借入金を会社設立の資本金にできる?資金調達と資本金額の目安のサムネイル画像

会社設立の際に用意する資本金が多ければ、金融機関から融資を受ける際に有利になると言われています。しかし、会社設立時において資本金そのものは金融機関から融資を受ける借入金を利用できず、自己資金のみとなります。


金融機関のみならず、親族や知人からの借入金を資本金として仕訳できるのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。


そこで今回は、「借入金を会社設立の資本金にできるか・資本金が十分でない場合どのように資金調達をするか」を紹介します。 


・事業展開のために融資を考えているが、今の資本金では銀行から借り入れられるかわからないため、まずは信用力をつけるために多額の資本金を用意したい

・資本金が多いとより課税されると聞いたが、具体的にいくらまでなら最小限の税率で済むのか知りたい


方は本記事を参考にすると、会社設立の資本金のルールがわかるうえに、事業開始後の自社のリスク対策ができる方法もわかります。

内容をまとめると

  • 会社設立の際に必要な資本金は、借入金を利用できないため、自己資金から出資する必要がある。
  • 自己資金が十分でない場合、ベンチャーキャピタル(VC)を利用したり、クラウドファンディングをしたりして資本金を集める方法がある。
  • 資本金は多ければ多いほどいいとは言い切れず、資本金の多さによってより課税される場合がある。さらに、会社の創業期は資金が活発に流動化するため、さまざまなリスクがある。
  • 創業期の事業リスク対策には保険を利用することが必須なので、マネーキャリアのような無料相談窓口サービスを有効活用し、自社のリスクに備える会社も増えている。

この記事の監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

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借入金を会社設立の資本金にできる? 


以下では、借入金を会社設立の資本金にできるか解説します。資本金の調達方法によっては違法になったり、会社設立が無効になったりする場合があるので、必ず確認しましょう。

会社設立時に借入金を資本金にすることは違法

会社設立時に必要な資本金に借入金を使用することは、「公正証書原本不実記載等罪」に問われる可能性があります。

公正証書原本不実記載等罪

資本金は会社の資産の一部であり、返済の義務がある借入金は資本金として取り扱えません。会社法52条の2では、出資に関して仮装した場合は発起人・役員に責任が問われます。




出資の履行を仮装した場合の発起人・役員の責任

公正証書原本不実記載等罪や「会社法52条の2」違反の対象になるのは「見せ金」です。見せ金は、会社設立時にあたかも資本金があるかのように見せる行為を指します。


会社設立時に、資本金があまりに少なく、融資が受けにくい場合に見せ金が行われることがあります。実際に見せ金が明らかとなった場合は、全額を会社へ支払わなければなりません。


ただし、借入金(債務)を株式として資産計上できるDES(デット・エクイティ・スワップ)を利用すると、役員からの借入金を資本金に振り替えられます。


たとえば、社長が自己資金で資本金を調達するケースでは、社長という役員から資本金を借入したことにできます。


資本金に借入金を含むリスク

以下では、資本金に借入金を含むと起こるリスクを解説します。


・金融機関からの融資が受けられなくなる

・見せ金が課税される

・会社設立が無効になる


金融機関は融資判断をする際に「出資者の通帳確認」をするため、出資金に借入金を使う「見せ金」をしたかが確認できます。


また、見せ金は会社から出資者に貸し付ける扱いを仕訳上行うため、実際に出資者が貸し手に借入金を返済しても、仕訳上は会社から出資者に貸したままです。そのため、借入金を用いて出資金を捻出した出資者に、所得税がかかる場合があります。


さらに、昭和38年12月6日の最高裁判所では、「当初から真実の株式払込として会社資金を確保する意図なく、一時借入金を以て単に払込の外形を整え、株式会社成立の手続後直ちに右払込金を払い戻してこれを借入先に返済した場合は、有効な株式払込がなされたものとはいえない。」と判決が下った事例もあります。


参考:裁判所 最高裁版判例集

資本金にできるお金の種類とは

資本金にできるお金の種類は、返済義務のないお金です。自身で貯めたお金、タンス預金、親族・知人からの贈与金が返済義務のないお金に該当します。


しかし、タンス預金は第三者からそのお金がどこから発生したのか判断がつかないため、基本的には、会社設立半年前には銀行口座に入金しておきましょう。


また、親族・知人からの贈与は、110万円を超えると贈与税が発生するので注意が必要です。さらに、親族・知人からの借入金とみなされないために、贈与契約書を作成すると安心です。


株や不動産などの金融商品を売却した場合にも、売却で得た利益を自己資金とみなすことができます。


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資本金を調達する方法とは


以下では、資本金を調達する方法を解説します。借入金は見せ金として違法ですが、自己資金がなく親族・知人からの贈与もない場合は、どのように資金を調達できるのか知っておく必要があります。

ベンチャーキャピタル(VC)を利用する

ベンチャーキャピタル(VC)とは、新興企業や成長企業に投資する投資会社やファンドです。


メリットは、将来の成長性や収益力を見込んで出資してもらえるため、資金調達がしやすいです。また、ベンチャーキャピタルから出資を受けることで資金調達の実績が生まれ、その後金融機関から融資を受ける際に有利になる可能性も高まります。


デメリットは、出資金に返済義務がない代わりに、出資を受ける対価として自社株を譲渡するので、自社の持株比率が下がってしまうのです。譲渡する議決権株式の割合によっては、自社の経営に過度に介入される、あるいはベンチャーキャピタルの方針に沿った経営判断を求められる可能性もあります。


ベンチャーキャピタル(VC)を利用するには、イベントやビジネスコンテスト、商工会議所や中小機構の支援事業でベンチャーキャピタルを紹介してもらう方法があります。

クラウドファンディングで資本金を募る

不特定多数の支援者から資金を集めるクラウドファンディングで資本金を募る方法もあります。

メリットは、経歴や実績がなくてもアイディアに支援者が集まれば資本金を集められます。クラウドファンディングサイトに登録する際は、プロジェクトの紹介をする必要があり、支援者を募りながらマーケティングの効果にもなります。

デメリットは、プロジェクト登録をしても必ずしも資金調達ができるとは限らず、資金調達に時間がかかったり、公開したビジネスモデルを他社に盗まれる可能性があります。

クラウドファンディングには「購入型」「寄付型」「金融型」の3つがありますが、資本金は返済義務のないお金でなければならないので、「購入型」「寄付型」で募集するようにしましょう。

「資本金は多ければよい」と必ずしも言えない3つの理由


ここでは、「資本金は多ければよい」と必ずしも言えない3つの理由を解説します。


「資本金が多いと銀行から融資を受けやすくなる」のような情報もありますが、資本金の多さが事業にとってメリットになるだけではありません。そのため、以下のマイナスの側面を確認する必要があります。

資本金が増えると課税率があがることがある 

資本金が増えると課税率があがることがあります。


税制面から資本金額を決めるとき「消費税」「法人住民税」「法人税」の観点から税率を算出できます。


消費税:資本金1,000万円未満の場合、最大で2年間消費税の免税事業者となり、消費税の納税が免除されます。


法人住民税:資本金等が大きいとそれに伴って法人住民税の均等割り(法人であれば支払う金額)が増えます。法人住民税は各都道府県によって金額が異なるため、開業したい地域を確認すべきです。


▼資本金額に対する東京23区の法人住民税の均等割り

(左右にスクロールできます)

資本金等の額従業者数均等割額
1,000万円以下50人以下
50人超 
7万円
14万円 
1,000万円超~1億円以下 50人以下
50人超 
18万円
20万円
1億円超~10億円以下50人以下
50人超 
29万円
53万円
10億円超~50億円以下50人以下
50人超 
95万円
229万円


法人税:資本金の額が1億円以下の会社は中小法人又は中小企業者とされ、法人税における優遇税制が適用されます。資本金1億円以下または資本金3,000万円以下の会社が適用できる代表的な優遇税制は

  • 法人税の軽減税率
  • 交際費のうち800万円まで損金算入可能
  • 一定の設備投資を行った場合の税額控除
  • 一定の設備投資を行った場合の特別償却
  • 30万円未満の少額減価償却資産は損金算入可能
  • 欠損金の繰戻還付


の主に6つです。

経営者の出資を役員借入金にすると相続税が高くなる

経営者に万が一のことが起き、事業相続が発生した場合、役員借入金は経営者の相続財産になり、相続税の課税対象になります。


経営者の出資を資本金にする場合、出資金とするのか役員借入金とするのかを、相続の観点から検討しなければ、事業相続が発生した場合に多額の相続税を払い切れないリスクを抱えてしまいます。


たとえば、会社が債務超過に陥っている場合、会社が法的な破産手続きをしたなどの条件がない限り、役員借入金の評価額が下げられません。役員借入金を相続した相続人にとっては、会社の財産価値が低いにもかかわらず、高額な相続税の資金を払わなければならないのです。


経営者の年齢、事業規模、資本金の規模に合わせて、出資金の扱いを見極める必要があります。



会社設立の際に登録免許税が加算される

資本金が2,143万円以上の場合、会社設立の際に登録免許税が通常に比べより加算されます。

登録免許税とは、会社の設立にあたって登記や登録、特許などを受けるときにかかる国税です。

▼会社設立にかかる登録免許税
設立する会社の種類税の計算方法
株式会社資本金の額の0.7%
(15万円未満の場合は申請1件に付き15万円)
合同会社資本金の額の0.7%
(6万円未満の場合は申請1件に付き6万円)
合名会社・合資会社1件に付き6万円

たとえば、株式会社設立時の資本金×0.7%が15万円を超えるのは、上記の表にもとづくと資本金が2,143万円以上のときです。

登録免許税を減免したい場合は、自社が特定創業支援事業による優遇措置を受けられるか確認します。「創業しようと考えている個人」や「事業開始日から5年未満の個人および法人」は、会社設立時の登録免許税の額が、0.7%から0.35%に半額となります。


会社設立前に必ず確認しておくべきたった1つのこととは


会社設立前に必ず確認しておくべきたった1つのこととは、「保険」です。

企業の成長には、「創業期」「成長期」「安定期」の3つのステージを経て次世代に引き継がれる「事業承継期」があります。会社設立は創業期にあたり、創業時には特に資金が活発に流動化しているため、万が一に備えて資金を社内で留保するのは難しいのが特徴です。

また、経営者の営業力や人脈が大きく影響する時期でもあるため、経営者に万が一のことがあれば会社はもちろん、従業員やその家族は大きなダメージを受けてしまいます。

そのため、創業期の経営者は経営者に万が一のことがあったとき、従業員が安心して働けるよう、次のようなリスクに備える「事業保障対策」が重要です。経営者の不在で売り上げが落ちても家賃や人件費などの固定費は通常通り支払う必要があります。

事業が軌道に乗るまでの期間は、経営者に万が一のことがあった際の事業保障対策として保障が得られ、なおかつコストを抑えて準備できる定期保険が必要です。

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借入金を会社設立の資本金にできるかのまとめ


ここまで、借入金を会社設立の資本金にできるか、資本金が十分でない場合に資金調達をする方法、さらに会社設立前に必ず確認しておくべきことまで解説しました。


会社設立の際に用意する資本金は借入金を利用できません。したがって、自己資金で用意するか、ベンチャーキャピタルやクラウドファンディングを使う必要があります。


資本金の金額によっては会社設立後の課税率が変わるので、事業展開予定に合わせて資本金額と仕訳を検討しなければなりません。会社設立時はリスク対策への資金確保が難しく、経営者の万が一に備えることが困難です。


そのため、創業期の会社ほど法人生命保険の活用が必須であり、事業リスクの備えと資産形成が同時にできるので、今のうちから対策をしておくことが重要です。


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