内容をまとめると
- 借入金の勘定科目は「借入金」「支払利息」「短期借入金と長期借入金の違い」にもとづいて仕訳をする。
- 自社の借入金返済能力を測る指標を利用して、金融機関から借りた金額が利子付きで確実に返済できるかを計算してから借入金額を検討するのが一般的。
- 中小企業の借入金額平均は803万円だが、確実に返済できるかは事業フェーズによって異なり、万が一がのために法人保険に加入する必要がある。
- 創業期の事業リスク対策には保険を利用することが必須なので、「丸紅グループが運営するマネーキャリア」のような無料相談サービスを有効活用し、自社のリスクに備える会社も増えている。
この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- 借入金の勘定科目について押さえるべきポイント
- 借入金とは
- 支払利息とは
- 短期借入金と長期借入金とは
- 【法人】借入金の仕訳
- 借入金を借り入れたとき
- 借入金の融資を返済したとき
- 長期借入金の返済期限が1年以内になったとき
- 【個人事業主】個人事業主借入金の仕訳
- 借入金を借り入れたとき
- 借入金の融資を返済したとき
- 借入時に支払った保証金の仕訳方法
- 自社の借入金返済能力を測る指標
- 借入金依存度
- 借入金月商倍率
- 開業時の借入金はいくらが最適か確認する方法
- 開業規模に合わせてベストなリスクヘッジの提案が可能:マネーキャリア(丸紅グループ)
- 法人保険の活用事例集
- 法人・個人事業主別の借入金勘定科目の仕訳まとめ
借入金の勘定科目について押さえるべきポイント
以下では、借入金の勘定科目について押さえるべきポイントを解説します。
2021年度には開業時における金融機関などからの借入金額の平均が803万円でした。このように、多くの企業が借入金を利用した資金繰りをしているため、借入金勘定科目の基本知識を押さえる必要があります。
※参考:日本政策金融公庫「2021年度新規開業実態調査」
借入金とは
借入金とは、「金融機関から知人まで、第三者から借りたお金」を指します。
借りた相手が個人・金融機関・取引先でも区別なく、借りたお金は総称して借入金として扱われます。借入金は贈与金と異なり、返済義務が発生します。無利息の場合は元本を、利息有の場合は元本にプラスして利息分も返済します。
借入金が振り込まれたときや、返済時など借入金の資金移動があった場合は、仕訳をして管理しなければなりません。
たとえば、金融機関で事業資金を1,000万円借入し、保証料145,000円、印紙代200円を差し引き9,654,800円が事業用の通帳に振り込まれた場合の仕訳は以下の通りです。
▼借入金の仕訳例
(左右にスクロールできます)
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|
普通預金 | 19,654,800円 | 借入金 | 10,000,000円 | 事業用資金の借り入れ |
前払費用 | 145,000円 | ⁻ | ⁻ | 保証料 |
租税公課 | 200円 | ⁻ | ⁻ | 印紙代 |
借入金は借入期間によって、貸借対照表の書き方が変わります。返済期間が1年以内なら短期借入金、1年を超える場合は長期借入金として扱います。
支払利息とは
支払利息とは、融資などの借入金に対して支払う利息です。
支払利息の金額は「支払利息=借入金額×年利×借入期間÷12ヶ月」の計算式で求められます。
また、勘定科目としての支払利息は、本業以外で生じた負債を指す営業外費用ですが、支払利息を貸借対照表や損益計算書に記載する場合には「支払利息」として記載します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
長期借入金 | 10,000,000円 | 現金 | 10,750,000円 |
支払利息 | 750,000円 | ⁻ | ⁻ |
短期借入金と長期借入金とは
- 短期借入金:流動負債かつ決算の翌日から1年以内に支払期限がくる借入金
- 長期借入金:固定負債かつ決算の翌日から1年を超えて支払期限がくる借入金
【法人】借入金の仕訳
借入金を借り入れたとき
借入時の仕訳は、銀行などの金融機関から借入金が振り込まれてから行います。
借入金が法人の口座に振り込まれるまでには、金融期間などとの契約から実施まで時間がかかりますが、仕訳をするタイミングは法人の口座に振り込まれたあとです。
ここでは、金融機関から短期借入金として10,000円を借り入れ、返済予定が5か月後である場合の仕訳を記載します。
▼借入金を借り入れたとき
(左右にスクロールできます)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
預金 | 10,000円 | 短期借入金 | 10,000円 |
借入金が振り込まれることにより法人に預金が増えるため、借方は預金勘定です。また、貸方は負債の借入金勘定となります。
借入金の融資を返済したとき
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
短期借入金 | 10,000円 | 預金 | 10,500円 |
支払利息 | 500円 | ⁻ | ⁻ |
長期借入金の返済期限が1年以内になったとき
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
長期借入金 | 30,000円 | 短期借入金 | 30,000円 |
【個人事業主】個人事業主借入金の仕訳
借入金を借り入れたとき
個人事業主の借入時には、主に「預金」「租税公課」「支払手数料」などの勘定科目が使用されます。
ここでは、金融機関から100万円を借り入れて、保証料1万円が発生した場合の仕訳を記載します。
▼借入金を借り入れたとき
(左右にスクロールできます)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
普通預金 | 989,800円 | 借入金 | 1,000,000円 |
租税公課 | 200円 | ⁻ | ⁻ |
支払手数料 | 10,000円 | ⁻ | ⁻ |
借入をする際は金額に応じて印紙代(上記では租税公課:200円)がかかるため、その金額と勘定科目も仕訳します。
借入金の融資を返済したとき
金融機関などから借入金を借りる際に、利息支払いを約束した場合、借入金の返済と同時に利息も支払います。
ここでは、借入金の返済期限となり、借入金の元本30,000円と利息1,000円が口座から引き落とされた場合の仕訳を記載します。
▼借入金の融資を返済したとき
(左右にスクロールできます)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
借入金 | 30,000円 | 普通預金 | 31,000円 |
支払利息 | 1,000円 | ⁻ | ⁻ |
借入時に支払った保証金の仕訳方法
金融機関から借り入れをする際、信用保証協会の「保証付き制度融資」を利用して借入をすることもできます。保証付き制度融資の利用時には「信用保証料」が発生し、借入の金額に応じて保証料の支払いが求められます。
ここでは、支払保険料を10,000円支払って借入金を受け取った場合の仕訳を記載します。
▼借入時に支払った保証金の仕訳方法
(左右にスクロールできます)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払手数料 | 10,000円 | 借入金 | 10,000円 |
信用保証料は、借入時に一括で支払うのが一般的です。
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自社の借入金返済能力を測る指標
借入金依存度
借入金依存度は、企業の総資産に対する借入金の割合を示し、企業が借金にどれだけ頼っているかを表します。この依存度は、企業の健全性を測る指標として使われます。
▼借入依存度の計算式
借入依存度=総借入(長期借入金+短期借入金+割引手形残高+社債)÷総資産×100
借入依存度の目安は、業種によって異なりますが、一般的に50%から60%が目安とされています。借入金依存度の割合が高いほど、借金の返済負担が増えて、資金繰りに悪影響が出る可能性が高まります。一方で、利益が増えて自己資本比率が上がると、借入金依存度は低下します。
財務省の「法人企業統計調査」によると、とくに製造業では設備投資などの固定資産が多くなりがちなので、中小企業の借入金依存度が大企業より高い傾向があります。
一方で非製造業の場合も中小企業が大企業より高い傾向にあります。中小企業は金融機関以外からの借入れも多く、2000年代後半に借入金依存度が増加しました。
借入依存度が高い小規模な企業ほど、資金ショートの危険性が高まります。業種や開業時期によっては、先行設備等資金の借入金で借入依存度が高くなる場合もあるため、業種や事業のタイミングによって判断しなければなりません。
借入金月商倍率
借入月商倍率とは、借入金の残高が何ヶ月分の月商に相当するのかを測定する指標です。
▼借入月商倍率の計算式
借入金月商倍率(ヶ月) = 有利子負債 ÷ 1月あたり売上高
たとえば、年間売上が1億2,000万円で借入残高が4,000万円の企業では、平均月売上は1,000万円です。この場合、借入月商倍率は「4」になります。つまり、平均月売上の4か月分に相当する借入残高があることを示しています。
全業種の中央値(目安)は2ヶ月とされ、適正なボリュームは3カ月以内です。6カ月になると再検討をしたほうがいいレベル、6カ月を超えると検討が必須のレベルとなり、新規融資を受けにくくなるといわれています。
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開業時の借入金はいくらが最適か確認する方法
以下では、開業時の借入金はいくらが最適か確認する方法を解説します。
在庫の仕入れや従業員の給与など、開業時に必要な資金の融資額の目安は、創業資金総額から自己資金を引いた金額もしくは月商の3ヶ月分と言われています。『中小企業白書2021』によると、中小企業の月商の中央値は125万円で、開業時に必要な資金の融資額は375万円程度が相場です。
借入金は事業の拡大や赤字のカバーにも利用されますが、確実に返済できるかは会社の事業フェーズによって異なります。特に、開業後の融資段階は、事業フェーズが成長期に入っていくなかでも、さまざまな経営リスクについて考えなければなりません。
経営者の死亡など役員に万が一のことがあった際に、事業継続が困難になるリスクがあるため、リスクヘッジとして保険への加入検討が必要です。しかし、保険によって勘定科目の取り扱いは損金ルールも変わったことで複雑化しているうえ、保険商品の種類も増えているので、以前より法人保険の比較検討が難しくなりました。
そこで、法人保険のプロへ「無料で何度でも相談できる」マネーキャリアの利用が必須です。
丸紅グループが運営するマネーキャリアは、独自のスコアリングで厳選した法人保険のプロのみ在籍しており、「中立の立場で意見を得られることが少なく、そもそも法人向け保険に関する情報がインターネット上にあまりない」と悩む方にも柔軟に対応できます。
開業規模に合わせてベストなリスクヘッジの提案が可能:マネーキャリア(丸紅グループ)
法人保険の活用事例集
法人・個人事業主別の借入金勘定科目の仕訳まとめ
ここまで、借入金の勘定科目について押さえるべきポイント、法人と個人事業主向けの借入金の仕訳、開業時の借入金はいくらが最適か確認する方法まで解説しました。
借入金の勘定科目は「借入金」「支払利息」「短期借入金と長期借入金の違い」にもとづいて仕訳をします。
また、自社の借入金返済能力を測る指標を利用して、金融機関から借りた金額が利子付きで確実に返済できるかを計算してから借入金額を検討するのが一般的です。
中小企業の借入金額平均は803万円ですが、確実に返済できるかは事業フェーズによって異なり、経営者に万が一があったときのために、リスクヘッジとして法人保険に加入する必要があります。
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