最高解約返戻率が70%以下の定期法人保険
- 終身タイプの第三分野保険(医療保険・がん保険など)のうち、保険料短期払い込みのもの
節税効果が小さいのに法人保険に加入する経営者が多いワケ
ここでは、節税効果が小さいのに法人保険に加入する経営者が多い理由を解説します。税制改正によりメリットを享受しづらくなった今日でも、法人保険へ加入する企業も多いのは以下の理由があるからです。
- 支払い保険料の全部または一部が損金算入できる
- 退職金や決算対策に保険の解約返戻金が活用できる
支払い保険料の全部または一部が損金算入できる
法人保険は支払い保険料の全部または一部を損金算入できます。
法人保険を節税対策として利用するより、法人保険を事業継承・相続対策・退職金の確保・従業員の福利厚生として活用するケースが多いです。その上で事業運営をよりスムーズにするために課税を最小限に抑えるという観点から、支払い保険料の全部または一部を損金算入します。
損金算入は一部損金よりも全額損金できるケースであれば、後者の方がお得に見えることもあります。しかし、損金額面が大きければ、法人保険を契約した年度の法人税を節税できる一方で、保険金の受け取りや解約返戻金の受け取りの際に課税されてしまうのです。
このような自社の事業に必要なリスク対策をしたうえで、さらにより法人税の効果的なコスト削減をすることは、忙しい経営者にとって難易度が高いです。そこで、事業の潜在的なリスクに対する適切な法人保険選びのサポートを行う「マネーキャリア」の無料相談サービスを使うと、どのような保険が合っているかをプロと一緒に相談できます。
退職金や決算対策に保険の解約返戻金が活用できる
養老保険などの法人向け貯蓄型生命保険は、解約返戻金を退職金や決算対策に活用できます。
被保険者に対する万が一の保障という保険本来の機能を持ちつつ、同時に会社の経営難や取引先が倒産したときの資金繰りの悪化などの経営リスクに対する準備の機能を兼ね備えているのが、法人向け貯蓄型生命保険の特徴です。
以下は貯蓄型生命保険の活用例です。
- 生命保険の被保険者:40代男性社員
- 被保険者側の保障内容:ミドル世代特有の疾患に対する保障
- 法人側の保険活用方法:保険金受取による福利厚生の充実と、解約返戻金による退職金の準備
従業員の中でも、特に長年勤めている役員や従業員の場合、退職金が多額になります。退職金を借入金でまかなおうとしても、その後の資金繰りや決算に影響が出ることがあるため、法人生命保険を活用して、福利厚生と退職金の準備に伴う決算対策ができるのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「自社に最適なリスク対策ができているか不安…」
業態業種問わず、法人保険のプロに無料で何度でも相談ができる「マネーキャリア」
▼マネーキャリア(丸紅グループ)の公式サイト
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
法人向け生命保険の損金算入に関する注意点
法人向け保険では最高解約返戻率によるものの、全額ないし一部を損金参入できます。しかし、以下で解説する注意点を抑えなければ、税負担が想像より抑えられなくなってしまう点に注意しましょう。
▼注意点
- 生命保険料の損金算入時期は保険会社に保険料が着金した月
- 生命保険料の未払計上決算はできない
生命保険料の損金算入時期は「保険会社に保険料が着金した月」
生命保険料は、保険会社に保険料が着金したときに、損金算入が認められます。法人保険は審査が通ったあとではなくとも、損金計上が可能です。
法人保険の申し込みから契約成立までは、以下のステップです。
- 法人保険の申し込み
- 医師による診査
- 保険会社に保険料の払い込み
- 保険加入に関する審査
- 契約成立
- 3月29日 法人保険の申し込み
- 3月29日 医師による診査
- 3月30日 銀行にて保険料を保険会社に振込
- 3月31日 保険会社に保険金が着金
- 4月5日 保険契約が成立
生命保険料の未払計上決算はできない
決算で未払計上決算はできないため、生命保険料を払い込まずに損金算入や計上決算はできません。
法人税法基本通達では、実際に支払った分だけが損金算入できる規定になっています。
たとえば、役員と従業員の生命保険を毎年決算期末に年払で払っているが、今年度は資金繰りの都合上支払えず、短期前払費用の通達を適応して未払計上にしたい場合も、未払計上決算ができません。
短期前払費用の通達適用については「2年分など1年を超える支払いをした場合は適用不可」「契約書が正しく年払い契約になっている」などの注意点があるため、「マネーキャリア」などの法人保険にプロに相談しましょう。
※参考:「短期前払費用の取扱いについて」国税庁
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「自社に最適なリスク対策ができているか不安…」
業態業種問わず、法人保険のプロに無料で何度でも相談ができる「マネーキャリア」
▼マネーキャリア(丸紅グループ)の公式サイト
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
事業リスクをカバーしつつ自社にマッチした生命保険を正しく選ぶ方法
以下では、自社の事業形態や事業フェーズに合った生命保険を正しく選べる方法を紹介します。
法人の事業リスクをカバーできる保険を選ぶには、自社に必要な目的(事業保障、退職金、福利厚生など)が重要です。さらに、法人生命保険だけでもさまざまな種類があるので、自社にマッチする保険を選ぶのは簡単ではありません。
特に、法人向け生命保険を選ぶ際には、生命保険の商品性はもちろん、保険を販売している保険会社の信用力や、長期に渡って会社をサポートする担当者のアフターフォローなど総合的に判断する必要があります。
さらに、節税対策で法人保険に加入しても、受取保険金や解約返戻金は雑収入に計上されるので、実質的に節税にはなりにくいと言えます。したがって、自社に必要な保険を正しく選ぶにはマネーキャリアのような何度も相談が無料の、ファイナンシャルプランナーに相談することが必須です。
マネーキャリアでは、事業別の保険相談実績が豊富、かつ自社に合わせたオーダーメイド型のご提案に強みです。実際に相談満足度は98.6%を誇り、どのような事業形態の企業であっても気軽に利用可能です。
法人向け生命保険の無料相談:マネーキャリア(丸紅グループ)
お金に関する全ての悩みにオンラインで解決できる
マネーキャリア:https://money-career.com/
<マネーキャリアのおすすめポイントとは?>
・お客様からのアンケートでの満足度や実績による独自のスコアリングシステムで、法人保険のプロのみを厳選しています。
・保険だけではなく、総合的な事業リスクへの対策を踏まえて「自社の理想の状態を叶える」提案が可能です。
・マネーキャリアは「丸紅グループである株式会社Wizleap」が運営しており、満足度98.6%、相談実績も80,000件以上を誇ります。
<マネーキャリアの利用料金>
マネーキャリアでは、プロのファイナンシャルプランナーに
「無料で」「何度でも」相談できるので、相談開始〜完了まで一切料金は発生しません。
法人保険の活用事例集
法人向け生命保険の損金割合と全額損金の可否まとめ
本記事では、法人向け生命保険の種類別の活用法と損金割合から、法人保険における全額損金は節税効果があるのか、自社にマッチした生命保険を正しく選ぶ方法まで紹介しました。
法人向け生命保険は全額損金計上ができる保険もあれば一部損金計上ができる保険がありました。しかし、法人保険は損金割合は大小問わず法人にとって効果的な節税対策になっておらず、むしろ法人保険は節税対策以外の事業リスクのカバー面で大きな効果を発揮します。
事業リスクのカバーという意味で法人保険を活用し、さらに事業リスクをカバーしながら法人税を最小限に抑えるためには、自社に適切な生命保険を選ぶ必要があります。
普段経営陣として時間が取れないなかでも、事業リスクに適した対策に備えて保険の選定や見直しをするには、 無料で何度でも保険の見直しや最適な保険の提案が受けられるマネーキャリアが必須です。
無料登録は1分で完了するので、ぜひマネーキャリアを使って、自社の状況に適した生命保険を選びましょう。