
内容をまとめると
- 所得税の課税の基準が年収103万円から123万円に変わった結果、非課税の範囲で働ける年収上限が上がったといえます。
- 一方で、123万円を超えて働くと、夫の配偶者手当が減額や廃止になるケースもあるため、家計全体への影響を試算しておくことが重要です。
- さらに、106万円または130万円の壁を超えて扶養から外れると、社会保険料の負担が生じ、年間30万円近い出費になる場合もあるので注意が必要です。
- 年収の壁の理解や、損しない働き方選びに不安がある方は、相談実績10万件超・満足度98.6%超のマネーキャリアで、専門家(FP)の無料アドバイスを受けられます。

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 年収の壁が103万円から123万円に変わると手取りはいくら増える?年収別に試算して解説
- 123万円以上に手取りが増える場合の注意点
- 所得税・住民税が発生する
- 社会保険の負担が増える可能性がある
- 配偶者手当がもらえなくなる可能性がある
- 123万円で手取りがいくら増えるか悩んだら専門家(FP)への相談がおすすめ
- 123万円の壁の基礎知識
- 年収123万円は所得税がかかりはじめる目安
- 年収123万円が課税の基準になる理由
- 社会保険料の壁の基礎知識
- 106万円は勤務先が51人以上の場合の社会保険加入ライン
- 130万円は勤務先が50人以下の場合の社会保険加入ライン
- 年収123万円の手取りに関するよくある質問
- 年収123万の手取りはいくらですか?
- 103万円の壁はいつから123万円に引き上げられたのですか?
- 123万円の壁を正しく理解して手取りを最大化しよう【まとめ】
年収の壁が103万円から123万円に変わると手取りはいくら増える?年収別に試算して解説
年収 | 条件 | 改正前(=103万円の壁) の手取り |
改正後(=123万円の壁) の手取り |
差額 |
---|---|---|---|---|
105万円 | ・雇用保険(※)のみ加入 | 約103万9,000円 | 約104万4,000円 | +5,000円 |
106万円 | ・勤務先の社会保険 (厚生年金・健康保険)に加入 |
約89万8,000円 | 約90万5,000円 | +7,000円 |
123万円 |
・配偶者(夫)の社会保険の 扶養に入っている ・雇用保険のみ加入 |
約119万1,000円 | 約120万6,000円 | +15,000円 |
129万円 |
・配偶者(夫)の社会保険の 扶養に入っている ・雇用保険のみ加入 |
約124万1,000円 | 約125万6,000円 | +15,000円 |
130万円 |
・配偶者(夫)の社会保険の 扶養から外れている ・国民健康保険・国民年金に加入 |
約95万7,000円 | 約96万7,000円 | +10,000円 |
※参照:令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内|厚生労働省
各年収の手取り差額は、所得税・住民税・雇用保険料・社会保険料の負担をもとに計算しています。
表を見てわかるように、年収が同じでも、条件によって手取り額に最大1万5,000円の差が生まれます。
例えば、年収123万円や129万円では、制度改正後は住民税や所得税の負担が軽くなるケースが多く、年間で約1万円以上手取りが増える可能性があります。
一方で、年収が130万円を超えると社会保険料が加わるため、改正後でも大幅な増額は期待しにくい点には注意が必要です。
なお、本シミュレーションは、以下の条件で試算しました。
- 年齢:40歳未満
- 配偶者:あり
- 職業:パート・アルバイト
- ボーナス:なし
- 雇用保険料率:令和7年度を適用
扶養控除や配偶者控除を考慮せず、標準的な税率と保険料をもとにしています。
実際の金額は、勤務先や自治体で異なる場合があります。
制度の仕組みを知ったうえで、無理のない働き方や収入計画を立てることが大切です。
123万円以上に手取りが増える場合の注意点
123万円を超えて収入が増えるときに注意したいポイントを、3つ解説します。
紹介する注意点は以下のとおりです。
- 所得税・住民税が発生する
- 社会保険の負担が増える可能性がある
- 配偶者手当がもらえなくなる可能性がある
これらを理解することで、収入アップにともなう負担や、世帯全体の手取りの変化を事前に把握しやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
所得税・住民税が発生する
年収が123万円を超えると、所得税や住民税が発生しはじめます。
所得税は、123万円を超えると課税されますが、実際には課税所得(=年収-各種控除)に対して税率がかかります。
5%は最も低い所得税率で、目安としては「123万円を超えた分×5%」で概算可能です。
例えば、年収133万円のように10万円を超えた場合は、約5,000円の負担です。
また、目安として110万円を超えると住民税がかかり、年収123万円では年間1万5,000円程度が目安です。
こうした税の仕組みを知っておくと、無理のない収入アップと手取りのバランスを計画しやすくなるでしょう。
社会保険の負担が増える可能性がある
123万円の壁を超えなければ、所得税の支払いは避けられます。
しかし、年収が106万円を超えた時点で、社会保険料の負担が新たに発生する可能性がある点に注意が必要です。
勤務先の従業員が常時51人以上で、週20時間以上の勤務や月額賃金8万8,000円(年収106万円)以上などの条件をすべて満たすと、社会保険(厚生年金や健康保険)の加入が義務づけられます。
社会保険料の負担額は年収の約15%で、106万円の場合は、年間で約15万9,000円が差し引かれます。
条件を理解しておくことで、無理のない収入の増やし方や生活設計を具体的に考えやすくなるでしょう。
配偶者手当がもらえなくなる可能性がある
123万円で手取りがいくら増えるか悩んだら専門家(FP)への相談がおすすめ
123万円の壁の基礎知識
123万円の壁の基礎知識を、2つ解説します。
紹介する理由は以下のとおりです。
- 年収123万円は所得税がかかりはじめる目安
- 年収123万円が課税の基準になる理由
基準や仕組みを理解することで、これからの働き方を選ぶときの不安を減らしやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
年収123万円は所得税がかかりはじめる目安
年収123万円は、所得税がかかりはじめる目安です。
この基準を超えると、超過した分に対して5%の所得税が課税されます。
例えば年収が133万円なら、差額の10万円に税率がかかり、およそ5,000円が所得税になります。
123万円の壁を超えなければ、所得税の支払いは避けられます。
ただし、"住民税"は自治体にもよりますが、年収103万円〜110万円を超えると発生するため、注意が必要です。
年収123万円が課税の基準になる理由
社会保険料の壁の基礎知識
社会保険料の壁の基礎知識を、2つ解説します。
紹介するポイントは以下のとおりです。
- 106万円は勤務先が51人以上の場合の社会保険加入ライン
- 130万円は勤務先が50人以下の場合の社会保険加入ライン
仕組みを知ることで、収入と手取りのバランスを考えやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
106万円は勤務先が51人以上の場合の社会保険加入ライン
130万円は勤務先が50人以下の場合の社会保険加入ライン
パート先の従業員が50人以下の場合、年収が130万円を超えると扶養から外れるケースが多くなります。
扶養を外れると、国民年金や国民健康保険に加入するか、勤務先で社会保険に入る必要が出てきます。
国民年金と国民健康保険に加入する場合、負担は年間で約30万円を超えるケースもあり、手取りが大きく減りやすい点に注意が必要です。
一方、勤務先の社会保険に加入する場合は、130万円を超えても収入の増加が一時的であれば、証明書を提出することで2年間は扶養を維持できる特例もあります。
条件を知っておくことで、無理のない収入と暮らしのバランスを計画しやすくなるでしょう。
年収123万円の手取りに関するよくある質問
年収123万円の手取りに関するよくある質問を、2つ解説します。
紹介する質問は以下のとおりです。
- 年収123万の手取りはいくらですか?
- 103万円の壁はいつから123万円に引き上げられたのですか?
疑問を解消することで、不安を減らし、安心して収入計画を立てやすくなるので、ぜひ参考にしてください。
年収123万の手取りはいくらですか?
103万円の壁はいつから123万円に引き上げられたのですか?
103万円の壁が123万円に引き上げられたのは、令和7年(2025年)です。
この改正によって、所得税の課税対象外となる基準が広がり、非課税で働ける範囲が少し広くなりました。
ただし、住民税の課税基準は、所得税より低いため注意が必要です。
目安として110万円を超えると住民税が課税され、年収123万円の場合は、年間で1万5,000円程度の負担が発生します。
123万円の壁を正しく理解して手取りを最大化しよう【まとめ】
123万円の壁を正しく理解し、収入と税負担の仕組みを知れば、手取りを最大化しやすくなります。
具体的には、年収103万円から123万円に引き上げられた非課税枠、106万円や130万円を超えた場合の社会保険加入、配偶者手当の減額などを理解することで、安心して働き方を選びやすくなります。
とはいえ、一人で制度の細かい条件を調べ、自分に合った選択肢を見つけるのは簡単ではありません。
社会保険の条件に不安を感じる方や、どの働き方が合っているか迷っている方は、専門家(FP)への相談をおすすめします。