役員退職金の損金算入時期と不算入の回避方法を解説のサムネイル画像

役員退職金は1,000万円から4,000万円が相場と言われているなか、損金算入時期によっては損金計上が認められないケースもあります。


「損金算入の時期によっては一時課税繰り延べができるのか」と知りたい方や、自社のニーズに合わせて課税額や決算対策のために損金算入時期をコントロールしたいがどう対処すべきか悩む方も多いのではないでしょうか。


そこで今回は、「役員退職金の損金算入時期」を中心に、役員退職金の損金算入方法も含めて解説します。


・役員退職金の損金算入時期はいつか知りたい

・自社の財政状況によっては役員退職金の支払い時期をずらすケースを考えている


方は本記事を参考にすると、役員退職金の損金算入時期がわかるほか、損金不算入を回避するコツがわかります。

内容をまとめると

  • 役員退職金の損金算入時期は「株主総会決議が行われた日」か「退職金が支払われた日」の属する事業年度になる。
  • 役員退職金は役員退職金規程で定められた日数のうちに支払う必要がある。
  • 分割払いの場合3年を超えると、損金算入ができなくなる場合があるので注意する必要がある。
  • 役員退職金の準備計画には、マネーキャリアのような何度でもプロに相談できる無料サービスを使う企業が増えている。
この記事の監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

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役員退職金の損金算入時期はいつ?


以下では、役員退職金の損金算入時期を解説します。


損金算入時期を逃すと、本来損金計上できた費用が損金として認められなくなるケースがあるので、法人税法によって定められた期限に経理処理をするのが鉄則です。

株主総会決議が行われた日が属する事業年度

役員退職金は株主総会決議が行われた日の事業年度に損金算入できます。

なかでも、法人税法第34条によれば、法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます。

また、法人税基本通達 9-2-28によると、その退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。

ただし、「退職金の額が具体的に確定する事業年度」より前の事業年度において、取締役会で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合であっても、未払金に計上した時点での損金の額に算入できません。

役員退職金が支払われた日が属する事業年度

役員退職金は役員退職金が支払われた日の事業年度に損金算入できます。

法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金経理をした場合は、その支払った事業年度において損金算入が認められます。 

 ただし、法人が退職年金制度を実施している場合に支給する退職年金は、その年金を支給すべき事業年度が損金算入時期となります。

したがって、退職した時に年金の総額を計算して未払金に計上しても損金算入できません。

※参考:「役員の退職金の損金算入時期」国税庁
※参考:法人税基本通達 9-2-28「役員に対する退職給与の損金算入の時期」国税庁

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役員退職金はいつまでに支払う必要がある?


ここでは、いつまでに役員退職金を支払う必要があるか解説します。


昭和26年12月27日の判例によれば、役員退職金の支払い日は役員退職金規程に定められた日数以内に支払えば問題はないとされます。


したがって、会社の主要な決定に携わる経営陣とその株主は、自社の財政状況を考慮して、役員退職金の支払期限を役員退職金規程にて定められます。


一方で、役員退職金の支払い時期は以下のとおりで異なるのです。

退職前に支払う

役員退職金規程に定められた支払期限の範囲内であれば、役員退職金を退職前に支払えます。


役員退職金の支給額決定は、定款や株主総会の決議を経る必要があり、役員の退職前に役員退職金規程を施行した場合、施行後から支払いが可能です。


注意点として、役員退職金規程の施行は、規程に定められた支払期日の範囲内でのみ支払いが可能という点のみに対して有効です。


その一方で、税金の計算上では「株主総会決議が行われた日」もしくは「役員退職金が支払われた日」の段階で費用として処理されます。

退職後3年以内に支払う

役員退職金規程に定められた支払期限の範囲内であれば、退職後3年以内に支払えます。

役員の退職後3年以内に支払う際の支払い方法は、「一括払い」もしくは「分割払い」が一般的です。原則は一括支給とされていますが、以下のような事情であれば、おおよそ3年以内での分割払いも認められています。
  • 分割払いについて株主総会などで決議されていること
  • 分割に合理的な根拠があること
  • 分割が長期にわたるものではないこと
ただし、分割支給をする理由が特段無く、利益調整目的などの意図があり税金額に影響を及ぼす場合は、損金算入が認められなくなる可能性があるので注意が必要です。

退職後3年後に支払う(3年間未払いの場合)

役員退職金規程に定められた支払期限の範囲内であれば、退職後3年後に支払えます。

しかし、役員退職金のなかでも役員死亡退職金を受け取る場合、死亡から3年以内の場合は受取者の税目は相続税となり、死亡から3年以後の場合は税目が所得税となるのです。

相続税よりも所得税のほうが節税できるとして受け取り時期を遅らせると、税務調査で指摘される可能性があります。

「会社の業績悪化のために役員退職金が支払えない」などの合理的な理由がなく、役員退職金の支払い時期を遅らせると、損金算入が認められない場合があるため注意が必要です。

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役員退職金に対する源泉所得税はいつまでに支払う必要がある?


役員退職金を支払うときには、所得税および復興特別所得税を源泉徴収して、原則として、翌月の10日までに納めなければなりません。


役員退職金には「退職手当」「退職功労金」など、退職に基因して支払われるすべての給与が含まれます。


しかし、死亡退職により支払う退職手当等で相続税の課税の対象となるものは、所得税の課税の対象とならないため、所得税および復興特別所得税の源泉徴収は必要ありません。


退職手当等に対する源泉徴収税額の計算のしかたは、退職する人から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と受けていない場合とで異なります。


参考:「退職手当等に対する源泉徴収」国税庁


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役員退職金の支払い方法と損金算入の可否


以下では、役員退職金の支払い方法と損金算入の可否について解説します。


支払い方法によって損金算入の可否やその条件が異なるため、自社が役員退職金規程に定めた支払い方法を実行するとき、同時に損金算入方法にも当てはまっているかの確認が必要です。

一括払い

役員退職金を一括払いする場合、適切な方法で支給をしていれば「株主総会決議が行われた日」もしくは「役員退職金が支払われた日」のいずれかの事業年度に損金算入できます。

一括払いであっても、以下の場合は損金不算入になる可能性があるので注意が必要です。
  • 役員退職金が不当に高額である
  • 分掌変更にて役員を退位するなど会社法上退職したものの、実際は経営の重要な決定に携わる業務に従事しているなどして税務上退職していない
上記は役員退職金支払い後の税務調査にて発覚するケースが多いです。

損金不算入とならないように、役員退職金の適正水準に従い、役員の退職後は業務に携わっていない証拠を残すのが重要です。

分割払い

役員退職金を分割払いする場合、「支給総額の確定時点で税金計算上の費用とする方法」もしくは「分割して支払う度に税金計算上の費用とする方法」で損金算入できます。


分割払いであっても、以下の場合は損金不算入になる可能性があるので注意が必要です。

  • 役員退職金規程を決定する株主総会で分割払いについて決議されていない
  • 「利益調整をするため分割する」など、分割支払いに合理的な理由がない
  • 分割支払いが3年を超えるなどあまりにも長期である
分割支払いは一般的に資金繰りの都合などで一括払いができない場合に利用されます。

分割支払いの背景として、「一時課税繰り延べなどの節税目的」や「利益調整目的」は合理的な理由として認められないため注意が必要です。

年金払い

役員退職金を年金払いする場合、「法人側は年金を支払う度」に損金算入できます。

法人が退職年金制度を実施している場合に支給する退職年金は、その年金を支給すべき事業年度が損金算入時期となります。

したがって、退職した時に年金の総額を計算して未払金に計上しても、損金算入ができません。 また、役員退職金の受給者側は、年金の受給に応じて所得税の計算をする必要があります。

現物支給

退職金は金銭での支給が原則ですが、受給者との合意があれば金銭以外(株式・不動産・保険の権利など)の現物支給も可能です。

その際は金銭以外の財産を時価で評価して、税務・会計上の処理をする必要があります。役員退職金を支給する際は、原則として現物支給をする旨の決議をした株主総会議事録が必要です。

もし現物支給をする旨の記載がない場合、お金に代えて支給「代物弁済」することとなり、消費税の課税対象になります。

また、代物弁済をする場合、不動産や自動車の適正な評価額は、帳簿に記載された減価償却後の金額ではなく、実際の市場で取引されている「評価額」です。

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【事例あり】役員退職金が損金不算入とならないために


以下では、判例などの事例を交えて、役員退職金が損金不算入とならないためのポイントを解説します。


1,000万円から4,000万円が相場と言われる役員退職金支給を損金算入できなければ、多額の支給に加えて法人税が加算されます。金額が大きい支出だからこそ、損金算入対策をする必要があるのです。


退職金規程を株主総会の決議で準備しておく

役員退職金が損金不算入とならないために、退職金規程を株主総会の決議で準備しておくことが重要です。


役員退職金規程を作成しないまま、退職する役員が役員退職金を受け取ると、役員退職金支給は無効となり、返済義務が生じます。


実際に、裁判所の平成21年12月18日の判例では、退職する役員に役員退職金を支給する旨の株式総会の決議などがない場合は、退職する役位に役員退職金請求権が発生していないとして、支給を受けると不当利益となり、会社は不当利得返還請求が生じました。


以上にもあるように、社内で規程などにより退職慰労金支給基準を定めていたとしても、定款や株主総会の決議がない以上は、役員が退職時に役員退職金の受け取りができません。

功績倍率などの計算式を用いて役員退職金を適正水準で支給する

役員退職金が損金不算入とならないために、功績倍率などの計算式を用いて役員退職金を適正水準で支給することが重要です。


役員退職慰労金の算出は、「最終報酬月額」「役員在任年数」「役位別係数(功績倍率)」から、功績倍率方法で計算する方法が一般的です。 

最終報酬月額×役員在任年数×役位別係数(功績倍率)=適正退職金額

最終報酬月額は、死亡退職の場合、死亡直前に支給された報酬です。また、役員在任年数は、個人事業主期間はカウントされず、法人設立以降の取締役位以上の在任期間のみ換算します。 


役位別係数(功績倍率)は、東京地裁昭和55年5月26日判決(訴務月報26巻8号1452頁)おいて、国が示した「社長3.0、専務2.4、常務2.2、平取締役1.8、監査役1.6」を基準に決めることもあります。

法人生命保険などを活用して確実に役員退職金を用意する

法人生命保険を活用すると、退職金を積み立てながら万が一の事業リスクを対策できます。 


1,000万円から4,000万円が相場と言われる役員退職金の準備を法人の預金から用意するのは簡単ではありません。法人生命保険は毎月保険金を積み立てつつ、役員の退職時に保険を解約して、その解約返戻金を高額な役員退職金支給に充てられます


たとえば、毎月の営業利益から数十万円を差し引き、毎月支払い保険料として少額を積み立てておくことで、解約返戻金を受け取ったときは雑収入が発生し、退職金を支払ったとしても赤字が発生しない仕組みを作れます。


このように、退職金を積み立てながら赤字や資金繰りの悪化などの事業リスクに備えられるのが法人生命保険の特徴です。


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役員退職金の損金算入要件に必要な準備が無料で簡単にわかる方法


以下では、「役員退職金の損金算入要件に必要な準備」が無料で簡単にわかる方法を紹介します。


損金算入時期を逃すと、本来損金計上できた費用が損金として認められないケースがあるので、法人税法によって定められた期限に経理処理をするのが鉄則です。


役員退職金の損金算入要件に明確な基準はなく、過去の判例をもとに税務調査にて算入可否が決定されるのも多いのが現状です。


しかし、今日の多くの企業では、そもそも多額の役員退職金の準備に苦しんでいる経営者も多く、そのために「法人保険」を使って損金算入と退職金準備対策を同時進行する企業も多いのです。


そこで、今後の事業リスクに備える方法として、法人保険のプロに「無料で何度でも」相談できるマネーキャリアの利用一択です。


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役員退職金の損金算入時期と不算入の回避方法まとめ

ここまで、役員退職金の損金算入時期と不算入の回避方法、必要な準備が無料で簡単にわかる方法までを紹介しました。


役員退職金の損金算入時期は「株主総会決議が行われた日」と「役員退職金が支払われた日」から選べます。


損金算入するためには、役員退職金規程に定められた期間内で支払う必要がありました。ただし、役員退職金規程がない場合や、役員退職金額が不当に高額であると損金算入が認められません。


また、損金算入の準備ができても万が一の経営悪化により、役員退職金が支払えなくなるリスクもあるため、今日では多くの企業が法人生命保険を活用して退職金を積み立てています。


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