
内容をまとめると
- 130万の壁は、一時的な収入増と認められる場合、同一人物について原則2年まで扶養認定を延長できる仕組みがあり、年収の上限は一律に決まっていません。
- ただし、年収以外の理由で扶養から外れるケースがあるため、本文を読んで損をしないように注意しましょう。
- 130万の壁を超えて社会保険に加入することで、”将来の年金”や”傷病手当金”などの保障が増える可能性があるため、メリットも理解することが大切です。
- 年収の壁の整理や最適な働き方選びに不安がある方は、相談実績10万件超・満足度98.6%超のマネーキャリアで、専門家(FP)の無料アドバイスを受けられます。

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 130万の壁は2年までならいくらまで超えてもOK?扶養にいられる年収の上限を解説
- 健康保険の扶養が外れる年収ラインは?
- 「2年ルール」で一時的に扶養を維持できるケースとは?
- 130万円を超える場合に気をつけたいこと
- 「一時的な収入変動に係る事業主の証明書」の提出方法と注意点
- 証明書を提出する流れ
- 注意1:証明書を提出しても扶養認定の確約はされない
- 注意2:個人事業主・フリーランスは対象外
- 130万の壁の2年猶予で悩んだら専門家(FP)に無料相談がおすすめ
- 130万の壁の全体像
- 130万の壁とは
- 130万の壁の問題点と影響
- 厚生労働省による130万の壁への対応策
- 130万の壁を超えるメリット
- 将来の年金が増える可能性
- 「傷病手当金」や「出産手当金」が受け取れる可能性
- 130万の壁の2年猶予に関するよくある質問
- ダブルワークで130万を2年連続で超えそうな場合はどうすればいいですか?
- 130万の壁を2年超えた場合の証明書はどこに提出すればいいですか?
- 130万の壁は正しい理解で対策できる【まとめ】
130万の壁は2年までならいくらまで超えてもOK?扶養にいられる年収の上限を解説
130万の壁は2年までならいくらまで超えてもOKか、3つの観点から解説します。
紹介する内容は以下のとおりです。
- 健康保険の扶養が外れる年収ラインは?
- 「2年ルール」で一時的に扶養を維持できるケースとは?
- 130万円を超える場合に気をつけたいこと
上限が決まっているわけではないため、自分の状況に合わせて収入と扶養の関係を整理しやすくなるように解説しますので、ぜひ参考にしてください。
健康保険の扶養が外れる年収ラインは?
健康保険の扶養(社会保険上の扶養)から外れる年収ラインは、130万円です。
130万円を超えると、自分自身で社会保険に加入しなくてはなりません。
個人で国民年金や国民健康保険に加入する場合は、保険料を全額自己負担するため、手取り額に大きく影響します。
一方、勤務先の社会保険に加入する場合は、保険料を会社と折半して負担する仕組みです。
なお、従業員数が51人以上の勤務先で、週の所定労働時間が20時間以上などの要件をすべて満たす場合は、年収130万円ではなく、106万円を超えたタイミングで社会保険加入が義務づけられます。
「2年ルール」で一時的に扶養を維持できるケースとは?
「2年ルール」とは、配偶者(妻)の収入が一時的(原則2年以内)に130万円を超えた場合でも、事業主の証明書を提出すれば、扶養が継続できる可能性がある仕組みです。
厳密には配偶者(妻)だけでなく家族も対象ですが、本記事ではわかりやすくするため、扶養者を夫・被扶養者を妻とする例で、解説を進めます。
この仕組みでは、保険者(夫が加入する健康保険組合)の判断により、原則2年間まで扶養が認められます。
また、年収の上限は一律に決まっていません。
「2年ルール」は、厚生労働省が2023年10月から始めた“年収の壁・支援強化パッケージ”の一環として導入されました。
このパッケージ”は、短時間労働者が年収の壁を気にせず働ける環境づくりを目的とした施策です。
130万円を超える場合に気をつけたいこと
「2年ルール」は、一時的に130万円を超えた場合に扶養を維持できる特例です。
つまり、短期的な繁忙期などでなく恒常的に130万円を超えた場合は、社会保険料の負担が発生します。
社会保険料の負担は収入の15%程度になるため、支払うことで手取りが減る点に注意が必要です。
対処としては、130万円を超えないよう調整するか、大幅な収入増を目指す選択が考えられます。
「一時的な収入変動に係る事業主の証明書」の提出方法と注意点
"被扶養者の収入確認あたっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書"の提出方法と注意点を、3つ解説します。
紹介する方法は以下のとおりです。
- 証明書を提出する流れ
- 注意1:証明書を提出しても扶養認定の確約はされない
- 注意2:個人事業主・フリーランスは対象外
それぞれの流れと注意点を知ることで、手続きを正しく進めやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
証明書を提出する流れ
”一時的な収入変動に係る事業主の証明書”は、決まった流れで提出します。
まず、妻が勤務する事業所で、証明書内の必要事項を記入してもらう必要があります。
そのあと、夫が加入する健康保険組合へ証明書を提出します。
そして健康保険組合が内容を確認し、扶養認定OKと判断すれば、手続きは完了です。
証明書を提出する流れを理解し、安心して準備を進めましょう。
注意1:証明書を提出しても扶養認定の確約はされない
夫が加入する健康保険組合宛てに証明書を提出するだけでは、扶養認定が確約されるとは限らないことに注意が必要です。
扶養認定の最終的な判断は、夫が加入する健康保険組合がおこないます。
社会保険の被扶養者の要件は、組合によりさまざまで、収入要件だけではありません。
その他の要件を満たしていない場合、被扶養者に該当しなくなる可能性もあります。
そのため、証明書を提出しても扶養認定が確約されるわけではないと理解し、不安があるときは、夫の勤務先に確認しながら準備を進めるとよいでしょう。
注意2:個人事業主・フリーランスは対象外
本制度は、個人事業主やフリーランスは対象外であることに注意が必要です。
厚生労働省は、今回の措置を”あくまでも事業主の人手不足等の事情にともなう被扶養者の方の労働時間延長等による一時的な収入変動”を対象としているからです。
そのため、雇用関係にない働き方では証明書を使えません。
個人事業主・フリーランスは対象外であることを理解し、自身の働き方で被扶養者として認定を受けられるか心配な場合は、夫の勤務先に確認するとよいでしょう。
130万の壁の2年猶予で悩んだら専門家(FP)に無料相談がおすすめ
130万の壁の全体像
130万の壁の全体像を、3つの観点から解説します。
紹介する内容は以下のとおりです。
- 130万の壁とは
- 130万の壁の問題点と影響
- 厚生労働省による130万の壁への対応策
これらのポイントを知ることで、損を防ぎながら安心して収入を管理しやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
130万の壁とは
130万円の壁は、”妻が夫の会社の社会保険の扶養に入れるかどうか”を判断する年収の基準の一つです。
厳密には妻だけでなく家族も対象ですが、本記事ではわかりやすくするため、扶養者を夫・被扶養者を妻とする例で、解説を進めます。
パートやアルバイトで年収が130万円を超えると、自分で国民健康保険や国民年金に加入する必要があります。
なお、週所定労働時間および月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上など、一定の条件を満たす場合は、国民健康保険や国民年金ではなく、勤務先の社会保険へ加入します。
これらの仕組みを正しく理解することで、損を防ぎながら安心して働き方を選びやすくなるでしょう。
※参照1:年収の壁について知ろう|厚生労働省
130万の壁の問題点と影響
130万円を超えると、「手取りが100万円程度に減る」と感じる場合が多いです。
理由は、社会保険料の自己負担が約15%になり、所得税なども差し引かれる仕組みがあるからです。
年収130万円の方にとっての15%は、約20万円です。
月収が約11万円だとすると、給料2ヵ月ぶん近くの金額が減るともいえ、就労の意欲を下げてしまうケースも目立ちます。
また、企業にとっては、働き控えが起きて人員不足につながる現実もあります。
厚生労働省による130万の壁への対応策
前項のような問題点に対して、厚生労働省は”年収の壁・支援強化パッケージ”という仕組みを2023年10月から始めました。
このパッケージは、短時間労働者が年収の壁を気にせず働ける環境づくりを目的としています。
そのなかの1つの対策として、”130万の壁に対応する仕組み”を整えています。
具体的には、一時的に年収が130万円以上に増えた場合、事業主の証明書を提出すれば、保険者の判断で原則2年間まで扶養が認められる可能性があります。
130万の壁を超えるメリット
130万の壁を超えるメリットを、2つ解説します。
紹介するメリットは以下のとおりです。
- 将来の年金が増える可能性
- 「傷病手当金」や「出産手当金」が受け取れる可能性
社会保険料負担(約15%)が発生すると、手取り収入は減少するものの、保障が手厚くなるメリットもあります。
それぞれの内容を知ることで、収入を増やす選択に前向きになりやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
将来の年金が増える可能性
130万の壁を超えて社会保険に加入すると、将来受け取れる年金が増える可能性があります。
扶養内で働いている場合は国民年金のみへの加入になりますが、社会保険に加入すると”厚生年金”ぶんの金額が、上乗せされるからです。
そのため老後や、障害・死亡など万が一の際に、保障が手厚くなります。
社会保険料の負担によって、当面の手取り収入は減りますが、長期的に見れば大きな安心につながるでしょう。
「傷病手当金」や「出産手当金」が受け取れる可能性
130万の壁を超えると、受給要件を満たせば傷病手当金や出産手当金を受け取れる可能性が広がります。
勤務先の社会保険に加入すると、保障が手厚くなる仕組みがあるからです。
病気やケガで働けないときは、傷病手当金として給与のおおむね2/3の金額が受け取れるため、収入を一部カバーできます。
また、産前産後の休業中は一定期間、出産手当金として、給与の約2/3相当が支給されます。
傷病手当金や出産手当金が受け取れる可能性を知り、将来を考える参考にしてください。
130万の壁の2年猶予に関するよくある質問
130万の壁の2年猶予に関するよくある質問を、2つ解説します。
紹介する質問は以下のとおりです。
- ダブルワークで130万を2年連続で超えそうな場合はどうすればいいですか?
- 130万の壁を2年超えた場合の証明書はどこに提出すればいいですか?
それぞれの疑問を解消することで、手続きを不安なく進めやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
ダブルワークで130万を2年連続で超えそうな場合はどうすればいいですか?
130万の壁を2年超えた場合の証明書はどこに提出すればいいですか?
"被扶養者の収入確認あたっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書"は、妻が自分の勤務先から取得したあと、被保険者(夫)が勤務する会社を通じて、保険者(夫が加入する健康保険組合)に提出します。
保険者(夫が加入する健康保険組合)が、被扶養者(妻)の収入を確認するタイミングにあわせて、書類を用意する流れです。
提出の場所と手順を知り、正確に準備を進めましょう。
130万の壁は正しい理解で対策できる【まとめ】
130万の壁は、正しい理解をもとに対策をとることができます。
具体的には、130万の壁の全体像や扶養の条件、メリットなどを把握することで、安心して自分に合った働き方を選べるでしょう。
とはいえ、複雑な制度を一人で正確に理解し、最適な選択肢を見つけるのは簡単ではありません。
130万の壁の理解に不安を感じる方や、自分が選ぶべき働き方に迷っている方は、専門家(FP)への相談をおすすめします。