


この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 住宅ローンと他のローンはまとめる(一本化)ことはできる?できない?
- 住宅ローンと他のローンをまとめる(一本化)方法とは?
- おまとめローンの利用
- 住宅ローンの借り換え
- 金融機関で相談する
- FP(ファイナンシャルプランナー)に相談する
- 住宅ローンと他のローンをまとめるべきか迷った場合はFPの無料相談を活用しよう
- 住宅ローンと他のローンをまとめる(一本化)メリット
- 金利の引き下げ
- 返済の管理が簡単になる
- 毎月・総返済額の軽減
- 総返済額の削減
- 信用情報の改善
- 精神的な安心感
- 住宅ローンと他のローンをまとめる(一本化)デメリット
- 手数料や諸費用
- 返済期間の延長
- 金利の変動リスク
- 資産の担保化
- 条件の変更が制限される
- 【まとめ】住宅ローンと他のローンはまとめる(一本化)ことはできる?できない?
住宅ローンと他のローンはまとめる(一本化)ことはできる?できない?

住宅ローンと他のローンをまとめる(一本化)方法とは?

下記は、住宅ローンと他のローンをまとめる方法です。それぞれ詳しく解説していきます。
- おまとめローンの利用
- 住宅ローンの借り換え
- 金融機関で相談する
- FP(ファイナンシャルプランナー)に相談する
おまとめローンの利用

現在複数のローンがあり、返済日や返済額の管理で悩んだときは、窓口を1つにまとめられる「おまとめローン」がおすすめです。
「おまとめローン」は、住宅ローンも含めて1つのローンにまとめられるので、毎月の返済額を軽減することが期待できます。
おまとめローンの大きな特徴は以下の4つです。
- 担保を必要としない
- 種類の違うローンも1つにまとめられる
- 目的別ローンより金利が高い
- 追加の借入はできない
ローンが複数あると、それぞれの利息により返済総額が大きくなりますが、おまとめローンを利用すれば、金利が低くなり返済額を減らせる可能性があるのです。
3社でローンを利用していた場合、それぞれの返済額をシミュレーションしてみると、以下のようになっていました。
シミュレーション | 借入額 | 返済額 | (返済期間) 返済総額 |
---|---|---|---|
A社(12.5%) | 100万円 | 2.4万円 | (36ヶ月) 121万円 |
B社(3.5%) | 120万円 | 3.2万円 | (36ヶ月) 127万円 |
C社(12.5%) | 40万円 | 1.5万円 | (24か月) 46万円 |
3社の支払額をまとめると、以下のようになります。
- 借入金額の合計:260万円
- 利息の合計:34万円
- 総返済額:2,94万円
- 毎月の返済額:7.1万円
ただし、借入金額金額を金利の低い「おまとめローン」で1本化した場合は、以下のようなシミュレーションとなります。
シミュレーション | 借入額 | 返済額 | (返済期間) 返済総額 |
---|---|---|---|
おまとめローン (0.9%) | 260万円 | 2.3万円 | (120か月) 272万円 |
上記のケースでおまとめローンを利用したときのメリットは、以下のとおりです。
- 適用される金利が「低く」なる
- 利息の総額が22万円「少なく」なる
- 毎月の返済額が4.8万円「安く」なる
ただし、おまとめローンは「目的別ローン」よりも金利が高いため、住宅ローンの返済残額が多いと、金利の違いで損をしてしまう場合もあります。利用しているローンの金利と、おまとめローンの金利を比較し、上手にローンをまとめるのがポイントです。
住宅ローンの借り換え

住宅ローンの借り換えとは、現在の住宅ローンを別のローンに借り替えることで、返済条件の改善を図る方法です。
一般的に借り換え先の金利が借入中よりも低ければ毎月の返済額や総利息額を減らせます。目安として、金利差が約1%以上あると借り換えのメリットが出やすいと言われます。
また、借り換えのメリットとして、金利引き下げによる返済額の軽減が挙げられます。変動金利で返済中の方にとって、借り換えによって固定金利ローンに変更すれば将来の金利上昇リスクに備えることができます。
金融機関で相談する

金融機関で相談するメリットとしては、審査通過の可能性を確認できる点や手続きのサポートが受けられる点が挙げられます。
しかし、相談先の金融機関が提供している住宅ローン商品をメインに提案されるため、「中立的な立場での提案であるか」という点は疑問が残る場合があります。
また、住宅ローンに限定したアドバイスになる場合があるため、中長期的なライフイベントを見据えての提案もできない場合もあるため注意が必要です。
FP(ファイナンシャルプランナー)に相談する

FP(ファイナンシャルプランナー)への相談も、ローンの一本化を検討する上で有効な手段です。FPはお金の専門家として、中立的な立場から家計全体を見渡したアドバイスを提供してくれます。
特に「どの方法が自分にとってベストかわからない」「借り換えやおまとめで本当に得をするのか不安」といった場合、第三者であるプロの意見を聞くことで最適な判断がしやすくなるでしょう。金融機関ごとの条件比較や、借り換えによる総返済額の試算などは、専門知識がないと難しい場合があります。
FPであれば各社のローン商品や金利動向に精通しており、自身で調べきれない情報まで踏まえた提案が可能です。また、住宅ローンやおまとめローンに強い独立系FPであれば、特定の金融機関に偏らない中立的なアドバイスが受けられるため安心です。
住宅ローンと他のローンをまとめるべきか迷った場合はFPの無料相談を活用しよう

住宅ローンと他のローンをまとめるべきか迷ったら、FPの無料相談サービスを活用してみましょう。プロの視点からアドバイスを受けることで、損のない最適な選択肢が見えてきます。中でも、マネーキャリアは相談実績が10万件以上と豊富で、満足度の高いFP相談サービスとして知られています。
公式サイトから予約すれば、提携するプロのFPにオンラインや対面で気軽に相談が可能です。

住宅ローンと他のローンをまとめる(一本化)メリット

住宅ローンと他ローンをまとめるメリットは、以下の6つです。
- 金利の引き下げ
- 返済の管理が簡単になる
- 毎月・総返済額の軽減
- 総返済額の削減
- 信用情報の改善
- 精神的な安心感
こうしたオーバーローンにより、住宅ローンの支払いが滞ってしまわないよう、返済額が増えてきたら住宅ローンの借り換えを検討すべきです。
金利の引き下げ
住宅ローンに他のローンをまとめるメリットの一つが金利負担の引き下げです。住宅ローンの金利は低く、変動型なら年0%台後半〜1%台前半が一般的です。
一方、銀行のカードローンやクレジットカードのリボ払いでは年10〜15%前後の高金利になるのが普通。マイカーローンや教育ローンも一般に年数%台の金利がかかり、住宅ローンより割高です。
借入金額が同じでも、ローンの種類によって支払う利息額には大きな差が生じます。近年は住宅ローン金利が歴史的低水準(1%未満)で推移しており、この金利差によるメリットは一層大きくなっています。
金利差が大きいほど、複数の高金利債務を抱えた場合に利息ばかり払い続ける悪循環に陥りがちです。しかし住宅ローンの低金利で借り換えれば、その悪循環を断ち切ることができます。
返済の管理が簡単になる
ローンを一本化すると返済の管理が格段に簡単になります。借入先が複数ある場合、それぞれ返済日や引き落とし口座が異なり、資金を用意するタイミングもバラバラです。
例えば「カードローンは毎月5日、クレジットカードは10日、住宅ローンは25日」のように返済日が散らばっていると、うっかり支払いを見落としてしまうリスクも高まります。
実際、返済日が月に複数あると管理が煩雑になり、入金忘れによる延滞が起きやすくなると指摘されています。一本化すれば返済日は月1回に集約でき、いつ・いくら支払うか把握しやすくなるため入金忘れを防止できます。
延滞を避けられれば、遅延損害金など余計な支出を防ぎ、信用情報に傷を付けずに済みます。
毎月・総返済額の軽減
ローンを一本化すると、毎月の返済額を抑えることができます。返済期間を住宅ローン並みに長期に見直すことで、月々の支払い負担が大幅に軽減されるためです。
例えば、3,000万円の住宅ローンと300万円のマイカーローン、200万円の教育ローンを別々に返済しているケースでは、月々の返済額は合計で約16.3万円になります。
しかし、一本化して3500万円を住宅ローン(40年・金利1%)で借り直すと、月々の返済額は約8.8万円まで下がり、半分近くに減ります。返済額が半減すれば収入に占める返済負担率も大きく低下するのです。
手取り月収が30万円の場合、16.3万円の返済は収入の約54%を占めますが、8.8万円なら約29%にまで下がります。負担率が下がれば、家計への圧迫も和らぐでしょう。
総返済額の削減
ローンの一本化は、結果的に総返済額(支払総額)を減らすことにもつながります。低金利になれば支払利息が減る分、最終的に支払う総額を抑えられるからです。高金利の借入を低金利に切り替えるだけでも、利息に対する支出は大幅に削減できます。
100万円を借りたケースでは、年15%で返済した場合の総返済額は約142万円(利息約42万円)ですが、年1%なら総額約105万円(利息約5万円)で済み、約37万円もの差が生じます。つまり、一本化によって利息負担を減らせれば、その分だけ支払総額を小さくできるのです。
さらに、一本化後も可能な限り計画的に返済を続けることで、支払総額の削減効果は一段と高まります。毎月の返済額に余裕ができたら、繰上げ返済(臨時の追加返済)を積極的に活用しましょう。一本化前と同じ月々の返済額を維持すれば、借入残高を当初の計画より早いペースで減らせるため、完済時期を大幅に繰り上げられます。
信用情報の改善
複数の借入を整理して滞りなく返済を続けることは、個人の信用情報(クレジットヒストリー)を改善する効果も期待できます。借金を一本化すると、借入件数が減り返済比率(年収に対する返済負担割合)が下がれば、信用情報の評価が改善されるとされています。
実際、ローンやクレジットの審査では「他社借入が多い」「借入残高が年収に比して過大」といった状況はマイナス要因となるため、一本化によってこれらの懸念を解消できれば審査上有利になるでしょう。
さらに、おまとめローンは貸金業法の総量規制(年収の1/3までの貸付制限)の例外貸付に該当するため、借入残高が年収の3分の1を超えていても利用できます。一本化で総量規制の制約をクリアできれば、今後の融資余力も高まるはずです。
精神的な安心感
ローンの一本化がもたらす精神的な安心感も無視できないメリットです。借金が複数ある状況は、常に返済のことが頭から離れず、大きなストレスになります。「今月はどの支払いが残っているか」「残高は減っているのか」など気が休まらない日々を送っている方も多いでしょう。
しかし、借入を一本化して返済計画を立て直せば、不安は大きく和らぎます。返済管理がシンプルになることで心理的な負担が軽減され「このまま返済を続ければ完済できる」という見通しが立つため、精神的にも余裕が生まれるのです。借金に追われるプレッシャーから解放され、睡眠や仕事への集中力が改善したという声もあります。
また、返済への不安が和らぐことで家族との時間にも心穏やかに向き合えるようになるなど、生活全般に良い影響が及ぶでしょう。
住宅ローンと他のローンをまとめる(一本化)デメリット

住宅ローンと他ローンをまとめるデメリットは、以下の5つです。
- 手数料や諸費用
- 返済期間の延長
- 金利の変動リスク
- 資産の担保化
- 条件の変更が制限される
手数料や諸費用
複数のローンをまとめるには、新たな借り換えやローン契約が必要になるため、各種手数料や諸費用が発生します。その額は決して小さくなく、住宅ローンの借り換え時には借入額の約3%程度の諸費用がかかるのが一般的とも言われています。
住宅ローン借り換え時の諸費用は約30万〜80万円とかかるケースもあり、現在利用中のローンを完済する際には全額繰上返済手数料や抵当権抹消登記の費用(司法書士への報酬や登録免許税)が必要です。
また、新たにローンを組む際にも事務手数料や保証料、契約書に貼付する印紙税、住宅ローンとして一本化する場合は抵当権設定費用など、さまざまな初期費用が発生します。
こうした費用は数十万円単位になる場合も多く、コストを支払ったうえで一本化するメリットがあるか慎重に見極めることが重要です。
返済期間の延長
新たなローンの返済期間を長めに設定すると、毎月の返済負担を軽減できます。確かに月々の支払い額は減りますが、その代わりに返済期間が延びれば長期間にわたり利息を支払い続けることになるため、最終的な総返済額は増加してしまう点に注意が必要です。
例えば、残り返済期間20年・年利1%の住宅ローン3,000万円を、返済期間30年で借り換えて一本化したとしましょう。毎月の返済額は約13.8万円から約9.7万円と大幅に減少しますが、総利息支払額は約310万円から約474万円へと増加し、約160万円も利息負担が増える計算になります。
このように、返済期間を延長すれば利息総額が増えてしまい、月々の軽減効果と相殺されてトータルでは損となる場合もあるのです。
金利の変動リスク
ローンをまとめる際には、適用金利の種類にも注意が必要です。一本化のために借りるローンを変動金利で契約した場合、将来的に金利が上昇すると返済額も増加するリスクがあります。
現在は低金利でも、今後市場金利が上がれば月々の返済額や総利息負担が当初の試算より大きくなり「思っていたより支払いが増えてしまった」という事態になりかねません。 特に、もともと固定金利で安定していた住宅ローンを変動金利のローンに借り換えて一本化すると、金利変動リスクに晒される点に注意しましょう。
逆に、一本化後のローンを固定金利にすれば将来の金利上昇リスクは抑えられますが、その場合は当初の金利水準が変動型より高めになるため、月々の返済額が思ったほど減らない可能性もあります。金利タイプ選びは、一本化によるメリット・デメリットを大きく左右する重要ポイントです。
資産の担保化
ローンを一本化する方法によっては、自宅などの資産を担保に提供しなければならないケースがあります。
特に、住宅ローンに他のローンをまとめる(住宅ローンを借り換えて一括で他債務を返済する)場合、新たな住宅ローンには引き続き自宅が担保として充てられます。一方、銀行の「おまとめローン」等では担保不要の商品もありますが、その分金利が高めに設定される傾向です。
無担保の借入(カードローンやフリーローンなど)を住宅ローンにまとめてしまうと、それら本来担保のない借金にも自宅という担保が付く形になります。つまり、一本化後のローンの返済が滞った場合、従来であれば資産を失うリスクが低かった債務についても、最悪の場合は自宅を失うリスクが生じてしまうのです。
クレジットカードの残債などは延滞しても即座に自宅が差し押さえられることは通常ありませんが、住宅ローンに組み入れてしまうと返済不能時には競売などでマイホームを手放さざるを得なくなる可能性があります。
条件の変更が制限される
ローンをまとめて一本化すると、その後で契約条件の変更を柔軟に行いにくくなる点にも注意が必要です。一度まとめたローンの返済条件(返済期限や金利タイプなど)を見直したり変更したりしたい場合、再度新たな借り換え手続きをする必要があり、手軽には行えません。
複数のローンを別々に抱えていたときは、状況に応じて一部のローンだけ繰上返済したり、金利タイプを変更したりといった柔軟な対応が可能でした。しかし、一本化してしまうと、ローン全体をひとまとめの契約として扱うことになるため、部分的に条件を調整することが難しくなります。
また、住宅ローンをおまとめローンに借り換えた場合、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けられなくなる可能性もあります。おまとめローンは住宅購入資金という目的のローンではないため税制優遇の対象外となるケースがあるのです。
【まとめ】住宅ローンと他のローンはまとめる(一本化)ことはできる?できない?

住宅ローンと他のローンを一つにまとめることは基本的には容易ではなく、原則としてできないと考えましょう。住宅ローンやマイカーローンなどは本来それぞれ目的が異なるため、同じローンに一本化することは一般的にはできません。
現実的な手段としては、銀行やローン会社の提供する「おまとめローン」を利用して借り換え、複数の債務を一括返済する方法になります。しかし、おまとめローンには手数料負担や金利上昇のリスクなど様々なデメリットがあるのです。
お金の専門家であるFPに相談すれば、自分の状況に合った最適な返済方法について中立的なアドバイスが得られます。特に、ローンの一本化や借り換えに迷ったら、一人で悩まずプロに相談することをおすすめします。
住宅ローンや家計の見直しについてプロの意見を聞きたい人は、ぜひお気軽に「マネーキャリア」の無料相談を活用してみてください。マネーキャリアには、住宅ローン診断士が在籍しています。無料相談への登録は、たったの1分で完了するので、ぜひ気軽に利用し、上手な支払負担の軽減を目指してみてください。
