

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- インデックス投資は危ない?やめた方がいいと言われる理由3選
- 元本割れのリスクがゼロではないから
- 短期間で大きな利益は期待しにくいから
- 投資の勉強をする機会を失うから
- 自分もインデックス投資をやめた方がいい?不安な人はFPに相談してみよう
- 【実際どうだった?】インデックス投資はやめた方がよかった?実際の体験談を紹介
- ケース1:株価暴落が怖く損切りしてしまった
- ケース2:生活資金が足りず取り崩すことに
- ケース3:コツコツ積立てで資産が倍増
- これだと危険!インデックス投資でやってはいけないこと
- リスク許容度を把握しない
- 投資の目的や目標額を定めない
- ほったらかしで投資の勉強をしない
- インデックス投資を成功させる方法4選
- ポートフォリオ全体の資産バランスを見直す
- 短期的な値動きに左右されず継続する意志を強く持つ
- 家計のキャッシュフローを最適化する
- 投資についての学びを深める
- インデックス投資の活用方法をマネーキャリアがアドバイス!
- 【まとめ】インデックス投資がやめた方がいいか投資目的を見直してみよう
インデックス投資は危ない?やめた方がいいと言われる理由3選
インデックス投資は、初心者にも人気が高い運用方法です。
しかし「インデックス投資は危ない」「やめた方がいい」といった声も聞かれます。なぜそのように言われるのでしょうか。その理由として大きく以下の3つが挙げられます。
- 元本割れのリスクがあること
- 短期間で大きな利益を期待しにくいこと
- 投資の勉強をする機会を失いやすいこと
ここでは、インデックス投資はやめた方がいいと言われている3つの理由を詳しく解説します。
元本割れのリスクがゼロではないから
インデックス投資はリスクが低いと思われがちです。しかし、インデックス投資も「投資」である以上、元本保証はありません。市場全体に連動するインデックスファンドは、市場が大きく下落すれば評価額も大きく下がります。
たとえば、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックでは、株価指数が短期間で急落しました。
時期 | 下落率(日経平均) |
---|---|
2008年リーマンショック | 約60% |
2020年コロナショック | 約30% |
このように、大暴落が起きると、インデックス投資でも資産が一時的に半分以下になる可能性があります。
短期間で大きな利益は期待しにくいから
インデックス投資は市場平均のリターンを目指す手法であり、短期間で資産を倍増させるような大きな利益は期待しにくいです。
インデックスファンドは、爆発的な値上がりよりも安定した成長を目標としています。そのため、1年や2年といった短期ではリターンが数%程度に落ち着くことが多く、まとまった利益を得るには時間がかかります。
年利5%で運用した場合、元本100万円がどの程度に増えるかを見てみましょう。
運用年数 | 100万円の将来額(年利5%) |
---|---|
1年 | 約105万円 |
10年 | 約163万円 |
20年 | 約265万円 |
1年間では利益は約5万円に留まり、資産を2倍に増やすには10年以上かかることがわかります。
投資の勉強をする機会を失うから
インデックス投資は仕組みがシンプルで手間がかからない分、投資について勉強する機会を失いやすいです。市場平均に連動するファンドに資金を預けて放置できるため、細かな経済動向や投資理論を知らなくても運用を続けられます。その結果、投資に関する知識や経験が深まらず、市場や経済への理解が浅いままになりがちです。
また、個別株やアクティブ運用では企業分析や市場調査を通して自然と知識が身につきます。インデックス投資では、そうした学びの機会が少ないとも言えます。知識が不足したままだと、判断を誤るリスクも高まるでしょう。複雑な金融商品や相場の変化に対応できず、適切な行動を取れない恐れがあります。
さらに、知識が乏しいと相場の変化に気づけず、資産配分の見直しなど適切な対応が遅れる可能性もあるでしょう。実際、十分な知識がない投資家はマーケットが急変した際にパニックに陥り、大きな損失を出してしまうケースもあります。
自分もインデックス投資をやめた方がいい?不安な人はFPに相談してみよう

インデックス投資はあくまで「投資」です。そのため、自分の資産を失う可能性も少なからずあります。
そこで、インデックス投資を続けるべきかやめるべきか迷ったら、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみましょう。FPはお金の専門家として、中立的な立場からアドバイスを提供してくれます。
FPに相談すると、次のようなメリットがあります。
- 資産状況や将来の目標に合わせて、最適な資産運用プランを提案してもらえる
- 客観的な視点から助言を受けられるため、自分の判断に対する不安を解消できる
- 自分では気づかなかったリスクや改善点について指摘してもらえる

【実際どうだった?】インデックス投資はやめた方がよかった?実際の体験談を紹介
インデックス投資は「やめた方がいい」との声も聞かれます。
一方で、分散が効き手間もかからないインデックス投資は、初心者にも基本的におすすめできる手法です。
では、本当にやめるべきなのでしょうか?実際にインデックス投資を経験した人の後悔と成功の体験談を紹介し、その真相を探ってみましょう。
ケース1:株価暴落が怖く損切りしてしまった
知識不足で暴落時にパニック売りすると、損失を確定させてしまいます。30歳男性の例では、インデックス投資を始めたものの、市場の暴落に直面して恐怖に駆られ、持っていた商品をすべて損切りしました。
彼は「インデックス投資なら安全だろう」と楽観的で、暴落時の対処法を事前に考えておらず、リスク許容度(どれだけの損失に耐えられるか)も把握していなかったため、急落に冷静さを失ってしまったのです。
資産がみるみる目減りするのを見て「このままではお金がゼロになるのでは」と恐怖に陥りました。売却直後、株価は数ヶ月で回復し、2020年のコロナショック時も大規模な対策で市場は急反発しました。狼狽売りした彼は回復の恩恵を受け損ね「売らなければよかった」と激しく後悔する結果に。
ケース2:生活資金が足りず取り崩すことに
無理な資金で投資を始めると、必要なときに取り崩す羽目になります。35歳女性の例では、日々の生活費に余裕がない中「みんなが増やしている」とSNSで見かけた情報に影響され、生活資金までインデックス投資に回してしまいました。
ところが急な出費や収入減に見舞われ、積立投資を続けられずに資金を取り崩すことになります。投資額を引き出す頃、市場は低迷しており、利益どころか元本割れの状態で現金化することに。
生活費が不足するたびに投資資金を崩していては効率的な運用は難しく、リスクも高まります。彼女は「最初から無理のない額で始めれば良かった」と痛感しました。
ケース3:コツコツ積立てで資産が倍増
長期の積立投資により、資産を倍増させた成功例もあります。48歳男性のケースでは、10年以上前からインデックスファンドの積立投資を継続し、現在資産がほぼ2倍に成長しました。彼は長期・積立・分散の基本に忠実に、毎月決まった額を国内外のインデックスファンドに投資し続けています。
市場が暴落した際にも「いずれ景気は回復する」と信じて積立を止めなかったことが功を奏しました。たとえば、2008年のリーマンショックで元本が半減した局面でも積立を続け、その後資産を2,200万円から4,000万円以上に増やした投資家もいます。
この男性も短期的な利益ではなく5年後・10年後の資産形成を目標に掲げ、多少の値下がりは気にしない胆力で乗り越えています。
これだと危険!インデックス投資でやってはいけないこと

インデックス投資でも、やり方次第では失敗します。
具体的には、以下のとおりです。
- 自分のリスク許容度を把握しない
- 投資の目的や目標額を定めない
- ほったらかしで投資の勉強をしない
どれも初心者が陥りがちなミスなので、自分が当てはまっていないか確認してみてください。
リスク許容度を把握しない
自分のリスク許容度を知らずに投資すると、想定外の損失に耐えられず失敗につながります。リスク許容度とは、価格変動による損失をどの程度許容できるかの指標です。
精神的に一時的な値下がりで不安になるか、物理的に生活費など必要資金を確保できているか、この度合いは人それぞれ異なります。
許容量を超えるリスク資産に手を出すと、下落時にパニックに陥り合理的な判断ができなくなるのです。たとえば、数年以内に使う予定の資金であれば大きな損失は許容できずリスク許容度は低めです。
投資の目的や目標額を定めない
明確な目的や期間を決めずに、投資を始めるのは危険です。投資の目的と目標を明確にすることは基本であり、年齢やライフプランにより適切な方法も変わります。
目的がないままでは「何のためにいくら必要か」が定まっていないため、投資商品や方法を誤選択するリスクが高まります。
たとえば、本来5年後に使う予定の資金を明確にしないまま投資してしまい、直前に市場が下落して資金が目減りするといった事態も起こりえるのです。
目的や期限が定まっていないと、当てもなく歩いているような運用になり、マーケットや周囲の声に惑わされてブレやすくなるでしょう。
ほったらかしで投資の勉強をしない
最低限の投資知識を身につけず、運用を放置するのは危険です。インデックス投資は手間がかからないとはいえ、商品内容や市場の動きへの無知は思わぬ損失を招きかねません。
投資を全く理解しないまま始めると、運用中の値動きに過度に怯えてしまい、ちょっとした下落で不安に陥って早期解約してしまうケースも見受けられます。知識不足に早期解約は、長期で見れば誤った行動であり、本来得られたはずの利益を逃す結果になりかねません。
また、勉強不足だとネット上の真偽不明な情報に影響されやすく、偏った情報に依存すると判断を誤って失敗する可能性があります。
インデックス投資を成功させる方法4選
ここでは、インデックス投資を成功させる方法について紹介します。
インデックス投資を成功させる方法は、以下の4つです。
- ポートフォリオ全体の資産バランスを見直す
- 短期的な値動きに左右されず継続する意志を強く持つ
- 家計のキャッシュフローを最適化する
- 投資についての学びを深める
ポートフォリオ全体の資産バランスを見直す
ポートフォリオ全体を定期的に見直し、資産配分の偏りを修正することが重要です。資産配分の偏りはリスク集中を招きます。S&P500など特定の指数に資産が集中しすぎていないか確認しましょう。
米国株式100%では、為替リスクやセクター偏重の影響を大きく受けるでしょう。国内株式や債券を組み入れることで値動きのブレを抑え、安定した運用につながります。実際、リーマンショック期に米国株だけ保有していた場合は評価額が半減しましたが、債券を半分含むポートフォリオなら損失を約17%軽減※できたとの試算があります。
異なる値動きをする資産を組み合わせれば、大幅下落時のダメージを和らげる効果が期待できるでしょう。
資産クラス | 比率(例) | 特徴・役割 |
---|---|---|
米国株(S&P500等) | 50% | 世界経済への投資による成長期待 |
国内株 | 20% | 自国市場への投資、為替リスク低減 |
債券 | 30% | 安定資産。価格変動を抑え下落時の損失を軽減 |
インデックスファンドは低コストが魅力ですが、信託報酬など手数料は低いほど有利です。ただし、手数料の安さだけで選ぶと失敗するリスクもあるため、注意してください。
短期的な値動きに左右されず継続する意志を強く持つ
市場の短期的な上下に惑わされず、投資を継続する強い意志を持つことがインデックス投資成功の鍵です。長期的な視点で構え、短期間で結果を求めすぎないようにしましょう。
短期的な下落局面で不安になるのは誰しも同じです。しかし、そこで投資をやめてしまうと、その後の回復や上昇による利益を逃す可能性があります。
【平均保有期間は数年と短い現状】
2024年末時点投資信託の平均保有期間は約2.7年、つみたてNISA対象ファンドでは約2.3年※1という短さです。
このように数年で解約していては、インデックス投資の本来の効果を十分に得ることはできません。
家計のキャッシュフローを最適化する
家計のキャッシュフローを最適化することは、インデックス投資を長期的に成功させるために欠かせません。どんなに優れた投資戦略も、日々の生活資金が不足していては継続できません。そこで、家計の収支バランスを見直し、無理なく投資を続けられる体制を整えることが大切です。
家計管理を徹底すると、投資に回せる余裕資金を明確にできます。積立投資は長期継続が前提となるため、毎月の投資額を無理のない範囲で設定しましょう。そのためには、収入と支出を把握することが出発点です。
家計の流れを整理する際に役立つポイントを、以下にまとめます。
- 家計簿アプリやスプレッドシートを使い、毎月の収入と支出を記録する
- 固定費(通信費、保険料、サブスクリプションなど)の見直しを行う
- 無駄な支出を発見し、積極的にカットする
こうした取り組みを実践すると、毎月のキャッシュフローを安定させることができます。また、急な出費にも対応できるよう、生活防衛資金(数ヶ月分の生活費)を確保しておくことも忘れないようにしましょう。
これにより、予期せぬ支出や相場の下落局面でも、焦って投資資金を取り崩す事態を避けやすくなります。
投資についての学びを深める
投資についての学びを深めることは、インデックス投資を長期的に成功させるために重要です。
多くの人が「インデックス投資は簡単」「知識がなくてもできる」と思いがちですが、基本的な知識や情報を身につけているかどうかで、長期の資産運用成果には大きな差が生まれます。知識がないまま始めてしまうと、市場の変動や経済ニュースに振り回され、冷静な判断ができなくなる場合もあります。
リスクを減らすためにも、積極的に投資について学び続けることが大切です。投資の学びを深めるために、日常的に意識したい取り組みをまとめました。
- 経済ニュースや金融情報に日々目を通し、市場動向を把握する
- 投資や資産運用に関する書籍や専門家の記事で基礎知識を習得する
- 投資信託やNISA、iDeCoなど税制優遇制度の最新情報をチェックする
これらの取り組みを続けていくことで、金融商品の選び方やリスクの捉え方が洗練され、安易な判断を避けやすくなります。
また、SNSには誤った情報や根拠のない投資話も多く存在します。複数の情報源をもとに真偽を見極める力も、投資リテラシーには欠かせません。
インデックス投資の活用方法をマネーキャリアがアドバイス!

結論から言えば、リスクを正しく理解し対策すれば、インデックス投資は資産形成に有効な方法です。注意したいのは、元本保証がないため市場環境によって元本割れのリスクがある点です。
しかし、主要な株価指数は小さな変動を繰り返しつつ長期的には上昇傾向にあるため、長期運用を前提にすれば心配いりません。
また、インデックス投資では短期で大きな利益を得ることは難しいため「一度の取引で数十万円儲けたい」という人には不向きです。急激な資産倍増は期待できませんが、長期積立でコツコツ利益を積み上げやすい点が魅力です。
【まとめ】インデックス投資がやめた方がいいか投資目的を見直してみよう
「インデックス投資はやめた方がいい」と言われるのは、元本割れのリスクや短期で大きな利益が得にくい点、知識不足で失敗しやすい可能性が指摘されているからです。元本保証がないため損失リスクはゼロではなく、短期の一攫千金も狙えません。
知識がないまま始めると値動きに翻弄され、長期のメリットを活かせない恐れもあります。インデックス投資自体は、分散投資でリスクを抑えられる有効な資産運用手段です。重要なのは「やめるかどうか」より、自分の投資目的を見直すこと。長期の資産形成が目的ならインデックス投資は強力な味方になり、短期の利益追求や元本割れを絶対避けたいなら他の方法を検討しましょう。
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