

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
育休中に夫の扶養に入るデメリットは?

育休中に夫の扶養に入ることで社会保険料の負担を軽減できる場合がありますが、大きなデメリットはほとんどありません。ただし、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。
まず、扶養に入るには一定の所得制限があり、育休中の収入が基準を超えると認められない可能性があります。具体的には、健康保険の扶養に入る場合、年間収入が130万円未満(企業によっては106万円未満)であることが一般的な条件です。育休手当は非課税ですが、収入としてカウントされるケースもあるため、確認が必要です。
また、一度夫の扶養に入った後、職場復帰して収入が増えた場合は、再び社会保険へ加入し直す手続きが発生します。これにより、手続きの手間が増える点も考慮すべきでしょう。
さらに、扶養に入ることで将来受け取る年金額に影響が出る場合があります。特に厚生年金から国民年金へ切り替わる場合、保険料の負担はなくなるものの、将来の年金受給額が減る可能性もあるため、長期的な視点で判断することが重要です。
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「税法上の扶養」に入るには所得制限がある
扶養には「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があり、それぞれ基準や影響が異なります。税制上の扶養は所得税や住民税の控除に関わるもので、扶養に入ると夫の税負担が軽減されます。
一方、社会保険上の扶養は健康保険や年金に関するもので、対象となると保険料の支払いが不要になります。
種類 | 主な目的 | 条件(年収) | 扶養に入るメリット |
---|---|---|---|
税制上の扶養 | 所得税・住民税の控除 | 48万円以下 (給与収入103万円以下) | 夫の税負担が軽減される |
社会保険上の扶養 | 健康保険・年金の免除 | 48万円以下 (給与収入103万円以下) | 本人の保険料負担なし |
手続きの手間が増える
育休中に「税制上の扶養」に入る場合、いくつかの手続きが必要になります。特に、育休期間中に収入が減り、扶養の条件を満たす場合は、適切なタイミングで申請しなければなりません。
まず、夫の勤務先で「扶養控除等申告書」を提出することが一般的です。この手続きを行うことで、夫の所得税や住民税の負担が軽減されます。申請時期は企業によって異なりますが、年末調整のタイミングで手続きを行うケースが多いです。すぐに適用を受けたい場合は、収入が基準以下になった時点で早めに申請するとよいでしょう。
【結論】育休中に夫の扶養に入ることに大きなデメリットはない!
育休中に夫の扶養に入ることについて、大きなデメリットはほとんどありません。育児休業給付金(育休手当)は、扶養の有無に関係なく支給されるため、安心して受け取ることができます。また、勤務先の社会保険に加入している場合、育休期間中の健康保険料や厚生年金保険料は免除される仕組みがあるため、社会保険上の扶養に入る必要も基本的にありません。
ただし、「税制上の扶養」に関しては、一定の所得制限がある点に注意が必要です。特に、年間給与収入が103万円以下(合計所得48万円以下)であれば、配偶者控除が適用され、夫の税負担を軽減できます。しかし、フルタイム勤務で育休前の収入が多い場合、年収が基準を超えてしまい、扶養に入ることが難しくなります。
育休中のお金の不安は無料FP相談で解決しよう

育休中は収入が減る一方で、育児に関する支出が増えるため、家計のやりくりに不安を感じる方も多いでしょう。さらに、夫の扶養に入るべきかどうか、税制や社会保険の手続きについて悩むこともあるかもしれません。そんなときに役立つのが、ファイナンシャルプランナー(FP)による無料相談です。
FPに相談すれば、扶養に入るかどうかの判断だけでなく、育休中の家計管理や将来のライフプランについてもアドバイスを受けられます。特に「マネーキャリア」では、中立的な立場から一人ひとりに合った解決策を提案。今後のライフイベントを見据えた最適なプランを考えることが可能です。

育休中に夫の扶養に入れる条件・メリットは?
育休中に「税制上の扶養」に入ることで、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる可能性があります。これにより、夫の所得税や住民税が軽減され、家計の負担を抑えられるメリットがあります。
【扶養に入るメリット】
配偶者控除や配偶者特別控除を受けることで、夫の所得税・住民税が軽減されます。控除額は、配偶者の所得によって異なりますが、最大38万円(住民税は33万円)の控除が受けられます。 例えば、夫の税率が10%の場合、所得税の軽減額は最大3.8万円、住民税は最大3.3万円となり、合計7万円以上の節税につながります。 年末調整で還付される場合もあるため、手続きを忘れずに行いましょう。
妻の年収が103万円以下の場合
妻の年収が103万円以下であれば、夫は配偶者控除を受けることが可能です。配偶者控除が適用されることで、夫の所得税や住民税が軽減され、家計の負担を抑えることができます。
特に、育休中で収入が大幅に減少する場合、この控除の適用を検討することで節税効果が期待できます。なお、妻の年収が103万円以下の場合,
配偶者特別控除を適用するための条件は以下となります。
【配偶者控除の適用条件】
- 妻の年間合計所得が48万円以下(給与収入103万円以下)であること
- 夫の合計所得が1,000万円以下(給与収入1,220万円以下)であること
夫の合計所得金額 | 配偶者控除額 (所得税) | 配偶者控除額 (住民税) |
---|---|---|
900万円以下 (給与収入1,120万円以下) | 38万円 | 33万円 |
950万円以下 (給与収入1,170万円以下) | 26万円 | 22万円 |
1,000万円以下 (給与収入1,220万円以下) | 13万円 | 11万円 |
妻の年収が103万円超〜201万6,000円未満の場合
妻の年収が103万円を超えても、一定の範囲内であれば配偶者特別控除を受けることが可能です。この制度により、夫の所得税や住民税の負担が軽減され、家計の節約につながります。
ただし、妻の年収が増えるほど控除額は減少し、201万6,000円以上になると適用外となる点には注意が必要です。なお、妻の年収が103万円超〜201万6,000円未満の場合、配偶者特別控除を適用するための条件は以下となります。
【配偶者特別控除の適用条件】
- 妻の年間合計所得が48万円超~133万円以下
(給与収入103万円超~201万6,000円未満)であること - 夫の合計所得が1,000万円以下(給与収入1,220万円以下)であること
の合計所得金額 | 夫の所得900万円以下 (給与収入1,120万円以下) | 夫の所得950万円以下 (給与収入1,170万円以下) | 夫の所得1,000万円以下 (給与収入1,220万円以下) |
---|---|---|---|
48万円超~95万円以下 (103万円超~150万円以下)) | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超~100万円以下 (150万円超~155万円以下) | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
100万円超~105万円以下 (155万円超~160万円以下) | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
105万円超~110万円以下 (160万円超~165万円以下) | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
110万円超~115万円以下 (165万円超~170万円以下) | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
115万円超~120万円以下 (170万円超~175万円以下) | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
120万円超~125万円以下 (175万円超~180万円以下) | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
125万円超~130万円以下 (180万円超~185万円以下) | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
130万円超~133万円以下 (185万円超~201万6,000円未満) | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
迷ったら無料FP相談!育休中の扶養のお悩みはプロと一緒に解決しよう

育休中に夫の扶養に入るべきか迷ったときは、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのが効果的です。税制上の扶養に入ることでどの程度の節税効果があるのか、還付金が発生する可能性があるのかなど、家庭ごとの状況に応じたシミュレーションを行うことで、より具体的なメリットが見えてきます。
例えば、配偶者控除や配偶者特別控除の適用によって、年間で数万円の税負担が軽減されることもあります。しかし、年収や世帯全体の所得状況によって控除額が変わるため、自分で計算するのは意外と難しいものです。そこで、専門知識を持つFPに相談すれば、将来的な家計の見通しを立てながら最適な選択をすることが可能になります。
育休中に夫の扶養に入った方がいいケースの例

育児休業中に夫の扶養に入ることを検討している方も多いでしょう。しかし、扶養に入ることにはメリットだけでなくデメリットもあります。ここでは、扶養に入れる条件や注意点を解説します。
扶養に入るデメリット
扶養に入ると、社会保険の加入者ではなくなり、将来的な年金額に影響が出る可能性があります。また、扶養を抜ける際に手続きが必要となり、再就職や収入の増加に伴い社会保険の加入手続きをする手間がかかります。
育休中に夫の扶養に入ることで税金や社会保険料の負担が軽減される一方、年金や手続き面でのデメリットもあります。自身の収入や今後の働き方を考慮して、最適な選択をしましょう。
妻の年収が103万円以下の場合
妻の年収が103万円以下であると、配偶者控除を最大限に活用することが可能です。配偶者控除とは、配偶者の収入が一定の範囲内である場合、配偶者を扶養する人(一般的には夫)の所得税や住民税を軽減できる制度です。
具体的には、妻の年間の合計所得金額が48万円以下(給与収入であれば103万円以下)の場合、最大で38万円の控除が受けられます。この控除を適用することで、夫の課税所得が減少し、結果として所得税や住民税の負担が軽くなります。また、住民税に関しても、妻の年収が100万円以下であれば非課税となる自治体も多く、家計全体にとって大きな節約効果があります。
夫の会社で扶養手当がある場合
夫が勤務する会社に扶養手当の制度がある場合、家計の負担を軽減できるメリットがあります。扶養手当とは、従業員が一定の条件を満たした家族を扶養している場合に支給される手当で、多くの企業が福利厚生の一環として導入しています。
ただし、この手当を受けるには、配偶者の収入が一定の基準を下回っている必要があることが一般的です。多くの企業では、配偶者の年収が130万円未満、あるいは103万円以下であることを条件としていることが多いため、妻が働いている場合は特に注意が必要です。収入が基準を超えてしまうと手当が支給されなくなるケースもあるため、事前に会社の規定を確認しておくことが重要になります。
【まとめ】条件に当てはまる人は育休中の夫の扶養を活用しよう!

育休中に夫の扶養に入ることで、配偶者控除や配偶者特別控除を活用でき、世帯の税負担を軽減できる可能性があります。
特に、年間の給与収入が103万円以下であれば、夫の所得税・住民税が抑えられ、年末調整で還付金が発生することもあります。一方で、育休中の社会保険料は免除されるため、無理に「社会保険上の扶養」に入る必要はありません。
ただし、扶養に入れるかどうかは収入状況によって変わるため、自分で判断するのは難しい場合もあります。どのくらいの節税効果が見込めるのか、控除額のシミュレーションをしたいと考える人も多いでしょう。そんなときは、専門家に相談するのが最適です。
