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2021年には開業時における借入金額の平均が803万円(日本政策金融公庫総合研究所調べ)であったことから、今日では多くの企業が借入金を利用した資金繰りを採用しています。

一方、実際に事業資金を金融機関から借り入れても、自社の借入金返済能力が満足か不安に思う方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、借入金勘定科目の仕訳を法人・個人事業主別に解説します。

・自社が借入金勘定科目の仕訳に着手する段階の開業フェーズに到達している
・自社が借入金を確実に返済できるか確認したい

方は本記事を参考にすると、借入金勘定科目の仕訳の方法がわかるうえ、事業開始後の自社のリスク対策ができる方法もわかります。

内容をまとめると

  • 借入金の勘定科目は「借入金」「支払利息」「短期借入金と長期借入金の違い」にもとづいて仕訳をする。
  • 自社の借入金返済能力を測る指標を利用して、金融機関から借りた金額が利子付きで確実に返済できるかを計算してから借入金額を検討するのが一般的。
  • 中小企業の借入金額平均は803万円だが、確実に返済できるかは事業フェーズによって異なり、万が一がのために法人保険に加入する必要がある。
  • 創業期の事業リスク対策には保険を利用することが必須なので、マネーキャリアのような無料相談窓口サービスを有効活用し、自社のリスクに備える会社も増えている。

この記事の監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

借入金の勘定科目について押さえるべきポイント


以下では、借入金の勘定科目について押さえるべきポイントを解説します。


2021年度には開業時における金融機関などからの借入金額の平均が803万円でした。このように、多くの企業が借入金を利用した資金繰りをしているため、借入金勘定科目の基本知識を押さえる必要があります。


※参考:日本政策金融公庫「2021年度新規開業実態調査

借入金とは

借入金とは、「金融機関から知人まで、第三者から借りたお金」を指します。


借りた相手が個人・金融機関・取引先でも区別なく、借りたお金は総称して借入金として扱われます。借入金は贈与金と異なり、返済義務が発生します。無利息の場合は元本を、利息有の場合は元本にプラスして利息分も返済します。


借入金が振り込まれたときや、返済時など借入金の資金移動があった場合は、仕訳をして管理しなければなりません。


たとえば、金融機関で事業資金を1,000万円借入し、保証料145,000円、印紙代200円を差し引き9,654,800円が事業用の通帳に振り込まれた場合の仕訳は以下の通りです。


▼借入金の仕訳例

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借方勘定科目借方金額貸方勘定科目 貸方金額摘要 
普通預金19,654,800円借入金10,000,000円事業用資金の借り入れ 
前払費用145,000円保証料
租税公課200円印紙代


借入金は借入期間によって、貸借対照表の書き方が変わります。返済期間が1年以内なら短期借入金、1年を超える場合は長期借入金として扱います。

支払利息とは

支払利息とは、融資などの借入金に対して支払う利息です。


支払利息の金額は「支払利息=借入金額×年利×借入期間÷12ヶ月」の計算式で求められます。


また、勘定科目としての支払利息は、本業以外で生じた負債を指す営業外費用ですが、支払利息を貸借対照表や損益計算書に記載する場合には「支払利息」として記載します。 

営業外費用の表示方法
 
たとえば、1000万円の事業資金を年2.5%の金利で調達し、3年間の借入期間で返済する場合、支払利息(1000万円×2.5%×36ヶ月÷12ヶ月=750,000円)の仕訳は以下の通りです。

▼支払利息の仕訳例
(左右にスクロールできます)
借方金額貸方金額
長期借入金10,000,000円現金10,750,000円
支払利息750,000円

支払利息として扱える費用には「融資を受けるときの信用保証料」「税金の延納が認められたときの利子税」「手形を更改したときの利息」「ファクタリングを利用したときの手数料」などがあります。

短期借入金と長期借入金とは

借入金には短期借入金と長期借入金の2つがあります。短期借入金と長期借入金の違いは、返済期限の違いです。

  • 短期借入金:流動負債かつ決算の翌日から1年以内に支払期限がくる借入金
  • 長期借入金:固定負債かつ決算の翌日から1年を超えて支払期限がくる借入金

短期借入金とは、決算日の翌日から起算して1年以内に返済を予定している借入金です。長期借入金は、返済期日が1年を超える借入金です。

短期借入金は銀行や信用金庫などの金融機関から借りるケースが多く、売掛金を回収できる範囲であれば、会社が赤字だとしても融資を受けられる可能性が高くなります。一方で長期借入金は担保の提供や事業計画を求められることが多く、審査のハードルが高いのが特徴です。

また、企業の資産・負債・純資産の状態を表した書類である「貸借対照表」では、借入金は将来支払う必要のある債務である「負債」として扱われます。そのなかでも短期借入金は「流動負債」、長期借入金は「固定負債」として分類します。

【法人】借入金の仕訳


以下では、法人向けの借入金の仕訳を解説します。借入金の仕訳方法は「借入時」「返済時」「返済期限が1年以内になったとき」でわけられます。

借入金を借り入れたとき

借入時の仕訳は、銀行などの金融機関から借入金が振り込まれてから行います。


借入金が法人の口座に振り込まれるまでには、金融期間などとの契約から実施まで時間がかかりますが、仕訳をするタイミングは法人の口座に振り込まれたあとです。


ここでは、金融機関から短期借入金として10,000円を借り入れ、返済予定が5か月後である場合の仕訳を記載します。


▼借入金を借り入れたとき

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借方金額貸方金額
預金10,000円短期借入金10,000円 


借入金が振り込まれることにより法人に預金が増えるため、借方は預金勘定です。また、貸方は負債の借入金勘定となります。


借入金の融資を返済したとき

金融機関などから借入金を借りる際に、利息支払いを約束した場合、借入金の返済と同時に利息も支払います。

ここでは、借入金の返済期限となり、借入金の元本10,000円と利息500円が口座から引き落とされた場合の仕訳を記載します。

▼借入金の融資を返済したとき
(左右にスクロールできます)
借方金額貸方金額
短期借入金10,000円預金10,500円 
支払利息500円

借方は負債である借入金の減少と、費用である支払利息が発生します。貸方は預金が減少します。また、借入金の利息は消費税の課税対象になじまないため非課税です。

長期借入金の返済期限が1年以内になったとき

1年以内に返済する借入金は「短期借入金」、1年以上返済期間がある場合は「長期借入金」ですが、決済時に長期借入金の返済期間が1年以内になった場合、短期借入金に振り替えます。

ここでは、長期借入金30,000円の返済期限が1年以内になったため、短期借入金に振り替えた場合の仕訳を記載します。

▼長期借入金の返済期限が1年以内になったとき
(左右にスクロールできます)
借方金額貸方金額
長期借入金30,000円短期借入金30,000円 

借方は長期借入金の減少します。貸方は振り替え先の短期借入金の勘定科目がはいります。

【個人事業主】個人事業主借入金の仕訳


以下では、個人事業主向けの借入金の仕訳を解説します。借入金の仕訳方法は「借入時」「返済時」でわけられます。

借入金を借り入れたとき

個人事業主の借入時には、主に「預金」「租税公課」「支払手数料」などの勘定科目が使用されます。


ここでは、金融機関から100万円を借り入れて、保証料1万円が発生した場合の仕訳を記載します。


▼借入金を借り入れたとき

(左右にスクロールできます)

借方金額貸方金額
普通預金989,800円借入金1,000,000円
租税公課200円
支払手数料10,000円


借入をする際は金額に応じて印紙代(上記では租税公課:200円)がかかるため、その金額と勘定科目も仕訳します。


借入金の融資を返済したとき

金融機関などから借入金を借りる際に、利息支払いを約束した場合、借入金の返済と同時に利息も支払います。


ここでは、借入金の返済期限となり、借入金の元本30,000円と利息1,000円が口座から引き落とされた場合の仕訳を記載します。


▼借入金の融資を返済したとき

(左右にスクロールできます)

借方金額貸方金額
借入金30,000円普通預金31,000円
支払利息1,000円

借方は負債である借入金の減少と、費用である支払利息が発生します。貸方は預金が減少します。また、借入金の利息は消費税の課税対象になじまないため非課税です。

借入時に支払った保証金の仕訳方法

金融機関から借り入れをする際、信用保証協会の「保証付き制度融資」を利用して借入をすることもできます。保証付き制度融資の利用時には「信用保証料」が発生し、借入の金額に応じて保証料の支払いが求められます。


ここでは、支払保険料を10,000円支払って借入金を受け取った場合の仕訳を記載します。


▼借入時に支払った保証金の仕訳方法

(左右にスクロールできます)

借方金額貸方金額
支払手数料10,000円借入金10,000円


信用保証料は、借入時に一括で支払うのが一般的です。


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自社の借入金返済能力を測る指標


以下では、自社の借入金返済能力を測る指標を解説します。借入金依存度と借入金月商倍率は、自社が金融機関に借入金額を決めるときの重要な指数になります。

借入金依存度

借入金依存度は、企業の総資産に対する借入金の割合を示し、企業が借金にどれだけ頼っているかを表します。この依存度は、企業の健全性を測る指標として使われます。


▼借入依存度の計算式

借入依存度=総借入(長期借入金+短期借入金+割引手形残高+社債)÷総資産×100

借入依存度の目安は、業種によって異なりますが、一般的に50%から60%が目安とされています。借入金依存度の割合が高いほど、借金の返済負担が増えて、資金繰りに悪影響が出る可能性が高まります。一方で、利益が増えて自己資本比率が上がると、借入金依存度は低下します。


財務省の「法人企業統計調査」によると、とくに製造業では設備投資などの固定資産が多くなりがちなので、中小企業の借入金依存度が大企業より高い傾向があります。


一方で非製造業の場合も中小企業が大企業より高い傾向にあります。中小企業は金融機関以外からの借入れも多く、2000年代後半に借入金依存度が増加しました。


借入依存度が高い小規模な企業ほど、資金ショートの危険性が高まります。業種や開業時期によっては、先行設備等資金の借入金で借入依存度が高くなる場合もあるため、業種や事業のタイミングによって判断しなければなりません。

借入金月商倍率

借入月商倍率とは、借入金の残高が何ヶ月分の月商に相当するのかを測定する指標です。


▼借入月商倍率の計算式

借入金月商倍率(ヶ月) = 有利子負債 ÷ 1月あたり売上高

たとえば、年間売上が1億2,000万円で借入残高が4,000万円の企業では、平均月売上は1,000万円です。この場合、借入月商倍率は「4」になります。つまり、平均月売上の4か月分に相当する借入残高があることを示しています。


全業種の中央値(目安)は2ヶ月とされ、適正なボリュームは3カ月以内です。6カ月になると再検討をしたほうがいいレベル、6カ月を超えると検討が必須のレベルとなり、新規融資を受けにくくなるといわれています。


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開業時の借入金はいくらが最適か確認する方法


以下では、開業時の借入金はいくらが最適か確認する方法を解説します。


在庫の仕入れや従業員の給与など、開業時に必要な資金の融資額の目安は、創業資金総額から自己資金を引いた金額もしくは月商の3ヶ月分と言われています。『中小企業白書2021』によると、中小企業の月商の中央値は125万円で、開業時に必要な資金の融資額は375万円程度が相場です。


借入金は事業の拡大や赤字のカバーにも利用されますが、確実に返済できるかは会社の事業フェーズによって異なります。特に、開業後の融資段階は、事業フェーズが成長期に入っていくなかでも、さまざまな経営リスクについて考えなければなりません。


経営者の死亡など役員に万が一のことがあった際に、事業継続が困難になるリスクがあるため、リスクヘッジとして保険への加入検討が必要です。しかし、保険によって勘定科目の取り扱いは損金ルールも変わったことで複雑化しているうえ、保険商品の種類も増えているので、以前より法人保険の比較検討が難しくなりました。


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法人・個人事業主別の借入金勘定科目の仕訳まとめ


ここまで、借入金の勘定科目について押さえるべきポイント、法人と個人事業主向けの借入金の仕訳、開業時の借入金はいくらが最適か確認する方法まで解説しました。


借入金の勘定科目は「借入金」「支払利息」「短期借入金と長期借入金の違い」にもとづいて仕訳をします。


また、自社の借入金返済能力を測る指標を利用して、金融機関から借りた金額が利子付きで確実に返済できるかを計算してから借入金額を検討するのが一般的です。


中小企業の借入金額平均は803万円ですが、確実に返済できるかは事業フェーズによって異なり、経営者に万が一があったときのために、リスクヘッジとして法人保険に加入する必要があります。


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