

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 【結論】インデックス投資は暴落時も継続が基本!その根拠とは
- インデックス投資の仕組みと暴落時の特徴
- 過去の歴史が示す回復力
- 時間分散の重要性
- 暴落時にインデックス投資を続けられるか不安な人はFPに相談してみよう
- 【みんなはどうした?】暴落時インデックス投資をしていた人にアンケート
- 暴落時にどのような行動をとりましたか?
- 失敗したと感じたことはありますか?
- やってよかったことはありますか?
- 暴落時にインデックス投資でやってはいけないこと
- マイナスの資産を売却する
- ポートフォリオを無理に調整する
- 投資方針を変更する
- 暴落時にインデックス投資家が検討すべき行動
- 冷静に積立投資を継続する
- 投資目的を再確認する
- 余裕資金があれば買い増しを検討する
- 暴落時に備えるために!マネーキャリアで投資目的を再確認しよう
- 【まとめ】投資目的を再確認し暴落時もインデックス投資を継続しよう
【結論】インデックス投資は暴落時も継続が基本!その根拠とは
市場の下落局面こそインデックス投資を継続することが最も重要な対応策です。この判断には明確な根拠があります。根拠は以下の3つです。
- インデックス投資の仕組みと暴落時の特徴
- 過去の歴史が示す回復力
- 時間分散の重要性
インデックス投資の仕組みと暴落時の特徴
インデックス投資とは、日経平均株価やS&P500といった市場指数(インデックス)と同じ動きを目指す投資手法です。この仕組みにより、数百から数千の企業に同時に投資ができるため、特定の企業が倒産したとしても投資資産がゼロになるリスクは低いです。
確かに市場全体の下落局面には、インデックスファンドも同様に価格が下がります。しかし、個別企業の株式とは異なり、市場全体が永続的に価値を失うことは歴史上ありません。
過去の歴史が示す回復力
歴史上最も深刻とされる1929年の世界大恐慌では、米国株式は最大83%も下落しましたが、約15年で元の水準を上回りました。最近の例を見ると、以下のとおりです。
- 1987年のブラックマンデー:30%下落 → 2年で回復
- 2000年のITバブル崩壊:45%下落 → 6年で回復
- 2007年のリーマンショック:50%下落 → 5年で回復
注目すべきは、過去97年間で20%以上の下落が発生した場合の平均回復期間が約5年という点です。これは投資家にとって心理的に長く感じられる期間かもしれませんが、老後資金準備などの長期投資においては比較的短い調整期間といえます。
時間分散の重要性
ドルコスト平均法は、一定の金額を定期的に投資する仕組みです。価格が高いときには少ない口数、安いときには多くの口数を自動的に購入します。この仕組みにより、長期的な平均購入単価を平準化する効果が期待できます。
とくに市場の下落局面には、同じ投資金額でより多くの口数を購入できるため、回復局面で大きなリターンを得られる可能性が高いです。たとえば、月々3万円投資した場合は以下のようになります。
基準価額 | 積立金額 | 購入できる口数 |
---|---|---|
10,000円 | 30,000円 | 3口 |
5,000円 | 30,000円 | 6口 |
月々3万円の積立投資で基準価額が1万円から5,000円に半減した場合、購入できる口数は3口から6口に倍増します。
暴落時にインデックス投資を続けられるか不安な人はFPに相談してみよう

継続の重要性は理解できても、実際の暴落場面で平常心を保てるか不安に感じる方は、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談がおすすめです。
頭では「長期投資が大切」とわかっていても、資産減少を目の当たりにすると感情的になります。とくに投資経験が浅い方にとって、初めての大きな暴落は想像以上に精神的な負担でしょう。FPに相談することで、あなたの家計状況や投資目的に基づいた具体的なシミュレーションが行えます。
FP相談で「30%暴落後でも10年後にはこれだけの資産になる」と示してもらえると、不安が和らぎます。漠然とした不安を具体的な見通しに変えられるでしょう。

【みんなはどうした?】暴落時インデックス投資をしていた人にアンケート
インデックス投資を続けていると、必ずといっていいほど経験するのが相場の暴落です。コロナショックやリーマンショックなど、過去にも何度も大きな下落相場がありました。そのようなときに、実際の投資家はどのような行動をとったのでしょうか。
ここでは、暴落を経験したインデックス投資家の方々に以下のアンケートを実施し、リアルな声を集めました。
- 暴落時にどのような行動をとりましたか?
- 失敗したと感じたことはありますか?
- やってよかったことはありますか?
暴落時にどのような行動をとりましたか?

失敗したと感じたことはありますか?

インデックス投資をしていた人の約3人に2人(66.7%)が「失敗したと感じたことがある」と答えています。多くの人が相場の急落や反発で冷静さを失い、後悔を経験していることが浮き彫りとなりました。
一方で、約3人に1人(33.3%)は「失敗したことはない」と回答し、積立を続けたことで安定した運用を実感しているようです。ここからは、実際にどのような失敗を経験したのか、寄せられた口コミをご紹介します。

50代男性
もっと長期視点で考えていれば

30代女性
「もう少し待てば良かった」と後悔した
安くなったと思い、つい「今が買い時だ」と飛びついてしまいました。しかし、その後さらに価格が下がってしまい「もう少し待てば良かった」と後悔しました。焦りから判断を誤り、冷静に相場を見極める大切さを痛感しました。次からは、価格が下がったからといって慌てて購入せず、もっと慎重に見極めようと思います。

30代男性
暴落を目の当たりにして焦って売却した
暴落を目の当たりにして「これ以上下がったらどうしよう」と焦り、一部の保有資産を売却してしまいました。しかし、その後すぐに相場が反発し、価格が回復していくのを見て「あの時手放さなければよかった」と強く後悔しました。焦りから冷静さを欠いた判断をしたことで、せっかくの反発局面で利益を逃してしまい、失敗したと感じています。
やってよかったことはありますか?
インデックス投資は、相場の波に左右されず長期的に資産形成を進める手段として注目されています。しかし、実際に投資を続けている人々は、市場の下落局面や不安定な相場のなかでどのような行動をとり、どのような気持ちで投資を続けてきたのでしょうか。
ここでは、インデックス投資を続けて「やってよかった」と感じている人々の声を紹介します。実際の体験談から、投資を続ける勇気や冷静な判断のヒントが見えてくるはずです。

50代男性
積み立て続けたことは本当によかった
相場の急落局面でも感情に流されず、淡々と同じ銘柄を毎日、同じ金額で積み立て続けたことは本当によかったと思います。相場の上げ下げに一喜一憂せず、一定のルールを守ることで、長期的に資産を増やす土台が作れたと実感しています。やはり習慣が大切だと感じました。

20代男性
リスクが低いインデックス投資を選んだこと
個別株に比べてリスクが低いインデックス投資を選んだことは、安心感があり良かったです。NISAを活用しているので、毎月積み立てをコツコツ続けることができ、長期的な資産形成に役立っていると実感しています。焦らず続けることが大切だと感じます。

50代男性
長期的に見れば良い判断だった
急落局面で一部の銘柄を落ち着いて買い増せたことは、自分にとって非常に良い経験になりました。結果的に、その銘柄は数か月後に大きく回復し、取得コストを下げることができたため、長期的な視点で見ても正しい判断だったと思います。今後も安心して投資を続けるために、必要に応じてファイナンシャルプランナー(FP)に相談も検討しています。
今回の口コミを見ると、インデックス投資を続けることで「感情に流されずに積立を続けられた」「NISAを活用して資産形成の土台を作れた」といった前向きな声が多いです。
とくに長期的な視点を持ち、平常心で投資判断を続けることが重要であると実感している様子が伝わってきます。
暴落時にインデックス投資でやってはいけないこと

市場の下落局面は恐怖や不安から感情的な判断をしがちです。誤った行動を取ってしまうと、長期的な資産形成に大きな悪影響を与える可能性があります。
ここでは、相場の急落局面に絶対に避けるべき3つの行動を説明します。
- マイナスの資産を売却する
- ポートフォリオを無理に調整する
- 投資方針を変更する
これらを理解し、平常心を保ち適切な対応をしましょう。
マイナスの資産を売却する
一時的な価格下落を目の当たりにすると、これ以上損失が拡大する前に売却しようという心理が働くのは自然な反応です。しかし、動揺して売却する行為は、長期投資において致命的な失敗につながる可能性があります。
なぜなら、売却した時点で損失が確定し、その後の市場回復による恩恵を一切受けられなくなるからです。過去のデータを見ると、どれほど深刻な暴落であっても市場は必ず回復してきました。
たとえば、コロナショック時にS&P500は約1か月で35%近く下落※しましたが、その後わずか5か月程度で元の水準を回復し、さらに上昇を続けています。
ポートフォリオを無理に調整する
市場が大きく動くと、今のうちに配分を変更して損失を抑えようといった考えが浮かびがちです。しかし、このような感情的な判断による頻繁な調整は、むしろ投資成果を悪化させる可能性が高いです。
ポートフォリオの頻繁な変更には売買手数料や税金などのコストが発生し、長期的なリターンに影響します。また、市場のチャンスの時期を正確に読むことは投資のプロでも困難であり、調整の時機を誤ると、かえって損失を拡大させてしまうリスクもあります。
投資方針を変更する
市場が大きく下落すると、やはりインデックス投資は危険だった、もっと安全な投資スタイルに変更すべきだといった考えになります。しかし、市場の下落局面の感情的な状態で重要な投資方針を変更してしまうと、一貫性のない投資行動につながり長期的な目標達成が困難です。
投資方針は本来、落ち着いた状態で自分のライフプランや資産形成目標を踏まえて決定されるべきです。老後資金の準備や子どもの教育資金形成といった長期的な目標に対して、数か月から数年の暴落は一時的な出来事に過ぎません。
暴落時にインデックス投資家が検討すべき行動

相場の急落局面にやってはいけない行動を理解したところで、暴落が起きた際にはどのような行動を取るべきでしょうか。
ここでは、インデックス投資家が暴落時に検討すべき行動は以下の3つです。
- 冷静に積立投資を継続する
- 投資目的を再確認する
- 余裕資金があれば買い増しを検討する
これらの行動を理解しておくことで、市場の混乱時でも冷静かつ合理的な判断ができるでしょう。
冷静に積立投資を継続する
市場の下落局面に最も重要な行動は、感情に左右されず積立投資を淡々と継続することです。市場が大きく下落すると、今は投資を止めるべきではないかという不安が頭をよぎるかもしれません。
このような時こそインデックス投資の本質とドルコスト平均法のメリットを思い出すべきです。ドルコスト平均法は、定期的に一定額を投資することで、価格が上昇しているときは少なく、下落時には多く購入できる仕組みです。
暴落によって基準価額が下がった状況は、同じ金額でより多くの口数を購入できるため、絶好の機会と捉えられます。
投資目的を再確認する
市場の混乱により資産が減少すると、投資そのものに対する疑問が生まれがちです。このような時こそ、当初設定した投資目的を明確に思い出すことで、冷静さを取り戻せます。
投資目的には、以下のような具体的な目標があったはずです。
- 老後資金の準備
- 子どもの教育費確保
- 住宅購入資金の準備
これらの目標は10年、20年、30年といった長期的なスパンで達成すべきものです。数か月から数年の市場変動は、このような長期目標に対しては一時的な通過点に過ぎません。
余裕資金があれば買い増しを検討する
市場全体が大きく下落している状況は、長期的な視点で見れば優良な投資機会となる可能性があります。インデックスファンドの組入れ企業が本来の価値を下回る状況は、将来の価格上昇が期待できるときです。
ただし、追加投資を行う際には慎重な判断が必要です。目安となる生活費の6か月分以上の現金を生活防衛資金として確保していることが前提条件となります。
また、市場の底値を正確に予測することは不可能であるため、一度に大量の資金を投入するのではなく、数回にわけた段階的な投資をおすすめします。
暴落時に備えるために!マネーキャリアで投資目的を再確認しよう

市場の下落局面に落ち着いた対応を取るためには、日頃から投資に関する知識を深め、明確な投資プランを立てておきましょう。投資について正しく理解していれば、市場の一時的な下落に動揺しません。逆に、値下がりを将来のリターン向上につながるチャンスと捉えられるようになります。
しかし、1人で投資の勉強をしたり、適切な投資戦略を立てたりするのは簡単ではありません。

【まとめ】投資目的を再確認し暴落時もインデックス投資を継続しよう
暴落が起きても、インデックス投資は淡々と続けることが基本です。実際、過去のデータからは、20%以上下落しても平均5年で回復してきた事例※があります。しかし、頭では理解していても実際の暴落局面では感情的になりがちです。
そのため、投資目的を明確にし、長期的な視点を保つことが何よりも重要です。体験談からもわかるように、市場の下落局面に慌てて売却してしまった方の多くが後悔している一方で、積立投資を継続した方は良い結果を得ています。ドルコスト平均法により、下落時にはより多くの口数を購入でき、将来の回復局面で大きなリターンが期待できるからです。

最初の下落で焦って一部を売却してしまったのですが、その後すぐに反発して価格が戻ってしまい「あの時売らなければ良かった」と後悔しました。パニックにならず、もっと長期視点で考えていれば、無駄な損失を出さずに済んだと思います。