

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 貯金1000万円を超えたら銀行に置いておくのは危険な理由
- インフレで資産が目減りする恐れがある
- 銀行の破綻時に預金の一部を失う恐れがある
- ゆうちょ銀行では1300万円以上の預金は無利子になる
- 貯金1000万円を超えたら実践するべき3ステップ
- 預金口座を分散させる
- 使う資金と貯める資金を分ける
- 余剰資金を運用で増やす
- 貯金1000万円を有効活用するためのおすすめ資産運用法
- NISA
- 個人向け国債
- 貯蓄型保険
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 貯金1000万円を超えた場合の対応は専門家(FP)に無料相談がおすすめ
- 貯金1000万円に関するよくある質問
- 貯金が1000万円を超えると税金がかかりますか?
- 貯金1000万円はすごいですか?
- 貯金1,000万円を超えている人の割合は?
- 貯金1000万円を超えたら守る・活かす・増やす視点を持とう!【まとめ】
貯金1000万円を超えたら銀行に置いておくのは危険な理由
貯金が1000万円を超えると、銀行に預けたままでは資産価値が減るリスクがあります。
理由は以下3つです。
インフレで資産が目減りする恐れがある
銀行に預けるだけでは、資産の価値が相対的に下がる可能性があります。
物価が上がる一方で、預金の利率はほぼ変わらないためです。
例えば、物価が毎年2%上昇すると、100万円で買えたものが1年後には102万円必要になります。
しかし、預金の利率が0.1%だとしたら、100万円を預けても1年後に100万1,000円にしかなりません。
これでは、実質的にお金の価値が減ってしまいます。
なお、インフレとは、インフレーションの略で、物価が上昇することを指します。
銀行の破綻時に預金の一部を失う恐れがある
銀行が破綻すると、預金のすべてが保証されるわけではありません。
金融機関が破綻した場合、保証されるのは元本1000万円と破綻日までの利息のみです。
1000万円を超える部分は保証対象外のため、銀行の経営状況によっては引き出せなくなる可能性があります。
この仕組みは"預金保険制度"、いわゆるペイオフと呼ばれています。
ゆうちょ銀行では1300万円以上の預金は無利子になる
ゆうちょ銀行の場合、通常貯金の預入限度額は1,300万円・定期性貯金も1,300万円まで預けられ、合計2,600万円が上限です。
通常貯金が1,300万円を超えると、超過分は自動的に無利子の振替口座へ移されます。
この振替口座の預り金には利息がつかず、資産形成において非常にもったいない状態です。
そのため、限度額を超えないように管理することが重要です。
また、ゆうちょ銀行の預金保険制度(ペイオフ)の対象は1,000万円までのため、万が一の破綻リスクを考えると、ほかの銀行と同様に分散管理が重要です。
貯金1000万円を超えたら実践するべき3ステップ
貯金1000万円を超えたらするべき3つのステップを紹介します。
預金口座を分散させる
まず、預金口座を複数の金融機関にわけることが重要です。
銀行が破綻した場合、預金保護の対象は1000万円とその利息までだからです。
1000万円を超えた預金は保証されないため、分散管理が必要になります。
安全に資産を管理するために、適切な預け方を考えましょう。
使う資金と貯める資金を分ける
使う資金と貯める資金を、明確に分けましょう。
これにより、日常の支出管理と長期的な資産運用がしやすくなります。
まず、急な出費や収入の減少に備え、最低6ヵ月〜1年分の生活費を確保しておきましょう。
すぐに引き出せるよう、給与口座やネット銀行の普通預金を活用すると便利です。
次に、数年以内に使う予定がある教育費・住宅購入資金・家電の買い替え費用などを別に管理します。
預け先は、定期預金など、元本割れせず、必要なときに引き出せる方法を選びましょう。
余剰資金を運用で増やす
余剰資金は、貯金以外の資産運用で増やすことをおすすめします。
投資などを活用することで、インフレ対策と、貯金より高い利回りが期待できるからです。
また、国の制度には、投資の運用益が非課税になったり、所得控除のメリットを受けられたりするものもあります。
ただし、投資にはリスクもともなうため、リスク許容度に応じた運用を考えることが大切になります。
貯金1000万円を有効活用するためのおすすめ資産運用法
貯金1000万円を有効活用するための、おすすめの資産運用方法は以下4つです。
NISA
NISAは、年間360万円・生涯1,800万円までの投資に対する運用益が、無期限で非課税になる制度です。
税負担を抑えながら、無期限で資産運用ができるため、長期的な資産形成に向いています。
注意点は、投資には元本割れのリスクがあることです。
投資した金融商品は、市場の動向によって価値が変動します。
元本割れのリスクをできるだけ抑えるためには、長期・積立・分散投資を心がけることが重要です。
個人向け国債
個人向け国債は、元本割れのリスクなく、銀行預金よりも高い利回りが期待できる金融商品です。
銀行の普通預金に預けた場合の年利は0.1%程度ですが、個人向け国債"変動10年"の年利は0.83%(※)です。(2025年2月時点)
そのため、個人向け国債のほうが効率的に資産形成できるといえます。
資産を安全に運用しながら、少しでも増やしたい場合、個人向け国債は有力な選択肢の一つです。
※参照:個人向け国債|財務省
貯蓄型保険
貯蓄型保険は、保障機能と貯蓄機能を兼ね備えた金融商品です。
代表的な商品としては、養老保険・学資保険・個人年金保険などがあげられます。
万一の際の保障を得ながら、満期保険金や解約返戻金を受け取れる点が特徴です。
貯蓄と保障を同時に得たい場合、貯蓄型保険は有力な選択肢の一つです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金を補完するための、私的年金制度の一つです。
将来の年金を自分で準備しながら、税制優遇を受けられる特徴があります。
掛金の拠出・運用・受取時にそれぞれ非課税メリットがあるので、長期的な資産形成に適しています。
注意点は、原則60歳まで資金を引き出せないことです。
短期間で使う予定の資金を投入しないようにしましょう。
貯金1000万円を超えた場合の対応は専門家(FP)に無料相談がおすすめ
貯金1000万円を超えた場合の対応は、専門家(FP)に無料相談することをおすすめします。
貯金1000万円を超えると、金額の大きさから、資産を守りながら増やす方法を一人で判断するのは難しいからです。
「どんな運用が自分に向いているのか」「リスクを抑えながら資産を増やす方法はあるのか」など、不安を感じる方も多いでしょう。
そんなとき、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談すれば、自分に合った資産管理の方法を整理し、リスクを抑えた運用プランを立てるサポート を受けられます。
貯金1000万円に関するよくある質問
貯金額1000万円に関して、よくある質問は以下3つです。
貯金が1000万円を超えると税金がかかりますか?
1000万円を超えただけでは税金はかかりません。
しかし、利息には税金がかかるので、注意が必要です。
具体的には、利息の20.315%が源泉徴収されるため、実際に受け取れる利息は額面よりも少なくなります。
一方で、NISAやiDeCoを活用して投資をすれば、運用益に税金はかかりません。
貯金1000万円はすごいですか?
「すごい」の感じ方は人それぞれですが、統計的に見るとすごいといえます。
貯金1000万円以上を持つ人は、少数派(※)だからです。
例えば、20代で1000万円を貯められる人は約2.2%で、約45.5人に1人の割合です。
30代では15.6%となり、6.4人に1人程度です。
40代・50代になっても、7割以上の人が1000万円に到達できていません。
このように、貯金1000万円は一般的に高い水準です。
貯金1,000万円を超えている人の割合は?
貯金1000万円以上を持つ世帯の割合は、全年代でみると約3割、正確には28%です。
貯金1000万円以上の 世帯の割合 | 貯金額の平均 | 貯金額の中央値 | |
---|---|---|---|
全体 | 28.0% | 1,184万円 | 230万円 |
20歳代 | 2.2% | 151万円 | 10万円 |
30歳代 | 15.6% | 599万円 | 130万円 |
40歳代 | 21.4% | 811万円 | 180万円 |
50歳代 | 27.8% | 1,212万円 | 200万円 |
60歳代 | 40.0% | 1,862万円 | 530万円 |
70歳代 | 42.4% | 1,683万円 | 650万円 |
※参照:家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和5年調査結果|金融広報中央委員会
世帯主の年齢が上がるほど、貯金1000万円以上を持つ割合が増えることがわかります。
特に、50代を超えると貯金の平均額が1000万円を超えています。
対して、20代〜30代の若い世代では、貯金1000万円以上を持つ世帯は少数派です。
具体的には、20代では2.2%・30代でも15.6%にとどまっており、多くの人が1,000万円には達していません。
また、50代の貯金の平均は1,212万円ですが、中央値は200万円と大きな差があります。
これは、一部の高資産層が平均値を引き上げているためで、実際にはほとんどの人が1,000万円に届いていないことを示しています。
貯金1000万円を超えたら守る・活かす・増やす視点を持とう!【まとめ】
貯金1000万円を超えたら、ただ銀行に預けておくだけではなく、資産を守り・活かし・増やす視点を持つことが大切です。
具体的には、ペイオフ対策のために預金口座を分散させたり、NISAやiDeCoなどの非課税制度を活用した運用を検討したりすることで、資産の成長を目指せます。
とはいえ、一人ですべてを考え、実行するのは簡単ではありません。
次の資産形成のステップに迷う方には、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談をおすすめします。
一般的な情報ではなく、自分の状況に合わせた具体的なアドバイスが受けられます。