内容をまとめると
- レンタサイクル事業の需要は高まっている
- 自転車による事故は年々増加傾向にある
- 万が一、事故を起こすと保険でなければ賄えない賠償額が下ることがある
- レンタサイクル事業者向けの協会や保険会社が存在する。
- 市町村によっては事業をおこなうには保険加入が義務となっている
レンタサイクル事業者は、不特定多数の人が自転車を利用するため、第三者や第三者の物を傷つけるリスクが高い事業と言えます。そのためレンタサイクル事業者は、レンタサイクル賠償保険(施設賠償責任保険)などの損害保険に加入することをおすすめします。
この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
レンタサイクル事業を取り巻くリスク
企業を取り巻くリスク
レンタサイクルやシェアリングできる乗り物を利用する方がかなり増えています。それに伴い、レンタサイクル事業を観光地で始める事業も増えています。
レンタルサイクルやシェアサイクル事業をおこなう上で考えられるリスクとして
- 利用者が他人に怪我を負わせた。
- 事業者である自社の不備で利用者が他人に害を与えてしまった。
- 貸した自転車が盗難被害などにあった。
①利用者が第三者を傷つけるリスク
レンタルサイクルで最も心配となるのが利用者が第三者を傷つけるリスクです。他にも、第三者の財物を破壊してしまうリスクもあります。
日本損害保険協会が発表している2023年8月時点での資料によると2022年の自転車が関係する事故の件数は6万9千985件です。
これは交通事故に占める割合の約23%となります。
自転車事故の割合は、2017年から増加傾向にあると記載があるように、レンタルサイクルも例外とは言えず、下記のようなリスクが考えられます。
- 貸出した自転車のブレーキが壊れており、人や物に衝突して、怪我を負ってしまった。
- 借りた人が運転ミスにより、民家を壊してしまった。
- 借りた人が歩行者に接触事故を起こして、怪我を負わせてしまった。
- 自転車の整備不良により、チェーンの脱落やタイヤのパンクによって、利用者の服やカバンを汚損してしまった。
②自転車の盗難や火災などにより破損するリスク
レンタルサイクルの事業として考えられるリスクとして、火災や風災などの自然災害によるリスクです。
- 保管場所が台風によって損傷し、それが原因で自転車が破損してしまった。
- 火災によって、自転車が焼失してしまった。
- 台風の中、自転車を運転していたが、自転車の部品が破損してしまった。
- 施錠して保管していた自転車が、鍵を壊され盗まれた。
- 貸出中に駐車していたが、盗難にあってしまった。
自転車事故による賠償事例
ここでは実際の自転車事故による賠償事例を紹介します。
事例として3つほど紹介します。
- 当時小学生が無灯火で走行中に62歳の女性と接触した。
- 男子高校生が交通違反を起こし、24歳の男性と自転車同士の接触してしまった。
- 信号無視をした男性と歩行中の55歳の女性と接触、相手は死亡。
レンタサイクル事業者におすすめの損害保険
自転車は自動車のように免許もいらず、誰でも気軽に運転ができることから便利な移動手段として、多くの人に利用されています。
旅先や町中のちょっとした移動手段として、レンタルサイクルやシェアサイクル事業を始める場所も多いようです。
レンタルサイクル事業にはタクシー事業などと違い、資格や免許も必要ない為、始める事自体はハードルが低いです。
しかし、事業としておこなう以上、いざという時の為にも、保険への加入をおすすめします。
おすすめの保険としてあげられるのが下記です。
- レンタルサイクル賠償保険
- 施設賠償責任保険
- 火災保険
①レンタサイクル賠償保険
まずはレンタサイクル賠償保険です。
こちらはレンタサイクルで
- 借りた自転車によって他人に怪我を負わせた。
- 借りた自転車で他人の物を破損してしまった。
- 整備不良が原因でブレーキが壊れており、第三者に怪我を負わせた。
- 自転車の安全点検に不備があり、第三者の財物を損壊してしまった。
②施設賠償責任保険
合わせて加入を考えたいのが、施設賠償責任保険です。
こちらはレンタサイクル事業の施設内や事務所において、従業員などの不手際や、施設の不備によって、利用者や第三者が怪我をしてしまった場合に損害賠償をする必要がでます。
その損害賠償金を保険金として、支払うのが施設賠償責任保険です。
例として
- 事務所に来店した、お客様が床が滑りやすい状態で放置していたことにより、転倒して怪我を負った。
- 施設内にて、施設の柱が飛び出ており、利用者がぶつかり怪我を負った。
- 故意に事故を起こした。
- 施設外での管理による自転車の事故
- 同居の親族からの損害賠償請求など
③法人向け火災保険
上記2点は他人への賠償責任に対する補償についてでした。
しかし、レンタサイクル事業をおこなう上で、必要となるのが火災保険です。
火災保険には主に、建物に対する補償と、備品など財物に対する補償があります。これらは賠償責任保険では賄うことができませんので、別途、火災保険に加入する必要があります。
例として
- 事業所施設が火災によって焼失した。
- 台風によって事務所の屋根が破損した。
- 保管していた備品などが盗難にあった。
レンタサイクル事業者が保険に加入する方法
ここからはレンタサイクル事業者が保険に加入する方法を解説します。
レンタサイクル賠償保険は主に事業者向けの団体保険や、保険会社ごとに個別に加入する方法などがあります。
取り扱いをおこなっている団体などは以下があります。
- 一般社団法人自転車安全対策協会
- 保険会社や保険代理店
法人保険の活用事例集
加入がおすすめな保険会社や協会
おすすめの保険会社や団体としていくつか解説をします。
一般社団法人自転車安全対策協会
こちらは2012年に発足し、2014年に一般社団法人として認可を受けた協会です。
この協会ではレンタサイクル事業者向け自転車損害賠償保険(施設所有管理者賠償責任保険)という保険の取り扱いをしています。
こちらの保険は先程、紹介したレンタサイクル賠償保険と内容は近く、特徴として
- 6台未満までの契約は保険料は一律。
- 6台以降は1台ごとに一定保険料を加算。
- 補償は対人・対物共に1億円が限度。
- 免責金額は0円。
- 電話での加入が可能。
京都市では保険加入が義務化されている
個人の自転車利用に関して、保険加入を義務化している市町村は多くあります。
しかし、京都市ではそれに加え、業務で自転車を利用する事業者や、レンタサイクル事業者にも保険加入が義務化されています。
義務化の内容として事業者には
- 従業員や借主が他人に怪我や損害を与えた場合の補償する保険への加入。
- 借主に対して、その保険の周知、情報提供。
まとめ:レンタサイクル事業者におすすめの保険
ここまでレンタサイクル事業者に必要な保険について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
この記事のまとめとして
- レンタサイクル事業の需要は高まっている。
- 自転車による事故は年々増加傾向にある。
- 万が一、事故を起こすと保険でなければ賄えない賠償額が下ることがある。
- レンタサイクル事業者向けの協会や保険会社が存在する。
- 市町村によっては事業をおこなうには保険加入が義務となっている。
- 事業者が借主への責任を負うリスク
- 借主が第三者へ負うリスク
- 事業者の財物や事業所へのリスク