内容をまとめると
- 2019年に販売停止になった「節税保険」とは、「解約返戻率が高いのに、保険料を全損・半損できる保険」「全損でき、さらに個人へ保障を現物支給できる保険」が該当する。
- 一方、損金算入ができなくなったわけではなく、現在でも「養老保険」「第三分野の保険」「掛け捨て型の生命保険」に加入する企業も多い。
- 改正前と後で、被保険者1人あたり複数の保険に加入しているケースにて、年間保険料が30万円を超える場合は改正後のルールにしたがって損金処理しなければならない。
- 税負担の見直しに、丸紅グループの「マネーキャリア」のような無料相談窓口を使って、保険を再検討する人も多い
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
販売停止になった節税保険とは?
規制前までは、いわゆる「節税保険」と呼ばれていた保険は以下のとおりです。
- 保険料の全額を損金参入(全損)できるうえ、解約返戻率が80%以上の生命保険
- 保険料の半額を損金参入(半損)できるうえ、解約返戻率が100%を超える保険
- 生活傷害保険や終身がん保険など、保険料が全額損金参入できるうえ、払込完了後に個人へ現物支給できる保険
とくに、損金参入できる割合が半損・全損であるにも関わらず、解約時の解約返戻金が支払った保険料とほぼ同じ額が戻ってきました。企業に大きな支出があった際や、赤字になったときに相殺でき、大きな節税ができていたのです。
そこで、国税庁が、資産性のある保険の「損金参入できる割合」を見直す通達を出した結果、節税対策や決算対策を目的とした保険加入が難しくなりました。
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販売停止の対象となった節税保険とは?
ここでは、以前まで「節税保険」として販売されていた、見直しの対象になった保険の種類を解説します。
現在でも販売されている保険ではあるものの、損金算入ルールはすでに改正されているので、どのように損金参入すべきかは確認しておく必要があるのです。
長期平準定期保険
長期平準定期保険とは、一般の定期保険に比べて保険期間が非常に長く設定されているものを指します。
10年〜30年の保険期間が設定されていたり、90歳〜100歳まで保険期間が設定されていたりするものが一般的です。また、逓増定期保険とは異なり、保険期間中のいずれの期間でも、保険金の変動はありません。
長期平準定期保険も、解約返戻金があるタイプの保険ですが、最高解約返戻率のピークを迎えると返戻率は徐々に下降し、最終的にはゼロになります。
現在でも、経営者の死亡や役員退職金、想定外の支出に備えるために、加入する法人も多い保険のひとつです。
逓増定期保険
逓増定期保険とは、保険の加入期間が経つほどに保険金額が上昇するタイプの生命保険です。
返戻率は商品によって異なるものの、最大5倍程度まで保険金が増加します。また、長期平準定期保険とは異なり、5年〜10年の比較的短期間で、解約返戻金のピークが訪れる点も特徴です。
とくに、「短期間の保険期間」「保険金が増加する」性質から、数年後の短期的な目線で、役員の退職金などの資金準備ができます。したがって、保険金が変わらない長期平準定期保険とよく比較検討される保険のひとつです。
一方、「低解約型逓増保険」には、解約返戻金が低いうちに法人名義から個人名義に変更すると、給与所得ではなく一時所得として税負担を抑えられる「名義変更プラン」のシステムがありました。しかし、2021年3月に国税庁から、廃止の通達がなされたのです。(ホワイトデーショック)
生活障害保険や終身がん保険
生活傷害保険とは、重大な病気やケガなどに対しての保障が手厚い保険であり、終身がん保険は病気のガンに関わる「診断・入院・手術・死亡」に対する保障のある保険です。
実際に、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのがん治療と仕事の両立に関する調査によると、35.6%の人が「がん治療に関する費用の助成」を求めていることもわかります。
そのため、現在では自社の福利厚生の充実や、「契約者貸付制度(解約返戻金を担保にして、融資を受けられる制度)」を目的に加入するケースも多いです。
災害保証期間付定期保険
災害保証期間付定期保険とは、従業員が不慮の事故に見舞われてしまった際に、高度障害が残ったり死亡してしまったりしたケースで、死亡保険金を受け取れる保険です。
また、保険商品によっては「事故にあった日から180日以内に高度障害になった場合は保険料が免除」されるものもあります。
ただし、経営者の健康状況によっては加入できない可能性もあるので注意が必要です。
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現在でも「節税保険」はあるのか?
節税保険は事実上販売停止に追い込まれ、大きな節税効果のある商品はほぼなくなってしまいました。しかし、節税ではなく損金算入ができるとして、現在でも活用されている保険はさまざまです。
そこで、以下では現在でも損金算入可能な保険を4つ解説します。(改正後の損金算入ルールは表のとおりです。)
最高解約返戻率 | 経理処理 |
---|---|
50%以下 | 全額損金算入 |
50%超〜70%以下 | 保険期間開始〜4割までは、保険料の60%を損金算入 残りの6割の期間は全額損金算入 |
70%超〜85%以下 | 保険期間開始〜4割までは、保険料の40%を損金算入 残りの6割の期間は全額損金算入 |
85%超 | 保険期間開始〜10年目まで:100%ー(ピーク時返戻率×0.9)で損金算入 11年目以降:100%ー(ピーク時返戻率×0.7) で損金算入 ピーク時返戻率が1%ごとに損金算入割合が変わる |
養老保険
養老保険は、定められた保険期間の支払いが満了すると、満期保険金が受け取れる生命保険です(満期保険金は死亡保険金と同額で設定)。
一方で、養老保険の損金算入ルールは、保険金の受け取りが「法人」か「被保険者の遺族」であるかで、以下のように異なるため注意です。
死亡受取人 | 満期受取人 | 保険料の経理処理 | |
---|---|---|---|
パターン① | 法人 | 法人 | 資産計上 |
パターン② | 被保険者の遺族 | 法人 | 半分を資産計上、半分を損金算入 |
パターン③ | 法人 | 被保険者の遺族 | 給与計上 |
とくに、パターン2の場合は満期保険金の半分が雑収入での計上となります。
掛け捨て型の生命保険
掛け捨て型の生命保険は、解約返戻金がない分、月々の保険料も安く抑えられる保険です。
国税庁が2019年に通達した改正ルールも、解約返戻率によって損金算入の割合が定められているので、もともと解約返戻金がない掛け捨ての生命保険は全額を損金参入できます。
保険料が安いので、保険料の支払いに多くは掛けられなくとも、保障は手厚くしたい経営者の方向けの保険となっています。
第三分野の保険
第三分野の保険とは、「医療保険やがん保険、介護保険」などを含む生命保険の一種です。
厳密には、2019年10月に最高解約返戻率による規制がかかり、一般の定期保険と同じように、全損や半損の商品はなくなってしまいました。
しかし、年間の保険料が被保険者1名あたり30万円以下のものであれば、全額損金算入が可能です。
2019年10月8日以前と以後に加入した保険が複数ある場合は?
国税庁の通達した税制改正は、定期保険や第三分野を含んだ契約の適用です。
そのため、節税対策を見込んで加入しても、改正前に加入した保険に関しては加入前のルールの適用となります。
<損金算入ルール変更の適用日時>
- 第三分野保険もしくは定期保険:2019年7月8日以降
- 「短期払いの」第三分野保険もしくは定期保険:2019年10月8日以降
1人あたりの保険料が税制改正前・後で複数ある場合、年間保険料が30万円を超えてしまうと、改正後の経理処理をしなければなりません。
したがって、全額損金算入できるはずが、一部しか損金算入できなくなってしまうので注意しましょう。
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「自社に最適なリスク対策ができているか不安…」
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税負担の見直しに活用できる無料サービス
以下では、税負担の見直しに活用できる無料サービスをご紹介します。
節税保険は税制改正後にほとんどなくなったものの、損金算入ができなくなったわけではありません。しかし、以前ほどの税負担の恩恵は受けられないので、税負担や解約保険金の高さのみで保険を加入するのは危険です。
そのため、自社にあった正しい保険を見極めて加入しなければ、万が一の支出が発生した際に対応できなかったり、事業運営に支障が出るほど納税に悩まされるケースに陥ってしまうのです。
法人向けの生命保険への加入は慎重になる必要があるので、法人向け保険のプロに「無料で何度でも」相談ができる、丸紅グループのマネーキャリアを使うのが必須です。
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法人保険の活用事例集
販売停止になった長期平準定期保険を含む節税保険のまとめ
ここまで、長期平準定期保険を含む「販売停止になった節税保険」から、見直しがされた保険、税負担を見直す際に必須のサービスまでご紹介しました。
販売停止になった保険は全損・半損タイプで解約返戻率が高い保険や、全損できるのに個人へ保障を現物支給できる終身がん保険などが該当します。
見直しの対象となり税制改正がなされた保険は、最高解約返戻率によって損金参入ルールが変更となりました。また、税制改正前と後で、加入している被保険者の保険料が年間で30万円を超えると全損はできなくなったことからも、保険の見直しは定期的にしなければなりません。
そこで、以降の税制改正がある可能性も考慮すると、マネーキャリアのようにいつでも「無料で何度でも」相談ができるサービスを有効活用すれば、自社の事業運営に集中できます。
無料登録は30秒で完了するので、ぜひマネーキャリアを使って、自社の税負担を見直しつつ最適な保険を選びましょう。