法人の逓増定期保険の経理処理やメリットをわかりやすく解説のサムネイル画像

企業の成長に伴い、将来の資金需要や事業承継対策など、中長期的な視点での資金準備が重要となります。


一方で、保険料負担を抑えながら、将来の保障額を増やしていきたいというニーズがあります。


そのため、逓増定期保険の仕組みを理解し、自社にとって最適な保険設計を検討したいと考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、法人向け逓増定期保険の特徴やメリット、注意点などを詳しく解説します。


・事業承継対策や将来の資金需要に備え、保険を活用した資金準備を検討している経営者

・保険料負担を抑えつつ、将来の保障額を増やしたいと考えている経営者


の方はこの記事を読むことで、法人向け逓増定期保険の活用方法を理解し、自社の経営戦略に合わせた最適な保険選びのヒントを得ることができます。

内容をまとめると

  • 逓増定期保険は、保険金額が当初の5倍まで逓増(徐々に増える)していく、法人契約向けの定期生命保険。
  • 法人では事業対策として「退職金の準備(死亡退職金、弔慰金、退職慰労金)」「事業保障」に活用できる。
  • 法人向け生命保険は複雑で種類も多いため、専門家のアドバイスが必須。
  • 企業によって必要な事業保障やリスク対策は異なるので、法人保険のプロへ無料で何度でも相談できるマネーキャリアを使って事業保障の悩みを解消する会社が急増している。

企業の成長に伴い、将来の資金需要や事業承継対策など、中長期的な視点での資金準備が重要となります。そこで今回は、法人向け逓増定期保険の特徴やメリット、注意点などを詳しく解説します。この記事を読むことで、法人向け逓増定期保険の活用方法を理解し、自社の経営戦略に合わせた最適な保険選びのヒントを得ることができます。

この記事の監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

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法人向け逓増(ていぞう)定期保険の定義をわかりやすく解説

逓増定期保険(ていぞうていきほけん)は、保険金額が当初の5倍まで逓増(徐々に増える)していく、法人契約向けの定期生命保険です。


一般的に、会社は時間が経つにつれて成長していくため、経営者に万が一のことがあったときに必要な資金も、同時に増加するケースが多いです。逓増定期保険(ていぞうていきほけん)は徐々に保険金を増やすことで、企業の成長スピードとともに保障も手厚くなる保険なのです。


長期平準定期保険は20~30年程度で解約返戻金のピークを迎えるのに対し、逓増定期保険では5~10年程度でピークを迎えるものが一般的です。また、一般的に契約者貸付制度(解約返戻金の一定範囲内で貸付ができる)の利用が可能です。


逓増(ていぞう)定期保険は、高額な役員退職金を準備するとともに、事業保障資金の財源、事業承継・相続対策の納税資金(相続税・贈与税)も確保できます。

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法人向け逓増定期保険の活用方法

法人向け逓増定期保険の活用方法には、以下の2つがあげられます。
  • 退職金の準備(死亡退職金、弔慰金、退職慰労金)
  • 事業保障

退職金の準備(死亡退職金、弔慰金、退職慰労金)

法人向け逓増定期保険は、退職金の準備(死亡退職金、弔慰金、退職慰労金)として活用できます。

退職金の準備(死亡退職金、弔慰金、退職慰労金)とは、1,000万円から4,000万円が相場と言われている高額な役員退職金のほか、従業員の退職金などを支払うために、毎月指定の額を逓増定期保険を活用して積み立てることを指します。

逓増定期保険で退職金の準備(死亡退職金、弔慰金、退職慰労金)を積み立てるメリットは以下の通りです。
・死亡退職金、弔慰金、退職慰労金を同時に準備できる
・解約返戻金は役員退職金の確保だけでなく万が一の事業リスクにも転用できる
・資産が運転資金に流入しにくいため、他の資金と区別して退職金を貯められる

事業保障

法人向け逓増定期保険は、事業保障として活用できます。


事業保障が必要となるケースは以下があります。

・経営者が長期不在になった場合の当面の事業運転資金

・経営者が長期不在になったことが原因で落ち込んだ利益の補てんや従業員の給与支払い 

・経営者が死亡したとき連帯保証人を利用することなく借入金の返済を行うこと


経営者が死亡した場合は、死亡保険金を借入金や経営者のご家族の生活に充てることができます。また、保険事故がない場合でも、経営者の万が一の際には保険を解約して解約返戻金を事業保障に充てられます。  

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逓増定期保険でできること

以下では、逓増定期保険でできることや逓増定期保険の特長を解説します。保険ごとに特長が異なるため、会社が求めているメリットが含まれているか確認する必要があります。

契約者貸し付け

逓増定期保険は、契約者貸し付けが可能です。

契約者貸し付けとは、保険契約者が一時的に資金が必要になった場合に、保険会社が解約返戻金の一定範囲内で貸し付ける制度です。解約返戻金を担保とし、保険会社や金額などによって異なりますが、約2~6%前後の利率が一般的です。

保険を解約すると解約返戻金が受け取れますが、保障が無くなります。「今は解約返戻金額全額相当を受け取る必要ないが、保障をキープしながら少額を借り入れたい」場合に契約者貸し付けを利用するケースが多くあります。

ただし、契約者貸し付けの返済がない場合には、保険契約が失効または解除となる可能性もあるため、注意が必要です。    

一定の損金算入は可能

逓増定期保険は、一定の損金算入が可能です。

法人向け生命保険の損金算入には2つの方法があり、ひとつめは「保険料支払い時に定められた税制に沿って一部もしくは全額損金算入する方法」、ふたつめは「福利厚生として生命保険に加入し、支払保険料を福利厚生費として全額損金算入する方法」です。

逓増定期保険は税制に沿って一部損金算入が可能なため、利益が出すぎて多額の納税が想定される場合、保険料を支払う過程で一部を損金算入することによって一時的な課税繰り延べができます。

将来に向けて保障額が増加

逓増定期保険は、将来に向けて保障額が増加します。


解約返戻金の返戻率のピークが加入から5~10年であることが一般的なため、会社の成長に合わせた保障を準備しやすいのがポイントです。近い将来に予定している新規事業や退職金準備に活用する方法が一般的です。


早期解約により大きな元本割れとなるリスクや、他の保険と比較して支払保険料が割高であることを視野に入れる必要があります。

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逓増定期保険の経理処理(改正前と改正後)

以下では、逓増定期保険の経理処理について解説します。2019年の税制改正後、生命保険の損金算入ルールが大幅に変更されました。以前は節税として活用できた保険も、現在では節税効果がない場合もあるため、必ず経理処理方法は確認する必要があります。

保険料支払時

<法人が保険料を支払う場合の経理処理>

最高解約返戻率資産計上期間資産計上額取り崩し期間※1
50%以下全額損金算入全額損金算入全額損金算入
50超‐70%※2保険期間の当初40%の期間支払保険料×40%
(支払保険料×60%は損金算入)
保険期間の75%相当経過後、
保険期間終了日までの期間で
均等に取り崩して損金算入
70超‐85%保険期間の当初40%の期間支払保険料×60%
(支払保険料×40%は損金算入)
保険期間の75%相当経過後、
保険期間終了日までの期間で
均等に取り崩して損金算入
85%超

①保険期間の開始
日から最高解約返戻額を
迎える期間の終了日まで

②1の期間経過後、年換算保険料に
対する解約払戻金の増加割合が
0.7を超える期間があれば、
その期間の終わりまで

保険期間開始日から
10年経過日までは、
保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上

11年目以降は、
支払保険料×最高解約返戻率×70%を
資産計上 (残りの割合は損金として算入)
解約返戻金が最高金額に
なったあと、保険期間終了日
までの期間で均等に取り崩し
※1 取り崩しとは、残りの保険契約期間の年数に応じて、均等に分けることを指す
※2 解約返戻率が50%超~70%以下で、なおかつ被保険者1人当たりの年換算保険料合計額が30万円以下の場合は、保険料の全額を損金へ算入可能。

※参考:「第3節 保険料等 9-3-5の2」国税庁

保険金受取時 (死亡保険金)

<死亡保険金を受け取った場合の経理処理>
  1. 死亡保険金の額を確認する
  2. いままで資産計上した前払保険料と配当積立金を取り崩す※1
  3. 死亡保険金と「前払い保険料と配当積立金を取り崩した金額」の差額を雑収入として益金算入する※2
※1 取り崩しとは、残りの保険契約期間の年数に応じて、均等に分けることを指します。 ※2 益金算入は、二重課税などを防ぐために、法人税上の益金として計上されず、企業会計上の収益として計上することです。

解約返戻金受取時

<解約返戻金を受け取った場合の経理処理>

  1. 解約返戻金の額を確認する
  2. いままで資産計上した前払保険料と配当積立金を取り崩す※1
  3. 前払保険料よりも解約返戻金が少ない場合には差額を雑損失として損金算入
  4. 前払保険料よりも解約返戻金が多い場合には差額を雑収入として益金算入

※1 取り崩しとは、残りの保険契約期間の年数に応じて、均等に分けることを指します。

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逓増定期保険に関してよくある質問

保険の逓増率とはなんですか?逓増の読み方はなんですか?

保険の逓増率とは、保険金額が段階的に増加していく割合のことです。また、逓増の読み方は「ていぞう」です。

逓増定期保険のメリットとはなんですか?

逓増定期保険のメリットは以下の通りです。
・契約者貸し付けができる
・一部損金算入ができる
・会社が大きくなる将来につれて保障額も増大する

逓増定期保険のデメリットとはなんですか?

逓増定期保険のデメリットは以下の通りです。

・早期解約により大きな元本割れとなるリスクがある

・他の保険と比較して支払保険料が割高である

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自社の課題を解決するのに最適な法人保険は?

ここでは、企業の将来に備え、年々増加する保障額でリスクヘッジを行う法人逓増定期保険について解説します。

企業の成長に伴い、将来的な事業拡大資金や借入金の増加などが予想されるため、リスク対策全体を考えなければなりません。

しかし、事業規模の拡大や設備投資など、成長段階によって必要な保障額は変化するため、柔軟に対応できるサービスを選ぶ必要があります。

そこで、今日では上記のような複雑な経営課題に対応するために、マネーキャリアのような「法人保険のプロに無料で何度でも」相談が受けられ、悩みを解消できるサービスの活用が必須なのです。

丸紅グループが運営するマネーキャリアでは「相談実績80,000件以上、満足度98.6%」の高い信頼性を誇ります。経営者の皆様の悩みを効果的に解消し、安心して事業に専念できる環境づくりに強みです。

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法人の逓増定期保険の経理処理やメリットまとめ

ここまで、逓増定期保険の概要、経理処理の方法について解説しました。

法人逓増定期保険は、時間の経過とともに死亡保障額が増加していく生命保険です。企業は、役員や従業員を被保険者として加入し、万が一の場合に備えることができます。

しかし、法人逓増定期保険に関する検討や比較には、保障内容や保険料、税務上の扱いなど、専門知識が必要です。保険商品ごとに保障範囲や保険料が異なり、企業の規模や業種、従業員の年齢構成などによって、最適なプランが異なるため、企業にとって最適な保険設計をすることは困難です。

そこで、マネーキャリア」を利用し、法人保険のプロのアドバイスを受けながら、自社に最適な逓増定期保険プランの相談・設計を無料で行ってもらう経営者の方も急増しているのです。

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