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この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 40代で貯金2000万円は少ないって本当?
- 40代の貯金額の平均を世帯別に紹介
- 世帯の年収別
- 単身世帯の年収別
- 二人以上の世帯の年収別
- 老後の資金は2000万では少ない!理想の貯金額と収支の実態を紹介
- 生活資金の平均は夫婦250,959円・単身者145,430円
- 住宅資金の平均は夫婦16,827円・単身者12,564円
- 収入の平均は夫婦244,580円・単身者126,905円
- ゆとりある老後を目指すなら、理想の貯蓄額はおよそ4,000万円
- 40代で貯金2000万に達するための6つのステップ
- 貯めたい金額と期間を明確化する
- 現在の収支を把握する
- 支出を見直す
- 生活用と貯蓄用の口座に分ける
- 貯金は先取りする
- ライフプランをたてる
- 40代で貯金2000万を達成するための6つの手段
- ポイ活
- 株式投資
- 投資信託
- 債券投資
- 財形貯蓄制度
- 積立保険
- 40代の貯金に関するよくある質問
- 貯金2000万円で何年暮らせますか?
- 貯蓄2000万円超えたら税金はかかりますか?
- 40代なら貯金2000万越えを目指そう【まとめ】
40代で貯金2000万円は少ないって本当?
40代で貯金2,000万円は、全世帯の貯金額を考慮すると、多いといえます。
金融広報中央委員会が実施した令和5年度の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、40代が2,000万円以上の金融資産を保有している割合は、2000~3000万未満で5.1%、3000万円以上で6.0%でした。
このことから、40代で貯金2,000万円保有しているのは、多いことがわかります。
2000~3000万円未満 | 3000万円以上 | |
---|---|---|
総世帯 | 5.1% | 6.0% |
単身世帯 | 4.3% | 4.3% |
二人以上の世帯 | 5.3% | 6.5% |
40代の貯金額の平均を世帯別に紹介
40代の貯金額の平均値は、単身者だけの世帯で964万円、二人以上の世帯で1236万円、総世帯では1181万円でした。
平均値とは、すべての数字を足して合計し、個数で割った数値のことです。外れ値の影響を受けやすいため、貯蓄がずば抜けて高額な世帯があると、数値が上がりやすくなります。
一方、中央値とは、すべての数値を大きさ順に並べ、ちょうど真ん中になる値です。
外れ値が大きいと、平均値と中央値が大きくなるため、すべてのデータの真ん中の数値を知りたい場合は、中央値で確認しましょう。
世帯の年収別
世帯別で見る40代の貯金額は単身世帯で964万円、二人以上の世帯で1236万円です。
下記の表で確認すると、平均値と中央値に大きな差があります。
金融資産保有額
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
総世帯 | 1,181万円 | 500万円 |
単身世帯 | 964万円 | 500万円 |
二人以上の世帯 | 1,236万円 | 500万円 |
単身世帯の年収別
世帯年収別で見ると、より包括的な経済状況が見えてきます。
下記の表で確認すると、単身世帯では、年収300万円未満での金融資産保有額は387万円、300~500万円未満では500万円、500~700万円未満で1,000万円です。
年収 | 平均値 | 中央値 |
---|---|---|
300万円未満 | 1,095万円 | 387万円 |
300~500万円未満 | 1,422万円 | 500万円 |
500~750万円未満 | 2,306万円 | 1,000万円 |
750~1,000万円未満 | 3,974万円 | 2,380万円 |
1,000~1,200万円未満 | 1,162万円 | 1,000万円 |
1,200万円以上 | 18,712万円 | 4,948万円 |
二人以上の世帯の年収別
二人以上の世帯の年収別の金融資産保有額では、単身世帯と比較すると中央値が少ない傾向があります。
これは、教育費や食費など単身世帯と比べると、支出が多いためと考えられます。
また、世帯年収は、共働きの有無や副業収入の存在など、様々な要因で構成されています。
世帯主の年収が同じでも、配偶者の収入状況や扶養家族の数によって、実質的な貯蓄能力は大きく変わってきます。
このため、世帯の状況に応じた柔軟な資産形成戦略が求められます。
全世代・年収別の金融資産保有額(金融資産保有世帯)二人以上の世帯
年収 | 平均値 | 中央値 |
---|---|---|
300万円未満 | 618万円 | 50万円 |
300~500万円未満 | 1,051万円 | 274万円 |
500~750万円未満 | 1,193万円 | 400万円 |
750~1,000万円未満 | 1,681万円 | 850万円 |
1,000~1,200万円未満 | 2,400万円 | 1,280万円 |
1,200万円以上 | 3,892万円 | 1,500万円 |
老後の資金は2000万では少ない!理想の貯金額と収支の実態を紹介
老後2000万円問題と言われていますが、結論からいうと、貯金2000万円では、ゆとりのある老後は送れません。
老後の生活設計を考えるうえで、2000万円の貯蓄額が十分かどうかは、さまざまな要因を考慮する必要があります。
収入と支出のバランス、予想される生活期間、想定外の出費など、具体的な数字を見ながら検討していきましょう。
生活資金の平均は夫婦250,959円・単身者145,430円
65歳以上の無職世帯の毎月の生活資金は、夫婦世帯で250,959円、単身者で約145,430円です。
65歳以上の月平均の消費支出
夫婦のみの無職世帯(円) | 単身無職世帯(円) | |
---|---|---|
食料 | 72,930 | 40,103 |
住居 | 16,827 | 12,564 |
光熱・水道 | 22,422 | 14,436 |
家具・家事用品 | 10,477 | 5,923 |
被服および履物 | 5,159 | 3,241 |
保健医療 | 16,879 | 7,981 |
交通・通信 | 30,729 | 15,086 |
教育 | 5 | 0 |
教養娯楽 | 24,690 | 15,277 |
その他の消費支出 | 50,839 | 30,821 |
諸雑費 | 19,835 | 13,803 |
交際費 | 24,230 | 15,990 |
仕送り金 | 969 | 1,010 |
非消費支出 | 31,538 | 12,243 |
住宅資金の平均は夫婦16,827円・単身者12,564円
65歳以上の住宅資金の平均は夫婦のみ無職世帯で16,827円、単身無職世帯で12,564円です。老後の住宅資金の平均は、住宅に関する支出は、持ち家か賃貸かで大きく異なります。
二人以上の世帯のうち、65歳以上の無職世帯の持ち家率は、94.1%と高く、ほとんどが持ち家です。
収入の平均は夫婦244,580円・単身者126,905円
老後の収入源として最も重要なのが年金です。
65歳以上の無職世帯の平均収入
夫婦のみ世帯(円) | 単身世帯(円) | |
---|---|---|
実収入合計 | 244,580 | 126,905 |
勤め先収入 | 4,975 | ― |
世帯主の配偶者の収入 | 4,975 | ー |
事業・内職収支 | 4,703 | 973 |
社会保障給付 | 218,441 | 118,230 |
仕送り金 | 860 | 838 |
夫婦の場合、社会保障給付は月額218,441円、単身者で118,230円が平均的な受給額となっています。
これに加えて、個人年金や資産運用からの収入、パートタイム収入なども考えられます。
また、収入のうち、自由に使うことができる可処分所得から支出を差し引くと、毎月、無職夫婦のみ世帯で37,917円、無職単身世帯で30,767円の赤字になります。
65歳以上の無職世帯の平均的な収支額
夫婦のみの世帯(円) | 単身世帯(円) | |
---|---|---|
可処分所得 | 213,042 | 114,663 |
支出 | 250,959 | 145,430 |
黒字 | -37,917 | -30,767 |
ゆとりある老後を目指すなら、理想の貯蓄額はおよそ4,000万円
老後25年間を想定した場合、ゆとりある生活を送るためには約4,000万円の貯蓄が望ましいとされています。
生命保険文化センターが2022年度におこなった「生活保障に関する調査」では、夫婦二人がゆとりのある生活を送るには、平均379,000円必要な試算を出しました。
仮に379,000円で生活するとしたら、夫婦二人の収入が244,580円であった場合、月に134,420円の赤字になります。
毎月この赤字が25年続いた場合、40,326,000円必要です。
40代で貯金2000万に達するための6つのステップ
ここでは、40代で貯金2000万円達成するための具体的な方法を6つのステップにしてお伝えします。
- 貯めたい金額と期間を明確化する
- 現在の収支を把握する
- 支出を見直す
- 生活用と貯蓄用の口座に分ける
- 貯金は先取りする
- ライフプランをたてる
では、具体的な方法をチェックしていきましょう。
貯めたい金額と期間を明確化する
まずは、資産形成のために目標を設定しましょう。
現在の貯蓄額から目標額までの差額を算出し、それを達成するための期間を設定します。
- 貯蓄1000万円の場合
(目標額)2000万円-(貯蓄額)1000万円=(残り)1000万円 - 10年で貯めたい場合
(目標額1000万円)÷10年÷12ヵ月=83,333.333333……円
現在の収支を把握する
現在の収支を把握するため、家計簿をつけましょう。スマートフォンの家計簿アプリやエクセルを使って、過去3ヵ月分の収支を詳細に分析します。
特に、定期的な収入(給与、副収入など)と固定費(住居費、光熱費、保険料など)の把握は重要です。
これにより、実際に貯蓄に回せる金額が明確になり、より現実的な計画が立てられます。
支出を見直す
現在の収支が把握できたら、その結果をもとに支出を見直しましょう。
サブスクリプションサービスの見直し、食費の見直し、通信費の見直しなどが効果的です。
特に、習慣化している支出(毎日のコーヒー代やランチ代やコンビニでの支出など)は、年間で考えると大きな金額になることがあります。
生活用と貯蓄用の口座に分ける
口座の使い分けは、確実な貯蓄を実現する基本テクニックです。
給与振込口座とは別に貯蓄専用の口座を設け、給与日に即座に必要額を振り分けます。
特に、高金利の銀行口座やインターネットバンクの活用も検討価値があります。
貯金は先取りする
給与振込日に自動的に貯蓄口座へ振り分けできるように設定しましょう。
先に貯蓄分を確保すると、毎月、決めた額を着実に積み立てられます。
これは、「支出から考える」のではなく「貯蓄から考える」という発想の転換です。
例えば、毎月の給与から20%を自動的に貯蓄に回すように設定すれば、残りの80%で生活する意識が自然と身についていきます。
ライフプランをたてる
長期的な視点での資産形成には、具体的なライフプランが不可欠です。
今後予想される大きな支出(住宅購入、子どもの教育費、車の購入など)をリストアップし、それぞれの時期と必要額を見積もります。
また、定年後の生活設計や、万が一の場合の保険などもこの段階で検討します。
ライフプランは、定期的な見直しと調整を行い、より現実的な計画となります。
40代で貯金2000万を達成するための6つの手段
40代で貯金・貯蓄2000万円を達成するための6つの手段をご紹介します。
- ポイ活
- 株式投資
- 投資信託
- 債券投資
- 財形貯蓄制度
- 積立保険
資産形成は、リスクとリターンのバランスを考慮しながら、自分に合った方法を選択することが重要です。
必ず、無理のない範囲でおこないましょう。
ポイ活
ポイント活用は、日常生活の支出をそのままポイント還元の形で資産に変える効果的な方法です。
クレジットカードのポイント、電子マネーのキャッシュバック、ポイントサイトの活用など、複数の仕組みを組み合わせると、年間で数十万円規模の節約も可能です。
特に、高還元率のクレジットカードと相性のよいポイントサイトを組み合わせることで、相乗効果が期待できます。
株式投資
株式投資は、長期的な資産形成の有効な手段の一つです。
株式会社が発行する株式を購入すると、その株価が上昇した場合、利益が得られます。
優良企業の株式を中心に、業種や地域で分散を図りながら、定期的な積立投資をおこなうことがおすすめです。
株式投資のデメリットは、リスクが大きいことです。
100株ごとに売買されているため、投資する際は、ある程度まとまった資金が必要になります。
投資信託
投資信託は、投資家たちから集めた資金で投資の専門家が運用するため、少ない資金でも分散投資ができるメリットがある金融商品のことです。
国内外の株式や債券にバランスよく投資できるバランスファンドや、定期的な分配金が期待できるインカムファンドなどが人気です。
例えば、アメリカの代表的な指数であるS&Pに連動するように運用されているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)や全世界に投資できるeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)などがあります。
債券投資
債券投資とは、国や企業が発行する債券を購入することで、保有しているときには利息がもらえ、償還時には元本が返還されます。
債券投資するメリットは、利払いと償還日が決まっているので、比較的安全性が高い点です。そのため投資初心者にはおすすめの投資方法です。
しかし、安全性が高い分、大きなリターンは見込めません。
財形貯蓄制度
財形貯蓄制度は、企業に勤める者が賃金から天引きで事業主を通じて積み立てる制度のことです。
財形貯蓄制度には、一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の3つの制度があります。
それぞれ下記のとおり、詳細を表にまとめたので、確認しましょう。
財形貯蓄制度
年齢 | 目的 | 期間 | 非課税措置 | |
---|---|---|---|---|
一般財形貯蓄 | 年齢制限なし | 使い道自由 複数契約可能 | 3年以上 | なし |
財形年金貯蓄 | 55歳未満 | 60歳以上で年金で受け取れる | 5年以上 | 財形住宅貯蓄と合わせて550万円まで |
財形住宅貯蓄 | 55歳未満 | 持ち家取得 または持ち家の増改築 | 5年以上 | 財形住宅貯蓄と合わせて550万円まで |
※財形年金貯蓄のうち、郵便貯金、生命保険または損害保険の保険料、生命共済の共済掛金、簡易保険のかけ金などにかかるものは払込ベースで385万円
積立保険
積立保険とは、貯蓄性のある保険のことで、途中解約した場合は解約保険金が受け取れ、満期時には満期保険金が受け取れるものもあります。
具体的には、終身保険や養老保険、個人年金保険、学資保険などが該当します。
積立保険を利用するメリットは、支払った保険料より受け取る保険金の方が多くなる場合があったり、貯蓄をしながら万が一のリスクにも備えられたり、解約返戻金を担保にお金を借りれる契約者貸付制度が利用できる場合があります。
ただ、かけ捨ての保険より保険料が高く、早期に解約した場合や固定金利タイプの場合、元本割れするリスクがあります。
40代の貯金に関するよくある質問
資産形成や老後資金に関するよくある質問を紹介します。
- 貯金2000万円で何年暮らせますか?
- 貯蓄2000万円超えたら税金はかかりますか?
貯金2000万円で何年暮らせますか?
貯金2000万円で暮らせる年数は、月々の生活費や収入源によって大きく変動します。
例えば、月々の支出が30万円で年金収入が15万円の場合、差額の15万円を貯金から補填すると仮定すると、約11年分の生活費となります。
実際の生活期間は、資産運用の方法や医療費の発生状況、介護の必要性など、さまざまな要因によって変動します。
また、予期せぬ支出に備えて、一定額は手元に残しておく必要があることも忘れないようにしましょう。インフレによる物価上昇も考えると、2000万円は必ずしも十分な金額とはいえない可能性があります。
貯蓄2000万円超えたら税金はかかりますか?
貯蓄額自体に対する課税はありません。
預金利息や投資収益には税金が発生します。具体的には、預金利息には20.315%の源泉分離課税が、株式の配当金や売却益には所得税と住民税と復興特別所得税で20.315%の課税がされます。
ただし、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用すれば、一定額までの運用益を非課税にできます。
これらの制度をうまく組み合わせることで、税負担を軽減できます。
また、相続時の税金に関しては別途検討が必要です。2000万円を超える資産を次世代に引き継ぐ際は、生前贈与や相続税の基礎控除額を考慮した計画的な相続対策が重要です。
40代なら貯金2000万越えを目指そう【まとめ】
まとめると、40歳で2000万円の貯金は、全世帯の平均と比較すると多い水準にあたります。統計によれば、40代で2000万円以上の金融資産を保有している世帯は全体の約11%程度です。
40代の平均貯金額は、単身世帯で964万円、二人以上の世帯で1236万円となっています。ただし、これは平均値であり、中央値は両世帯とも500万円と大きな開きがあります。
老後の生活を考えると、夫婦世帯の毎月の支出は約25万円、単身世帯で約14.5万円かかります。年金収入だけでは赤字となるため、ゆとりある老後生活するには、約4000万円の貯蓄が理想的とされています。
40歳で2000万円達成のための戦略
- 収支の把握と支出の見直し
- 生活用と貯蓄用の口座分け
- 給与日の自動振り分けによる確実な貯蓄
- 投資や保険などによる資産形成