
老後のことを考え、お金に対する危機感を持っている40代の方は多いです。しかし今まで金融などの知識を勉強してこなかったため、お金の勉強方法がわからない方もいらっしゃいます。そこで本記事では、40代の方ににおすすめのお金の勉強方法や、おすすめの投資をまとめました。
この記事の目次
目次を閉じる40代のお金の勉強方法は?老後に備える方法とは?
こんにちは、マネーキャリア編集部です。
今回の記事は「40代のお金の勉強」をテーマにして書きます。
老後2000万円問題が話題になってから、1年以上経過し、老後資金について危機感を持っている40代の方は多いです。
しかし、「仕事が忙しくお金の勉強をする時間がない」、「家庭を持っているから、リスクの高い投資は避けたい」などといった悩みをたくさんいただいています。
「老後は穏やかで安定した暮らしをしたい」
年金問題を抱える日本では、早いうちから準備をしておかないとこの願いは叶わないかもしれません。
そこで今回の記事では、
- 40代におすすめのお金の勉強方法
- 40代におすすめの投資
等についてまとめました。
この記事が、なかなかお金の勉強を始められない40代の方が、一歩を踏み出す手助けになれば幸いです。
ぜひ最後まで読んでみてください。
まずは現状を把握し老後に必要なお金を計算しよう
40代のみなさんが感じている「老後資金についての危機感」はどこから来るのでしょうか?
この危機感というのは、「老後資金が何百万円足りない」といった具体的な危機感ではなく、年金支給年齢も繰り上がっていき、終身雇用の保障もないことから来る、「老後についての漠然とした不安感」から来ているのではないでしょうか。
その漠然とした不安感から脱却するために、まず、現状を把握して、老後に必要なお金を見える化しましょう。見える化することにより、具体的な不足額がわかり、その対策が立てやすくなります。
現状把握・老後資金の見える化
それでは、次の手順にしたがって、現状を把握して老後に必要なお金を見える化してみましょう。
- 現在の資産を把握
- 将来に向けての人生設計を作成
- 自分の人生設計に合わせて、現有資産や収入/支出を当てはめる
- 年別の資産変化、老後資産をシミュレーション
まず、ご自分の現有資産の把握を行い、どのような資産が、いくらあるか確認します。
次に、将来に向けて自分の人生設計を立てます。この際に、次の点などを考慮して、人生のイベントを書き出し、自分の人生設計表を作ります。
- 子どもの教育や結婚など
- マイホーム取得や住宅ローン返済
- 退職
- 自分の生きがい、趣味(旅行、車、音楽など)等々
上記で作成した人生設計表に、現有資産や収入(給料、退職金、年金など)と支出(生活費、税金、保険料、ローン返済、生きがいや趣味の費用など)を年ベースで当てはめます。
最後に、その結果をもとに、年間の収支、資産額の変化、及び、老後に使える資金についてシミュレーションします。
自分の人生設計にお金の収支を当てはめて考える方法を「ライフプランニング」と言い、これにより老後用に残る資金や老後に必要なお金が見えてきます。
対策の立案
一般的には、老後(退職後)は年金だけで生活するのが困難ですので、退職するまでにある程度の貯蓄が必要となります。
総務省などが実施した調査によると、夫婦2人の高齢者の無職世帯では、平均的な収入が月額約21万円、支出が約26.5万円と言われています。(参考:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書)
毎月約5.5万円の赤字が出ますので、老後30年間で
5.5万円×12ヶ月×30年間=1,980万円
を貯蓄などから穴埋めする必要があります。
このように、老後に備えて2000万円必要だということも言われていますが、これは、みさなんそれぞれの事情によって異なります。
生きがいや旅行などの趣味を楽しみ、ゆとりのある老後生活を送るためには、追加資金が必要になります。
そのためにも、前項で見てきたようにライフプランニングを行い、自分の必要老後資金を把握する必要があります。
40代におススメのお金の勉強術をベテランFPが徹底解説
40代のみなさんにとっては、「仕事や家事育児に忙しくお金の勉強をする時間がない」という方が多いと思います。
40代のお金の勉強法としては、「経済学を一から幅広く勉強する」ということよりも、私たちの資産形成に直結する分野について、ターゲットを絞って情報収集を行い、勉強することをおすすめします。
お金の勉強としておすすめの分野には、次のようなものがあります。
- お勤めの会社の退職金や企業年金制度の勉強
- 年金制度の勉強
- NISAやiDeCoの勉強
- 一般的な投資方法の勉強(投資の基礎知識)
①お勤めの会社の退職金や企業年金制度の勉強
サラリーマンの方は、まず、現在お勤めの会社の退職金や企業年金制度について勉強して、退職後、いくらもらえるか確認しましょう。
40代であれば、このまま勤めればどれくらい退職金や企業年金がもらえるか想定ができると思います。
②年金制度の勉強
次に、日本の年金制度について勉強しましょう。
日本の年金制度は3階建ての構造となっています。 1階部分は「国民年金」、2階部分は「厚生年金」、3階部分は「企業年金/個人年金」です。
40代であれば、将来、公的年金がどれくらいもらえるか大体わかります。 年金制度を勉強する事により、年金額を増やす工夫ができたり、また、ご自分の都合に合わせて年金の支給年齢を繰り上げたり繰り下げたりする計画も検討できようになります。
③NISAやiDeCoの勉強
NISAやiDeCoには節税メリットもありますので、年金制度に合わせて勉強しましょう。
NISAは金融庁がサポートしている制度で資産形成を目的にしており、一方、iDeCoは厚生労働省がサポートしている制度で、公的年金を補完する年金の位置づけです。
両制度とも節税効果があるとともに、リスクを抑えて資産形成することができます。 NISAやiDeCoは早く始めれば始めるだけメリットがでますので、ご自分のライフスタイルに合うかどうか検討してみましょう。
NISAとiDeCoを比較すると、以下のようになります。
積立NISA | iDeCo | |
---|---|---|
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上60歳未満 |
最大期間 | 20年 | 60歳まで |
年間の非課税枠 | 400,000円 | 会社員:144,000円〜276,000円
自営業:816,000円 公務員:144,000円 専業主婦:276,000円 |
運用商品 | 投資信託(ETF含む)
※国が厳選した長期運用に適した投資信託 | 投資信託・定期預金 |
資金の引き出し | 自由 | 60歳まで原則不可 |
④一般的な投資方法の勉強(投資の基礎知識)
最後は、投資方法、どのように投資リスクを下げて安定運用するかの勉強です。
「投資先や投資時期などを分散」させて「リスク」を低減させることが肝ですが、詳細は次項の「おススメの資産運用」をご覧ください。
お金の勉強方法としては、ほとんどのものがWEBで情報収集や勉強ができますので、日々お忙しいみなさんも、スキマ時間を利用して始めてみましょう。
銀行や証券会社などの金融機関では、NISAやiDeCoを含めた無料セミナーを開催しています。
最近では、コロナ禍もあり、WEBセミナーを開催しているところも多くありますので、まず、お金の勉強のスタートとして、この無料セミナーに参加して勉強するのもおすすめです。
また、お金に関する書籍も数多く出版されています。まずWEBで情報収集や勉強を行い、その上で、詳しく知りたい分野の書籍を選んでみてはいかがでしょうか。
以下は40代のお金の勉強として活用できそうなWEBサイトです。参考までにご覧ください。
40代におススメの資産運用をベテランFPが厳選
「卵は一つのカゴに盛るな」、これは資産運用に関することわざの1つです。
全ての卵を1つのカゴに入れていた場合は、そのカゴを落としてしまえば全ての卵が割れてしまうかもしれません。一方で、いくつかのカゴに分けて卵を入れておけば、カゴを1つ落としても、残りのかごの卵は割れず残ります。
資産運用で大切なのは「投資先や投資時期などを分散」させて、「リスク」を低減させることです。
①リスクの低減方法
資産を運用するにあたっては、投資先や投資時期を分散することにより、リスクと上手に付き合うことが大事です。
- 資産の分散によるリスク低減
- 時間の分散によるリスク低減
- 長期投資(長期保有)によるリスク低減
まず、資産の分散です。資金を1つの金融資産、例えば株式に全て投資するのではなく、いろいろな種類の資産に分散すれば、リスクは低減して安定運用することができます。
例えば、株式は「ハイリスクでハイリターン」、債券は「ローリスクでローリターン」で、株式と債券は別の値動きをすると言われており、株式と債券を組み合わせて分散投資する事により、リスクを下げて安定運用することができます。
次に 、時間の分散です。投資金額全てを一度に投資するのではなく、複数回に分けて投資することが大事です。
例えば、特定の金融商品に対して、定期的に一定金額ずつ買付ける投資手法を「ドル・コスト平均法」といい、一度に投資するよりも購入価格を抑える効果が期待できます。
最後に、長期投資(長期保有)です。資産分散や時間分散といった分散投資に加えて、長期投資(長期保有)することも重要です。
リーマンショックやコロナ禍を見ればわかりますが、短期間でみると収益のブレ幅が大きく(リスクが大きく)なることもあります。しかし、長期間で見ると収益のブレ幅が小さくなり、安定運用する事ができます。
②40代におススメの資産運用
前項の分散投資や長期投資をベースにして、老後資産のための「40代におススメの資産運用」について考えてみます。
分散投資の項で見てきましたが、運用期間が長けれな長いほどリスクは低減して、安定運用することができます。
例えば、20代であれば、定年まで約40年ありますので、多少リスクのある投資を行なっても大丈夫です。 一方、40代の方には残り約20年しかありませんので、比較的リスクの低い投資・運用のほうが向いています。
投資の基本は、国内の株式と債券、国外の株式と債券の4資産に分散投資することです。
株式と債券に50%づつ投資するレベルを「バランス運用」と言い、株式の割合を増やす投資を「積極運用」、逆に債券の割合を増やす投資を「安定運用」と言います。
40代であれば、株式と債券に50%づつ投資する「バランス運用」が良いのではないでしょうか。
ちなみに、私たちが積立てている年金の運用は「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が行なっています。その年金の2020年12月末時点の投資先は、株式50%(国内25%、国外25%)、債券50%(国内24%、国外26%)です。 (参考:GPIFの2020年度第3四半期運用状況(速報))
このGPIFの投資分散を念頭に置いて、まずは節税効果があるNISAやiDeCoの活用から初めて、余裕があれば、追加で投資信託を中心に運用してみてはいかがでしょうか?
なお、50代になり定年までの期間が短くなると長期運用ができなくなっていきますので、リスクを下げるような運用に変えていく必要があります。
具体的には、歳を取るに従い、株式の割合を減らして債券の割合を増やし「安定運用」の方向に舵を切ったほうが良いでしょう。
また、資産運用は、ライフプランを設計し将来必要な金額(すなわち目標金額)を設定することが大切です。
マネーキャリアでは、「資産運用を始めたい」、「もしくはご自身の資産運用の方法を見直したい」という方に向けて、無料でライフプランに関する相談を受け付けています。
ライフプラン相談を受けたいという40代の方の例としては、例えばこんな方がいます。
- 年齢:44歳
- 職業:会社員
- お住まい:都内近郊
- 年収:450万
- 悩み:「住宅ローンや子供の教育資金の支払いがあるのに、老後の資金を確保できるか心配。でお、資産運用のやり方はよくわからない。ネットや本で資産運用について勉強してみたけど、いまいちピンとこない。」
40代がお金の勉強・資産運用をするうえでの注意点
ここでは、40代のみなさんがお金の勉強を行い、資産運用を行なっていく上での注意点について見ていきます。
①資産形成の目標の明確化
「子どもの教育費」「マイホーム費」「老後の生活費」など、資産形成の目標を明確にする事が大事です。資産形成の目標によっては資産運用できる期間が違い、また、とれるリスクも違ってきます。
その結果として、投資方法や投資先が異なってきます。
②日々の生活に影響のない範囲での資産運用
資産運用にお金をまわし過ぎて、日々の生活に影響がでるといけません。現在の収支状況をきっちり把握した上で、将来に向けて資産形成するようにしましょう。
③生きがいや趣味との両立
老後資金を貯めるために、みなさんの生きがいややりたいことを放棄するのではなくて、人生を楽しみつつ、老後資金の準備をすることも大事です。
お金を貯めることが目的ではなくて、お金を貯めることはあくまで手段で、本来の目的は「充実した人生を生きること」です。そうしないと、本末転倒になってしまいます。
④短期の運用成績で一喜一憂しない
資産運用ではリスクが伴いますので、短期的にみると元本を割って損をすることもあるかもしれません。
しかし、老後までの長期投資で資産形成を目指していますので、短期的な運用成績で一喜一憂せずに、分散投資を長期間続けていきましょう。
⑤ライフプランニングの定期的な見直し
ライフプランニングで現状把握や老後資金の見える化を行いますが、将来に渡ってそのプラン通りの人生が送れるとは限りません。むしろ、想定外のことが起こり、プラン通りの人生とならない事がほとんどです。
ライフプランは、まず作ってみることが大事ですが、それにも増して、定期的に見直して改善していくことも重要です。
⑥年齢にあわせた投資先や投資方法の見直し
40代で投資先や投資割合を決めても、年齢を重ねて定年に近づくにつれて「より安定運用」の方向に舵を切っていく必要があります。
齢を取るのに従い、投資先を投資方法を定期的に見直しましょう。
40代サラリーマンが今すぐやるべき節税術をFPが語る
収入も増えてきた40代のサラリーマンにとって、所得税や住民税など、みなさんにかかる税金の負担は大きいものと言えます。
一方で、お金の勉強の一項目として見てきましたNISAやiDeCoについては、資産形成に合わせて節税効果もあります。
節税術や節税効果を知ることは、節税の制度を利用するモチベションになるとともに、資産形成においても好影響を与えます。
ここでは、40代のサラリーマンの方をターゲットに、節税方法について見ていきます。
①投資に関わる節税方法
①NISA
株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかりますが、NISAは利益や配当が非課税になる制度です。
つまり、NISAでは、譲渡益や配当にかかる約20%の税金が節税になります。
②iDeCo
定期的に払う掛け金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となり所得額から差し引けますので、その分、所得税などの税金が少なくなります。
また、NISA同様に、金融商品の運用益が、通常約20%かかるところが非課税となります。
③株取引等の譲渡の損益通算
NISAやiDeCoを使わずに株や投資信託の運用を行う場合、「源泉徴収ありの特定口座」にしておけば確定申告を行わなくても良く、納税は証券会社などが行なってくれます。
一方で、複数の証券会社に口座を持っていて、片方で譲渡益がでて、もう片方で譲渡損がでていても、証券会社毎に源泉徴収を行うため、譲渡益と譲渡損の損益通算をしてくれません。
そこで、確定申告で譲渡損益を申告することにより、複数証券会社の損益通算を行うことができ、余分に支払った税金を取り戻すことができます。
また、損益通算で「マイナス」となった場合は、そのマイナスを3年間繰り越すことができます。
④配当控除
配当についても確定申告を行わなくても良く、納税は証券会社などが行なってくれます。
しかし、国内株式の配当金については、確定申告において「総合課税を選択して確定申告」を行うことにより、配当金に一定率を掛けた金額が所得税や住民税から控除され、税金が戻ってくることがあります。
このことを配当控除と言います。
申告した方が得か損かは、みさなんの総所得金額によって変わってきます。
課税される総所得金額が900万円以下であれば確定申告をした方が得ですが、それ以上の人は余計に税金を収めることになり確定申告しないほうが得ですので、注意が必要です。
②確定申告による節税対策
投資に関する節税以外で、確定申告することにより節税できる主な項目を上げておきます。 みなさんはすでに行なっているものもあると思いますが、参考にしてください。
- ふるさと納税(寄付金控除)
- 住宅ローン控除
- 生命保険料控除・地震保険料控除
- 医療費控除、セルフメディケーション税制
以下は お金の勉強の一貫として、確定申告の勉強に活用できそうなWEBサイトです。参考までにご覧ください。
まとめ:40代はお金の勉強をして老後の不安を解消しよう
40代のお金の勉強方法および老後への備え方について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- 人生設計表にお金の収支を反映したライフプランニングを行い、現状の把握と老後に必要なお金を計算する
- 老後の資金不足を補うために、資産形成に直結する分野にターゲットを絞って情報収集を行い、勉強する
- 40代の投資方法は、それほどリスクが高くない「バランス運用」を目指した運用とし、節税効果のあるNISAやiDeCoを有効活用する
- 資産形成とともに、節税効果がある制度の有効活用を図る
ということでした。
ただし、老後に備えることは大事ですが、そのために40代のみなさんの生きがいや楽しみを我慢するのではなくて、40代の人生を楽しみつつ、老後資金の準備をすることが大切だと思います。
40代の人生と老後の人生、それぞれ100%満足の行く資金を準備することは難しいかもしれませんが、みなさんの人生に悔いが残らないように、早いタイミングでライフプランニング作成から始めてみましょう。
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