シングルマザーで子ども3人の生活費は？必要な金額と支援制度を解説

シングルマザーの必要な収入や生活費は子どもの人数や年齢によって大きく変わります。

子どもが多いほど食費や教育費、住居費などの支出が増えるため、生活費も多いです。

ここでは、シングルマザーの平均的な収入と、子ども3人を育てる場合の生活費の目安について解説します。

全国ひとり親世帯を対象に、厚生労働省が行った調査によると、シングルマザーの平均年収は272万円です。 

272万円のうち働いて得る収入が236万円で、残りの36万円は児童手当や養育費などの支援金です。

月に換算すると手取りで月16万円程度です。

子どもを3人育てるシングルマザーは、仕事と子育てを両立しながら、食費を節約したり、安いスーパーを利用したりしても、急な医療費や学校行事の費用で家計が苦しくなることも少なくありません。

また、正社員で働く人の平均年収は344万円と比較的安定していますが、非正規雇用の場合は150万円程度です。

多くのシングルマザーが経済的な不安を抱えている現状があります。

参照:令和3年度全国ひとり親世帯等調査  

シングルマザーの平均的な毎月の生活費は、およそ25万円が目安とされています。

しかし子どもが3人いる場合、毎月25万円以内に収めるのは簡単ではありません。

子どもが多いと、広めの住まいが必要になるため住居費が高くなりがちです。

また、食費や日用品も子どもの人数分だけ多くかかります。

さらに、子どもたちが成長するにつれて、学用品や塾代など教育費も増えていきます。

特に学校行事や習い事の費用が重なる月は、家計が厳しくなる可能性が高いです。

住んでいる地域によって家賃や生活費の差はありますが、子どもが3人いるシングルマザーは、こうした出費をしっかり把握し、計画的に家計を管理することがとても大切です。

母子家庭で子ども3人の場合の生活費の内訳をシュミレーションは以下のとおりです。

参照:2019年全国家計構造調査 家計収支に関する結果｜総務省統計局 

 参照:2022年度 家計調査 世帯類型別｜総務省統計局

子ども1人の場合の支出をもとに、増加率を目安として子ども3人の母子家庭の生活費のシュミレーションすると、月に約34万円かかると推定されます。

食費と日用品の合計は、子ども1人の場合で約7万3,300円ですが、子ども3人になると約2.5倍に増え、約17万8,000円ほどかかります。

住居費は、狭い部屋では子どもたちの成長にともなう勉強スペースや収納が足りず、3人が快適に過ごせる広さの家を借りる必要があります。

教育費も3倍程度に増え、複数の子どもの塾代や教材費、学校行事の費用が重なると、月々の出費が大きくなります。

一方で、上記の生活費のなかには、以下の費用は含まれていません。

• 突発的な医療費
• 冠婚葬祭関連の支出
• 貯蓄

子どもが成長するにつれて必要な生活費は変化します。

ここでは、以下の4段階にわけて、子ども3人の家庭でかかる費用の特徴を解説します。

• 幼稚園・保育園のとき
• 小学生のとき
• 中学生や高校生のとき
• 専門学生や大学生のとき

幼稚園や保育園に通う子どもがいる場合、保育料が必要です。

保育料は世帯の所得に応じて市区町村ごとに異なり、無料のところもあれば数万円かかる場合もあります。

一般的に、所得が低い家庭ほど保育料は安く設定されており、さらに2人目以降の子どもは半額または無料になる自治体が多く、3人子どもがいるシングルマザーは負担が軽減されるケースが多いです。

一方で、3歳以上の子どもは保育料無償化の対象となるため、保育料の負担はほとんどなくなります。

給食費や教材費、行事費用などの実費のみ負担の場合が多いです。 

幼児期は病気にかかりやすく、親が仕事を休まなければならないことも多いため、医療費や仕事を休んだことによる収入減も考慮しておく必要があります。

小学生になると、ランドセルや教材、給食費などの学校関連費用が必要です。

習い事や塾に通い始める子どもも多く、幼児期と比べると教育費の割合が増加します。

友達との交流が活発になるため、ゲーム機やお小遣いなどの予期せぬ出費も増える傾向にあります。

3人の子どもが習い事をすると、月々の支出は一気に増加します。

小学生の子供がいる家庭の家計管理では、これらの教育関連費用を見越して計画的に予算を組みましょう。

中学生になるとスマートフォンの購入や通信費が増え、高校生になると授業料や定期代、制服代などの費用が一気に増加します。

部活動に参加する場合は部費や遠征費も必要です。

3人の子どもがそれぞれ異なる学校や活動をしていると、出費が重なる月もあるため、家計の負担が大きくなりやすいです。

教育費の負担軽減のために、高等学校等就学支援金などの公的支援制度の活用も検討しましょう。

大学や専門学校に進学すると、入学金や授業料などの学費が大きな負担となります。

さらに、一人暮らしを始める場合は家賃や生活費も加わります。

3人の子どもがいると、教育費は数百万円単位で膨らむため、奨学金や給付型支援制度の利用も検討しましょう。

2025年度からは子ども3人以上の多子世帯に対する大学等の学費無償化制度も拡充されるため、ぜひ条件を確認して活用しましょう。

3人の子供を育てるシングルマザーの方は教育費の準備は早めに計画的に行いましょう。

子ども3人を育てるシングルマザーにとって、公的支援や制度の活用は家計の安定に不可欠です。

子ども3人を育てるシングルマザーが活用すべき、以下のの10制度を紹介します。

• 児童手当
• 児童扶養手当
• ひとり親家庭の住宅手当
• ひとり親家族等医療費助成制度
• 小中学生が対象の就学援助
• 高校生が対象の高等学校等就学支援金
• 大学生が対象の高等教育の修学支援新制度
• 税金や年金の軽減・控除
• 遺族年金
• 母子寡婦福祉資金貸与

児童手当は、0歳から高校卒業までの子どもを育てる家庭に支給される手当です。

2025年からは所得制限が撤廃され、より多くの家庭が対象となりました。

参照：児童手当制度のご案内｜こども家庭庁

第1・2子は月額1万円、第3子以降は月額3万円が支給されるため、3人の子供を育てるシングルマザーによっては負担軽減に役立ちます。

支給は年6回で、申請は住んでいる市区町村で行いましょう。

児童扶養手当は、離婚や死別などでひとり親となった家庭を支援する国の制度で、子どもが18歳に達した年度の3月31日まで受給できます。

参照:児童扶養手当について｜こども家庭庁

2024年11月の改正により、所得制限の上限が引き上げられ、より多くのひとり親家庭が支援を受けやすくなりました。

2025年4月以降の支給額は、子ども1人目が月額最大4万6,690円、2人目以降は1万1,030円が加算されます。

改正により第3子以降の加算額が第2子と同額に引き上げられ、3人の子どもを育てるシングルマザーにとってはメリットが大きいです。

所得が一定以上の場合は支給額が段階的に減額され、一部支給や支給停止となることもあります。

申請はお住まいの市区町村で行い、毎年の更新手続きが必要です。

ひとり親家庭の住宅手当は、低所得のひとり親世帯が支払う家賃の一部を補助する制度です。

対象は、20歳未満の子どもを養育し、自ら居住する賃貸住宅の家賃を支払っているひとり親家庭で、所得制限や家賃の上限が設けられています。

自治体によって支給条件や金額は異なりますが、月額1万円から1万5,000円程度の補助が一般的です。

申請はお住まいの自治体で行い、所得制限や家賃の上限が設定されています。

申請には以下の書類が必要で、自治体の担当窓口で手続きを行います。

• 賃貸契約書
• 所得証明
• 戸籍謄本

支給を受けるためには毎年の現況届の提出が求められ、変更があった場合は速やかに届け出る必要があります。

ひとり親家族等医療費助成制度は、ひとり親家庭の親子が病院や診療所で受ける健康保険適用の医療費の自己負担分を軽減するための制度です。

対象は、18歳未満の子どもと、その親本人です。

ただし、所得制限があり、一定の収入以下の世帯が対象となります。 

利用するには、お住まいの自治体の窓口で申請手続きを行い、医療費受給者証を受け取る必要があります。

対象となる医療費は、診察費、薬代、検査費用など保険適用範囲内のものです。

自治体によって助成内容や申請方法に違いがあるため、詳しくはお住まいの市区町村の福祉担当窓口で確認しましょう。

就学援助制度は、経済的に困難な家庭の小中学生が安心して学校生活を送れるよう、学用品費や給食費、修学旅行費などの負担を軽減するための公的支援です。

対象は、自治体が定める所得制限を満たす家庭で、申請は学校を通じて行います。

認定されると、学校生活に必要な以下の費用の一部または全部が補助されます。

• 学用品や制服
• 給食費
• 修学旅行費
• 遠足やクラブ活動の費用

高等学校等就学支援金は、所得制限を満たす家庭の高校生の授業料を支援する国の制度です。

2025年度からは公立高校の所得制限が撤廃され、すべての公立高校生が無料化の対象になりました。

私立高校の場合は、所得に応じて支給額が変動します。

世帯年収が約590万円未満の家庭では年間最大約39万6,000円まで支給され、約590万円以上910万円未満の世帯には年間約11万8,800円が支給されます。

2026年度からは私立高校の所得制限も撤廃され、支給上限額が引き上げられる予定です。

申請は学校を通じて行い、オンライン申請も可能です。

支援金は保護者に支給されるのではなく、学校に直接支払われます。

2025年度から始まる高等教育の修学支援新制度は、子どもを3人以上扶養する世帯の大学生や専門学校生が対象です。

所得制限なしで授業料と入学金の一定額までが無償化されます。

2025年4月以降に入学する学生だけでなく、2025年4月時点で在学中の学生も含まれます。

しかし、支援を受けるためには同時に扶養している子どもが3人以上であることが条件です。

つまり、たとえ子どもが3人いても、第1子が就職などで扶養から外れて扶養する子どもが2人になれば、多子世帯としての支援対象から外れてしまいます。

国公立大学の授業料減免上限は年間約53万円、私立大学は約70万円、入学金もそれぞれ上限が設定されています。

実際の学費が上限を超える場合は自己負担が発生する場合もあります。 

申請は申請期間内に日本学生支援機構で手続きしましょう。

シングルマザーは、所得税や住民税の控除が受けられます。

特にひとり親控除は所得税で35万円、住民税で30万円の控除が適用されます。

ひとり親控除は、婚姻関係がなく、生計を一にする子どもがいる方が対象で、所得の上限は500万円程度です。

控除を受けることで、税負担が大幅に軽減され、手取り収入が増えるため、家計の助けに

なります。 

控除の申請は、会社員であれば年末調整の際に給与所得者の扶養控除等（異動）申告書のひとり親欄にチェックを入れると手続きが完了です。

自営業やフリーランスの方は確定申告で申請します。

申請漏れがあると控除が受けられないため、忘れずに手続きを行いましょう。

また、国民年金保険料の免除や軽減制度も利用可能です。

例えば、前年の所得が135万円以下のひとり親は国民年金保険料の全額免除の対象となり、収入が少なく生活が苦しいときは保険料の負担を抑えられます。

ただし、免除期間は将来の年金受給額に影響します。

将来の年金受給額を減らしたくない方は、資金に余裕ができたときに免除分の納付も可能です。

遺族年金は、配偶者が亡くなった際に残された遺族の生活を支えるための公的年金制度です。

以下の2種類があります。

遺族基礎年金は、子どもがいる配偶者や子どもに支給され、主に国民年金の被保険者が対象です。

一方、遺族厚生年金は、被保険者期間中に死亡した方や障害厚生年金受給者が亡くなった場合に、その遺族に支給されます。

遺族年金は、遺族が亡くなった方と生計をともにしていたことが前提であり、配偶者や子ども、場合によっては55歳以上の親族も対象となります。

申請は年金事務所で行い、必要書類の提出後、審査を経て支給が決定します。

受給開始からは原則として偶数月の15日に指定口座へ振り込まれます。 

母子寡婦福祉資金貸付金制度は、20歳未満の児童を扶養している配偶者のない母親や父親、または寡婦が対象の制度です。

以下の12種類の資金に対して、無利子または低利子で最大150万円まで借入可能です。

• 生活資金
• 修学資金
• 就職支度資金
• 住宅資金
• 医療介護資金
• 事業開始資金
• 事業継続資金
• 生活資金（特別）
• 修学資金（特別）
• 就職支度資金（特別）
• 住宅資金（特別
• 医療介護資金（特別）
  
  ※特別資金は、災害や新型コロナウイルス感染症など特別な事情がある場合に利用できる資金

借り入れには原則として連帯保証人が必要です。

ただし、連帯保証人を立てられない場合でも申請は可能で、年利1％の低利子での借り入れできます。

申請はお住まいの自治体の窓口で行い、所得や生活状況の審査があります。

子どもが3人いるシングルマザーにとって、貯金をすることは大きな課題です。

まずは、シングルマザーの貯蓄の平均や実態を知り、現状を正しく把握しましょう。

貯金ができていない方は、家計の見直しや支出の管理を行い、無理のない範囲で貯蓄を増やす工夫が必要です。

詳しく解説します。

厚生労働省のデータによると、母子家庭の平均貯蓄額は約390万円ですが、中央値は50万円から100万円の間にあり、多くの家庭で貯蓄が十分とはいえません。

実際には約3割の母子家庭が貯蓄ゼロです。

理由としては、収入の多くが生活費に充てられているためで、特にパートやアルバイトで生計を立てるシングルマザーは貯金の余裕が少ない傾向にあります。

子ども3人を育てる場合、教育費や生活費の負担が増えるため、貯蓄が難しいケースが多いです。

年代別に見ると、年齢が上がるにつれて貯蓄額は増える傾向にありますが、若い世代ほど貯金が少ない傾向が見られます。  

参照：令和3年度全国ひとり親世帯等調査|厚生労働省

貯金が思うようにできていないときは、まずは家計の収支を見直しが重要です。

例えば家賃や通信費、保険料といった固定費の見直しは効果的です。

また、食費や光熱費などの変動費も計画的に管理し、無駄な支出を減らしましょう。

さらに、児童手当や児童扶養手当などの公的支援をフル活用すると、3人の子供を育てるシングルマザーの方は家計の負担を軽減できます。

家計簿をつけて収支を把握し、具体的な貯蓄目標の設定もモチベーション維持につながります。

小さな節約の積み重ねが、将来の安心につながるため、無理のない範囲での取り組みが大切です。

必要に応じてファイナンシャルプランナーに相談し、専門的なアドバイスを受けるのもおすすめです。

シングルマザーとして子ども3人を育てる中で、年収の目安や生活費が足りない場合の対処法について悩む方は多いです。

以下の2つの質問を関してわかりやすく解説します。

• シングルマザーの年収はいくらが得ですか？
• 母子家庭で生活費が足りまぜん。どうすればいいですか？

シングルマザーの年収は、生活の安定と公的支援の受給条件を考慮すると、200万円から300万円が理想的です。

年収204万円以下であれば住民税が非課税となり、児童扶養手当などの支援を受けやすくなります。

また、医療費や保険料の負担も軽減されるため、家計の負担が和らぎます。

収入が低すぎると生活が苦しく、高すぎると支援が受けられず負担が増えるため、支援を活用したいのであれば収入とのバランスが重要です。

一方で、収入が十分にあり支援を必要としないシングルマザーもいます。

具体的には、年収が支援の所得制限を超えている方や、家族の援助や貯蓄が十分にある場合です。

支援が必要な方は制度を活用しつつ、支援を必要としない方は自立した生活基盤を築くために計画的な収入管理や貯蓄を心がけましょう。

母子家庭で生活費が足りないときは、まずは公的支援制度を活用しましょう。

児童扶養手当や児童手当、医療費助成など、母子家庭向けの支援は多岐にわたります。

急な出費がある場合には、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用すると、連帯保証人がいれば無利子で、いない場合でも年利1％の低利子で資金を借りられます。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度はひとり親家庭の生活安定や子どもの教育支援を目的としており、生活費や教育費、住宅資金など幅広く利用可能です。

民間のローンと比べて利息負担が非常に少なく、返済の負担を大きく軽減できるのが特徴です。

利用には収入や生活状況の審査がありますが、困ったときの強い味方となる制度です。